82 / 214
ロザリーとアデリーナ
しおりを挟む
「っ…!」
大きな声を出したくはなかった。
だからゆっくりと左手を使って、体を起こして木に凭れ、大きく息を吐いた。
ダメだ…。指先は動くが右腕は持ち上げることも出来ない。
肩が…右肩が外れている。
どうする?
左手に剣を持ち変えることは、おそらく無理だ。もうアデリーナ様は眼の前…間に合わない。
覚悟はあった…でもなにもできないまま死ぬのだけは…ごめんだ。
ぐっと睨みつけると、アデリーナ様はにっこりと笑い
「残念だったわね。力を使えなくて」
「…力?」
何を言われたのか、わからなかった。
「あらら…その浄化の力よ。ねぇ、その力はやっぱりブラチフォード王家の力なの?前世の力が現世でも使えるの?」
呆然とする私に、わざとらしく溜め息を吐くと
「ローラン王は、ブラチフォード国から感じる清廉な気配をすごく気にして、それで計画が早まったというのに…その持ち主がそんな力があるとは知らなかったとは…20年ほど前から時間をかけて計画を立てて来たのに、とんだお笑い種だわ。」
そう言って、私の剣を踏みながら、私の肩が外れた事を確認しているのだろう。
嬉しそうに何度も剣を踏みつけ
「まぁ、そんな面倒なことを言う方だけど…ローラン王がいたから、簡単にブラチフォード国に入り込めたのよね。それにしてもあの時はついていたわ。画策した事が裏目に出て、愛するスミラ様を死なせたローラン王に(スミラ様とまたお会いしたくありませんか?)と誘いの言葉をかけることができたのは…本当についていたわ。」
…痛い。
剣を踏みつけるその振動が、肩に響く。
意識が遠のきそう。ダメ…意識を保っていないと…殺される。
荒い息を吐きながら、アデリーナ様へと視線を移すと、剣を踏みつけていた足が私の手を踏みつけてきた。
「うっ…!!」
抑えていた叫びが思わずもれ、その声にアデリーナ様がクスリと笑いながら
「あら、ごめんなさい。ちょっとやりすぎたかしら?でもあなたがその肩の痛みで気を失うんじゃないかと思ってね。私はまだあなたと話をしたいの。だって800年振りに再会できたんですもの。」
そう言って、私の手から離れた剣を持ち
「それに、あなたはいろいろ知りたいんじゃない?」
私がゆっくりと頷くと、満足そうにアデリーナ様は微笑みながら
「ここ20年あまりは楽しかったわ。まず…計画の一歩目は、王大后と王妃に近づくことだった。本当はあのふたりのおばさんの顔を見たら、殺すつもりだったのよ、だって私の大事なルシアンを殺そうと計画を立てていたんですもの。でもローラン王があのふたりは使えるから、まだ殺すなと仰るものだから…我慢したわ。
確かにローラン王の仰るとおり、あのふたりのおばさん達は役に立った。
でも私は、あのふたりのおばさんが忌み嫌ったスミラ様と瓜二つだったから、あのおばさんふたりに、近づくのって大変だったのよ。
だから久しぶりに容姿を変え、こう囁いてやったの。
『ブラチフォード国王陛下は、この国をあの黒髪と赤い瞳のルシアン王子に委ねるお気持ちです。私は陛下から、ルシアン王子宛てのその密書を預かり…もう驚いてしまって、とりあえず王大后様と王妃様に、お知らせしたほうが良いかと思い参上致しました。』
もう大慌てで、可笑しかったわよ。
本当は毒殺を考えていたんだけど…ローラン王がまた…どうしてもスミラ様が殺された剣で、ブラチフォード王を殺りたいって仰るものだから、面倒だったんだけど、おばさんふたりに
『この薬は頭をぼんやりさせ、眠くなる薬です。ぼんやりとして眠いだけなら、お体に負担はかかりませんし、なによりルシアン王子にこの国を任せようなんて、そんな恐ろしいことを考えられる時間がありません。』とね。
あの二人のおばさんは喜んで、私が作った薬をブラチフォード王に飲ませていたわ。余程、ルシアン王子にこの国を取られるのではないかと不安だったようね。
人の心が色として見えるブラチフォード王に対して、うまくいったのはあのふたりが、もともと心の色がくすんでいたと言うことと、それに殺意がなかったからかもしれないわね。」
やはり…そうだったんだ。
この数年、体調を崩されていた国王陛下の代わりに、公務を王太子様やルシアン王子がやっていらしたが、ある日を境にベットから起き上がれなくなるほど、容態が悪化したのは、そのせいだったか。
人の心が見える陛下だ、陛下の体調が万全であれば…いや、今更そんなことを考えてもしょうがない。
「いいわね、諦めないその眼。でもその眼が絶望に翳るのを見たいわ。」
荒い息が次々と出てきて、声が出なかった。
そんな私を面白そうに、じっと見ながら「でも次は…うまく行かなかった。」と言って、剣先を私の手のひらに、文字を書くように動かしながら
「王太子があの眼を持っていると思っていたの。だから私が作った者を次々に、王太子の下へ送り込んだわ。あの王太子って、ぼんやりした坊ちゃんだと思っていたんだけど…あの坊ちゃん…気づいたのよ。
だから…ミランダ姫を私達の配下から離すために、あの王太子は…
『甲高い声がうるさい。』
『可愛げない、話し方が気に入らない。』なんて言ってね。
ミランダ姫があの眼を持っている事に、気づかれないように…臭い芝居をしてくれたの。」
そう笑って、パチパチと拍手をして
「でもね。こちらもミランダ姫があの眼を持っている事に、すぐに気が付いた。
そうしたら…今度はこう言ったのよ。
『民や…ミランダを殺さないでくれ。ローラン王や、おまえが……人ではない事は絶対に言わないから…取引をしよう。』
力もないただの人間のくせに…私達に取引を持ち込むなんて…本来なら生かしてはおかないところよ。でも、王太子と王太子妃には、陛下とミランダ姫を殺した犯人になってもらわなくてはならなかったから……頷いてやったわ。今でも思い出したら…ムカつくわ!」
剣先で私の頬を叩き
「まぁ、いつでも殺せる者の話はもういいわ。それより、問題はあなたよ。
ローラン王がスミラ様の心を奪ったブラチフォード王を殺すのにも…
私がロイの生まれ変わりのルシアン王子を手に入れるのにも…あなたが邪魔なの。
でも…その力…800年前にはなかったわよね…どうして?そんな力を得たの?
それだけじゃないわ。あなたの力が…この60日足らずで…強くなったのはどうして?」
何も答えようがない私に…
「あぁ~そうだったわね。自分でもわからなかったんだわね。最後だから聞きたかったんだけど、残念だわ。」
アデリーナ様は【最後だから】と言う言葉をまた小さく呟くと、酔ったように眼を瞑り
「本当はこの手で、その細い首を締め上げたい。あなたがジワジワと私の手の中で、死んで逝くのを見たい。だけど、その力が増した理由がわからないから、あなたに触れるのは危険だものね……残念。でも800年前の借りはかえさせてもらうわ。違うやり方で…。」
そう言って、剣を振り上げたアデリーナ様に、私は笑みを浮かべた。
大きな声を出したくはなかった。
だからゆっくりと左手を使って、体を起こして木に凭れ、大きく息を吐いた。
ダメだ…。指先は動くが右腕は持ち上げることも出来ない。
肩が…右肩が外れている。
どうする?
左手に剣を持ち変えることは、おそらく無理だ。もうアデリーナ様は眼の前…間に合わない。
覚悟はあった…でもなにもできないまま死ぬのだけは…ごめんだ。
ぐっと睨みつけると、アデリーナ様はにっこりと笑い
「残念だったわね。力を使えなくて」
「…力?」
何を言われたのか、わからなかった。
「あらら…その浄化の力よ。ねぇ、その力はやっぱりブラチフォード王家の力なの?前世の力が現世でも使えるの?」
呆然とする私に、わざとらしく溜め息を吐くと
「ローラン王は、ブラチフォード国から感じる清廉な気配をすごく気にして、それで計画が早まったというのに…その持ち主がそんな力があるとは知らなかったとは…20年ほど前から時間をかけて計画を立てて来たのに、とんだお笑い種だわ。」
そう言って、私の剣を踏みながら、私の肩が外れた事を確認しているのだろう。
嬉しそうに何度も剣を踏みつけ
「まぁ、そんな面倒なことを言う方だけど…ローラン王がいたから、簡単にブラチフォード国に入り込めたのよね。それにしてもあの時はついていたわ。画策した事が裏目に出て、愛するスミラ様を死なせたローラン王に(スミラ様とまたお会いしたくありませんか?)と誘いの言葉をかけることができたのは…本当についていたわ。」
…痛い。
剣を踏みつけるその振動が、肩に響く。
意識が遠のきそう。ダメ…意識を保っていないと…殺される。
荒い息を吐きながら、アデリーナ様へと視線を移すと、剣を踏みつけていた足が私の手を踏みつけてきた。
「うっ…!!」
抑えていた叫びが思わずもれ、その声にアデリーナ様がクスリと笑いながら
「あら、ごめんなさい。ちょっとやりすぎたかしら?でもあなたがその肩の痛みで気を失うんじゃないかと思ってね。私はまだあなたと話をしたいの。だって800年振りに再会できたんですもの。」
そう言って、私の手から離れた剣を持ち
「それに、あなたはいろいろ知りたいんじゃない?」
私がゆっくりと頷くと、満足そうにアデリーナ様は微笑みながら
「ここ20年あまりは楽しかったわ。まず…計画の一歩目は、王大后と王妃に近づくことだった。本当はあのふたりのおばさんの顔を見たら、殺すつもりだったのよ、だって私の大事なルシアンを殺そうと計画を立てていたんですもの。でもローラン王があのふたりは使えるから、まだ殺すなと仰るものだから…我慢したわ。
確かにローラン王の仰るとおり、あのふたりのおばさん達は役に立った。
でも私は、あのふたりのおばさんが忌み嫌ったスミラ様と瓜二つだったから、あのおばさんふたりに、近づくのって大変だったのよ。
だから久しぶりに容姿を変え、こう囁いてやったの。
『ブラチフォード国王陛下は、この国をあの黒髪と赤い瞳のルシアン王子に委ねるお気持ちです。私は陛下から、ルシアン王子宛てのその密書を預かり…もう驚いてしまって、とりあえず王大后様と王妃様に、お知らせしたほうが良いかと思い参上致しました。』
もう大慌てで、可笑しかったわよ。
本当は毒殺を考えていたんだけど…ローラン王がまた…どうしてもスミラ様が殺された剣で、ブラチフォード王を殺りたいって仰るものだから、面倒だったんだけど、おばさんふたりに
『この薬は頭をぼんやりさせ、眠くなる薬です。ぼんやりとして眠いだけなら、お体に負担はかかりませんし、なによりルシアン王子にこの国を任せようなんて、そんな恐ろしいことを考えられる時間がありません。』とね。
あの二人のおばさんは喜んで、私が作った薬をブラチフォード王に飲ませていたわ。余程、ルシアン王子にこの国を取られるのではないかと不安だったようね。
人の心が色として見えるブラチフォード王に対して、うまくいったのはあのふたりが、もともと心の色がくすんでいたと言うことと、それに殺意がなかったからかもしれないわね。」
やはり…そうだったんだ。
この数年、体調を崩されていた国王陛下の代わりに、公務を王太子様やルシアン王子がやっていらしたが、ある日を境にベットから起き上がれなくなるほど、容態が悪化したのは、そのせいだったか。
人の心が見える陛下だ、陛下の体調が万全であれば…いや、今更そんなことを考えてもしょうがない。
「いいわね、諦めないその眼。でもその眼が絶望に翳るのを見たいわ。」
荒い息が次々と出てきて、声が出なかった。
そんな私を面白そうに、じっと見ながら「でも次は…うまく行かなかった。」と言って、剣先を私の手のひらに、文字を書くように動かしながら
「王太子があの眼を持っていると思っていたの。だから私が作った者を次々に、王太子の下へ送り込んだわ。あの王太子って、ぼんやりした坊ちゃんだと思っていたんだけど…あの坊ちゃん…気づいたのよ。
だから…ミランダ姫を私達の配下から離すために、あの王太子は…
『甲高い声がうるさい。』
『可愛げない、話し方が気に入らない。』なんて言ってね。
ミランダ姫があの眼を持っている事に、気づかれないように…臭い芝居をしてくれたの。」
そう笑って、パチパチと拍手をして
「でもね。こちらもミランダ姫があの眼を持っている事に、すぐに気が付いた。
そうしたら…今度はこう言ったのよ。
『民や…ミランダを殺さないでくれ。ローラン王や、おまえが……人ではない事は絶対に言わないから…取引をしよう。』
力もないただの人間のくせに…私達に取引を持ち込むなんて…本来なら生かしてはおかないところよ。でも、王太子と王太子妃には、陛下とミランダ姫を殺した犯人になってもらわなくてはならなかったから……頷いてやったわ。今でも思い出したら…ムカつくわ!」
剣先で私の頬を叩き
「まぁ、いつでも殺せる者の話はもういいわ。それより、問題はあなたよ。
ローラン王がスミラ様の心を奪ったブラチフォード王を殺すのにも…
私がロイの生まれ変わりのルシアン王子を手に入れるのにも…あなたが邪魔なの。
でも…その力…800年前にはなかったわよね…どうして?そんな力を得たの?
それだけじゃないわ。あなたの力が…この60日足らずで…強くなったのはどうして?」
何も答えようがない私に…
「あぁ~そうだったわね。自分でもわからなかったんだわね。最後だから聞きたかったんだけど、残念だわ。」
アデリーナ様は【最後だから】と言う言葉をまた小さく呟くと、酔ったように眼を瞑り
「本当はこの手で、その細い首を締め上げたい。あなたがジワジワと私の手の中で、死んで逝くのを見たい。だけど、その力が増した理由がわからないから、あなたに触れるのは危険だものね……残念。でも800年前の借りはかえさせてもらうわ。違うやり方で…。」
そう言って、剣を振り上げたアデリーナ様に、私は笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
1,378
あなたにおすすめの小説
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
きみの愛なら疑わない
秋葉なな
恋愛
花嫁が消えたバージンロードで虚ろな顔したあなたに私はどう償えばいいのでしょう
花嫁の共犯者 × 結婚式で花嫁に逃げられた男
「僕を愛さない女に興味はないよ」
「私はあなたの前から消えたりしない」
おじさんは予防線にはなりません
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「俺はただの……ただのおじさんだ」
それは、私を完全に拒絶する言葉でした――。
4月から私が派遣された職場はとてもキラキラしたところだったけれど。
女性ばかりでギスギスしていて、上司は影が薄くて頼りにならない。
「おじさんでよかったら、いつでも相談に乗るから」
そう声をかけてくれたおじさんは唯一、頼れそうでした。
でもまさか、この人を好きになるなんて思ってもなかった。
さらにおじさんは、私の気持ちを知って遠ざける。
だから私は、私に好意を持ってくれている宗正さんと偽装恋愛することにした。
……おじさんに、前と同じように笑いかけてほしくて。
羽坂詩乃
24歳、派遣社員
地味で堅実
真面目
一生懸命で応援してあげたくなる感じ
×
池松和佳
38歳、アパレル総合商社レディースファッション部係長
気配り上手でLF部の良心
怒ると怖い
黒ラブ系眼鏡男子
ただし、既婚
×
宗正大河
28歳、アパレル総合商社LF部主任
可愛いのは実は計算?
でももしかして根は真面目?
ミニチュアダックス系男子
選ぶのはもちろん大河?
それとも禁断の恋に手を出すの……?
******
表紙
巴世里様
Twitter@parsley0129
******
毎日20:10更新
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
浮気をした王太子が、真実を見つけた後の十日間
田尾風香
恋愛
婚姻式の当日に出会った侍女を、俺は側に置いていた。浮気と言われても仕方がない。ズレてしまった何かを、どう戻していいかが分からない。声には出せず「助けてくれ」と願う日々。
そんな中、風邪を引いたことがきっかけで、俺は自分が掴むべき手を見つけた。その掴むべき手……王太子妃であり妻であるマルティエナに、謝罪をした俺に許す条件として突きつけられたのは「十日間、マルティエナの好きなものを贈ること」だった。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる