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十三章 龍と仮面
百五十九話 儂の生徒
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(……ウルスたちが出て3日…………いつ帰ってくるのかな。)
調査隊によってしばらく休日になったため、今日も私は1人訓練所で特訓をしていた。
周りには何人か同じように特訓をしている人がおり、そんな風景を見て何か……胸に寂しさのようなものを感じた。
「…………久しぶりに、感じたな……」
ここに来てからはほぼ毎日……特にウルスと一緒に過ごしていたせいか、今までのように1人で居るとどこか物足りなさを感じてしまった。
昔はそんなの感じた……いや、許されない感情だった。そんな資格はないと、ずっと心に刻んで生きてきたけど…………
『……資格は、ある。』
『だってお前は…………優しいだろ?』
ウルスは、そう言ってくれた。魔力暴走の危険性を知っていながらも優しく手を伸ばしてくれる……そして、どんな時も守ってくれて…………
(…………この…『気持ち』、は……?)
「……あれ、フィーリィアさん? お一人で特訓ですか?」
「…………カーズと……ソーラ?」
湧き上がって来た感情に首を傾げていたところ、カーズとソーラの2人はこちらへと近づいて挨拶をしてくれた。それを頷きで返しながら、私は彼らのある異変に気づく。
「……今日は元気そうだね。」
「えっ、『今日』? どういう意味だフィーリィア?」
「……だって、最近2人とも動きが鈍い。魔法か何か……訓練? でもしてるんでしょ?」
「……鋭いですね。せっかくなら、皆さんには完成したところを見せたかったんですが……せっかくなのでフィーリィアさんにも付き合ってほしいですね。」
「…………何するの。」
私がそう聞き返すと、カーズが体の魔力を急に高め始め……強烈な気配を漂わせる魔法を発動した。
「『レベル1・アクア』……ぐぅっ!」
「……それって、確か…………化身流の魔法?」
「知ってたのかフィーリィア、なら話は早いな。俺も今、似て非なる魔法を練習してるんだが……如何せん2人でずっとやってたら凝り固まって来てな。フィーリィアも手伝ってくれないか?」
「……別にいいけど……それってそんなに難しい魔法なの?」
「何せ、英雄の魔法、ですから……僕だって、最近やっと……」
「おっ、なんか面白そうなことやってるねっ!!!」
……この溌剌とした声は…………
「…………マグア?」
「えっと、確かカーズ=アイクとソーラ=ムルスに……フィーリィアだったっけ? 3人とも同じクラスでたまにター…ルくんと話してるよね、仲良いの!?」
「タ、『タールくん』……カリストのことか? 別にそこまでだが……というか急に何の用なんだ?」
「ん? たまたまここに来たら見覚えのある顔があるなって、それでアイクが見たことない魔法を使ってたから僕も混ざりたいなって!」
「カーズで、いいです、よ……別にそこまで面白いものでもないと思いますが。」
カーズは魔法を一度解除し、興奮気味のマグアを落ち着かせようとする。それをぼんやりと眺めていると、ソーラが何やら小声で話しかけて来た。
「……なあ、なんでマグアってあんなにカリストを気に入ってると思う?」
「…………前から面識があった、とか?」
「そんな風には見えなかったけどなぁ……実際カリストは滅茶苦茶嫌がってるし、マグアの一方的な感じだが…………大体、カリストの性格ならもっと突き放してもおかしくないと思わないか?」
(…………そうかな……)
確かに、昔の……夏頃のカリストなら一蹴していたに違いない。
『おいおい、なんだぁ? 俺も混ぜてくれよ。』
あの時の彼は自尊心の塊で、誰に対しても見境なく噛み付くような男だったが、ウルスに負けてからはどこか余裕のある姿を見ることが多くなった。
『……ああ、今まで散々言ってくれたんだ。ちょっとくらい俺たちの願いを聞いてくれたってバチは当たらないもんだぜ?』
やがて、彼はニイダに乗せられた……いや、乗った形ではあれど、私たちと一緒にウルスと戦い……抱え込んでいる『何か』を晴らした。
(……ウルスはあの時、何を迷っていたのだろう。)
…………みんな、何かを抱えて……『正解』を探しながら生きている。
何が正しいのか、何が間違っているのか……それを決める手段も方法も無いのに、ずっと…………そして、ソレは私も……………
『た…………す…けぇ…………』
『…………フ……ィ……リ、ァ………』
「……どうしたの、フィーリィア? 顔、暗いよ?」
「ぇ……い、いや、何でも…………??」
俯きそうになる頭を無理やり上げ、マグアに返事をしようとしたところ私だったが…………不意に、何か『変な感覚』を覚える。また、その感覚に従うように空へ目を向けると……………
「…………紫色……?」
「えっ、『紫』って何のこ……っ!!?? 何ですかこの空っ!??」
「う、薄い紫色に染まってる……何なんだこれ?」
「あ、ほんとだ~変な色。何かの魔法かな?」
「いや……結界? だと思う、けど……」
私たちが騒ぎ出したことによって、訓練所に居た他の人たちも揃って異様な空を見上げる。そしてその景色にそれぞれの声を届かせ始めた。
「結界? 何でこんなところに?」
「さぁ、何かの試験的な? 最近物騒だし、この学院にもそういう研究をする場所があるしね。」
「いや、だからといってここでするか? アレがどんな効果なのか知らないが、下手をすれば俺たち閉じ込められたまんまだぞ?」
(閉じ込め…………)
『おいおい、勘違いしてもらっては困るなぁ。あくまで望んだのはその男、俺はそれにちょろっと協力してやっただけだ。』
……神に襲われた際、あの辺りには結界のような物が仕掛けられていたと後で知らされた。その時は夢中で気づかなかったが、この悪寒の走る気配はもしかして…………
「……カーズ、ソーラ……来る。」
「『来る』って……まさか奴らが!?」
「おいおい、今ここにウルスは居ないんだぞ……どうすればいいんだ!?」
「えっ、えっ、何なに? なにが起こってるの? 僕なにも把握してないんだけど?」
「マ、マグア、揺らさないで……とりあえずここから逃げ……」
「思ったより人が居るな……熱心なことだ。だがこんなことをして一体何になるのか、何者かに成れると思っているのか……反吐が出る。」
「「「…………!!?」」」
刹那、訓練所の中心から異様な気配を感じ取る。その方向へ恐るおそる目を向けると……表情と感情を見させない紫色の仮面を付けた細身の男が立っていた。
「……? 誰? なんか変な仮面付けてるけど……」
「あ、あの仮面は……仲間なのか……!?」
「ねぇねぇ、誰なのって。みんなの知り合い?」
「違います……あれは、神です。」
「…………でゅお? でゅおって………神っ!!?」
(どうする……今ここには私たちしか………)
動揺を隠しきれない私たちを他所に、紫仮面の男は辺りを見渡しながら何やら考え事していた。すると、男に学生の1人が声をかけようとしてしまっていた。
「……なぁあんた、変なの付けてるけど誰なんだ?」
「っ……そこの、今すぐ離れ……!!」
「………………
…………消えろ、雑魚が。」
私が止めるより先に、色の無い一言とともに……話しかけた男の子が吹き飛ばされてしまう。その瞬間、周りの人たちの声が疑問から恐怖へと変化していった。
「…………えっ、なに!!? なにしたの今の!!??」
「さ、さっき、あいつら神っつってたよな……もしかして本当にそうなのかっ!!!?」
「な、何でこんなところに!?? もしかして私たちを………!!」
「…………耳障りな虫共だ。まあ、少しくらい殺して時間でも潰させてもらおうか。」
「「「……………!!!」」」
脅すためか本気なのか、男はそう冷淡に言い放ち……途端にこの場は混乱状態へと陥る。
「フィ、フィーリィアさん……これは…………!」
「…………今、ウルスや強い人たちはみんな調査隊に出てる。それに結界のせいで学院長が気づいているかどうか……だから…………」
「……俺たちだけでどうにかするしかないってことか? だが全員混乱してて、まともな連携は取れないぞ?」
「なら、私たちだけでなんとか時間を稼ぐしかない。」
「…………あっ、それって僕も入ってるよね?」
「……どっちでも。」
地味に冷静なマグア含め、ここで戦える意志を持っているのは4人しかいない。そのため、とてもじゃないが勝てる見込みは無いが……やらなければ死ぬだけだ。
(……他の人たちが逃げようと結界を無闇に叩いているが……それくらいじゃ絶対に壊さないだろう。そもそもこの場の人間に壊せるのかどうか……せめてマジックブレイクを使える人がいたら…………)
「…………とりあえず、ソーラは飛ばされた人を助けに行って。その間は3人で何とか対処する。」
「だ、大丈夫なのか? あいつらの実力は半端じゃ無いんだぞ?」
「……そんな心配をしている暇もないようです。」
カーズの言う通り、私たちがコソコソと話している姿が気になったのか、紫仮面がこちらへと振り返って歩いて来た。
「……無知の中にも、幾分か落ち着けているのも居るようだな。」
「…………無知なのは、そっち。」
「ふっ、減らず口まで叩けるか……もしかして、『赤』を見たことがある奴らか?」
(…………どこまで知ってる……?)
情報が全く足りない以上、ここで何とか引き出してついでに時間を稼ぎたいが……そんな技量も話術も度胸もない。今は眼前の目標を達成させるしかない……
「……見えてるぞ、『毒霧の刀』!!」
「ソーラ、危ないです!!!」
「くそっ……こうなったらっ!!!」
私が話しかけている隙にこっそり救出しようとしていたソーラだったが、男はすかさず超越級魔法で攻撃を仕掛けた。それに対しソーラは盾と剣を構えるが……とてもそんなものじゃ抑えられな…………
「『第一形態・灯火』、はぁぁっ!!!」
「……ほう?」
「……カーズのと似てる…………」
(いや、今のうちに!!)
感嘆を隅に追いやり、ソーラが耐えている内に私は剣をとって男へ距離を詰めていく。また、それに続くようにカーズも後ろから槍を持って続き、私と同時に攻撃を仕掛けた。
「はぁ!!」「やっ!!!」
「……筋はいいが……当たるわけがない!!」
「「ぐっ!!?」」
しかし、それも軽々と避けられ、腕払いの風圧だけで吹き飛ばされてしまう。やはり、私たちの攻撃じゃ当たることすら難しいのだろうが……かといって魔法は…………
「カー…ズ、さっき、見せてくれた魔法、は……?」
「あれは……まだ未完成、なんです。発動はともかく、神相手にはとても………」
(……どうすれば…………)
私の魔法は……所詮、使い物にならない。あの人に教えてもらった魔法も……まだ、私なんかじゃ扱えない。
(それに……暴走してしまったら、みんなが…………)
「…………タールくんが言ってたことはほんとだったんだね。なら……躊躇なんかしてられない!!!」
「……マグア、何を……?」
「みんな、ここは僕があいつを倒す! その間にどうにかしてね!!」
「ど、どうにかって、マグアさんの力じゃ勝てませんよ!?」
「それはどうかな……はぁぁぁ………!!」
「……………………」
何を考えてか、マグアは急にそんなことを言い始め、両手を空へと掲げる。すると、何故か紫仮面はその様子をどこか余裕そうに眺めていた。
「……何をするか知らないが、本気で俺を倒せるとても?」
「へへっ、ならちゃんと受け止めてよね? 世界を騒がせている神さんがこれしきで逃げるようじゃ笑いものだよ?」
「…………まあいい、肩慣らしに相手してやる……小娘。」
マグアは敢えて挑発的な態度を取りながら、標的を自分の方へと向けるように仕向ける。そして、こちらへそれぞれ目をパチパチさせて合図を取ってきた。
「……カーズ、化身流で結界を壊してみて。あの魔法ならいけるかもしれない。」
「は、はい……ですがフィーリィアさんは……」
「…………マグアを守る。」
「食らえっ、『スターダスト・スピア』!!!!!」
「……………!」
途端、マグアの詠唱から彼女の合わせた両手から青い光が数多に放出される。その光たちは瞬く間に紫仮面へと襲い掛かり……この舞台を明るく照らした。
「まだまだぁっ……僕の全魔力をぶつけてやる!!」
「……くっ、意外とうざったいなっ!!」
(ほとんど効いてない……けど、足止めにはなってる!)
手数の多さが功を成しているのか、ダメージは薄くとも十分彼女の攻撃は時間稼ぎになっていた。その隙に私は再び距離を詰めていき、裏をとって魔法を放った。
「打て、『アイススフィア』!」
「……小賢しい!!」
「こっちも忘れないでよっ!!!」
挟み撃ちにしながら、どうにかカーズが結界を壊すのを待つが……未だにその様子は見えない。このままじゃマグアの魔力が尽きてしまう…………
「いくら放とうとも、俺を倒せはしない……悪足掻きも程々にしろ!」
「悪足掻き? 違うね、僕は『倒す』って言ったんだよ!」
「ならどうする! このまま無駄な労力を費やすだけか!?」
「無駄なことなんてない……そっちが『無知』なだけっ!」
「人の言葉を買うのが随分と好きなようだな……なら、それを証明して見せろ!」
「ああ、やってやるよ!!」
その言葉を買ったのは私でもマグアでもなく……燃えるように赤い光を漂わせている剣を握ったソーラだった。どうやらちゃんとマグアの目は届いていたようだ。
「人を簡単に傷つけやがって……これはその報いだぁぁっ!!!!!」
「「…………!!!」」
ソーラの剣はより一層輝きを増させながら、板挟み状態の紫仮面へ勢いよく振り翳した。するとその刹那……眩い閃光とともに烈火の如く炎が一直線に地面を焼き尽くした。
「うぉっ……凄い威力!!」
「っ、立ってられない………!」
その勢いに離れていた私たちでさえも押されてしまい、たまらず膝をついてしまう。この魔法、単純な威力だけで言ったら超越級と同等かそれ以上…………
「…………今のは、流石の俺も効いた。だが……ふん!」
「なっ、ぐはぁっ……!!?」
「マグア……がはぁっ!?」
「2人とも……うっ……!」
しかし、それでも対等とは程遠く、男は全てを受け止めてからマグアとソーラを殴り飛ばし、彼らの魔力防壁を破壊した。それを見た私はすぐさま助けに向かおうとするが……不意に体が震え始めた。
「くっ、うぅっ……これ、は…………」
「……残りは貴様だが……どうやら恐怖で動けないようだな、情けない。所詮、そこらの小物と同類だったようだ。」
(違う……これは、魔力の暴走が………)
言い訳するように心の中で叫ぶが、そんな声も口に出せずにその場で私はうずくまってしまう。魔力暴走が、今になって…………
「戦う気が無いのなら仕方ない、手始めにあの生意気な小娘を殺してやるか。」
「っ……マグ、ア…………ぐぅ!」
男の言葉に揺れた心は、より一層私の魔力を不安定にさせていく。
魔力暴走は魔法の乱発や……不安定な精神状態に陥った際に引き起こされると聞かされた。だからできる限り感情を抑え、ウルスと何度も練習してどうにか魔法を使えるようにした。それなのに……こんな肝心な時に発生するなんて…………!!
(落ち着け……魔法は連発してない、心を……しずめるんだ……)
「マグア……逃げろ…………!!」
「……………ぅ……」
「粋がるだけなら動物でもできる……そして、ただくたばるだけも同じだ。今の貴様のようにな。」
「や、や……め…ろ………!!!」
しかし、倒れている彼女の首元に突き立てられた剣により、私の鼓動は落ち着くどころかますます高鳴っていく。そしてその高鳴りは私の体を蝕み……意識を遠のかせる。
(だ、めだ……わたし、は…もう、これい…………じょう……!!)
……人、を…………どんな、人も、傷つけ…て…………見捨てるなんて………………!!!!
「…………儂の生徒に、何をしている。」
低く、轟くような声が…………溢れそうな体に響いた。また、その言葉に男は顔を上げ……その仮面を小さく揺らした。
「…………守りたいものには目を離すなよ……英雄、ガラルス=ハート。」
(……ウルスたちが出て3日…………いつ帰ってくるのかな。)
調査隊によってしばらく休日になったため、今日も私は1人訓練所で特訓をしていた。
周りには何人か同じように特訓をしている人がおり、そんな風景を見て何か……胸に寂しさのようなものを感じた。
「…………久しぶりに、感じたな……」
ここに来てからはほぼ毎日……特にウルスと一緒に過ごしていたせいか、今までのように1人で居るとどこか物足りなさを感じてしまった。
昔はそんなの感じた……いや、許されない感情だった。そんな資格はないと、ずっと心に刻んで生きてきたけど…………
『……資格は、ある。』
『だってお前は…………優しいだろ?』
ウルスは、そう言ってくれた。魔力暴走の危険性を知っていながらも優しく手を伸ばしてくれる……そして、どんな時も守ってくれて…………
(…………この…『気持ち』、は……?)
「……あれ、フィーリィアさん? お一人で特訓ですか?」
「…………カーズと……ソーラ?」
湧き上がって来た感情に首を傾げていたところ、カーズとソーラの2人はこちらへと近づいて挨拶をしてくれた。それを頷きで返しながら、私は彼らのある異変に気づく。
「……今日は元気そうだね。」
「えっ、『今日』? どういう意味だフィーリィア?」
「……だって、最近2人とも動きが鈍い。魔法か何か……訓練? でもしてるんでしょ?」
「……鋭いですね。せっかくなら、皆さんには完成したところを見せたかったんですが……せっかくなのでフィーリィアさんにも付き合ってほしいですね。」
「…………何するの。」
私がそう聞き返すと、カーズが体の魔力を急に高め始め……強烈な気配を漂わせる魔法を発動した。
「『レベル1・アクア』……ぐぅっ!」
「……それって、確か…………化身流の魔法?」
「知ってたのかフィーリィア、なら話は早いな。俺も今、似て非なる魔法を練習してるんだが……如何せん2人でずっとやってたら凝り固まって来てな。フィーリィアも手伝ってくれないか?」
「……別にいいけど……それってそんなに難しい魔法なの?」
「何せ、英雄の魔法、ですから……僕だって、最近やっと……」
「おっ、なんか面白そうなことやってるねっ!!!」
……この溌剌とした声は…………
「…………マグア?」
「えっと、確かカーズ=アイクとソーラ=ムルスに……フィーリィアだったっけ? 3人とも同じクラスでたまにター…ルくんと話してるよね、仲良いの!?」
「タ、『タールくん』……カリストのことか? 別にそこまでだが……というか急に何の用なんだ?」
「ん? たまたまここに来たら見覚えのある顔があるなって、それでアイクが見たことない魔法を使ってたから僕も混ざりたいなって!」
「カーズで、いいです、よ……別にそこまで面白いものでもないと思いますが。」
カーズは魔法を一度解除し、興奮気味のマグアを落ち着かせようとする。それをぼんやりと眺めていると、ソーラが何やら小声で話しかけて来た。
「……なあ、なんでマグアってあんなにカリストを気に入ってると思う?」
「…………前から面識があった、とか?」
「そんな風には見えなかったけどなぁ……実際カリストは滅茶苦茶嫌がってるし、マグアの一方的な感じだが…………大体、カリストの性格ならもっと突き放してもおかしくないと思わないか?」
(…………そうかな……)
確かに、昔の……夏頃のカリストなら一蹴していたに違いない。
『おいおい、なんだぁ? 俺も混ぜてくれよ。』
あの時の彼は自尊心の塊で、誰に対しても見境なく噛み付くような男だったが、ウルスに負けてからはどこか余裕のある姿を見ることが多くなった。
『……ああ、今まで散々言ってくれたんだ。ちょっとくらい俺たちの願いを聞いてくれたってバチは当たらないもんだぜ?』
やがて、彼はニイダに乗せられた……いや、乗った形ではあれど、私たちと一緒にウルスと戦い……抱え込んでいる『何か』を晴らした。
(……ウルスはあの時、何を迷っていたのだろう。)
…………みんな、何かを抱えて……『正解』を探しながら生きている。
何が正しいのか、何が間違っているのか……それを決める手段も方法も無いのに、ずっと…………そして、ソレは私も……………
『た…………す…けぇ…………』
『…………フ……ィ……リ、ァ………』
「……どうしたの、フィーリィア? 顔、暗いよ?」
「ぇ……い、いや、何でも…………??」
俯きそうになる頭を無理やり上げ、マグアに返事をしようとしたところ私だったが…………不意に、何か『変な感覚』を覚える。また、その感覚に従うように空へ目を向けると……………
「…………紫色……?」
「えっ、『紫』って何のこ……っ!!?? 何ですかこの空っ!??」
「う、薄い紫色に染まってる……何なんだこれ?」
「あ、ほんとだ~変な色。何かの魔法かな?」
「いや……結界? だと思う、けど……」
私たちが騒ぎ出したことによって、訓練所に居た他の人たちも揃って異様な空を見上げる。そしてその景色にそれぞれの声を届かせ始めた。
「結界? 何でこんなところに?」
「さぁ、何かの試験的な? 最近物騒だし、この学院にもそういう研究をする場所があるしね。」
「いや、だからといってここでするか? アレがどんな効果なのか知らないが、下手をすれば俺たち閉じ込められたまんまだぞ?」
(閉じ込め…………)
『おいおい、勘違いしてもらっては困るなぁ。あくまで望んだのはその男、俺はそれにちょろっと協力してやっただけだ。』
……神に襲われた際、あの辺りには結界のような物が仕掛けられていたと後で知らされた。その時は夢中で気づかなかったが、この悪寒の走る気配はもしかして…………
「……カーズ、ソーラ……来る。」
「『来る』って……まさか奴らが!?」
「おいおい、今ここにウルスは居ないんだぞ……どうすればいいんだ!?」
「えっ、えっ、何なに? なにが起こってるの? 僕なにも把握してないんだけど?」
「マ、マグア、揺らさないで……とりあえずここから逃げ……」
「思ったより人が居るな……熱心なことだ。だがこんなことをして一体何になるのか、何者かに成れると思っているのか……反吐が出る。」
「「「…………!!?」」」
刹那、訓練所の中心から異様な気配を感じ取る。その方向へ恐るおそる目を向けると……表情と感情を見させない紫色の仮面を付けた細身の男が立っていた。
「……? 誰? なんか変な仮面付けてるけど……」
「あ、あの仮面は……仲間なのか……!?」
「ねぇねぇ、誰なのって。みんなの知り合い?」
「違います……あれは、神です。」
「…………でゅお? でゅおって………神っ!!?」
(どうする……今ここには私たちしか………)
動揺を隠しきれない私たちを他所に、紫仮面の男は辺りを見渡しながら何やら考え事していた。すると、男に学生の1人が声をかけようとしてしまっていた。
「……なぁあんた、変なの付けてるけど誰なんだ?」
「っ……そこの、今すぐ離れ……!!」
「………………
…………消えろ、雑魚が。」
私が止めるより先に、色の無い一言とともに……話しかけた男の子が吹き飛ばされてしまう。その瞬間、周りの人たちの声が疑問から恐怖へと変化していった。
「…………えっ、なに!!? なにしたの今の!!??」
「さ、さっき、あいつら神っつってたよな……もしかして本当にそうなのかっ!!!?」
「な、何でこんなところに!?? もしかして私たちを………!!」
「…………耳障りな虫共だ。まあ、少しくらい殺して時間でも潰させてもらおうか。」
「「「……………!!!」」」
脅すためか本気なのか、男はそう冷淡に言い放ち……途端にこの場は混乱状態へと陥る。
「フィ、フィーリィアさん……これは…………!」
「…………今、ウルスや強い人たちはみんな調査隊に出てる。それに結界のせいで学院長が気づいているかどうか……だから…………」
「……俺たちだけでどうにかするしかないってことか? だが全員混乱してて、まともな連携は取れないぞ?」
「なら、私たちだけでなんとか時間を稼ぐしかない。」
「…………あっ、それって僕も入ってるよね?」
「……どっちでも。」
地味に冷静なマグア含め、ここで戦える意志を持っているのは4人しかいない。そのため、とてもじゃないが勝てる見込みは無いが……やらなければ死ぬだけだ。
(……他の人たちが逃げようと結界を無闇に叩いているが……それくらいじゃ絶対に壊さないだろう。そもそもこの場の人間に壊せるのかどうか……せめてマジックブレイクを使える人がいたら…………)
「…………とりあえず、ソーラは飛ばされた人を助けに行って。その間は3人で何とか対処する。」
「だ、大丈夫なのか? あいつらの実力は半端じゃ無いんだぞ?」
「……そんな心配をしている暇もないようです。」
カーズの言う通り、私たちがコソコソと話している姿が気になったのか、紫仮面がこちらへと振り返って歩いて来た。
「……無知の中にも、幾分か落ち着けているのも居るようだな。」
「…………無知なのは、そっち。」
「ふっ、減らず口まで叩けるか……もしかして、『赤』を見たことがある奴らか?」
(…………どこまで知ってる……?)
情報が全く足りない以上、ここで何とか引き出してついでに時間を稼ぎたいが……そんな技量も話術も度胸もない。今は眼前の目標を達成させるしかない……
「……見えてるぞ、『毒霧の刀』!!」
「ソーラ、危ないです!!!」
「くそっ……こうなったらっ!!!」
私が話しかけている隙にこっそり救出しようとしていたソーラだったが、男はすかさず超越級魔法で攻撃を仕掛けた。それに対しソーラは盾と剣を構えるが……とてもそんなものじゃ抑えられな…………
「『第一形態・灯火』、はぁぁっ!!!」
「……ほう?」
「……カーズのと似てる…………」
(いや、今のうちに!!)
感嘆を隅に追いやり、ソーラが耐えている内に私は剣をとって男へ距離を詰めていく。また、それに続くようにカーズも後ろから槍を持って続き、私と同時に攻撃を仕掛けた。
「はぁ!!」「やっ!!!」
「……筋はいいが……当たるわけがない!!」
「「ぐっ!!?」」
しかし、それも軽々と避けられ、腕払いの風圧だけで吹き飛ばされてしまう。やはり、私たちの攻撃じゃ当たることすら難しいのだろうが……かといって魔法は…………
「カー…ズ、さっき、見せてくれた魔法、は……?」
「あれは……まだ未完成、なんです。発動はともかく、神相手にはとても………」
(……どうすれば…………)
私の魔法は……所詮、使い物にならない。あの人に教えてもらった魔法も……まだ、私なんかじゃ扱えない。
(それに……暴走してしまったら、みんなが…………)
「…………タールくんが言ってたことはほんとだったんだね。なら……躊躇なんかしてられない!!!」
「……マグア、何を……?」
「みんな、ここは僕があいつを倒す! その間にどうにかしてね!!」
「ど、どうにかって、マグアさんの力じゃ勝てませんよ!?」
「それはどうかな……はぁぁぁ………!!」
「……………………」
何を考えてか、マグアは急にそんなことを言い始め、両手を空へと掲げる。すると、何故か紫仮面はその様子をどこか余裕そうに眺めていた。
「……何をするか知らないが、本気で俺を倒せるとても?」
「へへっ、ならちゃんと受け止めてよね? 世界を騒がせている神さんがこれしきで逃げるようじゃ笑いものだよ?」
「…………まあいい、肩慣らしに相手してやる……小娘。」
マグアは敢えて挑発的な態度を取りながら、標的を自分の方へと向けるように仕向ける。そして、こちらへそれぞれ目をパチパチさせて合図を取ってきた。
「……カーズ、化身流で結界を壊してみて。あの魔法ならいけるかもしれない。」
「は、はい……ですがフィーリィアさんは……」
「…………マグアを守る。」
「食らえっ、『スターダスト・スピア』!!!!!」
「……………!」
途端、マグアの詠唱から彼女の合わせた両手から青い光が数多に放出される。その光たちは瞬く間に紫仮面へと襲い掛かり……この舞台を明るく照らした。
「まだまだぁっ……僕の全魔力をぶつけてやる!!」
「……くっ、意外とうざったいなっ!!」
(ほとんど効いてない……けど、足止めにはなってる!)
手数の多さが功を成しているのか、ダメージは薄くとも十分彼女の攻撃は時間稼ぎになっていた。その隙に私は再び距離を詰めていき、裏をとって魔法を放った。
「打て、『アイススフィア』!」
「……小賢しい!!」
「こっちも忘れないでよっ!!!」
挟み撃ちにしながら、どうにかカーズが結界を壊すのを待つが……未だにその様子は見えない。このままじゃマグアの魔力が尽きてしまう…………
「いくら放とうとも、俺を倒せはしない……悪足掻きも程々にしろ!」
「悪足掻き? 違うね、僕は『倒す』って言ったんだよ!」
「ならどうする! このまま無駄な労力を費やすだけか!?」
「無駄なことなんてない……そっちが『無知』なだけっ!」
「人の言葉を買うのが随分と好きなようだな……なら、それを証明して見せろ!」
「ああ、やってやるよ!!」
その言葉を買ったのは私でもマグアでもなく……燃えるように赤い光を漂わせている剣を握ったソーラだった。どうやらちゃんとマグアの目は届いていたようだ。
「人を簡単に傷つけやがって……これはその報いだぁぁっ!!!!!」
「「…………!!!」」
ソーラの剣はより一層輝きを増させながら、板挟み状態の紫仮面へ勢いよく振り翳した。するとその刹那……眩い閃光とともに烈火の如く炎が一直線に地面を焼き尽くした。
「うぉっ……凄い威力!!」
「っ、立ってられない………!」
その勢いに離れていた私たちでさえも押されてしまい、たまらず膝をついてしまう。この魔法、単純な威力だけで言ったら超越級と同等かそれ以上…………
「…………今のは、流石の俺も効いた。だが……ふん!」
「なっ、ぐはぁっ……!!?」
「マグア……がはぁっ!?」
「2人とも……うっ……!」
しかし、それでも対等とは程遠く、男は全てを受け止めてからマグアとソーラを殴り飛ばし、彼らの魔力防壁を破壊した。それを見た私はすぐさま助けに向かおうとするが……不意に体が震え始めた。
「くっ、うぅっ……これ、は…………」
「……残りは貴様だが……どうやら恐怖で動けないようだな、情けない。所詮、そこらの小物と同類だったようだ。」
(違う……これは、魔力の暴走が………)
言い訳するように心の中で叫ぶが、そんな声も口に出せずにその場で私はうずくまってしまう。魔力暴走が、今になって…………
「戦う気が無いのなら仕方ない、手始めにあの生意気な小娘を殺してやるか。」
「っ……マグ、ア…………ぐぅ!」
男の言葉に揺れた心は、より一層私の魔力を不安定にさせていく。
魔力暴走は魔法の乱発や……不安定な精神状態に陥った際に引き起こされると聞かされた。だからできる限り感情を抑え、ウルスと何度も練習してどうにか魔法を使えるようにした。それなのに……こんな肝心な時に発生するなんて…………!!
(落ち着け……魔法は連発してない、心を……しずめるんだ……)
「マグア……逃げろ…………!!」
「……………ぅ……」
「粋がるだけなら動物でもできる……そして、ただくたばるだけも同じだ。今の貴様のようにな。」
「や、や……め…ろ………!!!」
しかし、倒れている彼女の首元に突き立てられた剣により、私の鼓動は落ち着くどころかますます高鳴っていく。そしてその高鳴りは私の体を蝕み……意識を遠のかせる。
(だ、めだ……わたし、は…もう、これい…………じょう……!!)
……人、を…………どんな、人も、傷つけ…て…………見捨てるなんて………………!!!!
「…………儂の生徒に、何をしている。」
低く、轟くような声が…………溢れそうな体に響いた。また、その言葉に男は顔を上げ……その仮面を小さく揺らした。
「…………守りたいものには目を離すなよ……英雄、ガラルス=ハート。」
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魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
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『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
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大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
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貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
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ワクワクが止まらない三歳児の
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【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
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目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
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転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する
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俺には二人の幼馴染がいた。
俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて
まるでない、凡愚で普通の人種だった。
そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。
だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が
勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。
自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の
関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に
衝撃な展開が舞い込んできた。
そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。
※小説家になろう様にも掲載しています。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
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第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
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ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
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