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前章
2. 神聖カリーテナ帝国
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「お越し頂き有り難うございます。シルバー王女様」
馬車のドアを開けたらいきなりトラウマの本人でダークホース...じゃない。一人の、一つ結びをし、綺麗な赤髪の高貴な身なりの男性...神聖カリーテナ帝国第一皇子アリーゼ・スプレッドが頭を下げ微笑みながら私に話し掛けてきた。なので私も頭も下げて彼と会話を交わす。
「ええ。有り難うございます。第一皇子、アリーゼ・スプレッド様」
「おや。もう、私の事、ご存知でいられてるんですね」
「ええ...。向こうの方で、確認させて頂きましたわ」
そうして、目の前とその周りを確認すると、アリーゼ第一皇子のその周辺に、数名の兵士。そして、彼の少し後ろに少し背が小さく、似たような顔の綺麗な赤髪の男性...第二皇子のマリス・スプレッドが笑いながら此方を見ていた。
しかし、ミュウ皇女はいないようで、私を出迎えてくれたのは、皇子二人だけのようだ。
更に、キョロキョロと見渡すと、近くには聳え立つ要塞風のお城...それを囲む壁、下の方には巨大な、城塞都市(そんなに高さはないので、遠くまでは見渡せないが)。遠景には空に薄められた山々と空が広がっており、ここは、全体を見渡せる、丘の上に置かれた城だと云うことが分かった。円柱が特徴のお城で少女漫画のコマシーンで描かれていた、あの「神聖カリーテナ帝国」の国なんだな。とも。
「立ち話もあれですので、城の中に」
「ええ」
そうして、私は彼に付いていく...と同時に、ちらっと、横に捌けた第二皇子、マリス・スプレッドの方を見た。そしたら彼と目が合うが、彼は笑ったままで、私が彼の横を、アリーゼ第一皇子と先に隣を通っても、黙りながら付いてきたので、あの彼にしては珍しい...何かしらちょっかいをかけてくると思っていたのに…。と思いながら、どんどんと城へ近付いていった。
「しかし、シルバー王女。私は、少し気になる所があるのですが、宜しいですか」
「何でしょう」
アリーゼ第一皇子が私に、不思議そうな顔で話し掛けてくる。
「…あの、こんな事を言うと失礼だと思いますが、…貴女には、護衛がいらっしゃいませんね…」
「ああ……」
私は後ろを見ると、従者が一人。でもそれは、馬車を操る人間のみであり、私をこの帝国に送り届ける人間であり、側をつねに守るというような者ではなかった。まあ、それは、私がそんなに重要じゃない王女だからってことなんだけど…。
どうしようか迷ったが、いずれ分かることだし、私はこの世界で、失うものは何もない人間。この事を言うと、そのせいで無下に扱われてしまうかも知れないかもしれないが、...うーん。でも、ま。いっか。正直、ミルシルドの王女としてはあんまり役に立てないかも。というのは正直伝えておかなければ。
「わたくしは、ミルシルド王国の中で継承権が一番低い、王女なのです。なので少しあちらの国では、上の兄や姉達より扱いがおざなりになってしまいますの。だから、誰にも見つからない様な、お忍びで来る形になりましたわ」
正直、嘆かわしい事だけど、威厳を保って、堂々と、言い放ち、とりあえず自分が立場が弱いということを、ごまかした感じに話した。それにここの世界には、王権が特に重要という設定ではないから…、王に王妃が嫁ぐことに、国民が過激に反応することはないし。
すると、そうなんですか。...と、先程と変わらずに、アリーゼ第一皇子は私においたわしそうな、労う柔らかい声をかけた。
だけど、
「...相当な豪胆な方でびっくりしました。しかし、シルバー王女が、あの国の、8人王族がいる内の、第4王女だとは…聞いていたのですが…貴女も苦労していらっしゃいますね」
と、言うと、目が光を失った、真黒になり、私をおもてなししたあの高い声ではなく、滅茶苦茶低くくどす黒い声で言われた。
あまりにも、豹変ぶりに、少し恐怖を覚えたが、それで、私はやはり彼、アリーゼ.スプレッド第一皇子の本質はこれなんだな。というのが垣間見えた。
「すみません…。失礼な事お聞きしまして。不思議だな、と思ったのです」
「いいえ。大丈夫ですわ。気にしておりません」
その後、私達は黙りながら、城に向かった。
私はその間、ちょっとだけ、彼との距離を保っていた。
馬車のドアを開けたらいきなりトラウマの本人でダークホース...じゃない。一人の、一つ結びをし、綺麗な赤髪の高貴な身なりの男性...神聖カリーテナ帝国第一皇子アリーゼ・スプレッドが頭を下げ微笑みながら私に話し掛けてきた。なので私も頭も下げて彼と会話を交わす。
「ええ。有り難うございます。第一皇子、アリーゼ・スプレッド様」
「おや。もう、私の事、ご存知でいられてるんですね」
「ええ...。向こうの方で、確認させて頂きましたわ」
そうして、目の前とその周りを確認すると、アリーゼ第一皇子のその周辺に、数名の兵士。そして、彼の少し後ろに少し背が小さく、似たような顔の綺麗な赤髪の男性...第二皇子のマリス・スプレッドが笑いながら此方を見ていた。
しかし、ミュウ皇女はいないようで、私を出迎えてくれたのは、皇子二人だけのようだ。
更に、キョロキョロと見渡すと、近くには聳え立つ要塞風のお城...それを囲む壁、下の方には巨大な、城塞都市(そんなに高さはないので、遠くまでは見渡せないが)。遠景には空に薄められた山々と空が広がっており、ここは、全体を見渡せる、丘の上に置かれた城だと云うことが分かった。円柱が特徴のお城で少女漫画のコマシーンで描かれていた、あの「神聖カリーテナ帝国」の国なんだな。とも。
「立ち話もあれですので、城の中に」
「ええ」
そうして、私は彼に付いていく...と同時に、ちらっと、横に捌けた第二皇子、マリス・スプレッドの方を見た。そしたら彼と目が合うが、彼は笑ったままで、私が彼の横を、アリーゼ第一皇子と先に隣を通っても、黙りながら付いてきたので、あの彼にしては珍しい...何かしらちょっかいをかけてくると思っていたのに…。と思いながら、どんどんと城へ近付いていった。
「しかし、シルバー王女。私は、少し気になる所があるのですが、宜しいですか」
「何でしょう」
アリーゼ第一皇子が私に、不思議そうな顔で話し掛けてくる。
「…あの、こんな事を言うと失礼だと思いますが、…貴女には、護衛がいらっしゃいませんね…」
「ああ……」
私は後ろを見ると、従者が一人。でもそれは、馬車を操る人間のみであり、私をこの帝国に送り届ける人間であり、側をつねに守るというような者ではなかった。まあ、それは、私がそんなに重要じゃない王女だからってことなんだけど…。
どうしようか迷ったが、いずれ分かることだし、私はこの世界で、失うものは何もない人間。この事を言うと、そのせいで無下に扱われてしまうかも知れないかもしれないが、...うーん。でも、ま。いっか。正直、ミルシルドの王女としてはあんまり役に立てないかも。というのは正直伝えておかなければ。
「わたくしは、ミルシルド王国の中で継承権が一番低い、王女なのです。なので少しあちらの国では、上の兄や姉達より扱いがおざなりになってしまいますの。だから、誰にも見つからない様な、お忍びで来る形になりましたわ」
正直、嘆かわしい事だけど、威厳を保って、堂々と、言い放ち、とりあえず自分が立場が弱いということを、ごまかした感じに話した。それにここの世界には、王権が特に重要という設定ではないから…、王に王妃が嫁ぐことに、国民が過激に反応することはないし。
すると、そうなんですか。...と、先程と変わらずに、アリーゼ第一皇子は私においたわしそうな、労う柔らかい声をかけた。
だけど、
「...相当な豪胆な方でびっくりしました。しかし、シルバー王女が、あの国の、8人王族がいる内の、第4王女だとは…聞いていたのですが…貴女も苦労していらっしゃいますね」
と、言うと、目が光を失った、真黒になり、私をおもてなししたあの高い声ではなく、滅茶苦茶低くくどす黒い声で言われた。
あまりにも、豹変ぶりに、少し恐怖を覚えたが、それで、私はやはり彼、アリーゼ.スプレッド第一皇子の本質はこれなんだな。というのが垣間見えた。
「すみません…。失礼な事お聞きしまして。不思議だな、と思ったのです」
「いいえ。大丈夫ですわ。気にしておりません」
その後、私達は黙りながら、城に向かった。
私はその間、ちょっとだけ、彼との距離を保っていた。
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