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4、奪還のベリル
267、俺は悪徳商人を制裁するため、商隊を襲ったのです
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「盗賊団は鎮圧いたしました」
「お仕事が早くて素晴らしいですわね」
騎士の報告に感心しつつ、フィロシュネーは現場へ向かった。
「盗賊団は捕縛しております」
騎士が誇らしげに示す先には、縄で縛られた盗賊たちがいた。
人数は、十人ほど。
「襲われていたのは青国から空国に商品を運んでいた商隊で……」
説明を聞きながら現場を見ていたフィロシュネーは、足元に落ちている本に気付いて思わず凝視した。
「『続・シークレットオブプリンセス』……?」
タイトルにとても見覚えがある。そう思った瞬間に、盗賊団のひとりが声をあげた。褐色肌に黒髪の容姿をしていて、南方人の特徴が濃い男だった。
「その本は、ファラムが書いたんだ!」
「はい?」
なにか、訴えたいことがあるらしい。
「無礼者め。このお方をどなたと心得る!」
騎士が色めき、槍先を男に向ける。
フィロシュネーはそれを制して、本を自分の手でひょいっと拾い上げた。
「陛下! 罠の可能性がございます。お気を付け下さい!」
「大丈夫ですわ。ところで、わたくしは情報の価値をよく知っています。興味があるので、お話ください」
本は、著者名がフィロシュネーの知っている作者と同じだった。ぱらぱらとめくってみると、『続』とある通り、以前読んだ物語の続きが展開されているので、フィロシュネーは目を輝かせた。
ところで、さっき奇妙な発言を聞いたような。
「ファラムが書いた、とは?」
フィロシュネーは盗賊の男と視線を合わせた。特徴的な王族の瞳を見て、男がぎょっとする。
「……移り気な空の青」
周囲を固める護衛の騎士は、その反応に重々しく頷いた。
「そうだ。お前の発言をお許しになられたこのお方は、青王フィロシュネー陛下であらせられる。妙な真似をすれば即刻、首と胴体が別々になるものと心得よ」
厳しい口調で言う騎士には、緊張感がある。
自分が護衛する立場だったら、と考えて、フィロシュネーは申し訳なく思った。
兄アーサーと違って、フィロシュネーなど、盗賊の男が突進してきて体当たりしただけで軽々と吹き飛んで死んでしまいそうである。
守る側も、さぞ気が気でないことだろう。
しかし、盗賊の男は襲ってきたりはしなかった。
むしろ、絶望していた中で神様に助けにきてもらったような感激ぶりで、縛られた体を地面に倒し、頭を土に押し付けるようにしてむせび泣いて喜んだ。
「『真実を暴く聖女』フィロシュネー青王陛下。ああ、神はちゃんと正義を執行してくださる。奇跡に感謝を……」
(ふ、ふむ? この方は盗賊で、商隊を襲って捕まっているのよね? なぜ『正義を執行してくださる』なんて喜んでいらっしゃるの? 処罰してほしいの?)
フィロシュネーはなぜか、このタイミングで懐かしきアルブレヒト王を思い出した。
現在行方不明中のアルブレヒト王は、生真面目な人物だった。それが、罪悪感のようなものをこじらせた結果、王妃に麻縄で縛ってもらって気持ちよくなってしまう性癖にたどり着いたのだった……。
「まさか、あなた――」
(処罰されて喜んでしまうタイプ……っ? そ、そんな特殊な望みのために商隊を襲ったというの?)
後半部分は口に出すことがためらわれた。もごもごと口ごもっていると、盗賊の男は「おおっ、おわかりですか!」と興奮気味に顔をあげた。
「さすが陛下! その通りです。俺は悪徳商人を制裁するため、商隊を襲ったのですっ!」
「ん?」
フィロシュネーは瞬きをした。どうも予想と真実は異なるようだった。
「商隊の中にいるキース・メディシンという男を捕らえてください」
「まあ」
フィロシュネーは盗賊の男が口にした名前に目を見開いた。
キース・メディシンと名前は、有名だ。
確か、現在は三十四歳。
メディシン家という空国の有名商家の三男坊で、三十歳までは家業を手伝いもせず遊んでいたのだ。世間は彼に後ろ指を指して笑い者にしていたのだが、三十一歳になったとき、見る眼を変えた。
彼の書いた恋愛小説『シークレットオブプリンセス』が面白いと評判になり、空国と青国で流行小説として流通したのだ。
ただ遊んでいるだけではなかった。……と、彼は世間から見直されたのだが。
「その小説は、都市グランパークスに住むファラムという娘が書いたんです。キース・メディシンはファラムの才能に目をつけて、下心をもって近づいて……」
盗賊の男は、切々と事情を語った。
その話によると、まず、彼は町娘ファラムに片思いをしているらしいのだが、キース・メディシンがファラムの心を射止めてしまった。キース・メディシンは富豪の家の子息だけあって身なりもよく、教養もあり、容姿も美男子だ。実家には金があり、本人が働かなくても一生、安泰なのではないかと思われた。
それに比べて、盗賊の男は生まれはどこの馬の骨ともわからぬ孤児で、現在も盗賊。
だから、盗賊の男は二人が恋人になったと聞いたとき、「仕方ない」と諦めたらしい。
だが、しばらくしてから、ファラムは「捨てられた」と言って泣いた。それも、最初から便利に利用する気で近づかれていたのだ、という。
「話によると、キース・メディシンは最初、ファラムが書いた小説を偶然読んで、褒めてくれたのだそうです。そして自分の書いている小説を見せてきたのだと」
「……え、ええ……? まさか……」
フィロシュネーには話が見えてきた。
同時に、自分が好きだった本がどんどんと残念な代物に思えてきた。
今まで味わったことのない、きれいだと思っていたものが醜いと気付いてしまってゾッとする感覚だった。
「序盤の二ページまでを思いつきで書いたが、先を考えていない。でも余命いくばくもない孤児院の子どもに続きをせがまれていて、喜ばせてあげたい。どう書けばいいだろう。困っているんだ、手伝ってくれないか……と、頼まれて。ファラムは」
「手伝っちゃったのお?」
……思わず、情けない声が出た。
「お仕事が早くて素晴らしいですわね」
騎士の報告に感心しつつ、フィロシュネーは現場へ向かった。
「盗賊団は捕縛しております」
騎士が誇らしげに示す先には、縄で縛られた盗賊たちがいた。
人数は、十人ほど。
「襲われていたのは青国から空国に商品を運んでいた商隊で……」
説明を聞きながら現場を見ていたフィロシュネーは、足元に落ちている本に気付いて思わず凝視した。
「『続・シークレットオブプリンセス』……?」
タイトルにとても見覚えがある。そう思った瞬間に、盗賊団のひとりが声をあげた。褐色肌に黒髪の容姿をしていて、南方人の特徴が濃い男だった。
「その本は、ファラムが書いたんだ!」
「はい?」
なにか、訴えたいことがあるらしい。
「無礼者め。このお方をどなたと心得る!」
騎士が色めき、槍先を男に向ける。
フィロシュネーはそれを制して、本を自分の手でひょいっと拾い上げた。
「陛下! 罠の可能性がございます。お気を付け下さい!」
「大丈夫ですわ。ところで、わたくしは情報の価値をよく知っています。興味があるので、お話ください」
本は、著者名がフィロシュネーの知っている作者と同じだった。ぱらぱらとめくってみると、『続』とある通り、以前読んだ物語の続きが展開されているので、フィロシュネーは目を輝かせた。
ところで、さっき奇妙な発言を聞いたような。
「ファラムが書いた、とは?」
フィロシュネーは盗賊の男と視線を合わせた。特徴的な王族の瞳を見て、男がぎょっとする。
「……移り気な空の青」
周囲を固める護衛の騎士は、その反応に重々しく頷いた。
「そうだ。お前の発言をお許しになられたこのお方は、青王フィロシュネー陛下であらせられる。妙な真似をすれば即刻、首と胴体が別々になるものと心得よ」
厳しい口調で言う騎士には、緊張感がある。
自分が護衛する立場だったら、と考えて、フィロシュネーは申し訳なく思った。
兄アーサーと違って、フィロシュネーなど、盗賊の男が突進してきて体当たりしただけで軽々と吹き飛んで死んでしまいそうである。
守る側も、さぞ気が気でないことだろう。
しかし、盗賊の男は襲ってきたりはしなかった。
むしろ、絶望していた中で神様に助けにきてもらったような感激ぶりで、縛られた体を地面に倒し、頭を土に押し付けるようにしてむせび泣いて喜んだ。
「『真実を暴く聖女』フィロシュネー青王陛下。ああ、神はちゃんと正義を執行してくださる。奇跡に感謝を……」
(ふ、ふむ? この方は盗賊で、商隊を襲って捕まっているのよね? なぜ『正義を執行してくださる』なんて喜んでいらっしゃるの? 処罰してほしいの?)
フィロシュネーはなぜか、このタイミングで懐かしきアルブレヒト王を思い出した。
現在行方不明中のアルブレヒト王は、生真面目な人物だった。それが、罪悪感のようなものをこじらせた結果、王妃に麻縄で縛ってもらって気持ちよくなってしまう性癖にたどり着いたのだった……。
「まさか、あなた――」
(処罰されて喜んでしまうタイプ……っ? そ、そんな特殊な望みのために商隊を襲ったというの?)
後半部分は口に出すことがためらわれた。もごもごと口ごもっていると、盗賊の男は「おおっ、おわかりですか!」と興奮気味に顔をあげた。
「さすが陛下! その通りです。俺は悪徳商人を制裁するため、商隊を襲ったのですっ!」
「ん?」
フィロシュネーは瞬きをした。どうも予想と真実は異なるようだった。
「商隊の中にいるキース・メディシンという男を捕らえてください」
「まあ」
フィロシュネーは盗賊の男が口にした名前に目を見開いた。
キース・メディシンと名前は、有名だ。
確か、現在は三十四歳。
メディシン家という空国の有名商家の三男坊で、三十歳までは家業を手伝いもせず遊んでいたのだ。世間は彼に後ろ指を指して笑い者にしていたのだが、三十一歳になったとき、見る眼を変えた。
彼の書いた恋愛小説『シークレットオブプリンセス』が面白いと評判になり、空国と青国で流行小説として流通したのだ。
ただ遊んでいるだけではなかった。……と、彼は世間から見直されたのだが。
「その小説は、都市グランパークスに住むファラムという娘が書いたんです。キース・メディシンはファラムの才能に目をつけて、下心をもって近づいて……」
盗賊の男は、切々と事情を語った。
その話によると、まず、彼は町娘ファラムに片思いをしているらしいのだが、キース・メディシンがファラムの心を射止めてしまった。キース・メディシンは富豪の家の子息だけあって身なりもよく、教養もあり、容姿も美男子だ。実家には金があり、本人が働かなくても一生、安泰なのではないかと思われた。
それに比べて、盗賊の男は生まれはどこの馬の骨ともわからぬ孤児で、現在も盗賊。
だから、盗賊の男は二人が恋人になったと聞いたとき、「仕方ない」と諦めたらしい。
だが、しばらくしてから、ファラムは「捨てられた」と言って泣いた。それも、最初から便利に利用する気で近づかれていたのだ、という。
「話によると、キース・メディシンは最初、ファラムが書いた小説を偶然読んで、褒めてくれたのだそうです。そして自分の書いている小説を見せてきたのだと」
「……え、ええ……? まさか……」
フィロシュネーには話が見えてきた。
同時に、自分が好きだった本がどんどんと残念な代物に思えてきた。
今まで味わったことのない、きれいだと思っていたものが醜いと気付いてしまってゾッとする感覚だった。
「序盤の二ページまでを思いつきで書いたが、先を考えていない。でも余命いくばくもない孤児院の子どもに続きをせがまれていて、喜ばせてあげたい。どう書けばいいだろう。困っているんだ、手伝ってくれないか……と、頼まれて。ファラムは」
「手伝っちゃったのお?」
……思わず、情けない声が出た。
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