5 / 384
1、贖罪のスピネル
5-1、私のこともパパ上と呼んでくださっていいのですよ
しおりを挟む
会場の扉が開かれて、父娘が一緒に中に進む。
昼食会場には、雪白の地に青い鳥が描かれた空国の国旗と、深青を基調として中央に白い星が描かれた青国の国旗が並んで飾られていた。
両国は歴史を辿ればひとつの国で、王族も同じ系譜に連なる子孫たちだ。
「青王陛下、ならびに王女殿下のおなりです」
会場には、ハルシオンがいた。
明るい陽射しの中でみるハルシオンは、全身から匂い立つような気品を放っていた。話し方は、伸びやかだ。
「いやぁ、昨夜は失礼いたしましたぁ~!」
喋り方は昨夜よりはしっかりしているが、ふわふわしていて軽薄な印象だ。
昨夜は気がまわらなかったが、王族らしい衣装に身を包んでいると空王アルブレヒトによく似ている。年齢も二人は同じ十九歳で、腹違いの兄弟なのだ。
空王アルブレヒトは、王兄ハルシオンの隣で神経質そうな顔をしている。
「兄がご迷惑をおかけしました。呪術の暴走という不幸な事故がありまして、兄は猫になっていたのですが……人間に戻れてよかったです」
アルブレヒトの説明は、以下の通りである。
まず、第一王子であったハルシオンは空王になる予定だったのだが、先代の空王が亡くなった呪術の暴走事故に巻き込まれて猫になった。
そのあと、アルブレヒトは空王として即位をした。
猫になった兄はお世話していたのだが、青国に連れてくる予定ではなかったのに、なぜか荷物に紛れていて、昨夜は猫用の檻からスルリと逃げてしまった。首輪をつけたことはないので、誰かが勝手につけたようだ。
「探していたところ、呪術が解けて人間に戻ったという知らせが届きましたので、たいそう驚きました。ご迷惑をおかけした点を謝罪するとともに、心からの感謝を申し上げます」
呪術というのは、魔法のことだ。
素養のある者が使える不思議な力で、何もない空間に火を起こすとか、水を出すとか、汚れた物を浄化する、といった生活に便利に活かすことができる。
この力については各国で研究が進められているが、青国では魔法と呼ばれ、空国では呪術と呼ばれているのだ。
(推理小説だと、アルブレヒト陛下がお兄様を呪って自分が王様になろうとした、という真相があったりしそうだわ。王位継承争いはありがちな紛争の種だものね)
フィロシュネーは「空国って、元々第一王位継承者だったハルシオン様が元に戻って、荒れたりしないのかしら? 大変そう」と思った。
さて、礼儀正しくもきな臭い空王アルブレヒトに対して、青王クラストスは面倒見のよい親戚のおじさん然とした笑顔を咲かせた。
「いやいや。我が姫がお力になれてよかった。先代空王とはよき友人であったのです。幼い頃にも何度かお会いしましたね。若き空王陛下も王兄殿下も、私のことは父だと思って今後も頼って欲しいものですよ。パパ上と呼んでくださってもいいっ」
フィロシュネーにはわかる。
青王クラストスは、『同じ国王でも私が格上だぞ、青二才ども!』とさりげなく上の立場を取ろうとしている。
それに対して、ハルシオンは飄々とした様子で言葉を返した。
「んっふふぅ? 青王陛下ったら~。父と子ほども年齢が離れている我々ですが、陛下も呼びたければ私のこともパパ上と呼んでくださっていいですよぉ」
四十七歳の王に十九歳の隣国王兄が言う言葉ではない。無礼だ。
フィロシュネーは耳を疑ったし、外交官たちも驚いていた。そのハルシオンを真っ先に窘めるのは、空王アルブレヒトだった。
「兄上、兄上。あなたの目の前におられる方は、実年齢でも在位期間でも格上に当たる青王陛下なのです。どうかお立場をご自覚ください。あなたは十九歳のハルシオン兄上なのですよ。控えてください……し、失礼いたしました、青国の方々は驚かれたかもしれませんが、兄は猫になっていたものですから」
慌てた様子の空王アルブレヒトを見て、フィロシュネーは「空王陛下は常識的」と思いつつ不思議に思った。あなたは十九歳のハルシオン兄上なのですよ、という言い方が、なんとなく不自然に思えたので。
ちょっとした違和感の中、青王と空国の王兄は楽しそうにしている。
「ははは! お互いに父というわけですな!」
「んっふふふ! 我々は仲良し国家ですからねぇ!」
あくまで表面的な『楽しそう』であり、内心はわからないが。
ハルシオンが美しい瞳を笑ませて、フィロシュネーに話しかけてくる。
「姫君、フィロシュネー殿下。シュネーさん。昨夜の失礼をお許しくださぁい」
ひと息に距離をずいずいと縮めてくる呼び方の変化は、馴れ馴れしい。けれどなぜだかいやらしい感じはしないのが、このハルシオンの不思議なところだ。
「あっ、はい……。ハルシオン殿下は、呪われて猫になっていたと説明を受けましたわ」
「アハ、あれはですね、アルブレヒトが空王と争って呪術を……ああ、いやいや。弟は悪くありません、私が悪いのです、ははっ!」
(お待ちになって。今とっても不穏なことを言いそうになっていましたわね!?)
フィロシュネーは背に汗をかいた。
「殿下、ただいまのお話を詳しく願えますか」
「殿下、今なんと……!?」
空国勢がざわついているが、空王は「兄の戯言を真に受けるな」と神経質な声で場を静めた。
(ああ、空国って怖い。すぐにでも内乱が起きそうじゃない)
フィロシュネーは内心ではらはらしつつ、表面上「わたくしは何も聞いていません」という笑顔を浮かべた。
繊細な国同士の関わり合いは、下手に独断で対応すると火傷では済まないのだ。父や外交官に任せておけばいい。
「そうそう。私の冗談ですよう。わかりませんでしたぁ? 皆さん真面目だなぁ、もう」
ハルシオンは嘘か本気かわからない温度感で肩をすくめて、フィロシュネーに箱を差し出した。
「感謝の気持ちとしてキュートなお菓子を贈ります。よろしいでしょうか? よろしくなくても贈ります、んふふ」
淡い青緑の厚紙に繊細な柄が描かれた箱にはチョコレート菓子が入っていた。チョコの表面には、カラーペンでお花やひよこの絵が描いてある。
「わぁっ、可愛い……」
フィロシュネーは目を輝かせた。
「んふ、お気に召していただけたようでよかったですぅ」
ハルシオンは綺麗に微笑み、青王クラストスに視線を移した。
「そういえば、私は偶然お話を聞いてしまったのですが、姫は婚約破棄をお望みです。ご存じでしたでしょうか?」
そういえばサイラスとの婚約破棄については、父に話し忘れていた。そう思い出すフィロシュネーの耳に、ハルシオンが昨夜の顛末を共有する声が聞こえる。
「あぁっ、心が痛みますぅ! 英雄さんに『愛さない』なんて言われちゃった姫の心の傷は謝罪などでは癒えません!」
「その話は初耳かなぁ」
青王クラストスはフィロシュネーを見て、「あまり気にしてなさそうだな、よしよし、しめしめ」と呟いた。
「んーん? 気にしてますわよお父様。とても気にして、冷遇・後悔系ヒーローの本を贈ったくらいです」
「届きました」
壁際に控えていたサイラスが頷いている。
(サイラス。許可されるまで発言するんじゃありませんっ)
フィロシュネーは心の中でツッコミをいれるが、青王クラストスは咎めない。
「おっ。シュネーに本をもらったのかぁ。よかったね英雄」
と笑いかけている。
(よくなぁい)
王女に贈り物を賜ったのに、全然光栄そうにしていない。感謝の言葉もない。ところで本の感想は?
「サイラス、本は読みました?」
「まだ1ページも読んでいません」
「お父様~、サイラスったら、わたくしに『現実と虚構の区別がついてない妄想好きなお姫様で、お胸とお尻に色気が足りなくて愛せない』って」
「俺はそこまで申していません」
「わたくしの繊細なハートは傷付きましたの。後悔してももう遅いのですわ」
「姫は、俺に後悔してほしいのですね」
王族を敬えと教えたのに、改善していない。妙に余裕があって冷静な気配が、フィロシュネーは気に入らない。
(……この男を慌てさせたり、困らせたりしてみたい!)
「ちょっと、ちょっと。喧嘩はだめだぞぉ。仲良くなるんだぞ、シュネー? とりあえず英雄は別室に連れていくように」
青王クラストスはそんな二人に慌てた様子で、いかんいかんと言ってサイラスを退室させた。
「俺はただ、王妃様に金を貰って仕事を受けただけです……ちょっと台本を読めと言われただけで……」
「あっ、自白してる」
しかも、その自白が、また棒読み。謎である。
そして、父である青王クラストスはどんなにサイラスが無礼でも、怒ったりはしないようだった。こっちもまた、謎である……。
昼食会場には、雪白の地に青い鳥が描かれた空国の国旗と、深青を基調として中央に白い星が描かれた青国の国旗が並んで飾られていた。
両国は歴史を辿ればひとつの国で、王族も同じ系譜に連なる子孫たちだ。
「青王陛下、ならびに王女殿下のおなりです」
会場には、ハルシオンがいた。
明るい陽射しの中でみるハルシオンは、全身から匂い立つような気品を放っていた。話し方は、伸びやかだ。
「いやぁ、昨夜は失礼いたしましたぁ~!」
喋り方は昨夜よりはしっかりしているが、ふわふわしていて軽薄な印象だ。
昨夜は気がまわらなかったが、王族らしい衣装に身を包んでいると空王アルブレヒトによく似ている。年齢も二人は同じ十九歳で、腹違いの兄弟なのだ。
空王アルブレヒトは、王兄ハルシオンの隣で神経質そうな顔をしている。
「兄がご迷惑をおかけしました。呪術の暴走という不幸な事故がありまして、兄は猫になっていたのですが……人間に戻れてよかったです」
アルブレヒトの説明は、以下の通りである。
まず、第一王子であったハルシオンは空王になる予定だったのだが、先代の空王が亡くなった呪術の暴走事故に巻き込まれて猫になった。
そのあと、アルブレヒトは空王として即位をした。
猫になった兄はお世話していたのだが、青国に連れてくる予定ではなかったのに、なぜか荷物に紛れていて、昨夜は猫用の檻からスルリと逃げてしまった。首輪をつけたことはないので、誰かが勝手につけたようだ。
「探していたところ、呪術が解けて人間に戻ったという知らせが届きましたので、たいそう驚きました。ご迷惑をおかけした点を謝罪するとともに、心からの感謝を申し上げます」
呪術というのは、魔法のことだ。
素養のある者が使える不思議な力で、何もない空間に火を起こすとか、水を出すとか、汚れた物を浄化する、といった生活に便利に活かすことができる。
この力については各国で研究が進められているが、青国では魔法と呼ばれ、空国では呪術と呼ばれているのだ。
(推理小説だと、アルブレヒト陛下がお兄様を呪って自分が王様になろうとした、という真相があったりしそうだわ。王位継承争いはありがちな紛争の種だものね)
フィロシュネーは「空国って、元々第一王位継承者だったハルシオン様が元に戻って、荒れたりしないのかしら? 大変そう」と思った。
さて、礼儀正しくもきな臭い空王アルブレヒトに対して、青王クラストスは面倒見のよい親戚のおじさん然とした笑顔を咲かせた。
「いやいや。我が姫がお力になれてよかった。先代空王とはよき友人であったのです。幼い頃にも何度かお会いしましたね。若き空王陛下も王兄殿下も、私のことは父だと思って今後も頼って欲しいものですよ。パパ上と呼んでくださってもいいっ」
フィロシュネーにはわかる。
青王クラストスは、『同じ国王でも私が格上だぞ、青二才ども!』とさりげなく上の立場を取ろうとしている。
それに対して、ハルシオンは飄々とした様子で言葉を返した。
「んっふふぅ? 青王陛下ったら~。父と子ほども年齢が離れている我々ですが、陛下も呼びたければ私のこともパパ上と呼んでくださっていいですよぉ」
四十七歳の王に十九歳の隣国王兄が言う言葉ではない。無礼だ。
フィロシュネーは耳を疑ったし、外交官たちも驚いていた。そのハルシオンを真っ先に窘めるのは、空王アルブレヒトだった。
「兄上、兄上。あなたの目の前におられる方は、実年齢でも在位期間でも格上に当たる青王陛下なのです。どうかお立場をご自覚ください。あなたは十九歳のハルシオン兄上なのですよ。控えてください……し、失礼いたしました、青国の方々は驚かれたかもしれませんが、兄は猫になっていたものですから」
慌てた様子の空王アルブレヒトを見て、フィロシュネーは「空王陛下は常識的」と思いつつ不思議に思った。あなたは十九歳のハルシオン兄上なのですよ、という言い方が、なんとなく不自然に思えたので。
ちょっとした違和感の中、青王と空国の王兄は楽しそうにしている。
「ははは! お互いに父というわけですな!」
「んっふふふ! 我々は仲良し国家ですからねぇ!」
あくまで表面的な『楽しそう』であり、内心はわからないが。
ハルシオンが美しい瞳を笑ませて、フィロシュネーに話しかけてくる。
「姫君、フィロシュネー殿下。シュネーさん。昨夜の失礼をお許しくださぁい」
ひと息に距離をずいずいと縮めてくる呼び方の変化は、馴れ馴れしい。けれどなぜだかいやらしい感じはしないのが、このハルシオンの不思議なところだ。
「あっ、はい……。ハルシオン殿下は、呪われて猫になっていたと説明を受けましたわ」
「アハ、あれはですね、アルブレヒトが空王と争って呪術を……ああ、いやいや。弟は悪くありません、私が悪いのです、ははっ!」
(お待ちになって。今とっても不穏なことを言いそうになっていましたわね!?)
フィロシュネーは背に汗をかいた。
「殿下、ただいまのお話を詳しく願えますか」
「殿下、今なんと……!?」
空国勢がざわついているが、空王は「兄の戯言を真に受けるな」と神経質な声で場を静めた。
(ああ、空国って怖い。すぐにでも内乱が起きそうじゃない)
フィロシュネーは内心ではらはらしつつ、表面上「わたくしは何も聞いていません」という笑顔を浮かべた。
繊細な国同士の関わり合いは、下手に独断で対応すると火傷では済まないのだ。父や外交官に任せておけばいい。
「そうそう。私の冗談ですよう。わかりませんでしたぁ? 皆さん真面目だなぁ、もう」
ハルシオンは嘘か本気かわからない温度感で肩をすくめて、フィロシュネーに箱を差し出した。
「感謝の気持ちとしてキュートなお菓子を贈ります。よろしいでしょうか? よろしくなくても贈ります、んふふ」
淡い青緑の厚紙に繊細な柄が描かれた箱にはチョコレート菓子が入っていた。チョコの表面には、カラーペンでお花やひよこの絵が描いてある。
「わぁっ、可愛い……」
フィロシュネーは目を輝かせた。
「んふ、お気に召していただけたようでよかったですぅ」
ハルシオンは綺麗に微笑み、青王クラストスに視線を移した。
「そういえば、私は偶然お話を聞いてしまったのですが、姫は婚約破棄をお望みです。ご存じでしたでしょうか?」
そういえばサイラスとの婚約破棄については、父に話し忘れていた。そう思い出すフィロシュネーの耳に、ハルシオンが昨夜の顛末を共有する声が聞こえる。
「あぁっ、心が痛みますぅ! 英雄さんに『愛さない』なんて言われちゃった姫の心の傷は謝罪などでは癒えません!」
「その話は初耳かなぁ」
青王クラストスはフィロシュネーを見て、「あまり気にしてなさそうだな、よしよし、しめしめ」と呟いた。
「んーん? 気にしてますわよお父様。とても気にして、冷遇・後悔系ヒーローの本を贈ったくらいです」
「届きました」
壁際に控えていたサイラスが頷いている。
(サイラス。許可されるまで発言するんじゃありませんっ)
フィロシュネーは心の中でツッコミをいれるが、青王クラストスは咎めない。
「おっ。シュネーに本をもらったのかぁ。よかったね英雄」
と笑いかけている。
(よくなぁい)
王女に贈り物を賜ったのに、全然光栄そうにしていない。感謝の言葉もない。ところで本の感想は?
「サイラス、本は読みました?」
「まだ1ページも読んでいません」
「お父様~、サイラスったら、わたくしに『現実と虚構の区別がついてない妄想好きなお姫様で、お胸とお尻に色気が足りなくて愛せない』って」
「俺はそこまで申していません」
「わたくしの繊細なハートは傷付きましたの。後悔してももう遅いのですわ」
「姫は、俺に後悔してほしいのですね」
王族を敬えと教えたのに、改善していない。妙に余裕があって冷静な気配が、フィロシュネーは気に入らない。
(……この男を慌てさせたり、困らせたりしてみたい!)
「ちょっと、ちょっと。喧嘩はだめだぞぉ。仲良くなるんだぞ、シュネー? とりあえず英雄は別室に連れていくように」
青王クラストスはそんな二人に慌てた様子で、いかんいかんと言ってサイラスを退室させた。
「俺はただ、王妃様に金を貰って仕事を受けただけです……ちょっと台本を読めと言われただけで……」
「あっ、自白してる」
しかも、その自白が、また棒読み。謎である。
そして、父である青王クラストスはどんなにサイラスが無礼でも、怒ったりはしないようだった。こっちもまた、謎である……。
0
お気に入りに追加
280
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる