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Season3
覚醒ーAwakeー
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「ポラリス……だと……」
その名を聞き、メルセデスは一瞬混乱する。ビルからの情報によれば彼はゾンビに噛まれ死んだはずであり、かつこれほどの力を持っているはずがない。
「……国王、遅れてすみません……」
ポラリスは横たわる国王に駆け寄ると跪きその体を抱き上げる。国王はポラリスの顔を見ると安心したように眠りについた。幸い、気絶しているだけで命の危機はすぐには無さそうだ。
ポラリスは国王を背負うと観客席の上部にある貴賓席まで跳び上がると安静な姿勢で座らせ、再びメルセデスの前に立つ。
「おい、あいつは本当にポラリスなのか!?」
カーネルがエストレアに尋ねる。黒尸菌の脅威を一番知るカーネルにとって感染したはずのポラリスが健全な姿で立っていることは信じられない事だ。
「……間違いない。荒々しい魔力の中に彼本来の澄んだ魔力を感じる。」
「しかし、なんかデカくなってないか?男子三日会わざれば何とやらっていうが流石に成長しすぎじゃ……」
「……ポラリスは成長期だ。何もおかしなところは無いと思うが。」
「いやいやいや、無理があるだろう」
カーネルは未だに納得できていないようである。
「……いずれにしても、今は彼に賭けるしかないだろう。」
エストレアの言葉にカーネルはそれ以上何も言わなかった。
「皆さんを解放してください」
ポラリスは槍をメルセデスに向けながら話す。
「おいおい、それが人に頼む態度かよ」
対するメルセデスも背負った盾を左手に構え、右手の大剣をポラリスに向けて臨戦態勢を取る。
しかし一触即発の空気はメルセデスの前にどこからともなく現れ立ったフォードにかき消された。
「……フォード、何のつもりだ」
フォードは自慢の口髭を弄りながらポラリスをまじまじと観察すると鼻で笑う。
「メルセデス、頭に血が上ると冷静になれないのは貴方の悪いところですよ。あの小僧の何が脅威なのです。確かに魔力と身体能力は少しばかり高いかもしれませんが立ち姿が素人そのもの。恐らく生身の人間相手に戦ったことがないのでしょう」
メルセデスはフォードの指摘を黙って聞くと武器を収めた。
「……任せていいか」
「無論。私も新しい剥製が欲しかったところですので」
歯をむき出して笑うとレイピアを構える。
「それが本心か」
メルセデスは呆れたように立ち去った。
「……あなたからですか」
ポラリスはフォードの動作一つ一つに注意を払う。相手の言う通りポラリスの実戦経験は乏しく、対人の経験に関しては全く無い。今まで戦ってきたゾンビやモンスターは本能や習性のまま襲ってきたが、今目の前に立っている男は自分で考え、こちらを欺く。
するとフォードは準備運動か勢いをつけるためか数回小さく跳躍をするとその姿を消した。
(な!!消え!?……後ろ!?)
右手の“暁”で振り返りながら背後を切り裂いたがその攻撃はただ空を切るのみであっった。
「残念……こっちですよ」
いつの間にかフォードはポラリスの背後ーー振り返ったので元々の正面ーーに立っていた。ポラリスは再び振り返り槍を突き刺そうとするがそれよりも早くフォードのレイピアの先がポラリスの頬を掠めた。
すると、ポラリスの体の感覚が徐々に消え失せる。
「我が家に伝わる秘伝の劇薬です。湖に一滴流すだけで全ての生物を死滅させるほどのね。まあもう聞こえていないでしょうけど」
涼しい顔で武器を収めると剥製のインスピレーションを得るためポラリスの体を隅々まで観察し始めた。
(ふーむ。年齢は十代でしょうか。体は中々鍛えられているようですね。両目で瞳の色が違うのが中々気に入りました。……おや?)
フォードが瞳を覗き込むとその眼差しが自分を向いている様に感じた。
今のポラリスの“超免疫”はこの世の全ての病原体、毒物に対して抵抗を持つ。
次第にポラリスの体に感覚が戻り始めると止まっていた時間が動き出すようにポラリスの槍がフォードに突き刺すべく進んだ。
フォードは後ろに退く様に地面を蹴ると再びその姿を消しはるか後方に現れた。
「ほう、毒が効きませんか。全く、シリウスといいあなた方はまともじゃ無い。少しばかり剥製が汚くなりますがその脳天を貫かせていただきます」
フォードは再び跳躍を始める。ポラリスは今までの相手の動作を思い出し、フォードの能力について考えを巡らせるとフォードの蹴った地面を見て一つの仮説を打ち立てた。
フォードは跳躍から再び姿を消すとポラリスは左手の槍で背後を突き刺す。しかしやはりその攻撃もただ空を切るのみである。だがポラリスの顔に焦りはなく頭部を僅かにずらすと何かを待ち受ける様に右手の“暁”を構えた。
一瞬の後、ポラリスの頬をレイピアの刀身が貫通していた。しかしポラリスはそれに動じる事なく構えた槍に胸を貫かれたフォードを睨みつける。
「な……なぜ……」
フォードの素質は自分の移動している方向一直線上に“瞬間的に移動“する能力である。転移する訳ではなくあくまで高速で移動するに過ぎない。しかしその速さは光に近く、恐らくシリウスでさへ追うことは叶わないだろう。
彼はまずこの素質で空に高速で跳躍し、相手に消えたと錯覚させた後に再び高速で落下、さらに高速で相手へと接近しそのまま突き刺すという戦法を得意とした。ポラリスはこれを逆手にとり自分への攻撃を覚悟して経路上に槍を配置していた。
ポラリスはフォードが事切れるのを確認するとゆっくりと槍を引き抜き、その体を彼のレイピアと共に地面に横たえる。ポラリスの頬の傷はすでに塞がり始めていた。
「さあ、残りはあなただけです」
ポラリスは遠くで観戦していたメルセデスの方を向く。しかし彼の視界に映ったのは目前まで迫る刃であった。
その名を聞き、メルセデスは一瞬混乱する。ビルからの情報によれば彼はゾンビに噛まれ死んだはずであり、かつこれほどの力を持っているはずがない。
「……国王、遅れてすみません……」
ポラリスは横たわる国王に駆け寄ると跪きその体を抱き上げる。国王はポラリスの顔を見ると安心したように眠りについた。幸い、気絶しているだけで命の危機はすぐには無さそうだ。
ポラリスは国王を背負うと観客席の上部にある貴賓席まで跳び上がると安静な姿勢で座らせ、再びメルセデスの前に立つ。
「おい、あいつは本当にポラリスなのか!?」
カーネルがエストレアに尋ねる。黒尸菌の脅威を一番知るカーネルにとって感染したはずのポラリスが健全な姿で立っていることは信じられない事だ。
「……間違いない。荒々しい魔力の中に彼本来の澄んだ魔力を感じる。」
「しかし、なんかデカくなってないか?男子三日会わざれば何とやらっていうが流石に成長しすぎじゃ……」
「……ポラリスは成長期だ。何もおかしなところは無いと思うが。」
「いやいやいや、無理があるだろう」
カーネルは未だに納得できていないようである。
「……いずれにしても、今は彼に賭けるしかないだろう。」
エストレアの言葉にカーネルはそれ以上何も言わなかった。
「皆さんを解放してください」
ポラリスは槍をメルセデスに向けながら話す。
「おいおい、それが人に頼む態度かよ」
対するメルセデスも背負った盾を左手に構え、右手の大剣をポラリスに向けて臨戦態勢を取る。
しかし一触即発の空気はメルセデスの前にどこからともなく現れ立ったフォードにかき消された。
「……フォード、何のつもりだ」
フォードは自慢の口髭を弄りながらポラリスをまじまじと観察すると鼻で笑う。
「メルセデス、頭に血が上ると冷静になれないのは貴方の悪いところですよ。あの小僧の何が脅威なのです。確かに魔力と身体能力は少しばかり高いかもしれませんが立ち姿が素人そのもの。恐らく生身の人間相手に戦ったことがないのでしょう」
メルセデスはフォードの指摘を黙って聞くと武器を収めた。
「……任せていいか」
「無論。私も新しい剥製が欲しかったところですので」
歯をむき出して笑うとレイピアを構える。
「それが本心か」
メルセデスは呆れたように立ち去った。
「……あなたからですか」
ポラリスはフォードの動作一つ一つに注意を払う。相手の言う通りポラリスの実戦経験は乏しく、対人の経験に関しては全く無い。今まで戦ってきたゾンビやモンスターは本能や習性のまま襲ってきたが、今目の前に立っている男は自分で考え、こちらを欺く。
するとフォードは準備運動か勢いをつけるためか数回小さく跳躍をするとその姿を消した。
(な!!消え!?……後ろ!?)
右手の“暁”で振り返りながら背後を切り裂いたがその攻撃はただ空を切るのみであっった。
「残念……こっちですよ」
いつの間にかフォードはポラリスの背後ーー振り返ったので元々の正面ーーに立っていた。ポラリスは再び振り返り槍を突き刺そうとするがそれよりも早くフォードのレイピアの先がポラリスの頬を掠めた。
すると、ポラリスの体の感覚が徐々に消え失せる。
「我が家に伝わる秘伝の劇薬です。湖に一滴流すだけで全ての生物を死滅させるほどのね。まあもう聞こえていないでしょうけど」
涼しい顔で武器を収めると剥製のインスピレーションを得るためポラリスの体を隅々まで観察し始めた。
(ふーむ。年齢は十代でしょうか。体は中々鍛えられているようですね。両目で瞳の色が違うのが中々気に入りました。……おや?)
フォードが瞳を覗き込むとその眼差しが自分を向いている様に感じた。
今のポラリスの“超免疫”はこの世の全ての病原体、毒物に対して抵抗を持つ。
次第にポラリスの体に感覚が戻り始めると止まっていた時間が動き出すようにポラリスの槍がフォードに突き刺すべく進んだ。
フォードは後ろに退く様に地面を蹴ると再びその姿を消しはるか後方に現れた。
「ほう、毒が効きませんか。全く、シリウスといいあなた方はまともじゃ無い。少しばかり剥製が汚くなりますがその脳天を貫かせていただきます」
フォードは再び跳躍を始める。ポラリスは今までの相手の動作を思い出し、フォードの能力について考えを巡らせるとフォードの蹴った地面を見て一つの仮説を打ち立てた。
フォードは跳躍から再び姿を消すとポラリスは左手の槍で背後を突き刺す。しかしやはりその攻撃もただ空を切るのみである。だがポラリスの顔に焦りはなく頭部を僅かにずらすと何かを待ち受ける様に右手の“暁”を構えた。
一瞬の後、ポラリスの頬をレイピアの刀身が貫通していた。しかしポラリスはそれに動じる事なく構えた槍に胸を貫かれたフォードを睨みつける。
「な……なぜ……」
フォードの素質は自分の移動している方向一直線上に“瞬間的に移動“する能力である。転移する訳ではなくあくまで高速で移動するに過ぎない。しかしその速さは光に近く、恐らくシリウスでさへ追うことは叶わないだろう。
彼はまずこの素質で空に高速で跳躍し、相手に消えたと錯覚させた後に再び高速で落下、さらに高速で相手へと接近しそのまま突き刺すという戦法を得意とした。ポラリスはこれを逆手にとり自分への攻撃を覚悟して経路上に槍を配置していた。
ポラリスはフォードが事切れるのを確認するとゆっくりと槍を引き抜き、その体を彼のレイピアと共に地面に横たえる。ポラリスの頬の傷はすでに塞がり始めていた。
「さあ、残りはあなただけです」
ポラリスは遠くで観戦していたメルセデスの方を向く。しかし彼の視界に映ったのは目前まで迫る刃であった。
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