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111弟は姉に対して
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しかしまげわっぱは領軍の方やら戦士団には馴染みが無かったのか、俺が想定していた以上の食いつきがあった。多分戦闘職かどうかに係わらずに、軍隊備品としての軟膏は薬枡という側面が強かったからなのだろう。
「これは軟化が使えないヤツにはとてもじゃないが真似できるもんではないな」
「ココまで薄く板を削りだすのは斧じゃ無理だもんな」
「それが軟化が使えりゃ剣よりも薄い。軟化さえ使えれば板面を整えるのに、もう子鉈でコツコツ削るなんってしなくても良くなるんだぜ」
流石に「俺は弟子になる」宣言から日にちが無かったせいで、親方衆も梃子の皆にまでは軟化を教えては居なかったので、教える手間無しの楽して即戦力とはならなかった訳だが、飯場さえ出来てしまえば本チャンの住宅はじっくり腰を据えて造るつもりでいるので練習には事欠かないだろう。
「みなさんにも練習はして貰うようにしますので頑張って下さい。それで今日のこれは僕が軟化を掛けますから、それを削りだして板に変えていって下さい。見本はそこにあるような感じですね一人20個全部で100個作ってもらいます。細かなところは、ねぇちゃん。ちょっと良い?」
この作業に一番慣れているのは姉なので講師先生はお任せする。忙しいから押し付けようとしている訳ではないよ。
「皆さんおはようございます」
「僕の姉です。ウチで一番まげわっぱを作っているので姉が作る物をまねて聞いて作って下さい。って事で後お願い」
「もぉ。香草茶混ぜるのやってよね」
「りょ、了解」
「昨日の内に結構売れちゃったから今日は多目にして置いて」
あれ?もしかしたら自分で教えた方が仕事が少なかったか?イヤイヤそんな事は無い。面倒で押し付けた訳ではない。姉の方が教えるのに向いているから頼んだのだ。梃子衆の技量アップのためなら、このくらいの仕事はどうと言う事は無い。
「それから西区の人が今日の分多目にして欲しいって」
「やっときます」
「坊の旦那にも勝てないもんがあるんだな」
当たり前だろ。弟が姉に勝てる訳が無いだろ!。だって姉だぞ!。お姉ちゃん対弟には最強説だぞ!
どっかの誰かも言っていたけど、弟は対姉には最弱の生き物らしい。
さあ今日も姉を崇めて仕事をしよう。
後で弟の顔でも見に行って癒されたいな~
「なに考えてるか分かんないけど、余計な事考えてないで早くしないと終わらないわよ!」
「は、はい。今行きま~す」
姉の作業スペースは香草茶の原料である香草が乱雑に置かれていた。ウェイン義兄という存在が居なければ、弟としては「嫁の貰い手がなくなるぞ」と言ってやりたくなる程度の乱れっぷり。その程度なら良いのか?
本人はこれでいてしっかりしているのだから、もう少し他者が入っても作業効率に影響を出さない程度に片付けて措いてくれたら助かるのにと、弟の立場からは少しばかり小言を言いたくなる。
「選別用の木箱だって言ってくれたら、いくらでも作るんだけど」
散らかっているとまでは言いがたいが片付いているとはけして言えない。それが姉の作業スペースの現状であるので、親もウェインもいまひとつ説教が出来ないでいる。
そんな机の上にある香草をざっくり整理すると香草茶の調合を始める。そんなネーミングでは無いが「ばーちゃん印」みたいな受け止められ方をして、・・・が認めた味であればと今や軟膏と供にウチの人気商品となっており、ウチの収益に大いに貢献してくれている一品でもある。
「待合の振る舞いに出してただけだった茶が、よくこれだけの商品に化けたもんだ
売っている商品に関連性が無い事が頭を掻くに至る訳だけど、お蔭で彼らに支払う当面の給金を心配し無くても良いのだから、何事も手を広げることが悪いことでは無いと、これからも好き放題やりそうな未来の自分にため息がでそうではある。
「なんだエド、リースに押しつけられたのか?」
「代わりにまげわっぱの作り方の方を押しつけたからお互い様だけどね」
「これは軟化が使えないヤツにはとてもじゃないが真似できるもんではないな」
「ココまで薄く板を削りだすのは斧じゃ無理だもんな」
「それが軟化が使えりゃ剣よりも薄い。軟化さえ使えれば板面を整えるのに、もう子鉈でコツコツ削るなんってしなくても良くなるんだぜ」
流石に「俺は弟子になる」宣言から日にちが無かったせいで、親方衆も梃子の皆にまでは軟化を教えては居なかったので、教える手間無しの楽して即戦力とはならなかった訳だが、飯場さえ出来てしまえば本チャンの住宅はじっくり腰を据えて造るつもりでいるので練習には事欠かないだろう。
「みなさんにも練習はして貰うようにしますので頑張って下さい。それで今日のこれは僕が軟化を掛けますから、それを削りだして板に変えていって下さい。見本はそこにあるような感じですね一人20個全部で100個作ってもらいます。細かなところは、ねぇちゃん。ちょっと良い?」
この作業に一番慣れているのは姉なので講師先生はお任せする。忙しいから押し付けようとしている訳ではないよ。
「皆さんおはようございます」
「僕の姉です。ウチで一番まげわっぱを作っているので姉が作る物をまねて聞いて作って下さい。って事で後お願い」
「もぉ。香草茶混ぜるのやってよね」
「りょ、了解」
「昨日の内に結構売れちゃったから今日は多目にして置いて」
あれ?もしかしたら自分で教えた方が仕事が少なかったか?イヤイヤそんな事は無い。面倒で押し付けた訳ではない。姉の方が教えるのに向いているから頼んだのだ。梃子衆の技量アップのためなら、このくらいの仕事はどうと言う事は無い。
「それから西区の人が今日の分多目にして欲しいって」
「やっときます」
「坊の旦那にも勝てないもんがあるんだな」
当たり前だろ。弟が姉に勝てる訳が無いだろ!。だって姉だぞ!。お姉ちゃん対弟には最強説だぞ!
どっかの誰かも言っていたけど、弟は対姉には最弱の生き物らしい。
さあ今日も姉を崇めて仕事をしよう。
後で弟の顔でも見に行って癒されたいな~
「なに考えてるか分かんないけど、余計な事考えてないで早くしないと終わらないわよ!」
「は、はい。今行きま~す」
姉の作業スペースは香草茶の原料である香草が乱雑に置かれていた。ウェイン義兄という存在が居なければ、弟としては「嫁の貰い手がなくなるぞ」と言ってやりたくなる程度の乱れっぷり。その程度なら良いのか?
本人はこれでいてしっかりしているのだから、もう少し他者が入っても作業効率に影響を出さない程度に片付けて措いてくれたら助かるのにと、弟の立場からは少しばかり小言を言いたくなる。
「選別用の木箱だって言ってくれたら、いくらでも作るんだけど」
散らかっているとまでは言いがたいが片付いているとはけして言えない。それが姉の作業スペースの現状であるので、親もウェインもいまひとつ説教が出来ないでいる。
そんな机の上にある香草をざっくり整理すると香草茶の調合を始める。そんなネーミングでは無いが「ばーちゃん印」みたいな受け止められ方をして、・・・が認めた味であればと今や軟膏と供にウチの人気商品となっており、ウチの収益に大いに貢献してくれている一品でもある。
「待合の振る舞いに出してただけだった茶が、よくこれだけの商品に化けたもんだ
売っている商品に関連性が無い事が頭を掻くに至る訳だけど、お蔭で彼らに支払う当面の給金を心配し無くても良いのだから、何事も手を広げることが悪いことでは無いと、これからも好き放題やりそうな未来の自分にため息がでそうではある。
「なんだエド、リースに押しつけられたのか?」
「代わりにまげわっぱの作り方の方を押しつけたからお互い様だけどね」
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