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1章、王太子は悪です
11、ダーリンの進化論
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薄紅色の花びらが、ひらりと舞い降りる。
春爛漫だ。
昼食に同席する許可を取ってから、パーニス殿下は忘れ物を取りに行ってしまった。
殿下が攻略の主役なのに。
残された私、マリンベリーは無難な笑顔を張りつけつつ、ソワソワとセバスチャンとルビィにごはんを分けている。
イアンディールとクロヴィスは、原作と似た雰囲気の親密さだ。
「お近づきになれて嬉しいよ。マリンベリーちゃんの浜辺に打ち寄せる波のように麗しい髪には、一度触れてみたいと思っていたので」
イアンディールは髪を褒めてくれたが、彼は原作の乙女ゲームではヒロインちゃんの髪を褒めていた。
要するに誰が相手でも褒める博愛主義……女好きともいう。
前世のSNSでは、外務大臣の令息ゆえの社交性に加え、彼の母親が幼少期に亡くなったことで「女性を喜ばせたい」「女性と話したい」という欲求につながっているから女好きになった、という説があった。
真偽は不明だけど、それって微妙にマザコン……?
あと、何気に重要ポイントなのが、イアンディールは秘密組織【フクロウ】のメンバーという点だ。
クロヴィスはそんなイアンディールに眉を寄せているが、頬にバーベキューソースがついている。体格のいい鍛えた男性が見せる、ギャップが可愛い萌えポイントである。
「イアン先輩。婚約者のいる令嬢を口説かないでください」
「綺麗な花は褒めるのが紳士の嗜みだぞ。クロヴィスも覚えなきゃ」
イアンディールは、柔らかな微笑を湛えてクロヴィスの話を聞いている。
「へえ。クロヴィスは狩猟大会で第一王子のイージス殿下と同じグループになると思っていたけど、わざわざ単独で一位を目指すのかい? それは酔狂だね」
「建国の英雄の再来と言われている完全無欠なイージス殿下にふさわしい臣下になりたくて……頼りになると言われたいのです」
「同じグループで貢献した方が気に入って頂けると思うけどねえ」
イアンディールの指がクロヴィスの頬についたバーベキューソースを拭う。そして、ソースがついた自分の指をぺろりと舐めた。
「てぇてぇ助かる。ありがとうございます」
思わずこんな時のお約束フレーズが口をついて出た。
てぇてぇは「とうとい」。助かるは「欲しかったのでありがたい」。
萌えをくれてありがとう、的なニュアンスである。
「君さ。なんでこんなとこにソースつけてんの……こら、袖で拭いちゃだめだろ。おっ、赤くなった」
「イアン先輩、教えてくれたら自分で拭きますので」
恐縮するクロヴィスは、体は大きいのに気の小さなワンコみたいだ。
これは薄い本が厚くなる2人の世界……。
ここはスチルになったシーンだ。
多くのBL好き女子が「イアンディールがやってくれたぞ!」と盛り上がったのである。
よし、私は空気になろう。
私のことは気にせず仲良くしてください。
と、私が満ち足りたスマイルを湛えてお肉をもぐもぐタイムしていると、パーニス殿下が戻ってきた。
「おかえりなさいませ、殿下」
「ただいま。卵焼きを入れた小ケースを忘れたんだ」
パーニス殿下は「作りすぎてしまってお弁当箱に入らなかったので」と言い、卵焼きのケースを開けた。
おおっ、焼き色の綺麗な卵焼きがぎっしりと詰まっている。
見た目、初めて作ったとは思えない出来!
「綺麗に焼けただろう? 自信作なんだ……うん……」
得意げにお手製の卵焼きをつまんだパーニス殿下は、すぐに渋い顔になった。
「いかがなさいましたか、パーニス殿下」
「この卵焼きは少し……すまないマリンベリー。調味料を間違えたかもしれない。捨てよう」
どうやらお味に納得がいかなかった様子。
でも、捨てるのはもったいないのでは? 私は試しにパクッと卵焼きをいただいてみた。
「それは失敗作だ」
「ん……確かに、ちょっとしょっぱいですね。でも、捨てるほどではありませんよ」
私とパーニス殿下がお弁当を食べていると、黒狼のセバスチャンと耳長猫のルビィも欲しがって鳴き声をあげる。分けてあげると、好き嫌いせず喜んで食べてくれた。いい子たちだな~。
「パーニス殿下がお弁当作りをなさったのですか?」
「実は、そうなんだ。クロヴィスは料理の嗜みはあるか?」
クロヴィスの好感度も順調そうだ。よきかな、よきかな!
「マリンベリーちゃん、あーん」
「えっ? イアンディール先輩?」
「おい、イアンディール。彼女は俺の婚約者だぞ」
「減るもんじゃないし、あーん、くらいいいじゃない」
「よくない」
たまにハラハラするけど、イアンディールとパーニス殿下は確かもともと秘密組織【フクロウ】の仲間だ。これは親密な仲ならではの「からかい」なのだろう。
あっちともこっちともじゃれあってくれるイアンディールというキャラ、最高か。
「イアンディール先輩、最高ですね」
「マリンベリー?」
「あっはは~♪ マリンベリーちゃん。殿下と婚約破棄して僕のところにお、い、で♪」
「イアンディール!」
それにしても、ご飯が美味しい!
みんなで食べると美味しく感じるのは、前世でもゲームでも同じだね。
「明日からも、みんなで昼食を摂らないか」
予定通りにパーニス殿下が切り出して、私はその流れに安心した。
「ランチ会の誕生ですね!」
おっと、うっかりヒロインちゃんの決めセリフを言ってしまった。
ランチ会はその名の通り、ランチを一緒に食べる会だ。
名前がない集まりより、名前がある集まりの方が所属意識とか仲間意識が出てくるもので、このランチ会をきっかけにイアンディールとクロヴィスはヒロインちゃんの味方側として立ち回ってくれるようになるのである。
「いいね♪ 僕たちはランチ会の仲間ってことで」
「イアン先輩がそう仰るなら」
ゲームと違う出来事も起きているけど、大筋は変わらないみたい。
ちゃんと攻略できそう。これなら安心。
ほっと胸をなでおろした時、すぐ後ろからそよ風みたいに優しい声が聞こえた。
「いいですね。私も混ぜてください」
「……イージス殿下!」
振り返ると、そこにはイージス殿下がいた。
「食事はみんなで摂った方が美味しいでしょう? 断られて私だけ除け者にされてしまうと哀しいなぁ。まさか断りませんよね?」
ニコニコ笑顔のイージス殿下にそんなことを言われて、誰が断れるだろうか。
イアンディールとクロヴィスが率先して賛同し、イージス殿下はメンバー入りを果たしてしまった。
「ようし、多数決で決定。ここに『ランチ会』の結成を宣言しましょう。今日は一緒に食べ損ねてしまって残念でしたが、明日からの楽しみができましたね♪」
心から楽しみ、という様子で言ってから、イージス殿下は、自然な仕草で身を屈めた。
そして、私の耳元に唇を寄せた。
「君のことが好きです」
……聞き間違えかな!?
まじまじと顔を見つめると、イージス殿下はイタズラが成功した少年みたいな顔でウインクをした。そして、パーニス殿下の傍に移動して、彼の肩を抱いた。
「パーニスは放課後、パン屋に行くのだと聞きましたよ? 兄さんも行きますからね」
「あ、兄上?」
「放課後、門のところで集合にしましょう」
イージス殿下は強引だった。物腰柔らかに見えて、強引なところもある。
ぐいぐいとリードしてくれる。
それがSNSでは「いいぞ~~!」と言われていたのだ。
私が生きていた令和時代は、モラハラやパワハラ、コンプライアンスなどが厳しかった。
男女平等で女性優位なものが良いと言われたり、道徳的、倫理的であることを強く求められたり。
結果、反省して謝る「後悔系ダーリン」や文句を言われる隙が一切ない理想の「スーパーダーリン」が恋愛小説で人気だった。
でも実は、「ちょっとイケないエンタメ」「やっちゃいけないってクレームがくるような刺激的なもの」の人気もかなりあって、非商業のネット小説や、商業電子書籍などではびっくりするくらい需要があった。
そして、「ドSな俺様」「亭主関白」も「そんな男は昔だから人気だったので、今では許されない」と言われつつ、実は人気が高かった。
一説によると「時代は変わっても、心の底では男性にリードしてほしい、引っ張ってほしい、頼りたい」という心理があるのだとか?
「ぐいぐい系かぁ。うーん、どうかな? 確かに格好良いのは間違いないのだけど」
「彼、魔王だし」という先入観もあって、素直に「キュン!」となれない。
「イージス殿下が行かれるなら、僕も」
「では、私も」
結局、放課後は4人でトブレット・ベーカリーに押しかけることになってしまった。
「……兄上は確かに格好良いが……セバスチャン、今のマリンベリーの発言をどう思う?」
「くぅん」
パーニス殿下はセバスチャンをモフりながら渋い顔をしていた。
春爛漫だ。
昼食に同席する許可を取ってから、パーニス殿下は忘れ物を取りに行ってしまった。
殿下が攻略の主役なのに。
残された私、マリンベリーは無難な笑顔を張りつけつつ、ソワソワとセバスチャンとルビィにごはんを分けている。
イアンディールとクロヴィスは、原作と似た雰囲気の親密さだ。
「お近づきになれて嬉しいよ。マリンベリーちゃんの浜辺に打ち寄せる波のように麗しい髪には、一度触れてみたいと思っていたので」
イアンディールは髪を褒めてくれたが、彼は原作の乙女ゲームではヒロインちゃんの髪を褒めていた。
要するに誰が相手でも褒める博愛主義……女好きともいう。
前世のSNSでは、外務大臣の令息ゆえの社交性に加え、彼の母親が幼少期に亡くなったことで「女性を喜ばせたい」「女性と話したい」という欲求につながっているから女好きになった、という説があった。
真偽は不明だけど、それって微妙にマザコン……?
あと、何気に重要ポイントなのが、イアンディールは秘密組織【フクロウ】のメンバーという点だ。
クロヴィスはそんなイアンディールに眉を寄せているが、頬にバーベキューソースがついている。体格のいい鍛えた男性が見せる、ギャップが可愛い萌えポイントである。
「イアン先輩。婚約者のいる令嬢を口説かないでください」
「綺麗な花は褒めるのが紳士の嗜みだぞ。クロヴィスも覚えなきゃ」
イアンディールは、柔らかな微笑を湛えてクロヴィスの話を聞いている。
「へえ。クロヴィスは狩猟大会で第一王子のイージス殿下と同じグループになると思っていたけど、わざわざ単独で一位を目指すのかい? それは酔狂だね」
「建国の英雄の再来と言われている完全無欠なイージス殿下にふさわしい臣下になりたくて……頼りになると言われたいのです」
「同じグループで貢献した方が気に入って頂けると思うけどねえ」
イアンディールの指がクロヴィスの頬についたバーベキューソースを拭う。そして、ソースがついた自分の指をぺろりと舐めた。
「てぇてぇ助かる。ありがとうございます」
思わずこんな時のお約束フレーズが口をついて出た。
てぇてぇは「とうとい」。助かるは「欲しかったのでありがたい」。
萌えをくれてありがとう、的なニュアンスである。
「君さ。なんでこんなとこにソースつけてんの……こら、袖で拭いちゃだめだろ。おっ、赤くなった」
「イアン先輩、教えてくれたら自分で拭きますので」
恐縮するクロヴィスは、体は大きいのに気の小さなワンコみたいだ。
これは薄い本が厚くなる2人の世界……。
ここはスチルになったシーンだ。
多くのBL好き女子が「イアンディールがやってくれたぞ!」と盛り上がったのである。
よし、私は空気になろう。
私のことは気にせず仲良くしてください。
と、私が満ち足りたスマイルを湛えてお肉をもぐもぐタイムしていると、パーニス殿下が戻ってきた。
「おかえりなさいませ、殿下」
「ただいま。卵焼きを入れた小ケースを忘れたんだ」
パーニス殿下は「作りすぎてしまってお弁当箱に入らなかったので」と言い、卵焼きのケースを開けた。
おおっ、焼き色の綺麗な卵焼きがぎっしりと詰まっている。
見た目、初めて作ったとは思えない出来!
「綺麗に焼けただろう? 自信作なんだ……うん……」
得意げにお手製の卵焼きをつまんだパーニス殿下は、すぐに渋い顔になった。
「いかがなさいましたか、パーニス殿下」
「この卵焼きは少し……すまないマリンベリー。調味料を間違えたかもしれない。捨てよう」
どうやらお味に納得がいかなかった様子。
でも、捨てるのはもったいないのでは? 私は試しにパクッと卵焼きをいただいてみた。
「それは失敗作だ」
「ん……確かに、ちょっとしょっぱいですね。でも、捨てるほどではありませんよ」
私とパーニス殿下がお弁当を食べていると、黒狼のセバスチャンと耳長猫のルビィも欲しがって鳴き声をあげる。分けてあげると、好き嫌いせず喜んで食べてくれた。いい子たちだな~。
「パーニス殿下がお弁当作りをなさったのですか?」
「実は、そうなんだ。クロヴィスは料理の嗜みはあるか?」
クロヴィスの好感度も順調そうだ。よきかな、よきかな!
「マリンベリーちゃん、あーん」
「えっ? イアンディール先輩?」
「おい、イアンディール。彼女は俺の婚約者だぞ」
「減るもんじゃないし、あーん、くらいいいじゃない」
「よくない」
たまにハラハラするけど、イアンディールとパーニス殿下は確かもともと秘密組織【フクロウ】の仲間だ。これは親密な仲ならではの「からかい」なのだろう。
あっちともこっちともじゃれあってくれるイアンディールというキャラ、最高か。
「イアンディール先輩、最高ですね」
「マリンベリー?」
「あっはは~♪ マリンベリーちゃん。殿下と婚約破棄して僕のところにお、い、で♪」
「イアンディール!」
それにしても、ご飯が美味しい!
みんなで食べると美味しく感じるのは、前世でもゲームでも同じだね。
「明日からも、みんなで昼食を摂らないか」
予定通りにパーニス殿下が切り出して、私はその流れに安心した。
「ランチ会の誕生ですね!」
おっと、うっかりヒロインちゃんの決めセリフを言ってしまった。
ランチ会はその名の通り、ランチを一緒に食べる会だ。
名前がない集まりより、名前がある集まりの方が所属意識とか仲間意識が出てくるもので、このランチ会をきっかけにイアンディールとクロヴィスはヒロインちゃんの味方側として立ち回ってくれるようになるのである。
「いいね♪ 僕たちはランチ会の仲間ってことで」
「イアン先輩がそう仰るなら」
ゲームと違う出来事も起きているけど、大筋は変わらないみたい。
ちゃんと攻略できそう。これなら安心。
ほっと胸をなでおろした時、すぐ後ろからそよ風みたいに優しい声が聞こえた。
「いいですね。私も混ぜてください」
「……イージス殿下!」
振り返ると、そこにはイージス殿下がいた。
「食事はみんなで摂った方が美味しいでしょう? 断られて私だけ除け者にされてしまうと哀しいなぁ。まさか断りませんよね?」
ニコニコ笑顔のイージス殿下にそんなことを言われて、誰が断れるだろうか。
イアンディールとクロヴィスが率先して賛同し、イージス殿下はメンバー入りを果たしてしまった。
「ようし、多数決で決定。ここに『ランチ会』の結成を宣言しましょう。今日は一緒に食べ損ねてしまって残念でしたが、明日からの楽しみができましたね♪」
心から楽しみ、という様子で言ってから、イージス殿下は、自然な仕草で身を屈めた。
そして、私の耳元に唇を寄せた。
「君のことが好きです」
……聞き間違えかな!?
まじまじと顔を見つめると、イージス殿下はイタズラが成功した少年みたいな顔でウインクをした。そして、パーニス殿下の傍に移動して、彼の肩を抱いた。
「パーニスは放課後、パン屋に行くのだと聞きましたよ? 兄さんも行きますからね」
「あ、兄上?」
「放課後、門のところで集合にしましょう」
イージス殿下は強引だった。物腰柔らかに見えて、強引なところもある。
ぐいぐいとリードしてくれる。
それがSNSでは「いいぞ~~!」と言われていたのだ。
私が生きていた令和時代は、モラハラやパワハラ、コンプライアンスなどが厳しかった。
男女平等で女性優位なものが良いと言われたり、道徳的、倫理的であることを強く求められたり。
結果、反省して謝る「後悔系ダーリン」や文句を言われる隙が一切ない理想の「スーパーダーリン」が恋愛小説で人気だった。
でも実は、「ちょっとイケないエンタメ」「やっちゃいけないってクレームがくるような刺激的なもの」の人気もかなりあって、非商業のネット小説や、商業電子書籍などではびっくりするくらい需要があった。
そして、「ドSな俺様」「亭主関白」も「そんな男は昔だから人気だったので、今では許されない」と言われつつ、実は人気が高かった。
一説によると「時代は変わっても、心の底では男性にリードしてほしい、引っ張ってほしい、頼りたい」という心理があるのだとか?
「ぐいぐい系かぁ。うーん、どうかな? 確かに格好良いのは間違いないのだけど」
「彼、魔王だし」という先入観もあって、素直に「キュン!」となれない。
「イージス殿下が行かれるなら、僕も」
「では、私も」
結局、放課後は4人でトブレット・ベーカリーに押しかけることになってしまった。
「……兄上は確かに格好良いが……セバスチャン、今のマリンベリーの発言をどう思う?」
「くぅん」
パーニス殿下はセバスチャンをモフりながら渋い顔をしていた。
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