81 / 121
81帰宅
しおりを挟む
モーガンも俺の傘下に収めたところで、今回の五人を紹介しておこう。
・モーガン
駆け出しの軽戦士風冒険者と言った見た目で思慮が浅い所があるが、故郷は俺が救うのだと言う目的が「人生最短ルートで」を選び失敗と空回っている男 オラッフェン村出身
・ヘンリー
モーガンの隣村出身。分厚い皮鎧を身に付けた重戦士風の見た目。集団の中では強気に、一人では弱気にと一番話が早かった男。牢で泣いていた一人。実家は農家 サルタント村出身
・バイオン
モーガンの隣村出身。RPGのお城に居る兵士を短槍と皮装備に変更した見た目の男。ヘンリーとは幼馴染で小さい時からつるんでいたらしい。実家は農家 ジョルファン村出身
・メイリーン
大規模領主が治めるオーガンスタイン出身。親も戦士をしていたので自分もと戦士になった女。一家で同じ戦士団に居たのでは全員討ち死にするかもと、母親に他の戦士団にと言われた時にモーガンの戦士隊が来た事で入隊した。
・ドリュー
唯一クラリオン出身。実家はクラリオン西南に在るらしい。隊の斥候役をしていた女で牢で泣いていたもう一人。父親は領軍勤務との事だが、階級的には下のため今回の処分には口が出せなかったとの事。
頼りない五人だが戦闘メインの仕事ではないので大丈夫だろう。彼らはうちの近所に家を建てそこで集団生活をして貰う事になる。場所的にはウチから5分程度の荒地だ。
この町に大工などと言う職種は無い。畑と同じで家も自作する事が基本になる。そう考えると祖父は大変だったのではと思うが、祖父の時は同僚が押し掛けて来て建ててくれたとの事で、彼らは自力で立てる事になるだろう。
俺の仕事としては地区のみんなにまた伐採を頼む事だろうか、奥様ネットワークでの依頼なら旦那達は喜んで引き受けてくれるだろう。
「ではエドワード君、こいつらをお任せするわね」
「ファリアさん、お世話になりました」
正直門の向こうにある帝国の女騎士ヨロシク、引っ掻き回してくれた気もしなくも無いがツッコま無いであげよう。俺って優しい~
「短い間だったが、面白い話を聞けた。ありがとう」
「こちらこそお世話になりました」
牢番さんと監視さんとは同じ挨拶を交わし詰め所を出る。お茶が飲みたい時間だが用意してくれる人もいない・・・父に断わりを入れて帰るとしよう。
しばらくはウチに居候と言う形をとるしかない、5人組の寝床も用意しなければならないのでやる事は多いのだ。
家に帰るので父を探したが、すでに巡回に出ていて会う事は出来なかったが、隊長さんにも挨拶をしなければならないので、門の方に顔を出してお礼と帰宅の事を伝えた。隊長さんの方で父にも伝えて置いてくれるとの事なので、重ねて礼を言い帰宅する事にした。
「それにしても、荷物少な過ぎじゃないか?」
「そもそもこの町に来たのも去年の雨季で、そのまま宿舎暮らしになったんだから、荷物はこんな物だろ」
モーガン達には荷物を取りにやらせたが、戻った時には「その小さなダンボールだけか!?」と言いたくなるほど荷物が少なかった。聞けば暖寒の代え服と食器に防具のリペア素材に使う革が少し、それくらいしか自分の物は無いとの事、金は出来高で払われているのでギリギリしか持ち合わせもない。良くそれで生活していた者だ。
モーガンたちを引き連れての帰り道。来る時はコイツらの事で目に入らなかったが、周囲に目をやると木造で無い家が建っている事に気が付いた。
「南と東は木の家ばかりだけど、北門近くは石壁の家が多いな」
「エドさんは北に来たのは初めてですか?」
「エドで良いよ。仕事は指示するけど、さん付けで呼ばれるのは気持ちが悪いから、そう呼んで」
「分かりました」
ドリューにはまだ脅しが効いているのか「さん」付けで呼ばれたが、どうにも尻がムズムズする感覚と言うか落ち着かないので、そこは改めるように言っておいた。こういうのが平気にならないと貴族様にはなれないんだろうな。
「さっきの話だけど、北に来るのは初めてだな。うちの父さんも仕事の話は家ではあんまりしないし、北は魔物が強いって事くらいしか聞いた事が無い」
「この壁石は西の山から運んできて使ってるんです。北は魔物が強いのもあるんですけど、『火吹きが』出るので家を燃やされないように、家を石で固めているんです」
ほう~流石はクラリオン出身だけの事はある。街の成り立ちなども知っていそうなので、詳しいことを知らない俺の良い知恵袋として役に立ってくれそうだ。
それにしても西に石が取れる山があるとは知らなかった。壁だけとは言え石材で覆うには、相当な苦労があったであろう。
「火吹き?」
「このくらいのヌメヌメした気持ちの悪い魔物です。足は遅いんですけど、夜に這い出てきて乾いた木を食べます。それも焦げた物が好きな様で、腹の中にある袋に溜まった油のように燃える汁を、火口と呼ばれる口の下に付いている火吹き専用の口で、火をつけて吹き出して食べる木を炙るんです」
説明にあった魔物を想像するに、サイズは50センチくらいの火を噴くナメクジ?そんな物がいたのでは木の家でゆっくり寝る事などできないだろう、石造りになるのも頷ける。
・モーガン
駆け出しの軽戦士風冒険者と言った見た目で思慮が浅い所があるが、故郷は俺が救うのだと言う目的が「人生最短ルートで」を選び失敗と空回っている男 オラッフェン村出身
・ヘンリー
モーガンの隣村出身。分厚い皮鎧を身に付けた重戦士風の見た目。集団の中では強気に、一人では弱気にと一番話が早かった男。牢で泣いていた一人。実家は農家 サルタント村出身
・バイオン
モーガンの隣村出身。RPGのお城に居る兵士を短槍と皮装備に変更した見た目の男。ヘンリーとは幼馴染で小さい時からつるんでいたらしい。実家は農家 ジョルファン村出身
・メイリーン
大規模領主が治めるオーガンスタイン出身。親も戦士をしていたので自分もと戦士になった女。一家で同じ戦士団に居たのでは全員討ち死にするかもと、母親に他の戦士団にと言われた時にモーガンの戦士隊が来た事で入隊した。
・ドリュー
唯一クラリオン出身。実家はクラリオン西南に在るらしい。隊の斥候役をしていた女で牢で泣いていたもう一人。父親は領軍勤務との事だが、階級的には下のため今回の処分には口が出せなかったとの事。
頼りない五人だが戦闘メインの仕事ではないので大丈夫だろう。彼らはうちの近所に家を建てそこで集団生活をして貰う事になる。場所的にはウチから5分程度の荒地だ。
この町に大工などと言う職種は無い。畑と同じで家も自作する事が基本になる。そう考えると祖父は大変だったのではと思うが、祖父の時は同僚が押し掛けて来て建ててくれたとの事で、彼らは自力で立てる事になるだろう。
俺の仕事としては地区のみんなにまた伐採を頼む事だろうか、奥様ネットワークでの依頼なら旦那達は喜んで引き受けてくれるだろう。
「ではエドワード君、こいつらをお任せするわね」
「ファリアさん、お世話になりました」
正直門の向こうにある帝国の女騎士ヨロシク、引っ掻き回してくれた気もしなくも無いがツッコま無いであげよう。俺って優しい~
「短い間だったが、面白い話を聞けた。ありがとう」
「こちらこそお世話になりました」
牢番さんと監視さんとは同じ挨拶を交わし詰め所を出る。お茶が飲みたい時間だが用意してくれる人もいない・・・父に断わりを入れて帰るとしよう。
しばらくはウチに居候と言う形をとるしかない、5人組の寝床も用意しなければならないのでやる事は多いのだ。
家に帰るので父を探したが、すでに巡回に出ていて会う事は出来なかったが、隊長さんにも挨拶をしなければならないので、門の方に顔を出してお礼と帰宅の事を伝えた。隊長さんの方で父にも伝えて置いてくれるとの事なので、重ねて礼を言い帰宅する事にした。
「それにしても、荷物少な過ぎじゃないか?」
「そもそもこの町に来たのも去年の雨季で、そのまま宿舎暮らしになったんだから、荷物はこんな物だろ」
モーガン達には荷物を取りにやらせたが、戻った時には「その小さなダンボールだけか!?」と言いたくなるほど荷物が少なかった。聞けば暖寒の代え服と食器に防具のリペア素材に使う革が少し、それくらいしか自分の物は無いとの事、金は出来高で払われているのでギリギリしか持ち合わせもない。良くそれで生活していた者だ。
モーガンたちを引き連れての帰り道。来る時はコイツらの事で目に入らなかったが、周囲に目をやると木造で無い家が建っている事に気が付いた。
「南と東は木の家ばかりだけど、北門近くは石壁の家が多いな」
「エドさんは北に来たのは初めてですか?」
「エドで良いよ。仕事は指示するけど、さん付けで呼ばれるのは気持ちが悪いから、そう呼んで」
「分かりました」
ドリューにはまだ脅しが効いているのか「さん」付けで呼ばれたが、どうにも尻がムズムズする感覚と言うか落ち着かないので、そこは改めるように言っておいた。こういうのが平気にならないと貴族様にはなれないんだろうな。
「さっきの話だけど、北に来るのは初めてだな。うちの父さんも仕事の話は家ではあんまりしないし、北は魔物が強いって事くらいしか聞いた事が無い」
「この壁石は西の山から運んできて使ってるんです。北は魔物が強いのもあるんですけど、『火吹きが』出るので家を燃やされないように、家を石で固めているんです」
ほう~流石はクラリオン出身だけの事はある。街の成り立ちなども知っていそうなので、詳しいことを知らない俺の良い知恵袋として役に立ってくれそうだ。
それにしても西に石が取れる山があるとは知らなかった。壁だけとは言え石材で覆うには、相当な苦労があったであろう。
「火吹き?」
「このくらいのヌメヌメした気持ちの悪い魔物です。足は遅いんですけど、夜に這い出てきて乾いた木を食べます。それも焦げた物が好きな様で、腹の中にある袋に溜まった油のように燃える汁を、火口と呼ばれる口の下に付いている火吹き専用の口で、火をつけて吹き出して食べる木を炙るんです」
説明にあった魔物を想像するに、サイズは50センチくらいの火を噴くナメクジ?そんな物がいたのでは木の家でゆっくり寝る事などできないだろう、石造りになるのも頷ける。
12
お気に入りに追加
1,418
あなたにおすすめの小説
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
辺境伯令嬢に転生しました。
織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。
アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。
書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。
越路遼介
ファンタジー
篠永俊樹、五十四歳は三十年以上務めた消防士を早期退職し、日本一周の旅に出た。失敗の人生を振り返っていた彼は東尋坊で不思議な老爺と出会い、歳の離れた友人となる。老爺はその後に他界するも、俊樹に手紙を残してあった。老爺は言った。『儂はセイラシアという世界で魔王で、勇者に討たれたあと魔王の記憶を持ったまま日本に転生した』と。信じがたい思いを秘めつつ俊樹は手紙にあった通り、老爺の自宅物置の扉に合言葉と同時に開けると、そこには見たこともない大草原が広がっていた。
出勤したら解雇と言われました -宝石工房から独立します-
はまち
恋愛
出勤したら代替わりをした親方に解雇と言われた宝石加工職人のミカエラは独り立ちを選んだ。
次こそ自分のペースで好きなことをしてお金を稼ぐ。
労働には正当な報酬を休暇を!!!低賃金では二度と働かない!!!
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる