77 / 78
結婚(ライドとフランシス)3
しおりを挟む
唇は熱い吐息と共にゆっくりを離れたが、ライドの顔は喜びよりも悲しみに暮れていた。
「フランシス…君が俺を…兄のように思っているのはわかっている、だが…俺は男なんだ…君に、こうやって口づけを請う男なんだ。」
そう言うと…フランシスから離れようとした、だがその腕を掴んだのは、白く細い指だった。
「…ライド様、まさか…私を…」
ライドの声は、愛を請うように叫んでいた。
「そうだ、君が好きなんだ!…君が他の男のものになるくらいなら、歩けるようになって欲しくないと恐ろしいことを考えていしまうくらいに…」
白い指の上に、剣を使うことで硬くなった指も愛を請うように重なった。
「俺は…心が歪んでしまうくらいに…君が好きなんだ!!」
「ほ、ほんとに…」
ライドは、フランシスの反応をこれ以上見るのが辛くて、きつく目を閉じ頷いた。
「…う、うれしい」その声は涙声だったが、はっきりとライドの耳に届き、ライドは目を開けフランシスを見つめた。
「今……嬉しい?…って言ったのか?!」
フランシスは、もう声にならず力いっぱい頷いた、ライドは、俺は…と言ったが、ライドも声にならず、声の代わりに腕が答えた。逞しい腕は強くもう離さないと言ってるかのように、フランシスの体を強く抱きしめた。逞しい腕に包みこまれた、フランシスは…この温もりにようやく安心を得た…これは夢じゃない。
その幸せな思いが口にでた。
「ライド様、大…好…きで…」
フランシスは最後まで言わせてもらえなかった。
ライドの唇が、その言葉さえも誰にも渡したくないように、フランシスの唇を覆った。
長い口づけが解かれ、フランシスはライドの胸に頬を寄せた、そんなフランシスの顎に指をやり顔を持ち上げ…ライドは潤んだ黒い瞳、ピンク色に染まった頬、そして自分が赤くした唇を見つめ、またゆっくりと顔を近づけた時だった。、熱い吐息が…熱い思いと一緒にライドの唇から零れた。
「フランシス…俺と…結婚してくれ。」
フランシスは…「…はい、ライド様の花嫁にしてください。」そう言って、ポロポロと涙を零した、そんなフランシスの額にライドの唇は、やさしく触れ「可愛いい…」と言って、またフランシスの唇へとまた愛を告げた。
その様子を2階の窓から、見ているふたりがいた。
「…エリザベス…、何か切っ掛けを作ったろう?」
アークフリードは妹と親友の口づけを嬉しいような、悔しいような複雑な顔で聞いてきた。
エリザベスは「どうして?」と笑って、アークフリードを見た。
アークフリードから見たら惚けているように、見えたのか、口を尖らせ、
「二ヶ月間、どころが数年、いやつい先程まで何の進展もなかったのに…これだ」
と言って、視線が、熱い口づけを交わすふたりに動いた。その様子が可笑しくて、エリザベスは庭のふたりに気づかれないようにと手のひらで、口を押さえ笑った。
「エリザベス!」
エリザベスは、まだまだ出てくる笑いをかみ殺し
「ほ・ん・の・少・し」と言って、両の手の平を広げ、小さく呪文を告げると…手の平に、数羽の小鳥が現れた。
「私はただ小鳥の囀りが聞きたかっただけですの。それがたまたま、おふたりを近づける切っ掛けになったと言う話です。」とアークフリードに悪戯っぽい目で答えた。
アークフリードは苦笑し
「俺の妻になる人は、やはり…なかなかの策士だ... 」と言って、エリザベスを自分の腕に囲い「でも…そんなところも愛してる。」とエリザベスの耳元で囁いた。
エリザベスが、真っ赤になり、「あわぁぁ…」と恥ずかしがって、奇声を上げる唇に、弧を描いたアークフリードの唇が重なった。
だが…その甘い時間は、フランシスの「ライド様!!!」と叫ぶ声で、一気に覚めてしまい、アークフリードは大きな溜め息をつくと、庭のふたりに視線をやった。ふたりの会話はだんだんと大きくなって、2階にいるアークフリードとエリザベスにも、聞こえてきた。
「フランシス…口癖は出ないんだ」とライドがポツリと言った。フランシスは、首を傾げ…「口癖…ですか?私の口癖?」
「あぁ…よく言っているだろう。(すごい!)って…今は出てこないんだ。」
「?」フランシスは、ライドの言っていることがぜんぜんわからず、ライドの顔を見て、また首を傾げた。
ライドは…にやりと笑い、フランシスの真似をして
「ライド様の口付けって、すごい!!もう身も心も蕩けそうって、言わないんだ。」
フランシスの顔は、真っ赤になり、「ライド様!!!」と叫び声をあげたが、また、唇はライドに奪われた、大人しくなったフランシスに…ライドは「じゃぁ…すごいって言わせる。」…と言うと、またフランシスの唇を奪った。
「…あいつは…なんで、…俺の妹に…そんなことを言わせようとするんだ!あいつに、俺は恋愛指南をしなくちゃいけないのか!!だいたい…口づけ…は…」と途中まで言って、突然、エリザベスを腕の中から出すと
「エリザベス!ここから動くな!すぐ戻る!」と言って、庭へと階段を下りていった。
エリザベスは…
「人の恋路を邪魔するやつは…馬に蹴られて…」と言っている途中で、もう堪えきらず大きな声で笑ってしまった。
そして、庭でも大きな声で、怒鳴りあっている男性ふたりと、呆れたように笑うフランシスがいた。
エリザベスは、両の手の平を広げ、小さく呪文を告げ…小鳥を出すと
「お願い…あの恋愛下手の男性ふたりを止める、切っ掛けを作って」とまた笑った。
「フランシス…君が俺を…兄のように思っているのはわかっている、だが…俺は男なんだ…君に、こうやって口づけを請う男なんだ。」
そう言うと…フランシスから離れようとした、だがその腕を掴んだのは、白く細い指だった。
「…ライド様、まさか…私を…」
ライドの声は、愛を請うように叫んでいた。
「そうだ、君が好きなんだ!…君が他の男のものになるくらいなら、歩けるようになって欲しくないと恐ろしいことを考えていしまうくらいに…」
白い指の上に、剣を使うことで硬くなった指も愛を請うように重なった。
「俺は…心が歪んでしまうくらいに…君が好きなんだ!!」
「ほ、ほんとに…」
ライドは、フランシスの反応をこれ以上見るのが辛くて、きつく目を閉じ頷いた。
「…う、うれしい」その声は涙声だったが、はっきりとライドの耳に届き、ライドは目を開けフランシスを見つめた。
「今……嬉しい?…って言ったのか?!」
フランシスは、もう声にならず力いっぱい頷いた、ライドは、俺は…と言ったが、ライドも声にならず、声の代わりに腕が答えた。逞しい腕は強くもう離さないと言ってるかのように、フランシスの体を強く抱きしめた。逞しい腕に包みこまれた、フランシスは…この温もりにようやく安心を得た…これは夢じゃない。
その幸せな思いが口にでた。
「ライド様、大…好…きで…」
フランシスは最後まで言わせてもらえなかった。
ライドの唇が、その言葉さえも誰にも渡したくないように、フランシスの唇を覆った。
長い口づけが解かれ、フランシスはライドの胸に頬を寄せた、そんなフランシスの顎に指をやり顔を持ち上げ…ライドは潤んだ黒い瞳、ピンク色に染まった頬、そして自分が赤くした唇を見つめ、またゆっくりと顔を近づけた時だった。、熱い吐息が…熱い思いと一緒にライドの唇から零れた。
「フランシス…俺と…結婚してくれ。」
フランシスは…「…はい、ライド様の花嫁にしてください。」そう言って、ポロポロと涙を零した、そんなフランシスの額にライドの唇は、やさしく触れ「可愛いい…」と言って、またフランシスの唇へとまた愛を告げた。
その様子を2階の窓から、見ているふたりがいた。
「…エリザベス…、何か切っ掛けを作ったろう?」
アークフリードは妹と親友の口づけを嬉しいような、悔しいような複雑な顔で聞いてきた。
エリザベスは「どうして?」と笑って、アークフリードを見た。
アークフリードから見たら惚けているように、見えたのか、口を尖らせ、
「二ヶ月間、どころが数年、いやつい先程まで何の進展もなかったのに…これだ」
と言って、視線が、熱い口づけを交わすふたりに動いた。その様子が可笑しくて、エリザベスは庭のふたりに気づかれないようにと手のひらで、口を押さえ笑った。
「エリザベス!」
エリザベスは、まだまだ出てくる笑いをかみ殺し
「ほ・ん・の・少・し」と言って、両の手の平を広げ、小さく呪文を告げると…手の平に、数羽の小鳥が現れた。
「私はただ小鳥の囀りが聞きたかっただけですの。それがたまたま、おふたりを近づける切っ掛けになったと言う話です。」とアークフリードに悪戯っぽい目で答えた。
アークフリードは苦笑し
「俺の妻になる人は、やはり…なかなかの策士だ... 」と言って、エリザベスを自分の腕に囲い「でも…そんなところも愛してる。」とエリザベスの耳元で囁いた。
エリザベスが、真っ赤になり、「あわぁぁ…」と恥ずかしがって、奇声を上げる唇に、弧を描いたアークフリードの唇が重なった。
だが…その甘い時間は、フランシスの「ライド様!!!」と叫ぶ声で、一気に覚めてしまい、アークフリードは大きな溜め息をつくと、庭のふたりに視線をやった。ふたりの会話はだんだんと大きくなって、2階にいるアークフリードとエリザベスにも、聞こえてきた。
「フランシス…口癖は出ないんだ」とライドがポツリと言った。フランシスは、首を傾げ…「口癖…ですか?私の口癖?」
「あぁ…よく言っているだろう。(すごい!)って…今は出てこないんだ。」
「?」フランシスは、ライドの言っていることがぜんぜんわからず、ライドの顔を見て、また首を傾げた。
ライドは…にやりと笑い、フランシスの真似をして
「ライド様の口付けって、すごい!!もう身も心も蕩けそうって、言わないんだ。」
フランシスの顔は、真っ赤になり、「ライド様!!!」と叫び声をあげたが、また、唇はライドに奪われた、大人しくなったフランシスに…ライドは「じゃぁ…すごいって言わせる。」…と言うと、またフランシスの唇を奪った。
「…あいつは…なんで、…俺の妹に…そんなことを言わせようとするんだ!あいつに、俺は恋愛指南をしなくちゃいけないのか!!だいたい…口づけ…は…」と途中まで言って、突然、エリザベスを腕の中から出すと
「エリザベス!ここから動くな!すぐ戻る!」と言って、庭へと階段を下りていった。
エリザベスは…
「人の恋路を邪魔するやつは…馬に蹴られて…」と言っている途中で、もう堪えきらず大きな声で笑ってしまった。
そして、庭でも大きな声で、怒鳴りあっている男性ふたりと、呆れたように笑うフランシスがいた。
エリザベスは、両の手の平を広げ、小さく呪文を告げ…小鳥を出すと
「お願い…あの恋愛下手の男性ふたりを止める、切っ掛けを作って」とまた笑った。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
王妃の手習い
桃井すもも
恋愛
オフィーリアは王太子の婚約者候補である。しかしそれは、国内貴族の勢力バランスを鑑みて、解消が前提の予定調和のものであった。
真の婚約者は既に内定している。
近い将来、オフィーリアは候補から外される。
❇妄想の産物につき史実と100%異なります。
❇知らない事は書けないをモットーに完結まで頑張ります。
❇妄想スイマーと共に遠泳下さる方にお楽しみ頂けますと泳ぎ甲斐があります。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる