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勇者と冥王のママは暁を魔王様と
第四章・私の星4
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城の大広間で祝賀式典が始まって一時間ほどが過ぎました。
その間、招待者の祝辞だけでなく楽団の演奏などの演目が続きます。
「ブレイラ、まだ……?」
こてん、ゼロスが私に凭れかかってきました。
つまらなさそうに唇を尖らせて、床に届かない足をぶらぶらさせています。
最初は頑張って式典に参加していたゼロスですが、さすがに一時間を経過すると限界が訪れたようです。
「疲れてしまいましたか?」
「うん。つまんないの……」
「そうですね、でもよく頑張っていますね」
いい子いい子と頭を撫でてあげました。
式典が始まってからゼロスは私の膝に座ったり、凭れかかったり、抱きついてきたり、丸くなってゆらゆらしたり、じっとしていられず落ち着きない様子でした。でも、騒いだり駄々をこねたり大きな声を出したりすることはなかったので上出来です。まだこんなに幼いのに一時間もよく頑張りましたね。
「別のお部屋で遊んでいてもいいですよ?」
「ブレイラもいっしょ?」
「一緒にいてあげたいですが、私は式典が終わるまでここにいなくてはいけません」
「……それじゃあ、ぼくもここにいる」
「頑張れますか?」
「……がんばるから、だっこして?」
「ふふふ、いいですよ」
小声で会話してゼロスを膝に乗せてあげます。するとぎゅっと抱き着いてきました。
私の首元に顔を埋めてしまって、もしかしたら眠ってしまうかもしれませんね。
大広間の中心にある壇上にジークヘルムが登壇しました。祝辞を受けて返礼の挨拶が始まったのです。祝辞に続いてモルダニア大国の今後について語りだしました。まだまだこの式典は終わりそうにないですね。
「ゼロス、くすぐったいですよ?」
「ん~、だって……」
もぞもぞするゼロスの動きがくすぐったくて肩を竦めてしまう。身を捩るも、次はくんくんと匂いを嗅いできました。
…………。
相手は子どもとはいえ素肌の匂いを嗅がれるというのは、なんともいえない恥ずかしさがあります。
「こ、こら……」
やめなさい……と小声で注意しようとしましたが。
「におい、する」
「ええっ?!」
バッと首元を手で押さえました。
匂う?! 私が?! そ、それは、く、くく、くさいということですか?!
側に控えていたコレットが慌てて「ブ、ブレイラ様っ……」と声を掛けてくれます。
周囲の方々が驚いたように私を振り返っていて慌てて口を手で塞ぐ。
……コホンッ。誤魔化すように咳払いを一つ。目が合った方々には会釈して何ごともない風を装いました。
こうして場を収めると、抱っこしているゼロスを覗き込みました。
「に、におうとは何事ですっ。…………わ、私、ほんとうに匂ってるんですか……?」
私の入浴には石鹸だけでなく香油も使われますが、日常的に強い香りを纏ったりしません。今日も特別なことはしていないので特徴のある香りはしないはずですが。
「ブレイラじゃないの。くんくんすると、におうの」
「におう? ……あ、本当ですね。なんの香りでしょうか」
くんくん匂いを嗅ぐと微かに甘い香りがしました。
花のような蜜のような、もしくは香草を焚いたような不思議な匂い。初めて嗅ぐ香りです。
漂いだした微香に大広間の王侯貴族たちも気付きだしました。最初は微香だったのに徐々に強さを増していく。
そして、ザッザッザッ……、大広間の外からたくさんの足音が聞こえてきました。行列のように規律正しく響くそれが大広間に近づいてくるのです。
参列する王侯貴族がざわめきだしました。
でも壇上のジークヘルムが気にすることはなく高らかに返礼の言葉を続けています。
「――――いにしえの時代より続く我が国の栄光がこれからも不動であること! それは人間界に平和を齎すもので、すべての人間の望みといっても過言ではありません! それを悠久のものにする為、私は一つの決断をしたのです!! 全ての人間よ、一つに集え!! 人間界を一つに!!!!」
――――バターーン!!!!
ジークヘルムが高らかに言ったのと大広間の大扉が開かれたのは同時。大広間に数えきれないほどの異形の怪物が雪崩れ込んできました。
突然の事態に大広間が混乱します。
「な、なにごとだ!!」
「うわあっ、どうして怪物が?!」
「どういうことだっ!」
大広間に怒号と悲鳴が飛び交います。
護衛兵士たちが参列者たちを守りながら怪物に応戦しますが、怪物が波のように押し寄せてきます。
「こ、こんな事がっ……」
予想もしていなかった事態に息を飲む。
この緊急事態にコレットが直ちに判断を下します。
「ブレイラ様、ここからすぐに離れましょう! 今すぐ安全な場所へ!」
「は、はいっ。お願いします!」
「転移魔法発動しますっ。……えっ、魔法陣が出現しないっ……?」
コレットの言葉に私も驚いてしまう。
「コレット、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫ですっ。おそらく城の敷地全域に魔法陣封じの術式が張られているのではないかと思います。しかしご安心ください、必ず無事にお連れしますので!」
コレットは力強く私に誓うと女官や侍女に命令します。
「ブレイラ様とゼロス様を必ずお守りせよ! 配置に着け!」
「はっ!」
「王妃様、こちらです!」
同行していた女官や侍女たちが私とゼロスを囲み、大広間から脱出を始めます。
今や大広間は怪物たちの猛攻と、応戦する兵士、逃げようとする王侯貴族たちで混乱していました。
「ブレイラ……」
手を繋いでいるゼロスが不安そうに見上げてきました。
大きな瞳が怯えたように潤んでいて、安心させるように手を差し伸べました。
「ゼロス、来なさい。抱っこしてあげます」
「うんっ」
ゼロスの小さな体を抱っこし、コレットの誘導で走ります。
途中で怪物に襲われましたが私を囲む女官が応戦して撃退しました。
「ブレイラ様、お怪我はございませんか?!」
「大丈夫ですっ、ありがとうございます!」
私専属の女官は軍部出身の者が多く構成されていて、侍女たちも体術剣術の心得がある者達ばかりなのです。女官になったばかりのエミリアも、コレットに勝るとも劣らない働きで怪物を撃退していきます。
こうして混乱する大広間を出て、外を目指して長い回廊を走り続けます。回廊も大広間と同様で、数と力で圧倒する怪物に対して防戦一方になっていました。
走っていると、ひと際巨体の怪物が立ち塞がる。
「ブレイラ様、お下がりください!」
コレットが私の前に立って闘気を高め、女官や侍女たちも警戒を高めます。
私はゼロスをぎゅっと抱きしめて身構えましたが、その時。
「邪魔だ、退け!!」
ドガッ!!!!
人影が飛び出してきたかと思うと強烈な飛び蹴り! イスラです! 衝撃に巨体の怪物が吹っ飛びました。
「イスラ!」
「ブレイラ、大丈夫か?! そこで待ってろ!」
イスラはそう言うと、周囲の怪物をあっという間に撃退してしまいました。
そのイスラの姿に私もほっと安堵の息をつく。抱っこしているゼロスも大きな瞳を輝かせました。
「あにうえだ! あにうえ~!」
ゼロスが私の腕からぴょんと飛び降りてイスラの元へ駆けていく。
私もイスラの元へ行き、その手を取りました。どこも怪我をしていませんね、無事で良かったです。
その間、招待者の祝辞だけでなく楽団の演奏などの演目が続きます。
「ブレイラ、まだ……?」
こてん、ゼロスが私に凭れかかってきました。
つまらなさそうに唇を尖らせて、床に届かない足をぶらぶらさせています。
最初は頑張って式典に参加していたゼロスですが、さすがに一時間を経過すると限界が訪れたようです。
「疲れてしまいましたか?」
「うん。つまんないの……」
「そうですね、でもよく頑張っていますね」
いい子いい子と頭を撫でてあげました。
式典が始まってからゼロスは私の膝に座ったり、凭れかかったり、抱きついてきたり、丸くなってゆらゆらしたり、じっとしていられず落ち着きない様子でした。でも、騒いだり駄々をこねたり大きな声を出したりすることはなかったので上出来です。まだこんなに幼いのに一時間もよく頑張りましたね。
「別のお部屋で遊んでいてもいいですよ?」
「ブレイラもいっしょ?」
「一緒にいてあげたいですが、私は式典が終わるまでここにいなくてはいけません」
「……それじゃあ、ぼくもここにいる」
「頑張れますか?」
「……がんばるから、だっこして?」
「ふふふ、いいですよ」
小声で会話してゼロスを膝に乗せてあげます。するとぎゅっと抱き着いてきました。
私の首元に顔を埋めてしまって、もしかしたら眠ってしまうかもしれませんね。
大広間の中心にある壇上にジークヘルムが登壇しました。祝辞を受けて返礼の挨拶が始まったのです。祝辞に続いてモルダニア大国の今後について語りだしました。まだまだこの式典は終わりそうにないですね。
「ゼロス、くすぐったいですよ?」
「ん~、だって……」
もぞもぞするゼロスの動きがくすぐったくて肩を竦めてしまう。身を捩るも、次はくんくんと匂いを嗅いできました。
…………。
相手は子どもとはいえ素肌の匂いを嗅がれるというのは、なんともいえない恥ずかしさがあります。
「こ、こら……」
やめなさい……と小声で注意しようとしましたが。
「におい、する」
「ええっ?!」
バッと首元を手で押さえました。
匂う?! 私が?! そ、それは、く、くく、くさいということですか?!
側に控えていたコレットが慌てて「ブ、ブレイラ様っ……」と声を掛けてくれます。
周囲の方々が驚いたように私を振り返っていて慌てて口を手で塞ぐ。
……コホンッ。誤魔化すように咳払いを一つ。目が合った方々には会釈して何ごともない風を装いました。
こうして場を収めると、抱っこしているゼロスを覗き込みました。
「に、におうとは何事ですっ。…………わ、私、ほんとうに匂ってるんですか……?」
私の入浴には石鹸だけでなく香油も使われますが、日常的に強い香りを纏ったりしません。今日も特別なことはしていないので特徴のある香りはしないはずですが。
「ブレイラじゃないの。くんくんすると、におうの」
「におう? ……あ、本当ですね。なんの香りでしょうか」
くんくん匂いを嗅ぐと微かに甘い香りがしました。
花のような蜜のような、もしくは香草を焚いたような不思議な匂い。初めて嗅ぐ香りです。
漂いだした微香に大広間の王侯貴族たちも気付きだしました。最初は微香だったのに徐々に強さを増していく。
そして、ザッザッザッ……、大広間の外からたくさんの足音が聞こえてきました。行列のように規律正しく響くそれが大広間に近づいてくるのです。
参列する王侯貴族がざわめきだしました。
でも壇上のジークヘルムが気にすることはなく高らかに返礼の言葉を続けています。
「――――いにしえの時代より続く我が国の栄光がこれからも不動であること! それは人間界に平和を齎すもので、すべての人間の望みといっても過言ではありません! それを悠久のものにする為、私は一つの決断をしたのです!! 全ての人間よ、一つに集え!! 人間界を一つに!!!!」
――――バターーン!!!!
ジークヘルムが高らかに言ったのと大広間の大扉が開かれたのは同時。大広間に数えきれないほどの異形の怪物が雪崩れ込んできました。
突然の事態に大広間が混乱します。
「な、なにごとだ!!」
「うわあっ、どうして怪物が?!」
「どういうことだっ!」
大広間に怒号と悲鳴が飛び交います。
護衛兵士たちが参列者たちを守りながら怪物に応戦しますが、怪物が波のように押し寄せてきます。
「こ、こんな事がっ……」
予想もしていなかった事態に息を飲む。
この緊急事態にコレットが直ちに判断を下します。
「ブレイラ様、ここからすぐに離れましょう! 今すぐ安全な場所へ!」
「は、はいっ。お願いします!」
「転移魔法発動しますっ。……えっ、魔法陣が出現しないっ……?」
コレットの言葉に私も驚いてしまう。
「コレット、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫ですっ。おそらく城の敷地全域に魔法陣封じの術式が張られているのではないかと思います。しかしご安心ください、必ず無事にお連れしますので!」
コレットは力強く私に誓うと女官や侍女に命令します。
「ブレイラ様とゼロス様を必ずお守りせよ! 配置に着け!」
「はっ!」
「王妃様、こちらです!」
同行していた女官や侍女たちが私とゼロスを囲み、大広間から脱出を始めます。
今や大広間は怪物たちの猛攻と、応戦する兵士、逃げようとする王侯貴族たちで混乱していました。
「ブレイラ……」
手を繋いでいるゼロスが不安そうに見上げてきました。
大きな瞳が怯えたように潤んでいて、安心させるように手を差し伸べました。
「ゼロス、来なさい。抱っこしてあげます」
「うんっ」
ゼロスの小さな体を抱っこし、コレットの誘導で走ります。
途中で怪物に襲われましたが私を囲む女官が応戦して撃退しました。
「ブレイラ様、お怪我はございませんか?!」
「大丈夫ですっ、ありがとうございます!」
私専属の女官は軍部出身の者が多く構成されていて、侍女たちも体術剣術の心得がある者達ばかりなのです。女官になったばかりのエミリアも、コレットに勝るとも劣らない働きで怪物を撃退していきます。
こうして混乱する大広間を出て、外を目指して長い回廊を走り続けます。回廊も大広間と同様で、数と力で圧倒する怪物に対して防戦一方になっていました。
走っていると、ひと際巨体の怪物が立ち塞がる。
「ブレイラ様、お下がりください!」
コレットが私の前に立って闘気を高め、女官や侍女たちも警戒を高めます。
私はゼロスをぎゅっと抱きしめて身構えましたが、その時。
「邪魔だ、退け!!」
ドガッ!!!!
人影が飛び出してきたかと思うと強烈な飛び蹴り! イスラです! 衝撃に巨体の怪物が吹っ飛びました。
「イスラ!」
「ブレイラ、大丈夫か?! そこで待ってろ!」
イスラはそう言うと、周囲の怪物をあっという間に撃退してしまいました。
そのイスラの姿に私もほっと安堵の息をつく。抱っこしているゼロスも大きな瞳を輝かせました。
「あにうえだ! あにうえ~!」
ゼロスが私の腕からぴょんと飛び降りてイスラの元へ駆けていく。
私もイスラの元へ行き、その手を取りました。どこも怪我をしていませんね、無事で良かったです。
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