異世界生活物語

花屋の息子

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81帰宅

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 モーガンも俺の傘下に収めたところで、今回の五人を紹介しておこう。

・モーガン
 駆け出しの軽戦士風冒険者と言った見た目で思慮が浅い所があるが、故郷は俺が救うのだと言う目的が「人生最短ルートで」を選び失敗と空回っている男  オラッフェン村出身

・ヘンリー
 モーガンの隣村出身。分厚い皮鎧を身に付けた重戦士風の見た目。集団の中では強気に、一人では弱気にと一番話が早かった男。牢で泣いていた一人。実家は農家  サルタント村出身

・バイオン
 モーガンの隣村出身。RPGのお城に居る兵士を短槍と皮装備に変更した見た目の男。ヘンリーとは幼馴染で小さい時からつるんでいたらしい。実家は農家   ジョルファン村出身

・メイリーン
 大規模領主が治めるオーガンスタイン出身。親も戦士をしていたので自分もと戦士になった女。一家で同じ戦士団に居たのでは全員討ち死にするかもと、母親に他の戦士団にと言われた時にモーガンの戦士隊が来た事で入隊した。

・ドリュー
 唯一クラリオン出身。実家はクラリオン西南に在るらしい。隊の斥候役をしていた女で牢で泣いていたもう一人。父親は領軍勤務との事だが、階級的には下のため今回の処分には口が出せなかったとの事。

 頼りない五人だが戦闘メインの仕事ではないので大丈夫だろう。彼らはうちの近所に家を建てそこで集団生活をして貰う事になる。場所的にはウチから5分程度の荒地だ。
 この町に大工などと言う職種は無い。畑と同じで家も自作する事が基本になる。そう考えると祖父は大変だったのではと思うが、祖父の時は同僚が押し掛けて来て建ててくれたとの事で、彼らは自力で立てる事になるだろう。
 俺の仕事としては地区のみんなにまた伐採を頼む事だろうか、奥様ネットワークでの依頼なら旦那達は喜んで引き受けてくれるだろう。

「ではエドワード君、こいつらをお任せするわね」
「ファリアさん、お世話になりました」

 正直門の向こうにある帝国の女騎士ヨロシク、引っ掻き回してくれた気もしなくも無いがツッコま無いであげよう。俺って優しい~

「短い間だったが、面白い話を聞けた。ありがとう」
「こちらこそお世話になりました」

 牢番さんと監視さんとは同じ挨拶を交わし詰め所を出る。お茶が飲みたい時間だが用意してくれる人もいない・・・父に断わりを入れて帰るとしよう。
 しばらくはウチに居候と言う形をとるしかない、5人組の寝床も用意しなければならないのでやる事は多いのだ。

 家に帰るので父を探したが、すでに巡回に出ていて会う事は出来なかったが、隊長さんにも挨拶をしなければならないので、門の方に顔を出してお礼と帰宅の事を伝えた。隊長さんの方で父にも伝えて置いてくれるとの事なので、重ねて礼を言い帰宅する事にした。

「それにしても、荷物少な過ぎじゃないか?」
「そもそもこの町に来たのも去年の雨季で、そのまま宿舎暮らしになったんだから、荷物はこんな物だろ」

 モーガン達には荷物を取りにやらせたが、戻った時には「その小さなダンボールだけか!?」と言いたくなるほど荷物が少なかった。聞けば暖寒の代え服と食器に防具のリペア素材に使う革が少し、それくらいしか自分の物は無いとの事、金は出来高で払われているのでギリギリしか持ち合わせもない。良くそれで生活していた者だ。
 モーガンたちを引き連れての帰り道。来る時はコイツらの事で目に入らなかったが、周囲に目をやると木造で無い家が建っている事に気が付いた。

「南と東は木の家ばかりだけど、北門近くは石壁の家が多いな」
「エドさんは北に来たのは初めてですか?」
「エドで良いよ。仕事は指示するけど、さん付けで呼ばれるのは気持ちが悪いから、そう呼んで」
「分かりました」

 ドリューにはまだ脅しが効いているのか「さん」付けで呼ばれたが、どうにも尻がムズムズする感覚と言うか落ち着かないので、そこは改めるように言っておいた。こういうのが平気にならないと貴族様にはなれないんだろうな。

「さっきの話だけど、北に来るのは初めてだな。うちの父さんも仕事の話は家ではあんまりしないし、北は魔物が強いって事くらいしか聞いた事が無い」
「この壁石は西の山から運んできて使ってるんです。北は魔物が強いのもあるんですけど、『火吹きが』出るので家を燃やされないように、家を石で固めているんです」

 ほう~流石はクラリオン出身だけの事はある。街の成り立ちなども知っていそうなので、詳しいことを知らない俺の良い知恵袋として役に立ってくれそうだ。
 それにしても西に石が取れる山があるとは知らなかった。壁だけとは言え石材で覆うには、相当な苦労があったであろう。

「火吹き?」
「このくらいのヌメヌメした気持ちの悪い魔物です。足は遅いんですけど、夜に這い出てきて乾いた木を食べます。それも焦げた物が好きな様で、腹の中にある袋に溜まった油のように燃える汁を、火口と呼ばれる口の下に付いている火吹き専用の口で、火をつけて吹き出して食べる木を炙るんです」

 説明にあった魔物を想像するに、サイズは50センチくらいの火を噴くナメクジ?そんな物がいたのでは木の家でゆっくり寝る事などできないだろう、石造りになるのも頷ける。
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