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卒業生で受験生
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「それではみなさん、また会いましょう。会える確証はありませんが」
運試しにコインを投げてみると、コインは微かな太陽の光を反射させて海に落っこちてった。
+
桜の花弁が舞い散る新学期。一人一人が能力を持つ、ネイヴェサ国の魔導中学校3年生となった生徒達は、春休み明けの気だるさと共に、先生の話を聞いていた。
「もう君達は3年生。卒業生で受験生ですね。あ、この国には筆記試験や面接などは無いのを覚えてる?」
3年A組の担任である佐藤先生が思い出したように話を降った。換気の為と開いた窓から春らしからぬ冷たい風が流れてくる。少しセンター分けになっている佐藤先生の髪が、微かに揺れた。
「え、知らない」
生徒が次々と「知らない」と呟き始めた。
何故か1年生と2年生の記憶があまり無い生徒達は自身が魔導中学校の生徒で、前に同じクラスだった生徒達の事ぐらいしか覚えていなかった。ぼんやりと靄のかかった記憶に対して特に何とも思っていなかった。
「やっぱり覚えてないかー、毎年卒業生にはね、試験がない代わりに、凶暴でこの国を荒らそうとしてるモンスターを倒してもらうんだよ。クエスト一覧の下の方にある、Lv100のクエストさ」
佐藤先生は頭をかくと黒板にクエスト一覧を映し出した。下の方にスクロールしていくと、鬼のマークのついたいかにも他のクエストと違う雰囲気を醸し出した「凶暴なモンスターを倒せ!」というクエストが現れた。
生徒達は目を点にしてクエスト一覧を見上げた。
「それでモンスターを倒すことで、君達の名誉ある行動が伝説となり、この国のどの高校にも通える権利を貰えるんだ。まぁ別に高校に行く義務もないどね」
「ええええ俺達もこのモンスター倒すんですか??」
絆が半分泣きべそをかきながら先生に聞いた。
いつもはお気楽で何を考えているか絆だったが、血の気の引いた顔を見ると「こいつも人間なんだなぁ」と花火は思った。
「でもね、残念な事にに今年はなんだかモンスタが居ないようでさ、いや嬉しい事なんだけどね、だから…」
佐藤先生は少し教壇をうろうろと動き回りながらゆっくりと言う。生徒達はその姿を見つめていた。そして佐藤先生は教卓を思い切り叩くとこう叫んだ。
「俺たちが魔王となってモンスター代わりに戦うことにしました!」
「…」
「えええええええええ!?!?!?」
運試しにコインを投げてみると、コインは微かな太陽の光を反射させて海に落っこちてった。
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桜の花弁が舞い散る新学期。一人一人が能力を持つ、ネイヴェサ国の魔導中学校3年生となった生徒達は、春休み明けの気だるさと共に、先生の話を聞いていた。
「もう君達は3年生。卒業生で受験生ですね。あ、この国には筆記試験や面接などは無いのを覚えてる?」
3年A組の担任である佐藤先生が思い出したように話を降った。換気の為と開いた窓から春らしからぬ冷たい風が流れてくる。少しセンター分けになっている佐藤先生の髪が、微かに揺れた。
「え、知らない」
生徒が次々と「知らない」と呟き始めた。
何故か1年生と2年生の記憶があまり無い生徒達は自身が魔導中学校の生徒で、前に同じクラスだった生徒達の事ぐらいしか覚えていなかった。ぼんやりと靄のかかった記憶に対して特に何とも思っていなかった。
「やっぱり覚えてないかー、毎年卒業生にはね、試験がない代わりに、凶暴でこの国を荒らそうとしてるモンスターを倒してもらうんだよ。クエスト一覧の下の方にある、Lv100のクエストさ」
佐藤先生は頭をかくと黒板にクエスト一覧を映し出した。下の方にスクロールしていくと、鬼のマークのついたいかにも他のクエストと違う雰囲気を醸し出した「凶暴なモンスターを倒せ!」というクエストが現れた。
生徒達は目を点にしてクエスト一覧を見上げた。
「それでモンスターを倒すことで、君達の名誉ある行動が伝説となり、この国のどの高校にも通える権利を貰えるんだ。まぁ別に高校に行く義務もないどね」
「ええええ俺達もこのモンスター倒すんですか??」
絆が半分泣きべそをかきながら先生に聞いた。
いつもはお気楽で何を考えているか絆だったが、血の気の引いた顔を見ると「こいつも人間なんだなぁ」と花火は思った。
「でもね、残念な事にに今年はなんだかモンスタが居ないようでさ、いや嬉しい事なんだけどね、だから…」
佐藤先生は少し教壇をうろうろと動き回りながらゆっくりと言う。生徒達はその姿を見つめていた。そして佐藤先生は教卓を思い切り叩くとこう叫んだ。
「俺たちが魔王となってモンスター代わりに戦うことにしました!」
「…」
「えええええええええ!?!?!?」
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