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5、鬼謀のアイオナイト
クリスマス番外編3~あっ、こんなところで。いけません
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「ああ、失恋王……」
「見ているだけでつらい」
周囲でこっそりと自国の王を見守っていた民が、顔を見合わせてため息をつく。
そろそろ時間なので、とフィロシュネー姫が婚約者と一緒に去っていく。
主君は少し寂しそうに二人を見送り、余韻に浸るようにグリューワインを啜る。民に遠巻きに見守られるその姿には、哀愁があった。
「ああ、また切ない感じに。どうして……ハルシオン様、どうして……」
主君の護衛をしていた『空国の預言者』ルーンフォークは、近くのテーブルの下にしゃがんで潜り込み、ハンカチで涙をぬぐった。憐れんでいる姿を見せてはいけない。でも泣けてしまうんだ!
「ハルシオン陛下の人気がまた上がってしまうな。なによりだ」
「むっ、鬼畜か兄さん」
そんな忠臣のそばにのっそりと近づいてきたのは、兄フェリシエンだった。テーブルの外でしゃがみ、「何をやってるんだ」と呆れた目をしている。
「ところで我が国の預言者は挙動不審極まりないな。自分の立場を自覚しろ」
「挙動不審にならないように隠れてるんだろ。それに比べて兄さんはなんだよ、俺がせっかくかけた認識阻害の術を解いてハルシオン様を見世物みたいにして」
ルーンフォークはハルシオン第一主義者だ。
ついでに言うと、聖女フィロシュネー姫の信奉者でもある。
「ハルシオン様もハルシオン様だ。諦めが悪いというか……俺みたいに諦めたら楽だと思うんだ」
「恋とはそんなものだろう。ところでお前は失恋したのか。相手は誰だ?」
「ハルシオン様にはミランダさんもいるのだし、ミランダさんとくっつこうよ」
「他人の恋にとやかく言うお前は新しいターゲットはいるのか」
「うるさいな、兄さんとは会話するつもりがないんだからどっか行ってくれ。俺はハルシオン様に言ったんだよ、ミランダさんと愛を育みません? と」
テーブルの近くを通りかかる何人かが「ブラックタロンがなんかやってる」と奇妙なものを見る眼をしている。そんな目で見ないでほしい。
「会話するつもりがないのに、なぜ話を続けるんだ」
「独り言なんだよ。兄さんわかってる? 俺は潜んでたのに兄さんのせいで台無しなんだ。今俺たちすごく目立ってる!」
「お前が悪い」
「それはそうとして俺はハルシオン様にミランダさんと……」
フェリシエンは手を伸ばしてルーンフォークをテーブルの外に引っ張り出した。
「まあ、そうだな。ハルシオン陛下にもそろそろ縁談をお勧めし、後事が安心なようにしておきたい。アンドラーテ伯爵令嬢を勧めよう」
「兄さん! わかってくれるの!」
「ついでにお前にも縁談を探してやる」
「そっちはいらないよ!」
テーブルの影で、死霊がふわふわと物陰から見ている。
――死霊?
ルーンフォークが気付いて兄に知らせようとしたとき。
「お二人とも、あちらにあやしい仕掛けがあります。いらしてください!」
と、警備兵が呼びにきた。
「陛下は城にお戻りください」
兄フェリシエンはハルシオンを護衛と共に城に帰らせ、警備兵と一緒に対応に向かう。ルーンフォークは少し迷ってから、兄に続いた。
* * *
ハルシオンは言われたとおりに王城に戻った。後ろについてくる騎士ミランダ・アンドラーテは残念そうだ。
「特別な楽しい夜でも、例の一味は悪さをしちゃうのですね。許しがたい行いです」
「特別な楽しい夜だからこそ、悪さをするのでしょう。民に被害が出なければいいですが」
庭園を歩いていた二人が足を止めて口を噤んだのは、聞き慣れた声が聞こえてきたからだ。
「ラーシャ。私は新しい妻を迎えるつもりはない。その必要もなくなった」
「アルブレヒト様……けれど、私には子供ができないのです。王室の貴き血を次世代に引き継がないといけませんから……」
――ハルシオンの弟アルブレヒトが、ラーシャと一緒に庭の花を愛でていた。冬の寒さの中、下向きに可憐に咲く花は雪の滴と呼ばれる種類で、ハルシオンも好きな花だ。
「王位継承争いがあったので、むしろ今は子供を作らない方がいい。ここで私が兄より先に子供を作れば、国はまた揉めるだろう」
アルブレヒトとラーシャだ。繊細な話をしているではないか。
ハルシオンは気づかれないようにそーっとその場を離れようとした。聞かない方がいい話だ。いろいろな意味で。
「いや、そういう話がしたかったわけではなく……その……私は、お前を唯一無二の伴侶だと思っている。子がいなくても、お前が隣にいてくれればいい。子どもを作るのは兄に任せればいい。それを伝えたかった」
アルブレヒトはどこからか麻縄を取り出した。なぜいつも肌身離さず持っているのか。麻縄は卒業したのではなかったのか。そして、妻帯もしていない失恋勢の私に期待されても当分無理だ!
「あっ、こんなところで。いけません、アルブレヒト様」
「こんなところだから燃えるのだ。お前の柔肌を楽しむのは私だけでよい。私に愛でられる花も、お前だけでいい……」
あっ、雲行きがあやしいぞ。
「やぁっ、……はぁっ」
「いつ誰が通りかかるかわからないスリルが楽しいだろう?」
今まさに兄様が通りかかってるよ!
しかも私は今、ミランダと一緒にいるんだよ、アルぅ!?
ハルシオンはアルブレヒトを恨みながら足早にその場を離れ、自室に向かった。仮面をしていてよかった。だいぶ顔が熱い。
ミランダは今の事件をどう思っただろう、と様子を窺おうとしたとき、ハルシオンは異変に気付いた。
「あれっ。人が倒れて……」
自室の前で警備兵が倒れている。と認識したハルシオンの視界の隅で、複数の影が動いた。物陰から次々と姿を現したのは、黒づくめの男たち――暗殺者だと思われた。
「失恋王! 御命頂戴する!」
「その称号あんまり好きじゃないのですが……!?」
「――――陛下っ!」
暗殺者のひとりが剣を手に飛び掛かってきて、ミランダが即座に反応している。
疾風めいたミランダの踏み込みは襲いかかった暗殺者が、翻ったその茶髪の房すら見失うほど。
凶刃を振りかざしていた男の間合いの内側に潜り込んで、その手から剣を蹴り飛ばし、蹴られた相手がどさりと倒れるまでが、一瞬だった。
「よくも、私の陛下を狙いましたね」
すらりと剣を抜いたミランダは双眸を燃えるような怒りで染めて、残りの暗殺者を睨む。
そして、余人には近寄ることも叶わぬ刃の嵐となった。斬り裂き、薙ぎ、蹴り、転がし、かかとで急所を踏み潰し。
「ぎゃあああああああああああ‼︎」
「う、うわあ……」
――再起不能にしている‼︎
賊がひとりまたひとり、股間を抑えて悶絶する。順番に踏まれて悲鳴をあげている!
ひと通り踏み終えたミランダは、駆け付けてきた警備兵に捕縛を命じた。そして、ハルシオンに爽やかな笑顔を向けた。
「ミ、ミランダ……」
股間を踏みつける必要はあったの? という疑問は心の奥底にしまい込み、ハルシオンは感謝を告げた。
「守ってくれてありがとう。格好良かったですよ」
すると、ミランダは少女のように微笑んだ。
「大切な陛下をお守りすることが、私の幸せです」
翡翠の瞳がきらきら輝いていて、ハルシオンは目を奪われた。
その煌めきは、外のバザールを彩るどんな光の芸術よりも美しいと思った。
「見ているだけでつらい」
周囲でこっそりと自国の王を見守っていた民が、顔を見合わせてため息をつく。
そろそろ時間なので、とフィロシュネー姫が婚約者と一緒に去っていく。
主君は少し寂しそうに二人を見送り、余韻に浸るようにグリューワインを啜る。民に遠巻きに見守られるその姿には、哀愁があった。
「ああ、また切ない感じに。どうして……ハルシオン様、どうして……」
主君の護衛をしていた『空国の預言者』ルーンフォークは、近くのテーブルの下にしゃがんで潜り込み、ハンカチで涙をぬぐった。憐れんでいる姿を見せてはいけない。でも泣けてしまうんだ!
「ハルシオン陛下の人気がまた上がってしまうな。なによりだ」
「むっ、鬼畜か兄さん」
そんな忠臣のそばにのっそりと近づいてきたのは、兄フェリシエンだった。テーブルの外でしゃがみ、「何をやってるんだ」と呆れた目をしている。
「ところで我が国の預言者は挙動不審極まりないな。自分の立場を自覚しろ」
「挙動不審にならないように隠れてるんだろ。それに比べて兄さんはなんだよ、俺がせっかくかけた認識阻害の術を解いてハルシオン様を見世物みたいにして」
ルーンフォークはハルシオン第一主義者だ。
ついでに言うと、聖女フィロシュネー姫の信奉者でもある。
「ハルシオン様もハルシオン様だ。諦めが悪いというか……俺みたいに諦めたら楽だと思うんだ」
「恋とはそんなものだろう。ところでお前は失恋したのか。相手は誰だ?」
「ハルシオン様にはミランダさんもいるのだし、ミランダさんとくっつこうよ」
「他人の恋にとやかく言うお前は新しいターゲットはいるのか」
「うるさいな、兄さんとは会話するつもりがないんだからどっか行ってくれ。俺はハルシオン様に言ったんだよ、ミランダさんと愛を育みません? と」
テーブルの近くを通りかかる何人かが「ブラックタロンがなんかやってる」と奇妙なものを見る眼をしている。そんな目で見ないでほしい。
「会話するつもりがないのに、なぜ話を続けるんだ」
「独り言なんだよ。兄さんわかってる? 俺は潜んでたのに兄さんのせいで台無しなんだ。今俺たちすごく目立ってる!」
「お前が悪い」
「それはそうとして俺はハルシオン様にミランダさんと……」
フェリシエンは手を伸ばしてルーンフォークをテーブルの外に引っ張り出した。
「まあ、そうだな。ハルシオン陛下にもそろそろ縁談をお勧めし、後事が安心なようにしておきたい。アンドラーテ伯爵令嬢を勧めよう」
「兄さん! わかってくれるの!」
「ついでにお前にも縁談を探してやる」
「そっちはいらないよ!」
テーブルの影で、死霊がふわふわと物陰から見ている。
――死霊?
ルーンフォークが気付いて兄に知らせようとしたとき。
「お二人とも、あちらにあやしい仕掛けがあります。いらしてください!」
と、警備兵が呼びにきた。
「陛下は城にお戻りください」
兄フェリシエンはハルシオンを護衛と共に城に帰らせ、警備兵と一緒に対応に向かう。ルーンフォークは少し迷ってから、兄に続いた。
* * *
ハルシオンは言われたとおりに王城に戻った。後ろについてくる騎士ミランダ・アンドラーテは残念そうだ。
「特別な楽しい夜でも、例の一味は悪さをしちゃうのですね。許しがたい行いです」
「特別な楽しい夜だからこそ、悪さをするのでしょう。民に被害が出なければいいですが」
庭園を歩いていた二人が足を止めて口を噤んだのは、聞き慣れた声が聞こえてきたからだ。
「ラーシャ。私は新しい妻を迎えるつもりはない。その必要もなくなった」
「アルブレヒト様……けれど、私には子供ができないのです。王室の貴き血を次世代に引き継がないといけませんから……」
――ハルシオンの弟アルブレヒトが、ラーシャと一緒に庭の花を愛でていた。冬の寒さの中、下向きに可憐に咲く花は雪の滴と呼ばれる種類で、ハルシオンも好きな花だ。
「王位継承争いがあったので、むしろ今は子供を作らない方がいい。ここで私が兄より先に子供を作れば、国はまた揉めるだろう」
アルブレヒトとラーシャだ。繊細な話をしているではないか。
ハルシオンは気づかれないようにそーっとその場を離れようとした。聞かない方がいい話だ。いろいろな意味で。
「いや、そういう話がしたかったわけではなく……その……私は、お前を唯一無二の伴侶だと思っている。子がいなくても、お前が隣にいてくれればいい。子どもを作るのは兄に任せればいい。それを伝えたかった」
アルブレヒトはどこからか麻縄を取り出した。なぜいつも肌身離さず持っているのか。麻縄は卒業したのではなかったのか。そして、妻帯もしていない失恋勢の私に期待されても当分無理だ!
「あっ、こんなところで。いけません、アルブレヒト様」
「こんなところだから燃えるのだ。お前の柔肌を楽しむのは私だけでよい。私に愛でられる花も、お前だけでいい……」
あっ、雲行きがあやしいぞ。
「やぁっ、……はぁっ」
「いつ誰が通りかかるかわからないスリルが楽しいだろう?」
今まさに兄様が通りかかってるよ!
しかも私は今、ミランダと一緒にいるんだよ、アルぅ!?
ハルシオンはアルブレヒトを恨みながら足早にその場を離れ、自室に向かった。仮面をしていてよかった。だいぶ顔が熱い。
ミランダは今の事件をどう思っただろう、と様子を窺おうとしたとき、ハルシオンは異変に気付いた。
「あれっ。人が倒れて……」
自室の前で警備兵が倒れている。と認識したハルシオンの視界の隅で、複数の影が動いた。物陰から次々と姿を現したのは、黒づくめの男たち――暗殺者だと思われた。
「失恋王! 御命頂戴する!」
「その称号あんまり好きじゃないのですが……!?」
「――――陛下っ!」
暗殺者のひとりが剣を手に飛び掛かってきて、ミランダが即座に反応している。
疾風めいたミランダの踏み込みは襲いかかった暗殺者が、翻ったその茶髪の房すら見失うほど。
凶刃を振りかざしていた男の間合いの内側に潜り込んで、その手から剣を蹴り飛ばし、蹴られた相手がどさりと倒れるまでが、一瞬だった。
「よくも、私の陛下を狙いましたね」
すらりと剣を抜いたミランダは双眸を燃えるような怒りで染めて、残りの暗殺者を睨む。
そして、余人には近寄ることも叶わぬ刃の嵐となった。斬り裂き、薙ぎ、蹴り、転がし、かかとで急所を踏み潰し。
「ぎゃあああああああああああ‼︎」
「う、うわあ……」
――再起不能にしている‼︎
賊がひとりまたひとり、股間を抑えて悶絶する。順番に踏まれて悲鳴をあげている!
ひと通り踏み終えたミランダは、駆け付けてきた警備兵に捕縛を命じた。そして、ハルシオンに爽やかな笑顔を向けた。
「ミ、ミランダ……」
股間を踏みつける必要はあったの? という疑問は心の奥底にしまい込み、ハルシオンは感謝を告げた。
「守ってくれてありがとう。格好良かったですよ」
すると、ミランダは少女のように微笑んだ。
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