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2、協奏のキャストライト
98、歓迎交流会5~浮気公子は婚約破棄して断罪ですわ
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紅国の伯爵公子クリストファーは顔を赤くしたり青くしたりしている。
「あっ、いや、そ、そそそれは、気の迷いというか」
「気の迷い? 言動に責任を求められるべき伯爵公子様が、気の迷いなどと言い訳をおっしゃるの?」
オリヴィアが烈火のごとく怒っている。
「目撃者も多いでしょう。街中でこの方がどのような振る舞いであったか……ここにいらっしゃるフィロシュネー姫殿下は、神鳥様の加護をお持ちの聖女殿下です。その学友を冤罪で罵るなど、正気とは思えませんわ」
(ここが青国で相手が青国貴族なら、『正義を執行します』で終わりなのに。他国相手だといろいろ面倒ね)
フィロシュネーはノーウィッチ外交官を働かせ、メリーファクト家からの抗議書を読み上げさせた。
「わが国の青王陛下はメリーファクト家の抗議を受け、破談を認められました。そして、紅国の女王陛下にはウェストリー公子の罪を紅国側で裁くように、とお求めです」
女王アリアンナ・ローズがサイラスを伴って場に加わる。女王は味方してくれるはず――フィロシュネーが期待の眼差しを向ける中、女王は残念そうに口をひらいた。
「わが国の貴族の不義理を悲しく思います」
「じょ、女王陛下ぁ……っ」
クリストファーがだらだらと滝のように汗をかいて言い訳している。
「確かにわらわは自由恋愛の気風を良しとしています。けれど、それを盾に婚約者の令嬢への不誠実な振る舞いを正当化されては、わらわも困ります。特に、青国の外交団への無礼はいただけませんね。伯爵公子ともなればもう少し政治的判断力と分別を備えていてほしいものです」
女王は好意的な温度の感じられる眼でフィロシュネーを見た。宝石みたいにキラキラ輝く瞳は、綺麗だ。でも。
(ちょっと熱心に見つめすぎじゃないかしら?)
なんとなく背筋がぞくぞくとする。
「わらわは、青国の王妹殿下を好ましく思います。青国の方々には紅国をよく思っていただきたい……そんなタイミングでこのような事件、言語道断です」
女王の視線がクリストファーにうつり、ぷるんとした赤い唇が単語をポロッとこぼす。
「死刑……」
「ヒッ」
クリストファーが引きつった声を漏らすと、反応を愉しむように小さく笑い声をこぼして、女王は首を振った。
「……まではいたしませんが、ウェストリー伯爵家には公子の廃嫡を命じましょうか。貴族の身分もはく奪し、ウェストリー伯爵家からの追放……と」
「あ、ああ……」
女王が判決を言い渡すと、クリストファーはへなへなと脱力して仰向けにパタリと倒れた。
「紅国貴族の恥ね……」
冷笑的につぶやくのは、長い黒髪と緑色の瞳をした美しいアルメイダ侯爵夫人だった。夫人の声を皮切りに、紅国貴族たちが同調の声をあげる。
「ウェストリー伯爵家はどんな教育をほどこしているのですかな」
「なんて情けない」
(女王がちゃんと有罪判決をしてくださってよかったわ)
フィロシュネーは安堵しつつ、セリーナを労わった。
「ひどい婚約者のせいで嫌な思いをしてしまったわね、セリーナ。わたくし、よい縁談を見つけてあなたを絶対に幸せにしてあげるわ」
「ひ、姫様ぁ……っ」
うるうると涙ぐむセリーナの手をオリヴィアがしっかりと握って励ましている。
「わたくしも、セリーナを溺愛してくださる素敵な貴公子を探しますわ!」
なにはともあれ、やるべきことはできたのだ。
ほっとひと息つくフィロシュネーの耳に、妙な声が届いた。
「青国のおなごって可愛い。全員、わらわのハーレムに加えてはいけないかしら」
「なりません」
おそるおそる声の主を確認したところ、声の主は女王だった。サイラスと話しながら、女王が熱のこもった眼で、頬を赤らめてこちらを見ている。ぱちりと目が合った瞬間、得体の知れない悪寒がぞわわっと背筋をのぼる。
「姫様、あの女王陛下……」
「しっ、セリーナ、オリヴィア。目を合わせてはだめ」
学友たちとヒソヒソと声をひそめて警戒しつつ、フィロシュネーはそっと女王から距離を取ったのだった。
* * *
歓迎交流会が終わって迎賓館『ローズウッド・マナー』に帰ると、ダーウッドが待っていた。
「おかえりなさいませ、姫殿下。招待客に紛れて見ておりましたぞ」
「まあ。危ないじゃない。警備がとっても厳重だったのよ」
「今宵の賄賂でございます」
悪役ごっこのノリで差し出される小瓶には、いちご味の魔力回復薬が入っている。
フィロシュネーは得意顔になった。
「見ていたみたいですけど、わたくし、改めてご報告しますっ。ちゃんと勝ちましたのよ。ねえ、ダーウッドはびっくりなさった? わたくしが勝つと思わなかったでしょう?」
「とても驚きましたぞ」
素直に肯定してくれるのが、とても気持ちいい。
フィロシュネーが頬をゆるゆるさせた。
「じいやは姫殿下の武勇伝を拝聴したいのですが、おねだりしてもよろしいですかな」
「またじいやって言ってる。でも、武勇伝はいいわね、わたくし、語ってあげますわ」
対戦の様子をちょっとだけ大げさに盛りながら武勇伝として語ると、ダーウッドはお祝いにと杖を振り、ベッドの天蓋の内側に魔法で星の幻影を描いてくれた。
「わぁ、綺麗……!」
フィロシュネーはふと思いつきを声に変えた。
「ねえダーウッド。わたくしのお父様は、本当はどんな方だったのかしら。わたくし、本当のお父様を知っている?」
――ずっと聞いてみたかったのだ。
ダーウッドは微妙に答えにくそうながらも、言葉を選んでくれた。
「クラストス様は、姫殿下が誕生なさってすぐに亡くなられました。繊細でお優しい方でしたな。人の感情をよく察する方で……」
思い出語りは優しくて、切ない響きだった。
(では、わたくしは本物の父と話したこともないのね)
自分が知っていた父は、全部オルーサだったのだ。
「お母様は?」
「クラストス様にピッタリの気の強い方でしたよ。姫殿下は外見だけでなく、内面もよく似ておられます」
(わたくし、お母様に似ているのね)
「お母様は、どうして亡くなったのかしら」
フィロシュネーは、母の死の詳細を知らなかった。
「クラストス様が偽者だとお気づきになられ、『あなたは誰ですか、本物の青王陛下はどうしたのですか』とオルーサ様に問い詰めたのが原因で……数日後に亡くなりました」
言わんとする意味を、フィロシュネーは理解した。
母は、オルーサに殺されたのだ。
「そう」
ぽつりと返す自分の声が、寂しく聞こえる。
指先がつめたくて、フィロシュネーはベッドの中で身を縮めた。じんわりとあふれる感情が、熱い。
「お二人をお守りできず、申し訳ございません」
ダーウッドはそっと謝罪の言葉をかけてくる。これは「すみませんでした」とは違う気配だ。フィロシュネーは「いいの」と首を振った。
そのはずみで、頬を生暖かい濡れた感触が滑り落ちる。
洟をすすると、とたんに悲しみがあふれてきて、ほろほろと涙がこぼれてくる。
「……っ」
「ひ、姫」
(やだ……)
涙は止めようと思えば思うほどにあふれて、寄り添う臣下の気配がおろおろし始める。困らせてしまっている。でも。
(わたくしの思い出に、父と母がいない)
そう思うとフィロシュネーはどんどん寂しくて悲しい気持ちになって、胸がいっぱいになった。
想いがあふれて、子供みたいに声をあげて泣きじゃくってしまいそうになった。
(おとうさま……、おかあさま……っ)
自分の父と母は、死んでしまって、もういないのだ。
フィロシュネーが泣いて呼んでも、答える存在はない。
この世界のどこにも、いないのだ。
ずっとずっと前にいなくなっていて、その死の真相すら隠されていて……父などは、長い間オルーサに成りすまされていて、死を悲しんでもらうこともできずにいたのだ。
ずっとずっと過去の出来事で、どんなに変えたいと思っても覆らない現実がある。それが、心をぐしゃぐしゃにしてしまって、苦しい。
「――……っ」
ダーウッドはおろおろしながら優しくゆっくりとフィロシュネーの背中を撫でてくれた。
世の中を口先三寸で謀ってきたであろう詐欺師預言者が、たまに何か言いかけては、言葉を見つけられない様子で口をつぐんでしまう。そのちょっと情けなくて人間臭い気配は、フィロシュネーを不思議と安心させた。
――ここに、味方がいる。わたくしの、不思議な臣下がいる。
味方の温度感。身内の気配。
この自称・邪悪な詐欺師さんな臣下は、フィロシュネーを心配してくれるのだ。
父と母の死を申し訳なく思ってくれているのだ。
きらきら輝く星景色は少しずつ輝きを失い、徐々に穏やかな闇が部屋を包み込んでいく。
人々が健やかに眠る夜、フィロシュネーは悲しみを抱えながらも、安らぎをもたらす温もりと眠りに身を委ねた。
朝が訪れると、気分は爽やかに晴れていた。
眠たそうな臣下の頬にふにふにと触れながら朝日を浴びると、本物の小鳥たちの歌声が聞こえる。
「……元気におはようと言えるわ、わたくし」
そうつぶやきながら、フィロシュネーは新たな一日を迎えた。
「あっ、いや、そ、そそそれは、気の迷いというか」
「気の迷い? 言動に責任を求められるべき伯爵公子様が、気の迷いなどと言い訳をおっしゃるの?」
オリヴィアが烈火のごとく怒っている。
「目撃者も多いでしょう。街中でこの方がどのような振る舞いであったか……ここにいらっしゃるフィロシュネー姫殿下は、神鳥様の加護をお持ちの聖女殿下です。その学友を冤罪で罵るなど、正気とは思えませんわ」
(ここが青国で相手が青国貴族なら、『正義を執行します』で終わりなのに。他国相手だといろいろ面倒ね)
フィロシュネーはノーウィッチ外交官を働かせ、メリーファクト家からの抗議書を読み上げさせた。
「わが国の青王陛下はメリーファクト家の抗議を受け、破談を認められました。そして、紅国の女王陛下にはウェストリー公子の罪を紅国側で裁くように、とお求めです」
女王アリアンナ・ローズがサイラスを伴って場に加わる。女王は味方してくれるはず――フィロシュネーが期待の眼差しを向ける中、女王は残念そうに口をひらいた。
「わが国の貴族の不義理を悲しく思います」
「じょ、女王陛下ぁ……っ」
クリストファーがだらだらと滝のように汗をかいて言い訳している。
「確かにわらわは自由恋愛の気風を良しとしています。けれど、それを盾に婚約者の令嬢への不誠実な振る舞いを正当化されては、わらわも困ります。特に、青国の外交団への無礼はいただけませんね。伯爵公子ともなればもう少し政治的判断力と分別を備えていてほしいものです」
女王は好意的な温度の感じられる眼でフィロシュネーを見た。宝石みたいにキラキラ輝く瞳は、綺麗だ。でも。
(ちょっと熱心に見つめすぎじゃないかしら?)
なんとなく背筋がぞくぞくとする。
「わらわは、青国の王妹殿下を好ましく思います。青国の方々には紅国をよく思っていただきたい……そんなタイミングでこのような事件、言語道断です」
女王の視線がクリストファーにうつり、ぷるんとした赤い唇が単語をポロッとこぼす。
「死刑……」
「ヒッ」
クリストファーが引きつった声を漏らすと、反応を愉しむように小さく笑い声をこぼして、女王は首を振った。
「……まではいたしませんが、ウェストリー伯爵家には公子の廃嫡を命じましょうか。貴族の身分もはく奪し、ウェストリー伯爵家からの追放……と」
「あ、ああ……」
女王が判決を言い渡すと、クリストファーはへなへなと脱力して仰向けにパタリと倒れた。
「紅国貴族の恥ね……」
冷笑的につぶやくのは、長い黒髪と緑色の瞳をした美しいアルメイダ侯爵夫人だった。夫人の声を皮切りに、紅国貴族たちが同調の声をあげる。
「ウェストリー伯爵家はどんな教育をほどこしているのですかな」
「なんて情けない」
(女王がちゃんと有罪判決をしてくださってよかったわ)
フィロシュネーは安堵しつつ、セリーナを労わった。
「ひどい婚約者のせいで嫌な思いをしてしまったわね、セリーナ。わたくし、よい縁談を見つけてあなたを絶対に幸せにしてあげるわ」
「ひ、姫様ぁ……っ」
うるうると涙ぐむセリーナの手をオリヴィアがしっかりと握って励ましている。
「わたくしも、セリーナを溺愛してくださる素敵な貴公子を探しますわ!」
なにはともあれ、やるべきことはできたのだ。
ほっとひと息つくフィロシュネーの耳に、妙な声が届いた。
「青国のおなごって可愛い。全員、わらわのハーレムに加えてはいけないかしら」
「なりません」
おそるおそる声の主を確認したところ、声の主は女王だった。サイラスと話しながら、女王が熱のこもった眼で、頬を赤らめてこちらを見ている。ぱちりと目が合った瞬間、得体の知れない悪寒がぞわわっと背筋をのぼる。
「姫様、あの女王陛下……」
「しっ、セリーナ、オリヴィア。目を合わせてはだめ」
学友たちとヒソヒソと声をひそめて警戒しつつ、フィロシュネーはそっと女王から距離を取ったのだった。
* * *
歓迎交流会が終わって迎賓館『ローズウッド・マナー』に帰ると、ダーウッドが待っていた。
「おかえりなさいませ、姫殿下。招待客に紛れて見ておりましたぞ」
「まあ。危ないじゃない。警備がとっても厳重だったのよ」
「今宵の賄賂でございます」
悪役ごっこのノリで差し出される小瓶には、いちご味の魔力回復薬が入っている。
フィロシュネーは得意顔になった。
「見ていたみたいですけど、わたくし、改めてご報告しますっ。ちゃんと勝ちましたのよ。ねえ、ダーウッドはびっくりなさった? わたくしが勝つと思わなかったでしょう?」
「とても驚きましたぞ」
素直に肯定してくれるのが、とても気持ちいい。
フィロシュネーが頬をゆるゆるさせた。
「じいやは姫殿下の武勇伝を拝聴したいのですが、おねだりしてもよろしいですかな」
「またじいやって言ってる。でも、武勇伝はいいわね、わたくし、語ってあげますわ」
対戦の様子をちょっとだけ大げさに盛りながら武勇伝として語ると、ダーウッドはお祝いにと杖を振り、ベッドの天蓋の内側に魔法で星の幻影を描いてくれた。
「わぁ、綺麗……!」
フィロシュネーはふと思いつきを声に変えた。
「ねえダーウッド。わたくしのお父様は、本当はどんな方だったのかしら。わたくし、本当のお父様を知っている?」
――ずっと聞いてみたかったのだ。
ダーウッドは微妙に答えにくそうながらも、言葉を選んでくれた。
「クラストス様は、姫殿下が誕生なさってすぐに亡くなられました。繊細でお優しい方でしたな。人の感情をよく察する方で……」
思い出語りは優しくて、切ない響きだった。
(では、わたくしは本物の父と話したこともないのね)
自分が知っていた父は、全部オルーサだったのだ。
「お母様は?」
「クラストス様にピッタリの気の強い方でしたよ。姫殿下は外見だけでなく、内面もよく似ておられます」
(わたくし、お母様に似ているのね)
「お母様は、どうして亡くなったのかしら」
フィロシュネーは、母の死の詳細を知らなかった。
「クラストス様が偽者だとお気づきになられ、『あなたは誰ですか、本物の青王陛下はどうしたのですか』とオルーサ様に問い詰めたのが原因で……数日後に亡くなりました」
言わんとする意味を、フィロシュネーは理解した。
母は、オルーサに殺されたのだ。
「そう」
ぽつりと返す自分の声が、寂しく聞こえる。
指先がつめたくて、フィロシュネーはベッドの中で身を縮めた。じんわりとあふれる感情が、熱い。
「お二人をお守りできず、申し訳ございません」
ダーウッドはそっと謝罪の言葉をかけてくる。これは「すみませんでした」とは違う気配だ。フィロシュネーは「いいの」と首を振った。
そのはずみで、頬を生暖かい濡れた感触が滑り落ちる。
洟をすすると、とたんに悲しみがあふれてきて、ほろほろと涙がこぼれてくる。
「……っ」
「ひ、姫」
(やだ……)
涙は止めようと思えば思うほどにあふれて、寄り添う臣下の気配がおろおろし始める。困らせてしまっている。でも。
(わたくしの思い出に、父と母がいない)
そう思うとフィロシュネーはどんどん寂しくて悲しい気持ちになって、胸がいっぱいになった。
想いがあふれて、子供みたいに声をあげて泣きじゃくってしまいそうになった。
(おとうさま……、おかあさま……っ)
自分の父と母は、死んでしまって、もういないのだ。
フィロシュネーが泣いて呼んでも、答える存在はない。
この世界のどこにも、いないのだ。
ずっとずっと前にいなくなっていて、その死の真相すら隠されていて……父などは、長い間オルーサに成りすまされていて、死を悲しんでもらうこともできずにいたのだ。
ずっとずっと過去の出来事で、どんなに変えたいと思っても覆らない現実がある。それが、心をぐしゃぐしゃにしてしまって、苦しい。
「――……っ」
ダーウッドはおろおろしながら優しくゆっくりとフィロシュネーの背中を撫でてくれた。
世の中を口先三寸で謀ってきたであろう詐欺師預言者が、たまに何か言いかけては、言葉を見つけられない様子で口をつぐんでしまう。そのちょっと情けなくて人間臭い気配は、フィロシュネーを不思議と安心させた。
――ここに、味方がいる。わたくしの、不思議な臣下がいる。
味方の温度感。身内の気配。
この自称・邪悪な詐欺師さんな臣下は、フィロシュネーを心配してくれるのだ。
父と母の死を申し訳なく思ってくれているのだ。
きらきら輝く星景色は少しずつ輝きを失い、徐々に穏やかな闇が部屋を包み込んでいく。
人々が健やかに眠る夜、フィロシュネーは悲しみを抱えながらも、安らぎをもたらす温もりと眠りに身を委ねた。
朝が訪れると、気分は爽やかに晴れていた。
眠たそうな臣下の頬にふにふにと触れながら朝日を浴びると、本物の小鳥たちの歌声が聞こえる。
「……元気におはようと言えるわ、わたくし」
そうつぶやきながら、フィロシュネーは新たな一日を迎えた。
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