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03経営危機

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年月の経つのは早いもので幾度も季節が移り過ぎ、年を追うごとに収穫の減るウチの畑を耕す虚しさとも今年の収穫で最後である。
 いよいよ俺が家から出る日が近づいてきたのだ。結局は子供だと言う事で森には入らせて貰えなかったが、草原に出るウサギやネズミなどをを狩る事で最低限のレベルアップする事は出来た。

名前  カーシス・ファン・リーグ 7歳
レベル  2  
HP 57/57    MP 183/183
筋力    28     体力    29
精神    60     魔力    123
潜在能力 B

スキル      剣術1
       魔法3
       体術1
ユニークスキル
      鑑定眼
称号
転生者(文字化け)

 ステータス的には潜在能力値のお陰もあるが、レベル上限いっぱいまで鍛えて次のレベルに進んだのが良かったのか二倍にまで伸びた。
 この世界でのステータスはレベルアップ毎に上がるのが約1・2倍で、そこからの訓練で前のレベルの大体2倍まで上げられるようだった。
 そもそもユニークスキルの鑑定眼が無ければ発見する事が出来なかったであろうから、ユニークスキル万歳としか言いようが無い。

 さて理由は先にも話した実家の収穫の問題だが、俺は騎士団には入らずに冒険者の道を進む事にした。
 ここ数年隣国からの数度に渡る侵攻があり。その戦の度に派兵した所為でウチの領はついに経営に行き詰った。
 幸いな事に支村を2つとも潰して本村だけにしたお陰で男爵家としては残れたが、まだ幼くて独り立ちが出来ない一番下の弟を除く俺と姉は、生活費削減、悪く言えば口減らしで家を出無ければならなくなった。
 姉たちは近隣の騎士家にまで嫁ぐ事で何とかなったが、俺は冒険者としての道しか残されてはいなかった。
 流石に潰した支村でたった一人、農民として一旗上げると言うのは異世界に来てやる事ではないだろう。と言う事もあって冒険者の道にした訳だ。
 一流の冒険者であれば伯爵級の収入があると言うのも、冒険者を志す上で魅力だったのは言うまでも無く、ウチへの仕送りもできる事だし冒険者の道は悪くは無かった。稼げればだけどな。
 村を出て俺が向かうのはルルグス地方一の都市で、非嫡のためいろいろとあるが母の実家でもあるバーミリオン辺境伯の領都バルミラだ。理由は簡単で一番近場の冒険者組合があるからだ。
 伯爵領はウチの隣で2日も歩けば着く事ができるので、そこ以外となれば一週間以上は見なければならないのだから現実的に一番近いバルミラとなる。他遠過ぎるわ。
 
「本当にすまない。父として領のために家を出るお前に何もしてやれないのは、本当に申し訳ない限りだ」
「弟のお前にこんな苦労をかける情けない兄を許してくれ」
「父さんも兄さんも気にしないでよ。それに俺は魔法の方が得意なんだから、剣なんか無くてもへっちゃらさ。俺の魔法は知ってるでしょ、大丈夫だよ・・・ただ包丁一本だけは持って行かせて欲しいんだ」
「当たり前だ。一番新しいのを持って行きなさい」
「いいっ、そんな新しいのなんていらないよ。バルミラに着くまで使えれば良いんだから、一番ボロイのを貰っていくよ。どうせ向こうで買い換えるから新しいのは勿体無いよ」

 父や兄から餞別も持たせられない事を謝られたが、金は無いのを知っているし大人用の剣など使える訳が無いのだから遠慮しただけだ。包丁一本にしてもボロイのを持たせる事になったのを再度謝られたが、今の俺としてはその気持ちだけで十分だった。
 むしろ俺に金を使うくらいであれば日頃から苦労している村人に、酒の一杯でも飲ませてやりたいくらいで現状はそれほど貧している。
 そんな経済状況を知っている俺は、道中の食事の事を考えて磨り減った包丁を一本貰う事にした訳だ。
 これさえあれば討伐した魔物を解体する事も出来るし、野営時に簡単な調理もできると言うものだから、毛ごと丸焼きにした獲物にかぶりつくなんて事にならずに済みそうである。
 討伐自体は魔法でいくらでもどうにかできるが、魔物の解体までは魔法では出来なかったのだから、「魔法も万能ではないな」などと一人ごチタ。
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