異世界生活物語

122ちょっと想定外

「これでかぁちゃんも呼んでやれるわ」
「俺もかみさん呼ぶぞ。あんまり家を空けてると何言われるか解からんからな」

　え？こいつらなに言ってんの？かぁちゃんを呼ぶ？お袋さん・・・ではないよな上さんって言ってるし、まさかみんな所帯持ちか？それでこの江戸時代にあったような長屋程度しかないような部屋に家族を呼ぶつもりか？
　土間部分が無いだけこちらの方が広いので６畳一間と言える造りだが、家族世帯向けの物件を想定して作った訳ではないので仕切り壁の薄さに関しては長屋とタメを張れるほど、寝に帰るのであれば問題ないでしょと言うつもりで作ったのだから重要ポイントなどではなかったのが、こんなところで裏目に出た格好か？
　だって取り払って再利用の方が重要だったんだもん。

「みんなここに家族を呼ぶつもりなのか？」
「ああそのつもりだ。ちっとばかり狭くはなるが今住んでいる処とてそれほど広い訳ではないからな。ここにいるヤヤツラは皆同じ宿舎住まいだ。そもそも狭い部屋には慣れとるし気にするな」
「イヤでもさ、こっちは一人部屋のつもりで作ってたんだ」
「な～に、かあちゃんにも手伝って貰えば次の家はもっと早く建つだろ？軟化は人が多い方が可能性が増えるみたいだし軟化した木なんざ包丁でも十分切れる。まぁそうすれば広い一戸建てに住めるってもんだ。少しばかり我慢すれば良いだけならウチのかあちゃんも文句は言わね～よ」
「奥さんに家作りをですか？」
「はははっ、ウチは流石に小言を言われそうだな。それでもお前んところの軟膏造りの方ならウチのかぁちゃんにたのめる」
「おまえんところのバカタレはダメでもかあちゃんはやれるだろ？」
「奥さん以外に？」

　あぁ～子供も居るよね。ウチのパパより年上だし。
　夫婦でならまだ許容範囲かもしれないが、明らかに子供までとなればスペース的にアウトであろう。先にも言った江戸時代の長屋に住む夫婦には何人もの子供が居た訳だが、俺の感覚だけではなくこの世界と言うか街的にも、このような狭いところに大人数で暮らす習慣は無い様に思える。

　ゆっくり次ぎの家を造ろうなんって余裕は無い訳ですね。これは時間勝負の建築になりそうだ。