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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie
7日目㊱
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「…誰も好きになったことはないのか?。」
それは自分の声だったのだろうか…。
喉から出た声は、まるで迷子の子供のように、不安気な声に聞こえた。
「私は幼い頃から騎士として育てられ、ただ国や主君を守る事を第一として生きてきました。それ以外の感情など邪魔なだけだと思っております。」
わかっている。
本来のロザリーではない事は…。
わかっていたはずだった。
暗示で感情と言うものを消されたロザリーは、人を殺める事に躊躇しない剣になっていたことは…。
だが…
交わした思いを…。
触れ合った体の熱さも…忘れた…いや、なかったと言われるのはかなりつらいものだ。
暗示を解かなければ、ロザリーはこのままヒューゴのいいなり。
それは俺のロザリーでなくなるということ。
許さない。
俺からロザリーを奪う事は許さない。
「俺のロザリーを返してもらうおうか…。」
その声に、ロザリーは顔を歪め
「今なんと?」
暗示を解く。
俺は信じている。俺のロザリーはあの体の中にまだいる。
だから…
「…剣で…」
あの体にいるロザリーに訴える。
俺の剣筋を知っているロザリーなら、剣を交えれば、始めて手合わせをしたのではない事はわかるはず。
俺は、ロザリーが叩き落としたアストンの剣を手に取り
「剣でお相手しよう。」
俺の剣筋がなぜ読めるのか、ロザリーが疑問に思った時点で、暗示に綻びがでる。
マクドナルド医師とミランダがいるのだから、綻びさえでれば、必ず暗示は解けるはずだ。
「では、遠慮なく参ります。」
ロザリーの剣は、俺の喉元を狙ってきた。確実に殺すつもりの剣。
そして得意のレイピアとタガーナイフの二刀流じゃないのに、剣のスピードは落ちてはいない。
だが…
俺はロザリーが押してくる剣を跳ねのけ
「レイピアじゃないぶん、剣に力があるが、そのやり方では俺には勝てない。」
「そうですね。ローラン王に比べれば、剣に乗せるほど体重がないので力負けはしょうがないです。この剣ではいつものような戦いは出来ないのですから…。でもそれはローラン王、あなたもそのようですね。どうやらいつもより剣が軽いので、ほんの少し剣を振り切るタイミングが悪いように見受けられます。」
「お互い得意の剣ではないからな。」
「確かに。あなたがいつものロングソードだったら………ぇ…。」
疑問に思え。
「あぁ、俺の剣はロングソードだ。よく知っているな。」
俯いたロザリーに俺は畳みかけるように
「そしてロザリー、おまえはレイピアとタガーナイフの二刀流。」
疑問に…思ってくれ。
下を向いたままのロザリーを見つめながら、そして暗示を解く切っ掛けを探りながら
「なぜ、おまえがレイピアとタガーナイフの二刀流だと、俺が知っているのかと思っただろう?」
ビクンとロザリーの体が動いた。
「剣を交えておかしいと思っただろう?」
ロザリー、どうか気付いてくれ。
何を言わず下を向いているロザリーの金色に輝く髪が微かに揺れ、髪につけた花が一凛…地面に落ちた。
ロザリーはゆっくり顔を上げるとクスリと笑い
「人の心を読むのも、操るのも、魂との交換で貰ったものですか?」
「…ロザリー」
ロザリーは頭を横に振り
「まぁ、私にだってわかる簡単な事ですから。悪魔の力を使うほどのことではないですよね。」
剣を握り直しルシアンに向け
「ローラン王のその立派な体格なら、ロングソードだろうと察しがつきます。そして私のような体格ならレイピアのような細い剣のほうがより早く動くことができる。でもローラン王がお得意のロングソードのような剣を受け止める為には、レイピアでは折られてしまいますから、盾が必要。でもこの体格を生かしての戦いなら、盾を持っては不利。だから攻撃を防ぐ盾にもなるタガーナイフが、私にはあっている事ぐらいは剣を握った事がある者ならわかること。」
ダメか…。
一瞬そう思った俺は、ロザリーの剣をよけるのに遅れ、バランスを崩してしまい、その瞬間をやはりロザリーは見逃さなかった。
古武術で足を払われ、俺は地面に倒れた。
それは自分の声だったのだろうか…。
喉から出た声は、まるで迷子の子供のように、不安気な声に聞こえた。
「私は幼い頃から騎士として育てられ、ただ国や主君を守る事を第一として生きてきました。それ以外の感情など邪魔なだけだと思っております。」
わかっている。
本来のロザリーではない事は…。
わかっていたはずだった。
暗示で感情と言うものを消されたロザリーは、人を殺める事に躊躇しない剣になっていたことは…。
だが…
交わした思いを…。
触れ合った体の熱さも…忘れた…いや、なかったと言われるのはかなりつらいものだ。
暗示を解かなければ、ロザリーはこのままヒューゴのいいなり。
それは俺のロザリーでなくなるということ。
許さない。
俺からロザリーを奪う事は許さない。
「俺のロザリーを返してもらうおうか…。」
その声に、ロザリーは顔を歪め
「今なんと?」
暗示を解く。
俺は信じている。俺のロザリーはあの体の中にまだいる。
だから…
「…剣で…」
あの体にいるロザリーに訴える。
俺の剣筋を知っているロザリーなら、剣を交えれば、始めて手合わせをしたのではない事はわかるはず。
俺は、ロザリーが叩き落としたアストンの剣を手に取り
「剣でお相手しよう。」
俺の剣筋がなぜ読めるのか、ロザリーが疑問に思った時点で、暗示に綻びがでる。
マクドナルド医師とミランダがいるのだから、綻びさえでれば、必ず暗示は解けるはずだ。
「では、遠慮なく参ります。」
ロザリーの剣は、俺の喉元を狙ってきた。確実に殺すつもりの剣。
そして得意のレイピアとタガーナイフの二刀流じゃないのに、剣のスピードは落ちてはいない。
だが…
俺はロザリーが押してくる剣を跳ねのけ
「レイピアじゃないぶん、剣に力があるが、そのやり方では俺には勝てない。」
「そうですね。ローラン王に比べれば、剣に乗せるほど体重がないので力負けはしょうがないです。この剣ではいつものような戦いは出来ないのですから…。でもそれはローラン王、あなたもそのようですね。どうやらいつもより剣が軽いので、ほんの少し剣を振り切るタイミングが悪いように見受けられます。」
「お互い得意の剣ではないからな。」
「確かに。あなたがいつものロングソードだったら………ぇ…。」
疑問に思え。
「あぁ、俺の剣はロングソードだ。よく知っているな。」
俯いたロザリーに俺は畳みかけるように
「そしてロザリー、おまえはレイピアとタガーナイフの二刀流。」
疑問に…思ってくれ。
下を向いたままのロザリーを見つめながら、そして暗示を解く切っ掛けを探りながら
「なぜ、おまえがレイピアとタガーナイフの二刀流だと、俺が知っているのかと思っただろう?」
ビクンとロザリーの体が動いた。
「剣を交えておかしいと思っただろう?」
ロザリー、どうか気付いてくれ。
何を言わず下を向いているロザリーの金色に輝く髪が微かに揺れ、髪につけた花が一凛…地面に落ちた。
ロザリーはゆっくり顔を上げるとクスリと笑い
「人の心を読むのも、操るのも、魂との交換で貰ったものですか?」
「…ロザリー」
ロザリーは頭を横に振り
「まぁ、私にだってわかる簡単な事ですから。悪魔の力を使うほどのことではないですよね。」
剣を握り直しルシアンに向け
「ローラン王のその立派な体格なら、ロングソードだろうと察しがつきます。そして私のような体格ならレイピアのような細い剣のほうがより早く動くことができる。でもローラン王がお得意のロングソードのような剣を受け止める為には、レイピアでは折られてしまいますから、盾が必要。でもこの体格を生かしての戦いなら、盾を持っては不利。だから攻撃を防ぐ盾にもなるタガーナイフが、私にはあっている事ぐらいは剣を握った事がある者ならわかること。」
ダメか…。
一瞬そう思った俺は、ロザリーの剣をよけるのに遅れ、バランスを崩してしまい、その瞬間をやはりロザリーは見逃さなかった。
古武術で足を払われ、俺は地面に倒れた。
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