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1、婚約者が俺のことをバカ王子と呼んだ
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『王国の若獅子』の異名をもつ第三王子、ライアンには悩みがあった。
「婚約者が俺のことをバカ王子と呼んだのだ」
王子に悩みを相談された騎士ノウキンと魔術師レデンツは顔を見合わせた。幼少期からライアンの学友だった二人は、信頼できる側近だ。
「殿下、それは惚気でございますかなッ!」
騎士ノウキンは、声が大きい。
「声量を下げてくれ、耳が痛い。というか、バカ王子と呼ばれた話が惚気? え、どこが……?」
「あれです、『もう、殿下ったら。バカぁっ……♡』……的なッ!」
「もっと声量をおさえてくれ。話を戻すが、リミリアは俺をカエルでもみるような眼でバカと言ったのだ。しかもその後、気絶した」
リミリアというのは、ライアンの婚約者だ。
公爵家の令嬢で、ひとことで言うと可愛い。
婚約は、最近したばかり。
まだあまり互いを知らないが、リミリアがライアンを見る眼には、王族への敬愛の念があった。
それが急に「獅子だと思っていた生き物がカエルだった」みたいな眼になったのだ。目に見えて好感度が下がったのだ。
「殿下はその後いかがなさいましたかなッ!」
「リミリアを医者に任せた。そしてお前たちを呼んで、今に至る」
「バカですね」
魔術師レデンツがスパッと言い放つ。
「なっ、なんだと」
「おや殿下。ご気分を害されたのですか? ですが、言われた言葉を気にするのはいいとして、リミリア嬢のご体調は心配なさってないのですか? うわ、最低」
「し、心配もしてる! 当然ではないか!?」
「本当に? 行動で示してほしいですね」
ライアンは顔を赤くして拳を握った。
「お、俺は今から見舞いにいく!」
「うおぉ、ついて参りますぞッ、護衛ですからなッ!」
騎士ノウキンはちょっと暑苦しかった。
「婚約者が俺のことをバカ王子と呼んだのだ」
王子に悩みを相談された騎士ノウキンと魔術師レデンツは顔を見合わせた。幼少期からライアンの学友だった二人は、信頼できる側近だ。
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騎士ノウキンは、声が大きい。
「声量を下げてくれ、耳が痛い。というか、バカ王子と呼ばれた話が惚気? え、どこが……?」
「あれです、『もう、殿下ったら。バカぁっ……♡』……的なッ!」
「もっと声量をおさえてくれ。話を戻すが、リミリアは俺をカエルでもみるような眼でバカと言ったのだ。しかもその後、気絶した」
リミリアというのは、ライアンの婚約者だ。
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まだあまり互いを知らないが、リミリアがライアンを見る眼には、王族への敬愛の念があった。
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「し、心配もしてる! 当然ではないか!?」
「本当に? 行動で示してほしいですね」
ライアンは顔を赤くして拳を握った。
「お、俺は今から見舞いにいく!」
「うおぉ、ついて参りますぞッ、護衛ですからなッ!」
騎士ノウキンはちょっと暑苦しかった。
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