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4、奪還のベリル
260、大切に、優しく抱こう
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会議はお開きになり、エドワード・ウィンスロー男爵が暗殺を命じた疑いを向けられる。
駆け付けたヘルマン・アインベルグ公爵は「エドワード・ウィンスロー男爵め」と怒りに満ちた視線を向けて、エドワード・ウィンスロー男爵を失禁させた。
「この後のことは臣下に任せて、陛下は自室でお休みください」
フィロシュネーは預言者ダーウッドに守られて自室に連れられ、ソラベル・モンテローザ公爵からの手紙を渡された。
ダーウッドはフィロシュネーの顔を覗き込むようにして、気遣う表情を見せた。
「驚かれたでしょうが、まあまあ想定通りの出来事でございました」
フィロシュネーはその表情と言葉、そして『フィロシュネーを庇って負傷した』と言い張ったモンテローザ公爵を思い出して、眉を寄せた。
「ダーウッド。わたくし、お手紙を読む前に真相を予想してあげましょうか?」
あのわざとらしい従者は、モンテローザ公爵が手配したのではないか。
エドワード・ウィンスロー男爵の陣営に潜り込ませていたのだろう。
フィロシュネーがそう指摘すると、ダーウッドは残念そうな顔をした。
「真相は、もう少し複雑でございます」
ダーウッドは指先をくるりと躍らせて魔法の鳥をつくった。外へと飛んでいく鳥は、アーサーを探すのだろう。
「王都を早いうちに離脱し、領地に戻ったレオン・ウィンザム侯爵がいましたでしょう、フィロシュネー様?」
そういえば、とフィロシュネーはレオン・ウィンザム侯爵を思い出した。フィロシュネーが名乗り出るまで、「私が王位を継ごう」と言っていた王位継承権保持者のひとりである。
「ソラベルは、レオン・ウィンザム侯爵の配下に自分の手駒を送り込んだのです。すると、レオン・ウィンザム侯爵はエドワード・ウィンスロー男爵を利用してフィロシュネー様を暗殺しようと策謀を巡らせました」
「ふぇっ?」
ソラベルというのは、モンテローザ公爵のことだ。ダーウッドは彼を名前で呼ぶ。
「レオン・ウィンザム侯爵の配下になったソラベルの手駒が『自分がエドワード・ウィンスロー男爵の陣営に潜り込みます』と立候補をして、あの従者になったわけでございます」
「な、なるほど……」
フィロシュネーは情報を頭の中で整理して、エドワード・ウィンスロー男爵のために一筆したためた。
『わたくしはエドワード・ウィンスロー男爵が従者に命令を出したと考えていません。エドワード・ウィンスロー男爵はわたくしを心配する会をひらいていらしたので、他の貴族が利用なさったのでしょう』
「ダーウッド。このあとのご予定ですけれど、従者はレオン・ウィンザム侯爵が犯人だと自白なさる?」
「調査の結果、レオン・ウィンザム侯爵の陣営出身であることがわかり、自白をする、という予定でございますな」
「調査はもう始まっていると思いますけれど、結果が出る前にこのお手紙を公開していただくのは、ありかしら」
書いたばかりの手紙をダーウッドに託してから、フィロシュネーはハッとした。
「ヘンリー・グレイ男爵……! お話しようと思っていたのに」
せっかく親密な雰囲気になったのに。
フィロシュネーはもう一通、ヘンリー・グレイ男爵宛ての手紙をしたため、後日お話する約束を取り付けたのだった。
* * *
「そんな……! お怪我はひどいのですか、先生?」
ソラベル・モンテローザ公爵は、負傷などしていない。無傷だ。
しかし、妻ウィスカが心配して医師に夫の体調を問いかける声というのは実に心地よい。モンテローザ公爵はわざとらしく呼吸を速め、「ウウッ……」と呻いてみた。
「旦那様! しっかりなさってください!」
ウィスカが泣きそうな声でベッドに近付いて来る。モンテローザ公爵はふわふわとした気持ちになった。そして、顔をしかめて苦しそうに眼を開けた。
「ウィ、ウィスカ……、心配、いらないよ」
無傷だから。
健康そのものだから。
そんな真実は隠し、いかにも無理をしている重症患者といった風情を装えば、ウィスカはポロポロと涙を流して手を握ってくれた。
やわらかであたたかい手だ。
妻から自分への好意を感じる。モンテローザ公爵はいたずら気分を高めた。
「名誉の負傷だ。私が死んでも、お前と子どもは、我が家は名誉ある家系として安泰だろう」
「いやです、そんな……死ぬなんておっしゃらないでください」
このウィスカという妻は、好ましい。
枯れたはずの不老症の感性を若返らせて、情熱を燃え上がらせてくれるような魅力がある。
モンテローザ公爵はほうっと熱い吐息をついた。
「名前を呼んでほしい、ウィスカ……」
「……ソラベル様……!」
可愛い妻だ。
モンテローザ公爵はにっこりとして、「ありがとう。おかげで怪我が治ったよ」と起き上がった。
部屋の入り口で医師が「なにをやっておられるんだ……」という呆れ顔で見ている。医師はモンテローザ公爵が無傷だと知った上で、猿芝居に付き合わされていたのだ。
「もう帰って構わないが、私は負傷したという診断結果で通すように」
モンテローザ公爵は医師に手を振って帰し、妻を抱き寄せた。
「ウィスカ、さきほどの君はとても私の心を熱くさせたよ。もう一度名前を呼んでくれないか」
健気な妻、ウィスカは「お怪我は大丈夫なのですか」とまだ心配している。なんて可愛いのだろう。
そして、こんな純真な妻を悲しませて、自分はなんという悪人だろう。よし、悪人は妻を襲ってしまうぞ。キスしちゃうぞ。
「ソラベル様……、ん……っ」
妻の唇をやわらかに塞いで、モンテローザ公爵は自分の罪深さを想った。
アーサー王をお助けして。
子どもが生まれたら愛情を注いで。
もう自分がいなくても大丈夫、というくらい育ったら、引退しよう。
死ぬときは苦痛の中で死のう。
罪深き自分を怨む死霊たちに、「好きにしろ」と言ってやるのもいいかもしれない。
「ああ、いけない。君は身重なのだから、無理をさせてはいけないね」
大切に、優しく抱こう。
耳元で囁くと、ウィスカは初めての夜のような初々しい顔で自分にしがみついてきた。
「……お慕いしています、ソラベル様」
「その言葉は、とても燃える――ウィスカは私を煽るのがうまいな」
妻との限りある幸せな時間を過ごしながら、モンテローザ公爵は自分の人生の終わらせ方に思いを馳せるのだった。
駆け付けたヘルマン・アインベルグ公爵は「エドワード・ウィンスロー男爵め」と怒りに満ちた視線を向けて、エドワード・ウィンスロー男爵を失禁させた。
「この後のことは臣下に任せて、陛下は自室でお休みください」
フィロシュネーは預言者ダーウッドに守られて自室に連れられ、ソラベル・モンテローザ公爵からの手紙を渡された。
ダーウッドはフィロシュネーの顔を覗き込むようにして、気遣う表情を見せた。
「驚かれたでしょうが、まあまあ想定通りの出来事でございました」
フィロシュネーはその表情と言葉、そして『フィロシュネーを庇って負傷した』と言い張ったモンテローザ公爵を思い出して、眉を寄せた。
「ダーウッド。わたくし、お手紙を読む前に真相を予想してあげましょうか?」
あのわざとらしい従者は、モンテローザ公爵が手配したのではないか。
エドワード・ウィンスロー男爵の陣営に潜り込ませていたのだろう。
フィロシュネーがそう指摘すると、ダーウッドは残念そうな顔をした。
「真相は、もう少し複雑でございます」
ダーウッドは指先をくるりと躍らせて魔法の鳥をつくった。外へと飛んでいく鳥は、アーサーを探すのだろう。
「王都を早いうちに離脱し、領地に戻ったレオン・ウィンザム侯爵がいましたでしょう、フィロシュネー様?」
そういえば、とフィロシュネーはレオン・ウィンザム侯爵を思い出した。フィロシュネーが名乗り出るまで、「私が王位を継ごう」と言っていた王位継承権保持者のひとりである。
「ソラベルは、レオン・ウィンザム侯爵の配下に自分の手駒を送り込んだのです。すると、レオン・ウィンザム侯爵はエドワード・ウィンスロー男爵を利用してフィロシュネー様を暗殺しようと策謀を巡らせました」
「ふぇっ?」
ソラベルというのは、モンテローザ公爵のことだ。ダーウッドは彼を名前で呼ぶ。
「レオン・ウィンザム侯爵の配下になったソラベルの手駒が『自分がエドワード・ウィンスロー男爵の陣営に潜り込みます』と立候補をして、あの従者になったわけでございます」
「な、なるほど……」
フィロシュネーは情報を頭の中で整理して、エドワード・ウィンスロー男爵のために一筆したためた。
『わたくしはエドワード・ウィンスロー男爵が従者に命令を出したと考えていません。エドワード・ウィンスロー男爵はわたくしを心配する会をひらいていらしたので、他の貴族が利用なさったのでしょう』
「ダーウッド。このあとのご予定ですけれど、従者はレオン・ウィンザム侯爵が犯人だと自白なさる?」
「調査の結果、レオン・ウィンザム侯爵の陣営出身であることがわかり、自白をする、という予定でございますな」
「調査はもう始まっていると思いますけれど、結果が出る前にこのお手紙を公開していただくのは、ありかしら」
書いたばかりの手紙をダーウッドに託してから、フィロシュネーはハッとした。
「ヘンリー・グレイ男爵……! お話しようと思っていたのに」
せっかく親密な雰囲気になったのに。
フィロシュネーはもう一通、ヘンリー・グレイ男爵宛ての手紙をしたため、後日お話する約束を取り付けたのだった。
* * *
「そんな……! お怪我はひどいのですか、先生?」
ソラベル・モンテローザ公爵は、負傷などしていない。無傷だ。
しかし、妻ウィスカが心配して医師に夫の体調を問いかける声というのは実に心地よい。モンテローザ公爵はわざとらしく呼吸を速め、「ウウッ……」と呻いてみた。
「旦那様! しっかりなさってください!」
ウィスカが泣きそうな声でベッドに近付いて来る。モンテローザ公爵はふわふわとした気持ちになった。そして、顔をしかめて苦しそうに眼を開けた。
「ウィ、ウィスカ……、心配、いらないよ」
無傷だから。
健康そのものだから。
そんな真実は隠し、いかにも無理をしている重症患者といった風情を装えば、ウィスカはポロポロと涙を流して手を握ってくれた。
やわらかであたたかい手だ。
妻から自分への好意を感じる。モンテローザ公爵はいたずら気分を高めた。
「名誉の負傷だ。私が死んでも、お前と子どもは、我が家は名誉ある家系として安泰だろう」
「いやです、そんな……死ぬなんておっしゃらないでください」
このウィスカという妻は、好ましい。
枯れたはずの不老症の感性を若返らせて、情熱を燃え上がらせてくれるような魅力がある。
モンテローザ公爵はほうっと熱い吐息をついた。
「名前を呼んでほしい、ウィスカ……」
「……ソラベル様……!」
可愛い妻だ。
モンテローザ公爵はにっこりとして、「ありがとう。おかげで怪我が治ったよ」と起き上がった。
部屋の入り口で医師が「なにをやっておられるんだ……」という呆れ顔で見ている。医師はモンテローザ公爵が無傷だと知った上で、猿芝居に付き合わされていたのだ。
「もう帰って構わないが、私は負傷したという診断結果で通すように」
モンテローザ公爵は医師に手を振って帰し、妻を抱き寄せた。
「ウィスカ、さきほどの君はとても私の心を熱くさせたよ。もう一度名前を呼んでくれないか」
健気な妻、ウィスカは「お怪我は大丈夫なのですか」とまだ心配している。なんて可愛いのだろう。
そして、こんな純真な妻を悲しませて、自分はなんという悪人だろう。よし、悪人は妻を襲ってしまうぞ。キスしちゃうぞ。
「ソラベル様……、ん……っ」
妻の唇をやわらかに塞いで、モンテローザ公爵は自分の罪深さを想った。
アーサー王をお助けして。
子どもが生まれたら愛情を注いで。
もう自分がいなくても大丈夫、というくらい育ったら、引退しよう。
死ぬときは苦痛の中で死のう。
罪深き自分を怨む死霊たちに、「好きにしろ」と言ってやるのもいいかもしれない。
「ああ、いけない。君は身重なのだから、無理をさせてはいけないね」
大切に、優しく抱こう。
耳元で囁くと、ウィスカは初めての夜のような初々しい顔で自分にしがみついてきた。
「……お慕いしています、ソラベル様」
「その言葉は、とても燃える――ウィスカは私を煽るのがうまいな」
妻との限りある幸せな時間を過ごしながら、モンテローザ公爵は自分の人生の終わらせ方に思いを馳せるのだった。
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