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それは…剣で確めろ!

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はぁ…はぁ…はぁ…

はぁ…はぁ…はぁ…


足場が悪い…悪すぎる。

凸凹した足元に唇を噛んだ。
体が小さい分、相手の倍以上動かなくてはならないのに、それが出来ずアストンの剣に押されている。

ルシアン王子との手合わせをしたあとだったので、私は得意のレイピアとタガーナイフだが…
アストンの持つサーベルは、重く刀身が厚いため、一撃で首を断ち切る威力がある、そんな剣と実践でやりあうのは不利だ、ましてやこの足場では剣先を避けるので精一杯。

わかっていたのに…当たり前のことなのに…
アストンが私に勝てると言ったのは、こういうことだ。

でも、負けるわけにはいかない。


「体力がないお前には…堪えるだろうな。」

そう言いながらアストンは、サーベルを私へと振り下ろした。

凸凹の地面を転がるように避けると、今度はアストンの剣の裏刃が角度をつけて、私へと切り込んでくる。

防戦一方では勝てない。どうしよう。


カタカタ…

えっ?
私とアストンの息遣いしか聞こえない森の中だったのに…別の音が聞こえた。

耳を澄ませ、そしてその音の出処を眼で確認して…唇が上がった。
…なんだ。同じか…

クスッ

「…なぜ笑う?もう諦めたのか?」

「いや、アストン。お前もこの場所での戦いは、体に堪えているんだなぁと思うと、なんだか可笑しくて…」

「なんだと!」

「そうだよな。この足場だ。おまけにお前のサーベルは…重い。私はお前の剣に感謝しなくちゃいけないな。」

「なんだと?!」

「何度もその重い剣を、この足場の悪い場所で、振り回していては、体力は消耗している。ほら…鳴っているぞ。カタカタと剣が震えている音が…。」

「…お前こそ、この足場で剣から逃げ回って、体力を消耗しているだろう。」

「あぁ…だから五分と五分、まだ負けてはいないということだ。いや、お前の震える腕であと何回、剣を振り上げる事ができるかな。重い剣の威力はすざましい、だが長時間、こんな足場の悪い場所では、手に腰に…足に来る。さて…今度はやらせてもらおうか。私のレイピアを早さにどこまでついて来れるか、見せてもらおうか?」

「余程…自信があるのか…それともほら吹きか。」

「それは…剣で確かめろ!」

レイピアの突きに、アストンはサーベルでガードをしようとしたが、震える手では私の速さにはついてこれず、手を捻って、ガードをしようとしたことが返って、サーベルの握りを甘くしてしまい、そこをレイピアで弾いた。サーベルはアストンの足元に落ち、私はそのサーベルを蹴り飛ばし、アストンの顔に肘を食らわせた。

片膝をついたアストンの背後に回り、その喉元にタガーナイフを当て
「教えてもらおうか、ミラ…ンダ…姫の……ぁ…あれは?」

それは、視線の先に見えるエイブの屋敷からだった。
黒い煙と赤い炎が屋敷を包んで行くその様子に、途中で言葉を失った私にアストンが

「お前の従兄弟は…とうとう親を殺し、火事までつけやがったようだな。」

「エイブが…やったというのか?!嘘だ!いくらなんでも…親を手に掛けるなど…」

「…エイブは魂を食われた。」

「…?」

私の口から息のような声が漏れた瞬間、

アストンが私の手を捻り、タガーナイフを取り、私の上に馬乗りになると、タガーナイフを私の喉元の当てながら、「形成逆転。」と笑ったが…突然その眉間に皺がより、私の騎士服を左手で引きちぎるように破ると、大きな声で笑い出した。

「やっぱり、そうか!お前は…女だったんだな。ロザリーとシリルは同一人物だったんだ。」

私は黙って、アストンを見た。

肌蹴た騎士服の中、晒できつく巻かれた胸元に…アストンはまた笑うと

「俺に片膝をつけさせるとは、参ったぜ。美人だし、腕はいいし、気に入った。」

私の喉元に当てていたタガーナイフを、頬へと動かすと軽く叩き
「……大人しくしてな。」



そう言って、唇を重ねてきた。









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