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Season1
謎ーSuspicionー
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リック隊長の亡骸は布で包み、傍には墓標の代わりに彼の剣を突き立てた。
涙を拭い、シリウス達を追いかける。ここを守っていたリック隊長のためにも必ず脱出しなければならない。
「……来たか……」
シリウス達は地下室に置かれたワインが詰まった戸棚をどけていた。ポラリスの目元が紅い事は皆気付いていただろうが誰も指摘しなかった。
戸棚をどかし終えるとそこには木の扉があった。国王からもらった鍵で扉を開けると更に下に続く階段が現れた。
「……行くぞ……」
シリウスを先頭に更に階段を下っていく。
「……父上の言っていたことは本当だったようだな」
階段を降りるとそこは坑道のようなトンネルが続いていた。地面にはレールがトンネルの先まで続いており、トロッコもある。
「……!!なんだこれは!?」
坑道を観察していたシリウスが驚きの声を上げる。
トンネルの入り口には魔法陣が浮かび上がっており、結界が張られていた。
シリウスが手をかざしてみると紫色の火花が散り、その通行を拒んだ。
「……この結界は俺でも解けそうにない。一体誰がこんな高度なものを……」
「……この坑道はずっと使われていなかったんですよね。もしかしてずっと昔から……」
「いや、それはないだろう。まだ足跡が残っている。恐らく数日前に張られたものだろう」
ビルが地面の足跡を示す。
「……でも、いったい誰が……」
「……父上が言っていたな。この場所を知るのは俺の両親と親衛隊の隊長、それに近衛隊の隊長だけだと…」
「!?リック隊長がやったというんですか!?」
「……いや、これほどの結界を近衛隊の隊長クラスが張れるとは思えない。敵は俺らが想像するよりも巨大で…身近にいるということだ」
項垂れながら地下室に一時戻る。そこでこれからのことについて話し合った。
「……とりあえず食料と水を確保しなければ……ポラリス君、食糧庫はどこにある?」
「ここから北に向かったところです」
「……今の状況も把握しておきたい……。」
「……大勢でゾロゾロと動いてもかえって目立つ。手分けしよう」
シリウスの提案で手分けして城を探索することにした。
分け方はシリウスとエストレアで城の探索、ビルとナナシで食糧の調達、そしてシリウスが開きっぱなしの城門を閉じにいくことになった。
「では皆無事で。……エストレア殿、ポラリス君を頼む」
「……分かってる。」
「ビルさんとナナシさんもお気をつけて……」
三方向に分かれて歩むとき、ポラリスはシリウスの背中に話しかけた。
「あ、あの…シリウスさん…やっぱり一人じゃ危険です!一緒にいきましょう」
「……いや、一人で十分だ」
「……でも」
「俺について来るな……」
冷たく言い切るとシリウスは廊下の暗闇に見えなくなった。最後に見たその背中はどこか寂しそうだった。
涙を拭い、シリウス達を追いかける。ここを守っていたリック隊長のためにも必ず脱出しなければならない。
「……来たか……」
シリウス達は地下室に置かれたワインが詰まった戸棚をどけていた。ポラリスの目元が紅い事は皆気付いていただろうが誰も指摘しなかった。
戸棚をどかし終えるとそこには木の扉があった。国王からもらった鍵で扉を開けると更に下に続く階段が現れた。
「……行くぞ……」
シリウスを先頭に更に階段を下っていく。
「……父上の言っていたことは本当だったようだな」
階段を降りるとそこは坑道のようなトンネルが続いていた。地面にはレールがトンネルの先まで続いており、トロッコもある。
「……!!なんだこれは!?」
坑道を観察していたシリウスが驚きの声を上げる。
トンネルの入り口には魔法陣が浮かび上がっており、結界が張られていた。
シリウスが手をかざしてみると紫色の火花が散り、その通行を拒んだ。
「……この結界は俺でも解けそうにない。一体誰がこんな高度なものを……」
「……この坑道はずっと使われていなかったんですよね。もしかしてずっと昔から……」
「いや、それはないだろう。まだ足跡が残っている。恐らく数日前に張られたものだろう」
ビルが地面の足跡を示す。
「……でも、いったい誰が……」
「……父上が言っていたな。この場所を知るのは俺の両親と親衛隊の隊長、それに近衛隊の隊長だけだと…」
「!?リック隊長がやったというんですか!?」
「……いや、これほどの結界を近衛隊の隊長クラスが張れるとは思えない。敵は俺らが想像するよりも巨大で…身近にいるということだ」
項垂れながら地下室に一時戻る。そこでこれからのことについて話し合った。
「……とりあえず食料と水を確保しなければ……ポラリス君、食糧庫はどこにある?」
「ここから北に向かったところです」
「……今の状況も把握しておきたい……。」
「……大勢でゾロゾロと動いてもかえって目立つ。手分けしよう」
シリウスの提案で手分けして城を探索することにした。
分け方はシリウスとエストレアで城の探索、ビルとナナシで食糧の調達、そしてシリウスが開きっぱなしの城門を閉じにいくことになった。
「では皆無事で。……エストレア殿、ポラリス君を頼む」
「……分かってる。」
「ビルさんとナナシさんもお気をつけて……」
三方向に分かれて歩むとき、ポラリスはシリウスの背中に話しかけた。
「あ、あの…シリウスさん…やっぱり一人じゃ危険です!一緒にいきましょう」
「……いや、一人で十分だ」
「……でも」
「俺について来るな……」
冷たく言い切るとシリウスは廊下の暗闇に見えなくなった。最後に見たその背中はどこか寂しそうだった。
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