20 / 63
1章
19、君の望みに興味がある
しおりを挟む
新米宮女たちは、配属先の知らせを受けて「おめでとう会」を内々に催した。
特別、豪勢な宴ではない。
いつもの宿舎で、蒸篭に並ぶ一口サイズの肉包を囲み、お話するだけだ。
肉包は白い皮がむちっとしていて、齧ると中に詰まっていた肉汁が、じゅわり。
あつあつで、美味しい!
「配属先が違っても、またお話しようねえ」
萌萌が黒茶を淹れてくれる。すっきりした味わいに癒されていると、雨春がはしゃいだ声で後宮の外の話を共有してくる。
「ねえねえ。傾城様の武勇伝をきいた? 大河を燃やして大軍を追い払ったんだって!」
「ごほっ」
紺紺がお茶を噴き出すと、小蘭が「わ、大丈夫?」と背中をさすってくれる。
「紺ちゃん、病み上がりだもんね。無理しないでね」
「大丈夫……」
「西領って優秀な術師を輩出しやすい土地柄なのかな? 先見の公子様も西領の方よね」
萌萌は不思議そうに言いながら零れたお茶を布巾で拭いてくれた。
みんなで食卓を囲んでいると、当たり前のような自然さで白猫がやってくる。
「猫さん、今日もいらっしゃい」
「猫さん、あたしたちねえ、もうすぐここの宿舎からいなくなっちゃうの。みんな別の宿舎に移動するのよ。いなくなってもびっくりしないでね」
白猫の正体が先見の公子だと知らない萌萌は袖から「猫さんが来たら上げようと思ってたの」と煮干しを出した。
「はい、どーぞ♪」
あなた、これが好きでしょ? とニコニコとしている萌萌に、紺紺はハラハラした。
萌萌お姉さん、その人、たった今お話してた先見の公子様だよ!
白猫は行儀よく前足を揃えて座り、半眼で煮干しを見ている。
「あら。猫さん、興味なさそう。お腹いっぱいかしら?」
萌萌は煮干しを指で摘まみ、「ほら。ほぉら」と白猫の目の前で揺らした。
白猫はツンと顎をあげてそれを無視して、紺紺に寄ってきた。そして、くいくいと紺紺の袖をかじって引っ張っている。
こっちに来なさい、って言われているみたい。
これは、お呼び出しだ。
「あん。振られたわ」
「紺ちゃん、猫さんに懐かれてるのいいなあ」
そんな宮女たちの声を背に、紺紺は外に出た。
「私、ちょっと出てくるね……!」
「紺紺? 門限、もうすぐよ」
「うん、わかってる。すぐ戻るよー!」
宿舎は門限を迎えると、出入りできなくなる。
外にいると朝まで中に入れなくなっちゃうのだ。
早めに戻ろう、と思いながら外に出ると、空気が花の香りを含んでいて、春めいた気分を高めてくれた。風が暖かい。
輝く星々を周囲に侍らせて、月が清らかに光っている。
穏やかな気持ちにさせてくれる、静かで綺麗な夜だ。
築年数を感じさせる柱の陰にいき、白猫は宦官姿の青年になった。
そして、しゃがみこんで手招きをする。なんだろう?
近づくと、もっと近くにと言われる。
人に見られたら誤解されそう……と思っていると、筆と高価な紙を渡される。
「紺紺さん。おうちに『最近はこんなことがありました』というお手紙を書きなさい。君、最近、近況報告をさぼっているよ」
「はいっ? 石苞にお手紙なら、毎日書いてますよ」
「君の後見人は石苞ではないよ。別邸にいた頃は日々の知らせを正規の後見人と交わしていただろう。忘れたのかい」
先見の公子に言われて「そういえば」と筆を執る。
紺紺の保護者は、白 霞幽だ。十中八九、彼は目の前の青年なのだが。
「お手紙を書く必要、あるかな?」
「紺紺さん? 石苞には手紙を書くのに、霞幽には不要だと? 本気でそう考えているのかい?」
「いえ、なんといいますか。すみません。書きます」
目の前にいるのだし、近況も把握しているだろうに。
でも、別人だと言い張るならそういうことにするべき?
首をかしげつつ、紺紺は手紙を書いた。
『霞幽様、お元気ですか。私は元気です。
小蘭のお母さんを保護してくださり、ありがとうございました。
最近は、克斯国の軍勢を追い返したり、宮女の試験を受けたりしています。皇帝陛下に羊を抱っこさせてあげたりもしました。陛下の睡眠不足が解消できるといいなと思いました』
じっと書き終わるのを待っていた先見の公子は、書き終えるや否や手紙を受け取り「少しお待ちなさい」と言って茂みに消えた。
「少しってどれくらいですか、先見の公子様? 門限がもうすぐですけど?」
誰かが探しにきたり通りかかったりしないかな?
人に見られたら、怪しまれたりすると思うけどな……?
焦れ焦れしながら待っていると、先見の公子は手紙を手に戻ってきた。紙が二枚ある。
「紺紺さん、霞幽からの返事だよ。今すぐに一枚目を読みなさい。二枚目は後日で構わない」
「今書いてくださったんですか?」
「私ではなく、霞幽が書いたものだよ。紺紺さん」
「あっ、はい。でも、どう考えても、ふぬっ」
先見の公子が手紙を広げて紺紺の顔に被せてくる。
細かいことを突っ込むな、と言いたいらしい。
「私は実は霞幽と友人なんだ。先見ができるので、君が手紙に何を書くかわかっていて、その情報を霞幽に伝えていたんだ。なので、霞幽は前もって返事を書いて私に託すことができたんだよ」
「……ひゃい」
門限も近い。
宿舎に入れなくなったらお外で寝る羽目になっちゃう。
紺紺は急いで手紙を読んだ。
文字は間違いなく霞幽の筆跡だった。
しかし、どう見ても急いで書きましたね?
普段のお手紙よりも整っていない文字で、誤字や脱字も目立ちます……。
『紺紺さんへ
試験お疲れ様。
それに、克斯国の軍勢を追い払ったのだと武勇伝を聞いています。
頑張って偉かったですね。素晴らしい功績です。
欲しいものがあればおっしゃい。
お祝いとご褒美に、なんでも贈ってあげましょう。
新しい配属先の話も聞いています。
妹の彰鈴については、二枚目に書いています。それは新しい配属先についてから読んでくださいね』
紺紺は手紙を三回読み返して、先見の公子を見た。
笑顔だ。爽やかで、でも目が笑ってない、いつもの顔だ。
「次のお手紙では、欲しいものをおねだりするといいね。新しい配属先でも頑張りなさい。それでは、おやすみ」
言うだけ言って、くるりと踵を返して去って行こうとする先見の公子。その袖を紺紺は掴んだ。
「欲しいもの、言っていいんですか?」
引き留められた青年の瞳がちょっと驚いた様子なのが、新鮮だ。
この青年はなんでもお見通しで動じないって雰囲気だけど、こうして意表を突くこともできるのだ――そう気づくと、なんだか楽しい気分になった。
紺紺は袖をくいくいと引いておねだりした。
「『頑張ったね』って、お手紙じゃなくて、直接言って欲しいです」
「なんだ、私の労いが欲しいのか。なぜ? 言葉なんて、一文も得をしないよ。労いはするが、霞幽には他にもっと実利のあるものもおねだりなさい」
不思議そうに呟きつつ、先見の公子は要望に応えてくれた。
「ハオリーハイ。頑張ったね」
青年らしさのある手が、ぽんと頭に置かれる。
血が通った人間である証左のように、その手は暖かかった。
青年の長い睫毛が落とす目元の陰は妖しくて、ほの暗い。
けれど、感情のない人形みたいな瞳も、今は優しく見える気がする。
この人は、霞幽だ。
自分の命の恩人で、後見人だ。味方だ。
小蘭のお母さんも、保護して治療を受けさせてくれている。
底が知れなくて怖いと思う時もあるし、何を考えているかわからないけど、優しい人に違いない。
きっとそうだ。
手紙を抱きしめ、紺紺はニコニコした。
「霞ふにゅっ……様って、いい人ですね。ずっと、直接お礼を言いたかったんです。私と石苞、それに紺兵隊のみんなを匿ってくださってありがとうございました。いつも感謝しています、霞ふにゅっ……様」
頭を撫でていた青年の両手が、名前を呼びかけるたびに、ふにゅっと頬をつねったり揉んだりする。
「私に呼びかけるときは、先見の公子と呼びなさい。いいね?」
顔を覗きこむようにして、美貌の公子が命令する。
これは従わないといけないことなんだ。
こだわりがあるんだなぁ。
「は、……はい。先見の公子様」
「よろしい。いい子だね。……いや、本当にいい子かな? 君、結構言いつけを守らないよね……狐のお面もつけていたし。……まあいいか」
揺り篭のように柔らかく微笑んで、先見の公子は猫に姿を変えた。
「もう刻限だ。時間を取らせてすまなかったね。ゆっくり休みなさい。それと……君の望みに興味がある。今後も何かあれば言うように」
猫の足音は忍びやかで、影はゆらゆらと不安定に揺れていた。
その後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、紺紺は門限ぎりぎりに宿舎に滑り込み、明るくワイワイとした集団部屋に戻ったのだった。
特別、豪勢な宴ではない。
いつもの宿舎で、蒸篭に並ぶ一口サイズの肉包を囲み、お話するだけだ。
肉包は白い皮がむちっとしていて、齧ると中に詰まっていた肉汁が、じゅわり。
あつあつで、美味しい!
「配属先が違っても、またお話しようねえ」
萌萌が黒茶を淹れてくれる。すっきりした味わいに癒されていると、雨春がはしゃいだ声で後宮の外の話を共有してくる。
「ねえねえ。傾城様の武勇伝をきいた? 大河を燃やして大軍を追い払ったんだって!」
「ごほっ」
紺紺がお茶を噴き出すと、小蘭が「わ、大丈夫?」と背中をさすってくれる。
「紺ちゃん、病み上がりだもんね。無理しないでね」
「大丈夫……」
「西領って優秀な術師を輩出しやすい土地柄なのかな? 先見の公子様も西領の方よね」
萌萌は不思議そうに言いながら零れたお茶を布巾で拭いてくれた。
みんなで食卓を囲んでいると、当たり前のような自然さで白猫がやってくる。
「猫さん、今日もいらっしゃい」
「猫さん、あたしたちねえ、もうすぐここの宿舎からいなくなっちゃうの。みんな別の宿舎に移動するのよ。いなくなってもびっくりしないでね」
白猫の正体が先見の公子だと知らない萌萌は袖から「猫さんが来たら上げようと思ってたの」と煮干しを出した。
「はい、どーぞ♪」
あなた、これが好きでしょ? とニコニコとしている萌萌に、紺紺はハラハラした。
萌萌お姉さん、その人、たった今お話してた先見の公子様だよ!
白猫は行儀よく前足を揃えて座り、半眼で煮干しを見ている。
「あら。猫さん、興味なさそう。お腹いっぱいかしら?」
萌萌は煮干しを指で摘まみ、「ほら。ほぉら」と白猫の目の前で揺らした。
白猫はツンと顎をあげてそれを無視して、紺紺に寄ってきた。そして、くいくいと紺紺の袖をかじって引っ張っている。
こっちに来なさい、って言われているみたい。
これは、お呼び出しだ。
「あん。振られたわ」
「紺ちゃん、猫さんに懐かれてるのいいなあ」
そんな宮女たちの声を背に、紺紺は外に出た。
「私、ちょっと出てくるね……!」
「紺紺? 門限、もうすぐよ」
「うん、わかってる。すぐ戻るよー!」
宿舎は門限を迎えると、出入りできなくなる。
外にいると朝まで中に入れなくなっちゃうのだ。
早めに戻ろう、と思いながら外に出ると、空気が花の香りを含んでいて、春めいた気分を高めてくれた。風が暖かい。
輝く星々を周囲に侍らせて、月が清らかに光っている。
穏やかな気持ちにさせてくれる、静かで綺麗な夜だ。
築年数を感じさせる柱の陰にいき、白猫は宦官姿の青年になった。
そして、しゃがみこんで手招きをする。なんだろう?
近づくと、もっと近くにと言われる。
人に見られたら誤解されそう……と思っていると、筆と高価な紙を渡される。
「紺紺さん。おうちに『最近はこんなことがありました』というお手紙を書きなさい。君、最近、近況報告をさぼっているよ」
「はいっ? 石苞にお手紙なら、毎日書いてますよ」
「君の後見人は石苞ではないよ。別邸にいた頃は日々の知らせを正規の後見人と交わしていただろう。忘れたのかい」
先見の公子に言われて「そういえば」と筆を執る。
紺紺の保護者は、白 霞幽だ。十中八九、彼は目の前の青年なのだが。
「お手紙を書く必要、あるかな?」
「紺紺さん? 石苞には手紙を書くのに、霞幽には不要だと? 本気でそう考えているのかい?」
「いえ、なんといいますか。すみません。書きます」
目の前にいるのだし、近況も把握しているだろうに。
でも、別人だと言い張るならそういうことにするべき?
首をかしげつつ、紺紺は手紙を書いた。
『霞幽様、お元気ですか。私は元気です。
小蘭のお母さんを保護してくださり、ありがとうございました。
最近は、克斯国の軍勢を追い返したり、宮女の試験を受けたりしています。皇帝陛下に羊を抱っこさせてあげたりもしました。陛下の睡眠不足が解消できるといいなと思いました』
じっと書き終わるのを待っていた先見の公子は、書き終えるや否や手紙を受け取り「少しお待ちなさい」と言って茂みに消えた。
「少しってどれくらいですか、先見の公子様? 門限がもうすぐですけど?」
誰かが探しにきたり通りかかったりしないかな?
人に見られたら、怪しまれたりすると思うけどな……?
焦れ焦れしながら待っていると、先見の公子は手紙を手に戻ってきた。紙が二枚ある。
「紺紺さん、霞幽からの返事だよ。今すぐに一枚目を読みなさい。二枚目は後日で構わない」
「今書いてくださったんですか?」
「私ではなく、霞幽が書いたものだよ。紺紺さん」
「あっ、はい。でも、どう考えても、ふぬっ」
先見の公子が手紙を広げて紺紺の顔に被せてくる。
細かいことを突っ込むな、と言いたいらしい。
「私は実は霞幽と友人なんだ。先見ができるので、君が手紙に何を書くかわかっていて、その情報を霞幽に伝えていたんだ。なので、霞幽は前もって返事を書いて私に託すことができたんだよ」
「……ひゃい」
門限も近い。
宿舎に入れなくなったらお外で寝る羽目になっちゃう。
紺紺は急いで手紙を読んだ。
文字は間違いなく霞幽の筆跡だった。
しかし、どう見ても急いで書きましたね?
普段のお手紙よりも整っていない文字で、誤字や脱字も目立ちます……。
『紺紺さんへ
試験お疲れ様。
それに、克斯国の軍勢を追い払ったのだと武勇伝を聞いています。
頑張って偉かったですね。素晴らしい功績です。
欲しいものがあればおっしゃい。
お祝いとご褒美に、なんでも贈ってあげましょう。
新しい配属先の話も聞いています。
妹の彰鈴については、二枚目に書いています。それは新しい配属先についてから読んでくださいね』
紺紺は手紙を三回読み返して、先見の公子を見た。
笑顔だ。爽やかで、でも目が笑ってない、いつもの顔だ。
「次のお手紙では、欲しいものをおねだりするといいね。新しい配属先でも頑張りなさい。それでは、おやすみ」
言うだけ言って、くるりと踵を返して去って行こうとする先見の公子。その袖を紺紺は掴んだ。
「欲しいもの、言っていいんですか?」
引き留められた青年の瞳がちょっと驚いた様子なのが、新鮮だ。
この青年はなんでもお見通しで動じないって雰囲気だけど、こうして意表を突くこともできるのだ――そう気づくと、なんだか楽しい気分になった。
紺紺は袖をくいくいと引いておねだりした。
「『頑張ったね』って、お手紙じゃなくて、直接言って欲しいです」
「なんだ、私の労いが欲しいのか。なぜ? 言葉なんて、一文も得をしないよ。労いはするが、霞幽には他にもっと実利のあるものもおねだりなさい」
不思議そうに呟きつつ、先見の公子は要望に応えてくれた。
「ハオリーハイ。頑張ったね」
青年らしさのある手が、ぽんと頭に置かれる。
血が通った人間である証左のように、その手は暖かかった。
青年の長い睫毛が落とす目元の陰は妖しくて、ほの暗い。
けれど、感情のない人形みたいな瞳も、今は優しく見える気がする。
この人は、霞幽だ。
自分の命の恩人で、後見人だ。味方だ。
小蘭のお母さんも、保護して治療を受けさせてくれている。
底が知れなくて怖いと思う時もあるし、何を考えているかわからないけど、優しい人に違いない。
きっとそうだ。
手紙を抱きしめ、紺紺はニコニコした。
「霞ふにゅっ……様って、いい人ですね。ずっと、直接お礼を言いたかったんです。私と石苞、それに紺兵隊のみんなを匿ってくださってありがとうございました。いつも感謝しています、霞ふにゅっ……様」
頭を撫でていた青年の両手が、名前を呼びかけるたびに、ふにゅっと頬をつねったり揉んだりする。
「私に呼びかけるときは、先見の公子と呼びなさい。いいね?」
顔を覗きこむようにして、美貌の公子が命令する。
これは従わないといけないことなんだ。
こだわりがあるんだなぁ。
「は、……はい。先見の公子様」
「よろしい。いい子だね。……いや、本当にいい子かな? 君、結構言いつけを守らないよね……狐のお面もつけていたし。……まあいいか」
揺り篭のように柔らかく微笑んで、先見の公子は猫に姿を変えた。
「もう刻限だ。時間を取らせてすまなかったね。ゆっくり休みなさい。それと……君の望みに興味がある。今後も何かあれば言うように」
猫の足音は忍びやかで、影はゆらゆらと不安定に揺れていた。
その後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、紺紺は門限ぎりぎりに宿舎に滑り込み、明るくワイワイとした集団部屋に戻ったのだった。
7
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる