異世界生活物語

花屋の息子

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76女子大生みたいな女性

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「5歳ですよ!」
「普通の5歳は、そんなに堂々としていないんだけどね。まあいいさ。それじゃ彼らに会ってみるかい?牢に放り込んであるんだけど、まだ威勢が良いよ。どうする?」
「問題の戦士隊の前に、親とかっって言うのになっているクラリオン戦士団の方と話がしたいんですけど、どうですかね?」
「彼女次第だけど僕は問題ないよ。少し待っててくれる?聞いてくるから」

 そう言うと隊長は席を立ち”彼女”とやらを呼びに行った。
 前に会った戦士にも女の人は居たから、そんなに驚かないけど、実力主義だろう戦士団の席者・・・たぶん幹部みたいな感じだよな。それに上がる人ってちょっと想像できないや。
 一人ぽつんと残された詰め所はやはり広いなと思う。窓に当たる開口部から見えるのは訓練にあたる兵の皆だった。
 少し自分で思っていたのとは違うな~などと感じたものの、ここの空気感は穏かなもので、想像していた魔境との境目だとか最後の砦といった雰囲気では無かったからかだ。
 常に魔物が襲って来る戦場のような、もっと殺伐とした所をイメージしていたけれども、全くそのような空気は感じられない、ここだけ見たら誰もそんな風には思わないと思う、その後も「エドワード君」と戻って来た隊長さんに、そう声を掛けられるまで訓練風景を見学させて貰った。

「彼女が戦士隊の親をしているファリア殿だ。こちらがエドワード君、クライン殿のお孫さんで、彼らを引き取りたいって言ってるんだけど・・・エドワード君僕は少し外すから、ファリア殿と話を決めてくれるかな?」
「分かりました。いろいろと有難うございました」

 じゃあね~とでも言うように、手を振りながら詰め所から出て行く隊長さんは、本当に顔と中身が違う人なのでは?どこかの怪盗に特殊メイクしてもらったのでは無いだろうか?と疑問を持ってしまうレベルの中身の違いだ。

「エドワードです。忙しい所をすいません」
「ファリアよ。ハワード隊長から聞いて居るけど本当にしっかりしている子ね。それで君は何故あのバカを引き取ると言っているのか聞かせて貰える?あいつらのようなのを生かして置くのは団の気の緩みに繋がるから、私は早々に処分するべきだと思っているのだけど」

 仕事に厳しい人って言う感じがする女性だな。ロングヘアーを低めのお団子にまとめている姿は、これでメガネを掛けて貰って本を持たせたら委員長コスが決まるんだろうな~。外での仕事のはずにも拘らず日焼けもそれほどしていないし、キツイ空気をなくしたら見た目は女子大生って感じなんだけど。

「死んで償いをさせるより生きて償いをさせた方が、クラリオンのためになるかとなと思いまして・・・と言うよりは、単純に僕の方の人手が足りないので丁度良いかなと思ったんです。想像してみて下さい?5歳の子供に命令されて使われる大人の姿。それなりの罰になると思いませんか?」
「面白い冗談ね。でもただ処分するよりも君に使われる方が、他の皆への見せしめには良いかも知れないわね。『あなた達もこうならない様に頑張りなさい』って」
「ただ逃げようとした時には私のような子供には抑える事が出来ないので、後お願いしますと言うかも知れませんけど」
「その辺りは西門の警備がなんとでもしてくれるだろうし、まさかバカでも自分から魔物のエサになりに行く様な事はしないでしょ?」
「東にとかであれば逃げられるのではないですか?」

 俺の質問は、このお姉さんにとって???と大量の?マークを浮かべる奇天烈なものだった様だ。
「いや・・・」などと呟きながら、再度首を捻ってしまうあたり、そんなにおかしな事を言ったのだろうか?

「僕、何かおかしな事言いましたか?」
「君はこの辺りの事は、どの程度知っているの?」
「そうですね。町全部を森に囲まれている事、真ん中に偉い人が住んでいる大きな家がある事、そこが川に挟まれている事、北の森が魔物が強くて南は弱い事、東の草原には小さい魔物しか出ない事・・・とかですかね?」

 あからさまにガックリと首を折ってしまうファリアさんの姿は、そこまで期待に応えられなかった事かと言いたいくらいで、子供でそこまで知っていれば上出来では無いのか?ウェインくらいの歳なら分からないが、俺くらいの歳では森は危ないところとか、その程度の知識しかないと思うぞ。

「君と話していると子供と思えなくなっていたけど、・・・この街はクラリオンと言うのは分かる?」
「それもさっき聞きました」
「そうか、エルバス王国の東の果ての街だと言うのはどう?」
「知りません」
「この街の東は草原を抜けた後は、ボーン山まで延々と森が続くのだけど、この街から先に人里は無いのよ。南は1日程度は問題ないのだけど、それより深くなれば北と変わらないほど魔物が強くなるわ。北は言う必要が無いわね。だから西にしか行く事は出来ないのよ。その道にも魔物は出るのだから、安全とは言えないわね」
「前に叔母が戦士団の人に守られて、隣街に行っていると聞きました」
「護衛もクラリオン戦士団の仕事ね。10席までの席者がいくつかの戦士隊を従えてあたる事になっているから。もちろん数人で隣街まで行く事も出来なくは無いけど、自分の命と引き換える覚悟はいるわね」
「それが逃げられない理由なんですね」
「今回は逃げたバカ達に追っ手も懸けるんだから、魔物と席者のいる戦士団の両方を相手にする訳ね。それで逃げ切れるのなら、そもそもこんな事になる訳は無いでしょ」
「ですよね~」

 今回の一件は功績を焦っての事なのだから、強力な魔物を打ち倒しながら追っ手の部隊も退ける事が出来るような人達が、ちっぽけな功績に飛びついて捕まる事は無いのだ。捕まっているの、逃げる事も出来ないマジモンの三下クンと言う事になる。

「それじゃぁ、あのバカに会って貰みる?。君がどうしようもないと思えば、それ以上かかわる必要は無いわ、後の事はこちらで方を付けるから」

 そう言うとサッと席を立って外に向かう。この人も結構せっかちな人なのかな?
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