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Final Season
救世主ーHeroー
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「っ!!」
デネブは“黄昏”をシリウスの右足から引き抜くと迫るポラリスから放たれる刃を振り払う。
「この槍、“暁”か……」
デネブはポラリスの槍を観察するとそのまま後退して距離を取った。
「……」
ポラリスは黙ってシリウスの様子を見る。足の刺し傷は呪われた様に腐っている。シリウスならば回復も可能だろうがすぐに戦線への復帰は無理だろう。
「ポラリス、迂闊に手を出すな。お前は奴の素質を防げないだろう」
「……」
「ポラリス?」
シリウスの忠告を無視する様にポラリスはデネブへと果敢に向かい、“暁”に魔力を込め、巨大化した刃を振り下ろす。その一撃はメルセデスの盾を打ち砕いたものよりも強力であった。
しかしデネブはその一撃を片手で軽々と受け止める。
「ふっ。ポラリス、私と同様に黒尸菌を克服し、異界の力を得た者……君と私は奇妙な縁を感じるよ」
吹き飛ばされぬ様、必死に喰らいつくポラリスとは対照的に涼しげな顔でデネブは話を続ける。
「君のその槍、”暁“は夜の神を殺したという逸話があるね。実は私の”黄昏“はその夜の神がもたらした物なんだ」
デネブの話を無視する様にポラリスは次々と槍の蓮劇を見舞わせていく。その攻撃を全て捌きながらデネブはさらに続ける。
「分かるかい、君と私は似ている。だが残念だよ。“黄昏”と“暁”は同時には存在し得ない。そして君は決して選ばれた人間ではない。“爆ぜたまえよ”ポラリス君」
デネブはポラリスに“言霊”を発動する。
しかしポラリスは“爆ぜる”ことなく尚もデネブに槍を振り続ける。
デネブは不思議に思うとポラリスの耳から垂れた赤い液体に気づいた。
「なるほど、自ら耳を……考えたじゃないか!!」
デネブの賞賛は本音であった。しかし勿論、“言霊”が使えなくなったところで、二人の力が逆転するわけではない。
「悪いけど、もう飽きたんだ」
デネブが身をよじる。刹那、ポラリスの四肢は切断され、その胴体は八つ裂きに切り刻まれた。
「ポラリス!!」
シリウスは叫び、駆け寄ろうとするも未だ癒えない足の傷がそれを許さない。
デネブはそんな彼にゆっくりと近づいていく、その時であった。
「!!……まったく、君もしぶといな」
自身の右足を掴む腕に向かって言い放つ。そこには右腕だけを再生させていたポラリスの姿があった。
「言っただろう、もう飽きたんだ。さようなら」
デネブはポラリスの頭に手を向けると魔法陣を展開し、その頭を爆ぜた。
しかし、それでもポラリスの手は弱まらない。
「な……ばかな」
「ぐるるるる」
頭部の一部を失ったポラリスは唸ると、本能のままデネブの足に噛みつき、その肉を喰いちぎった。
刹那、ポラリスの体に異様な魔力が湧き始める。デネブはその異様な雰囲気に脅威を覚え、後ろに退き、距離を取った。
「ポラリス……なのか……」
ポラリスの失われた四肢は一瞬にして生え変わり、その体は、硬く紅い鱗に覆われている。まさに異形である。
ポラリスの体はデネブの肉体を取り込んだことにより更に変異し、強化されていた。その代償か或いは頭部を破壊された後遺症か、ポラリスは完全に理性を失っていた。
「ほう……私の肉体を喰らって……これは興味深い」
「ぐるるる」
ポラリスは涎を垂らしながら唸るとデネブに飛びかかる。
「な……!?」
デネブはその動作に驚く。こちらに近づくまでは野生的な力に任せた動きであったにも関わらず、攻撃の動作に移るとそれは見惚れるほど美しい槍術であった。理性を失っても尚、ポラリスの体が何回も反復した動作を覚えていたのだ。
デネブは槍の刃を剣で受け止めるも怪力によりそのまま吹き飛ばされ壁に激突した。
「ぐああああああ!!」
地が震えるほどの雄叫びを上げると再びデネブに飛びかかる。デネブは面倒そうに起き上がり、首を鳴らすとその攻撃に応じた。
「くっ……まさかここまでパワーが上がるとは……」
デネブはポラリスの猛撃に押され始めながらも魔法による爆撃を浴びせる。
しかし、それらは硬い鱗に阻まれ、たとえ傷ついてもその場で回復した。
「ほう……だが耳まで直したのは間違いだったな。“爆ぜろ”」
ポラリスの皮膚の下が蠢き始める。至る所から血が吹き出し始めるも体を硬直させてその身が爆散するのを防ぐと油断するデネブの肩に槍を突き刺した。
「ぐぅ……まさか体を硬らせるだけで防ぐとは……“離れろよ”!!」
デネブは肩から槍を引き抜くと苛立ちながら言葉を発する。ポラリスの体は凄まじい速さでデネブから遠ざけられ、そのまま壁に叩きつけられた。
「ポラリス!!」
駆け寄るシリウスを眺めながらデネブは何かを思いついた様にポラリスに語りかける。
「“ポラリス、彼は敵だ。君の手で始末してくれ”」
「な、何を!?……ぐっ!!」
デネブの言葉を聞いたポラリスはその術中に嵌り、シリウス目掛けて槍を振るう。
「ポラリス!!しっかりしろ!!」
シリウスの呼びかけに、ポラリスはただ白目で睨みつけ、続け様に槍向ける。
「くっ……デネブ!!外道め!!」
シリウスはデネブを睨みつけるとデネブは槍で刺された肩を回復しながら不敵な笑みを返した。
シリウスは自分に飛びかかるポラリスに向き合うとその懐に潜り込み魔法を唱える。
「“力よ”!!」
ポラリスの体を吹き飛ばし、距離を開けるとシリウスは剣を構え直して改めて向かい合う。
「……ポラリス……そういえばお前とはまだ決着がついていなかったな」
デネブは“黄昏”をシリウスの右足から引き抜くと迫るポラリスから放たれる刃を振り払う。
「この槍、“暁”か……」
デネブはポラリスの槍を観察するとそのまま後退して距離を取った。
「……」
ポラリスは黙ってシリウスの様子を見る。足の刺し傷は呪われた様に腐っている。シリウスならば回復も可能だろうがすぐに戦線への復帰は無理だろう。
「ポラリス、迂闊に手を出すな。お前は奴の素質を防げないだろう」
「……」
「ポラリス?」
シリウスの忠告を無視する様にポラリスはデネブへと果敢に向かい、“暁”に魔力を込め、巨大化した刃を振り下ろす。その一撃はメルセデスの盾を打ち砕いたものよりも強力であった。
しかしデネブはその一撃を片手で軽々と受け止める。
「ふっ。ポラリス、私と同様に黒尸菌を克服し、異界の力を得た者……君と私は奇妙な縁を感じるよ」
吹き飛ばされぬ様、必死に喰らいつくポラリスとは対照的に涼しげな顔でデネブは話を続ける。
「君のその槍、”暁“は夜の神を殺したという逸話があるね。実は私の”黄昏“はその夜の神がもたらした物なんだ」
デネブの話を無視する様にポラリスは次々と槍の蓮劇を見舞わせていく。その攻撃を全て捌きながらデネブはさらに続ける。
「分かるかい、君と私は似ている。だが残念だよ。“黄昏”と“暁”は同時には存在し得ない。そして君は決して選ばれた人間ではない。“爆ぜたまえよ”ポラリス君」
デネブはポラリスに“言霊”を発動する。
しかしポラリスは“爆ぜる”ことなく尚もデネブに槍を振り続ける。
デネブは不思議に思うとポラリスの耳から垂れた赤い液体に気づいた。
「なるほど、自ら耳を……考えたじゃないか!!」
デネブの賞賛は本音であった。しかし勿論、“言霊”が使えなくなったところで、二人の力が逆転するわけではない。
「悪いけど、もう飽きたんだ」
デネブが身をよじる。刹那、ポラリスの四肢は切断され、その胴体は八つ裂きに切り刻まれた。
「ポラリス!!」
シリウスは叫び、駆け寄ろうとするも未だ癒えない足の傷がそれを許さない。
デネブはそんな彼にゆっくりと近づいていく、その時であった。
「!!……まったく、君もしぶといな」
自身の右足を掴む腕に向かって言い放つ。そこには右腕だけを再生させていたポラリスの姿があった。
「言っただろう、もう飽きたんだ。さようなら」
デネブはポラリスの頭に手を向けると魔法陣を展開し、その頭を爆ぜた。
しかし、それでもポラリスの手は弱まらない。
「な……ばかな」
「ぐるるるる」
頭部の一部を失ったポラリスは唸ると、本能のままデネブの足に噛みつき、その肉を喰いちぎった。
刹那、ポラリスの体に異様な魔力が湧き始める。デネブはその異様な雰囲気に脅威を覚え、後ろに退き、距離を取った。
「ポラリス……なのか……」
ポラリスの失われた四肢は一瞬にして生え変わり、その体は、硬く紅い鱗に覆われている。まさに異形である。
ポラリスの体はデネブの肉体を取り込んだことにより更に変異し、強化されていた。その代償か或いは頭部を破壊された後遺症か、ポラリスは完全に理性を失っていた。
「ほう……私の肉体を喰らって……これは興味深い」
「ぐるるる」
ポラリスは涎を垂らしながら唸るとデネブに飛びかかる。
「な……!?」
デネブはその動作に驚く。こちらに近づくまでは野生的な力に任せた動きであったにも関わらず、攻撃の動作に移るとそれは見惚れるほど美しい槍術であった。理性を失っても尚、ポラリスの体が何回も反復した動作を覚えていたのだ。
デネブは槍の刃を剣で受け止めるも怪力によりそのまま吹き飛ばされ壁に激突した。
「ぐああああああ!!」
地が震えるほどの雄叫びを上げると再びデネブに飛びかかる。デネブは面倒そうに起き上がり、首を鳴らすとその攻撃に応じた。
「くっ……まさかここまでパワーが上がるとは……」
デネブはポラリスの猛撃に押され始めながらも魔法による爆撃を浴びせる。
しかし、それらは硬い鱗に阻まれ、たとえ傷ついてもその場で回復した。
「ほう……だが耳まで直したのは間違いだったな。“爆ぜろ”」
ポラリスの皮膚の下が蠢き始める。至る所から血が吹き出し始めるも体を硬直させてその身が爆散するのを防ぐと油断するデネブの肩に槍を突き刺した。
「ぐぅ……まさか体を硬らせるだけで防ぐとは……“離れろよ”!!」
デネブは肩から槍を引き抜くと苛立ちながら言葉を発する。ポラリスの体は凄まじい速さでデネブから遠ざけられ、そのまま壁に叩きつけられた。
「ポラリス!!」
駆け寄るシリウスを眺めながらデネブは何かを思いついた様にポラリスに語りかける。
「“ポラリス、彼は敵だ。君の手で始末してくれ”」
「な、何を!?……ぐっ!!」
デネブの言葉を聞いたポラリスはその術中に嵌り、シリウス目掛けて槍を振るう。
「ポラリス!!しっかりしろ!!」
シリウスの呼びかけに、ポラリスはただ白目で睨みつけ、続け様に槍向ける。
「くっ……デネブ!!外道め!!」
シリウスはデネブを睨みつけるとデネブは槍で刺された肩を回復しながら不敵な笑みを返した。
シリウスは自分に飛びかかるポラリスに向き合うとその懐に潜り込み魔法を唱える。
「“力よ”!!」
ポラリスの体を吹き飛ばし、距離を開けるとシリウスは剣を構え直して改めて向かい合う。
「……ポラリス……そういえばお前とはまだ決着がついていなかったな」
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