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Final Season-Archive

学術院学生のレポート

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 ラウム王国建国初期に描かれた絵画は三英雄伝説に因んだ勇猛さが特徴的である。また、教皇デネブの晩期に関しては画家によってその表情が慈愛に満ちたものであったり悲哀に溢れたものであったりと非常に多様性を見せている。

 自分が特に気になったのは『英雄凱旋』や『暁の訪れ』を描いた巨匠レイモンド・スピアの作品である。彼はラウム教の聖職者としての顔も持ち、教皇デネブを最期まで看取った者の一人だ。
 自分が着目したのはそんな彼の晩作として知られる『救済』である。この絵は天界から天使たちがデネブの魂を地上まで迎えに来るという内容なのだがデネブが何故か剣を握っていたり、その足元に魔神が描かれていたりなど不可解な点が以前から議論されてきた。
 自分はこの絵について調べていく中でデネブのポーズに目をつけた。剣先を上に向け、左手を右腕に添える。これはラウム王国の作法で友好を意味する。しかし、デネブの祖国では何とその逆で敵対、決別を意味するらしい。

 もしかしたらこの絵は病に冒されたデネブが神々に絶望した様子を感じ取った、あるいはデネブの最期の神々への怨みの言葉を聞いたレイモンドが描いたものなのかもしれない。引き続き、この絵画についての調査が求められる。

◆  ◆  ◆  ◆

評価ーD(不合格)

担当教員からのコメント
 君の発想は非常に突飛である。しかし、突飛である事は必ずしも良いこととは限らない。君の考えは教皇デネブだけでなく三英雄、あるいはラウム王国そのものへの冒涜以外の何物でもない。それ以前に教皇デネブが神を見限るという事自体、私の講義をきちんと聞いていれば考えつかないはずだ。よって君は不合格とする。
 しかし、私も悪魔ではない。もしこの授業の単位が欲しいのであれば私の数有る著書のうち、三冊を読んでその感想を提出しなさい。私の著書は図書館にも置いてあるが人気であり貸し出し中だろうから書店で購入する様に。
 私はこれから一月ほどドワーフ公国へ遺跡の調査へと向かうため、提出は私が帰ってきてから直接渡しなさい。その際、幾つか質問をするので心しておく様に。
担当教員モ・シノーリ

『王立学術院学生のレポート』より
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