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1章 葉月と樹
葉月・・・場を仕切る?
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久住さんの雰囲気が…と思った瞬間、
私は久住さんの後ろへと体が動かされ…今…目の前には久住さんの背中しか見えない。
『昼食会は…出なくても良いと入ったけど…仕事中に会社を抜け出し…こんなところで女性と…』
と年配の女性の声が聞こえた。
確かに就業時間に、コンビニの前にいたらマズイよね。久住さん…大丈夫かなぁ…
『昼食会に参加の必要がないとのことだったので、すこし早めの昼食を取ろうと駅まで来たら、友人と偶然あったんですよ。…会長。』
えっ…?
なに…今のは…?なにかが…変だ。
『そう…でも、まぁ良かったわ。樹はまだストーカーのように、結婚を来月に控えた弟の許婚に、言い寄ろうとしているんじゃないかと、心配していたのよ。そうやって…公の場で手を繋ぐほどの仲の方が…いらっしゃるのなら安心ね。…あなたお名前はなんて仰るの?』
ス…ストーカー?久住さんが…弟さんの許婚の方を…信じられない…。
久住さんの体が…震えている。
あっ!ぁぁぁ…もしかして…酔って、忘れたかったのは、その人への思いだったの?
あの夜の涙は…その人を…思って…流した涙なんだ。
だから、キスはしないって、あんなに…苦しい顔で…泣きそうな顔で言っていたんだ。
それほど…好きなんだ。
この人だから…好きになっても良い。この人だから…好きになってはいけない。
人を好きになる気持ちは、そう線引きできるものじゃないよね。
きっと久住さんは、弟さんの事も大事にしているから、だから苦しんだ。
『会長…彼女を久住家の魑魅魍魎の世界へ、誘わないで頂きたい。そっとして頂けませんか。』
『あらあら…ひどいわね。名前ぐらい。…じゃぁ彼女を調べても…よくって?』
恐い。
淡々と感情がない会話を繰り出すこの雰囲気が…とてつもなく恐い。
二人とも…心が凍ってしまうよ。
このままではいけない。
このままだと…
「あ、あの…」
大丈夫!ちゃんと声が出ている。
「挨拶は当然ですよね。すみません、失礼しました。私、高宮 葉月です。」
大丈夫…。私がこの場を仕切って…二人を救う。
会長と久住さんが呼ぶこの人は、久住さんが弟さんの許婚をストーカーしていると思っている、確かに、気持ちは今もあるみたい。だけど、久住さんは必死で堪えている、そこがわかれば…きっと分かり合える。きっと…
『樹…彼女が来たほうが…あなただって助かるでしょう。妙な疑いを…私や…秋継に持たれないためにも…ね。』
『俺は…なんにも、疑いを持たれる事はありません。』
『…それは行動で示すほうが確実よ。』
行動で示す…ほうが確実。そうだ、行動だ。行動で…久住さんがストーカーなんかじゃない。必死で、弟さんも大事だから、その女性との思いを堪えていることを…わかってもらうんだ。
「…わかりました。私、お伺いします。」
眼の端に、眼を見開く久住さんが見えた。私は【大丈夫です。】と久住さんの手に触れ、満面の笑みを浮かべ、その年配の女性に…
「楽しみにしています!」と言った。
人は、例え血縁者でも…何度も縺れれば繋がりと言う糸は、簡単に解けない…ううん、切れてしまうことだったある。私とおかあさんのように…
だから、まだほどけることができるなら、力になってあげたい。
私が行く事で、みんなが一度、穏やかな気持ちで、相手を見る事が出来れば…きっとそれぞれの誤解は解ける。
・?!
・
・
あれ?…なんか…うっ…なんか、頭の端で引っかかっている…
金曜日って…う~ん…あっ!あぁぁ!!!金曜日!
私は久住さんの後ろへと体が動かされ…今…目の前には久住さんの背中しか見えない。
『昼食会は…出なくても良いと入ったけど…仕事中に会社を抜け出し…こんなところで女性と…』
と年配の女性の声が聞こえた。
確かに就業時間に、コンビニの前にいたらマズイよね。久住さん…大丈夫かなぁ…
『昼食会に参加の必要がないとのことだったので、すこし早めの昼食を取ろうと駅まで来たら、友人と偶然あったんですよ。…会長。』
えっ…?
なに…今のは…?なにかが…変だ。
『そう…でも、まぁ良かったわ。樹はまだストーカーのように、結婚を来月に控えた弟の許婚に、言い寄ろうとしているんじゃないかと、心配していたのよ。そうやって…公の場で手を繋ぐほどの仲の方が…いらっしゃるのなら安心ね。…あなたお名前はなんて仰るの?』
ス…ストーカー?久住さんが…弟さんの許婚の方を…信じられない…。
久住さんの体が…震えている。
あっ!ぁぁぁ…もしかして…酔って、忘れたかったのは、その人への思いだったの?
あの夜の涙は…その人を…思って…流した涙なんだ。
だから、キスはしないって、あんなに…苦しい顔で…泣きそうな顔で言っていたんだ。
それほど…好きなんだ。
この人だから…好きになっても良い。この人だから…好きになってはいけない。
人を好きになる気持ちは、そう線引きできるものじゃないよね。
きっと久住さんは、弟さんの事も大事にしているから、だから苦しんだ。
『会長…彼女を久住家の魑魅魍魎の世界へ、誘わないで頂きたい。そっとして頂けませんか。』
『あらあら…ひどいわね。名前ぐらい。…じゃぁ彼女を調べても…よくって?』
恐い。
淡々と感情がない会話を繰り出すこの雰囲気が…とてつもなく恐い。
二人とも…心が凍ってしまうよ。
このままではいけない。
このままだと…
「あ、あの…」
大丈夫!ちゃんと声が出ている。
「挨拶は当然ですよね。すみません、失礼しました。私、高宮 葉月です。」
大丈夫…。私がこの場を仕切って…二人を救う。
会長と久住さんが呼ぶこの人は、久住さんが弟さんの許婚をストーカーしていると思っている、確かに、気持ちは今もあるみたい。だけど、久住さんは必死で堪えている、そこがわかれば…きっと分かり合える。きっと…
『樹…彼女が来たほうが…あなただって助かるでしょう。妙な疑いを…私や…秋継に持たれないためにも…ね。』
『俺は…なんにも、疑いを持たれる事はありません。』
『…それは行動で示すほうが確実よ。』
行動で示す…ほうが確実。そうだ、行動だ。行動で…久住さんがストーカーなんかじゃない。必死で、弟さんも大事だから、その女性との思いを堪えていることを…わかってもらうんだ。
「…わかりました。私、お伺いします。」
眼の端に、眼を見開く久住さんが見えた。私は【大丈夫です。】と久住さんの手に触れ、満面の笑みを浮かべ、その年配の女性に…
「楽しみにしています!」と言った。
人は、例え血縁者でも…何度も縺れれば繋がりと言う糸は、簡単に解けない…ううん、切れてしまうことだったある。私とおかあさんのように…
だから、まだほどけることができるなら、力になってあげたい。
私が行く事で、みんなが一度、穏やかな気持ちで、相手を見る事が出来れば…きっとそれぞれの誤解は解ける。
・?!
・
・
あれ?…なんか…うっ…なんか、頭の端で引っかかっている…
金曜日って…う~ん…あっ!あぁぁ!!!金曜日!
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