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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
7日目 ロザリーとルシアン
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ずいぶん、お待たせしてしまったんだ。
でもこんな顔、見せたくない。
ゆっくりと近づいてくる足音に、私はそんなことを思った。
足音は私の隣で止まると、顔を上げる事が出来ない私の頭をポンポンと触れ、その足音の持ち主は座った。
隣から感じる視線に、やっぱり顔を上げる事ができず、下を向いたまま
「…手当は終わられたのですか…?」
「あぁ、マクドナルド医師にやってもらった。出血の割には傷は深くなかったそうだ。」
「…良かった。」
「心配かけた。すまない。」
「あ、謝らないでください!私が悪いんですから!私が…。」
謝られるルシアン殿下に、俯いていた顔を上げ叫んだ私を、血に染まった白い手袋から白い包帯へと変わった手で、私に触れようとされたが、私を見てその手を自分の膝へと置かれ
「泣いていたのか?」
「ルシアン殿下…。」
「またおまえは怒るだろうが…すまない。」
(泣いていたのか)と私に言われるルシアン殿下の方が、泣きそうな顔に見え、私は戸惑いながら
「どうして私に謝ろうとされるのですか?私が暗示と言うものに掛かり、ルシアン殿下を…。」
言葉に詰まる私をルシアン殿下は見つめられ、そして言われた。
「スイッチを入れたのは俺だからだ。」
「でもそれは!」
「恐らく暗示は誓いの言葉ではないかと思いながら言ったんだ。」
私の言葉に被るように言われた言葉の意味がわからなかった。
何度もルシアン殿下の言葉を、頭の中で繰り返し響かせたが理解できなくて
「なぜ…それならなぜ!誓いの言葉を言われたのですか?!」
「…暗示を実行させるためにだ。」
その言葉は…もっと私を混乱させた。
なぜと聞きたかった、でもルシアン殿下は辛そうな顔を見たら、声が出てこない。
そしてまた「すまない。」と、ルシアン殿下が言われた。
わからなかった、ルシアン殿下の気持ちがわからなかった。
ただ…
ルシアン殿下は暗示がかかった私と、剣を交えることにためらいはなかったという事だけはわかった。
それは胸が張り裂けそうな事実だった。
「私は…」
「ロザリー?」
「私は…」
そう言いながら、ルシアン殿下を見た。
「私は人を殺めることが怖いです。だから相手の戦意を失わせるような圧倒的な剣技を身に着けることで、戦ってきました…それが私の剣です。」
ルシアン殿下は黙って私を見ておられる。
「わかっておいででしょう?こんな事を言わなくても…」
何も言って下さらないルシアン殿下に、心が大きく乱れ、声が荒くなった。
「わかっていたはず!そんな私が、自分の意志を持たずに剣を握ればどうなるか、わかっておいでだったでししょう?」
「…わかっていた。」
「嘘!わかってなんかいない!!」
「ロザリー…。」
もう主君に対する口調ではなかった。
ただ、愛する人の言葉に怒りと悲しみで一杯になったひとりの女になっていた。
「わかってなんかいない!あなたと私が本気で剣を交えたら、どちらかが死ぬこともあったのに!」
そう言って、ハッとした。
本当にルシアン殿下が私を斬るだろうか?
「…違う、そうじゃない。あなたを殺すつもりで剣を握る私と、私を斬る事を躊躇うあなたでは…。あなたのほうが不利。」
そして、私はもっと、恐ろしい結末があったことに気が付いてしまった。
「何を考えているんです!あなたを忘れていた私なら、あなたを殺していたかもしれないのに!わかっていない。あなたはわかっていない!もし…あなたを手に掛けたら…私は…生きて行けないことを全然わかっていない!」
黙って、私を見るルシアン殿下に、私は初めて怒りをぶつけていた。
でもこんな顔、見せたくない。
ゆっくりと近づいてくる足音に、私はそんなことを思った。
足音は私の隣で止まると、顔を上げる事が出来ない私の頭をポンポンと触れ、その足音の持ち主は座った。
隣から感じる視線に、やっぱり顔を上げる事ができず、下を向いたまま
「…手当は終わられたのですか…?」
「あぁ、マクドナルド医師にやってもらった。出血の割には傷は深くなかったそうだ。」
「…良かった。」
「心配かけた。すまない。」
「あ、謝らないでください!私が悪いんですから!私が…。」
謝られるルシアン殿下に、俯いていた顔を上げ叫んだ私を、血に染まった白い手袋から白い包帯へと変わった手で、私に触れようとされたが、私を見てその手を自分の膝へと置かれ
「泣いていたのか?」
「ルシアン殿下…。」
「またおまえは怒るだろうが…すまない。」
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「スイッチを入れたのは俺だからだ。」
「でもそれは!」
「恐らく暗示は誓いの言葉ではないかと思いながら言ったんだ。」
私の言葉に被るように言われた言葉の意味がわからなかった。
何度もルシアン殿下の言葉を、頭の中で繰り返し響かせたが理解できなくて
「なぜ…それならなぜ!誓いの言葉を言われたのですか?!」
「…暗示を実行させるためにだ。」
その言葉は…もっと私を混乱させた。
なぜと聞きたかった、でもルシアン殿下は辛そうな顔を見たら、声が出てこない。
そしてまた「すまない。」と、ルシアン殿下が言われた。
わからなかった、ルシアン殿下の気持ちがわからなかった。
ただ…
ルシアン殿下は暗示がかかった私と、剣を交えることにためらいはなかったという事だけはわかった。
それは胸が張り裂けそうな事実だった。
「私は…」
「ロザリー?」
「私は…」
そう言いながら、ルシアン殿下を見た。
「私は人を殺めることが怖いです。だから相手の戦意を失わせるような圧倒的な剣技を身に着けることで、戦ってきました…それが私の剣です。」
ルシアン殿下は黙って私を見ておられる。
「わかっておいででしょう?こんな事を言わなくても…」
何も言って下さらないルシアン殿下に、心が大きく乱れ、声が荒くなった。
「わかっていたはず!そんな私が、自分の意志を持たずに剣を握ればどうなるか、わかっておいでだったでししょう?」
「…わかっていた。」
「嘘!わかってなんかいない!!」
「ロザリー…。」
もう主君に対する口調ではなかった。
ただ、愛する人の言葉に怒りと悲しみで一杯になったひとりの女になっていた。
「わかってなんかいない!あなたと私が本気で剣を交えたら、どちらかが死ぬこともあったのに!」
そう言って、ハッとした。
本当にルシアン殿下が私を斬るだろうか?
「…違う、そうじゃない。あなたを殺すつもりで剣を握る私と、私を斬る事を躊躇うあなたでは…。あなたのほうが不利。」
そして、私はもっと、恐ろしい結末があったことに気が付いてしまった。
「何を考えているんです!あなたを忘れていた私なら、あなたを殺していたかもしれないのに!わかっていない。あなたはわかっていない!もし…あなたを手に掛けたら…私は…生きて行けないことを全然わかっていない!」
黙って、私を見るルシアン殿下に、私は初めて怒りをぶつけていた。
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