とあるクラスの勇者30人

倉箸🥢

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宿でのんびり

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「あそこに丁度良い宿があるから今日は休もう!」

夏目が指をさした先には
ちょいと古ぼけた、でも何処か新しい雰囲気を醸し出した宿がひとつ。
丁度空も暗くなり始めてきたので、
たまたま近くにあったその宿に入る。

「いらっしゃいませー!」

店員ふたりがにこやかな笑みで皆を迎えた。その笑みがどこか懐かしかったのは多分気の所為だろう。

「あのー、20人なんですが、今からでも部屋空いてますか?」

「はいー!大丈夫ですよー!4人部屋を5つにわける形でも良いですか?」

「はい、大丈夫です!」

「では小林さん、案内していってください~、俺は他に仕事がありまして…」

「はーい」

受け付けらしき女性の小林が
皆の先頭をついて皆を連れる。
ひらひらと受け付けの男性が手を振り
皆の姿が見えなくなると仕事に目を向ける。

「…あいつら、元気そうで良かった」

ぼそりと呟く先の仕事の書類に
1部の6の2の人の詳細が
事細かく描かれている。

「…はー、あいつらも変わったなあ」

ため息混じりに男性は微笑む
その微笑みは何故なのか、男性は何者なのか、それはまた別の話。


*

皆それぞれ適度に5人ずつに別れ
部屋に入った。ベッドが5つ並んで
ついついはしゃいでしまう。
花火は布団にダイブすると、来愛も続いてダイブした。

「何はしゃいでるの~」

闇桜が笑いながらテレビをつける
するとあの国が燃え尽くされた事件の事に関してどこもかしこも取り上げていた。闇桜はすぐ様テレビを消し

「つまんな」

と言葉を放つ。

「よし、暇だから風呂いこうよ。結構広いらしいからさー」

闇桜がいそいそとバスタオルを用意すると、それに合わせて花火、来愛、夏目も大浴場に行く用意をする。
部屋に鍵をかけ、大浴場まで歩いていく。修学旅行の様な気分に浸れてついつい足取りが軽くなった。

*

「うはーー!!広いね!」

あまり人がいなく、6の2の人ぐらいしかいないその大浴場は、まるで本当の修学旅行見たいに思えてきた。
軽く体を洗い、大浴場を見渡す。
ぬるめの湯船や、熱めの湯船、色々な湯船がある。ふと夏目は横を見ると
そこには外へと続く道があり、外には
露天風呂が広々とあった。

「ねー、露天風呂行ってみようよ!」

夏目が露天風呂へと誘うと
皆わくわくしながら露天風呂へ走る

「だねー!露天風呂っ!!!」

「走ったら危ないよ~」

注意をする彩香を他所に花火は走って
露天風呂への扉を開ける。いつの間にかに結構暗く、星が綺麗に沢山瞬いていた。寒い空気を避けるように皆露天風呂へ入るとこわばった顔がゆるくなる。

「は~やっぱり温か~~~」

「まるで風呂に入った事無いみたいな感想だねぇ」

皆でケラケラと笑い合う。
広い湯船でのんびりと十分堪能した皆は、戦いの疲れからか上がってすぐ様寝ていた。そんな中林道先生は息を忍ばせ部屋を出て、屋上に出た。周りに明かりがあまりないおかげで綺麗に星が見える。

「…先生失格だなぁ…」

生徒を守るのが先生の役目のはずなのに、自分は倒れてしまい、生徒に怖い思いをさせてしまった。深く溜息をつき、手すりにもたれ掛かる。じんわりと手のひらに冷たい感覚が来て、生きてる事を実感させる。

「…何やってるんすか先生」

振りかかった声に林道先生は振り返ると、そこにはいつの間にかに花火が立っていた。花火は林道先生に近寄ると
手すりに肘を置いて空を眺めた。

「…逆に花火こそどうしたの?」

「いやあ、寝れなくてですね~、」

「はは、俺も同じ」

軽く言葉を交わしたあと
しばらく2人は何も話さなかった。
そんな時、ふと花火が聞いた。

「…坂木先生って何で魔王になっちゃったんですかね」

その発言に林道先生は目を丸くする
切なげに問われたその言葉に
林道先生は返す言葉を失う。
の事を話しても
きっと花火の記憶は失われている。
かといって亡き生徒に逢う為と答えても意味がわからないだろう。

「…わからない。だからこそ、その理由を聞く為に俺達は先生を救うんじゃないかなぁ」

優しい嘘をついた。
本当でもあり、大人としての意地を守る嘘。その嘘に花火は諦めたような吹っ切れたように笑った。

「ひー、そうですよねー!じゃあ私はそろそろ寝ますな!!先生も早く寝て
元気だしてくださいね!」

「はい、おやすみー」

バタンと扉が閉まり、花火は居なくなった。林道先生も屋上を降りる。
ちょうどよく冷えた身体は布団に包まるとすぐ様眠りについた。
そうして、長かった夜が明けた




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