とあるクラスの消失

倉箸🥢

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丈夫な私だもの

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「…うわ、なんだここ」

目が覚めると真っ白な天井が目に映った。
学校…では無いし家でも無い。という事は…
とりあえず起き上がると反動で頭がズキリと痛む。

「いって…やっぱし病院かよ」

頭を抑えながら当たりを見渡すと、沢山ベッドが並んでいて、入院してる人から看病してる家族やら看護師やら色々いた。人生初めて病院に運ばれたかもしれない。ぼんやりとそう思っていると、看護師の1人が起きている私に気づき、医者を呼んできてくれた。







「…でね、佐々木さんが食べたシューマイに睡眠薬が含まれていたんです。けれども命に別状はございません」

「…はぁ」

「全てのシューマイに睡眠薬が含まれていたらしく、意識を失った他の生徒達も命に別状は無く、回復しております」

「…よかった」

「佐々木さん丸1日寝てましたよ」

「エッ」

白衣が似合う男性医師に、そんな事を言われ拍子抜けしてしまう。スマホを見ると10月の25日のお昼13時。本当に丸一日寝てたのか。私は別に良いけれど生徒達の命に何かがあったら恐ろしい。無事ならばよかった。

「でもね佐々木さん…あなた不健康な生活送ってるでしょう?ついでに色々検査したら色々と……………」

「ひいいい…」



「…うへぇ…怒られちった」

私はとぼとぼと病院を後にした。
…医者からの説教は悲しくなるので省略しておこう。車が小学校の駐車場に置きっぱなしなので1度雄星小学校に戻らないといけない。
歩きながら色々考える。どうして先生は誰かが行動に移すと予言していたのか、その誰かは私達だとわかっていたのか、それとも他にも行動している人がいるのだろうか。考えれば考えるほど訳が分からなくなって髪の毛をぐしゃぐしゃにして、ひとつ息をつく。

「…よし、学校に戻ろう」

なんとなく頭の入れ替えが出来たので、ぐしゃぐしゃな髪を手ぐしで直して、歩き出す。何処ぞの探偵少年や、その謎を作り上げる犯人を凄いなぁなんて思いながら歩いて小学校まで向かう。

「………歩くのめんどくせぇ!」

私はアプリを立ち上げてタクシーを予約した。
こういうのは勢いが大事。目印となる場所に軽く移動して、タクシーを待っていると数十分もかからずタクシーがやってきた。早いものね。
目の前に綺麗に黒塗りなタクシーが停まる。
私はタクシーに乗り込んだ。

「ご予約の佐々木様ですか?雄星小学校までで宜しいですね?」

「はい!お願いします!」

久しぶりのタクシーは涼しくて、とても乗り心地が良かった。

「雄星小学校って…昨日生徒の給食に睡眠薬が盛られていたとか言う事件があった所ですよね?」

運転手が、思い出したように言った。

「はい、私も被害者だったりします」

「えぇ!?そうなんですか!?…何やらその事件、盛られていたのはひとつのクラスの給食だけのようなんですよ。そして給食室もくまなく調べて調理員を一人一人問い詰めても、一切睡眠薬は出てこなかったし、誰もやってないと言い張ってるらしくて…もう誰かが異能力使って睡眠薬仕込んだんじゃないかなーって、先生思ってるんです」

「…先生?…もしかして…安田先生?」

「え、あれ!佐々木さん!?安田です」

丁度赤信号だったので、運転手は振り返った。
聞き覚えのある特徴的な驚きの声を上げる運転手は…私が中学校の時の数学科の先生の安田先生だった。

「今タクシーの運転手やってるんですか?」

「うん、定年まであとちょっとなんですが…教員辞めて本書いたり、塾講師したり、タクシーの運転手やってます」

「えー…そうなんですか…辞めちゃったんだ…」

「まぁ、辞めさせられた的な?とある事件追ってたらが上手いこと裏で回したのか教員人生終わってたんだんですよ。意味わかんないだろうけど」

安田先生は「酷い奴らだよな」と昔のように大きく口を開けて笑った。信号が青に変わり、車は走り出す。

「その事件って、もしかして…異能力を持ち、その力を悪用して起こる不可思議な事件の事ですか?」

「…なんで知ってるんです?」

ルームミラーに映る安田先生の明るい顔が、一瞬にして怪訝な顔になった。やはり、図星だったようだ。

「私2年前に新聞記者やってて、そう言う不可思議な事件を沢山見てきて、追ってたんです。まぁ、先生と同じく…辞めさせられたんですが」

「だから、しばらく異能力の事件には触れずに生きてきたんですが…また身近に不可思議な事が起きて、また追っているんです」

「…そりゃ大変だなぁ」

私はそう言うと、安田先生は何か考えるような素振りをしてから、メモ帳に何やら描いて、私に渡した。雄星小学校には到着していた。

「先生の電話番号。なんもナンパとかじゃ無いよ?何かあったら連絡ください。先生も事件について調べてたから何か知ってるかもしれないし」

「…ありがとうございます」

「…でもね、最後にもうひとつ。知りすぎたら行けないこともあるし、踏み入れたら殺されるラインを俺達は踏み入れようとしてるんだ。どうか命を大切に。じゃあね」

私は料金を払い車を降りると、安田先生は手を振って車を発進させた。

「ありがとうございましたー!」

私はそう叫び、校内に入る。
誰もいない。まぁ、あんな事件があったからか

「花火さん!」

突如後ろから声が聞こえてきて、私は振り返った。給食を一緒に食べた班の女の子だ。
何やら手に紙を持っている。

「これ!実は2年前に坂木先生から預かったもので!もし行動を起こした人が居たら渡してくれって…!」

息を切らしながら女の子は私の手に紙を押し付けた。とりあえず私は紙を受け取る。

「花火さん無事そうでよかった!」

「丈夫な私だもの、元気だよ」

「よかった~!!」

女の子は安心した顔を浮かべると、足早に帰っていった。私は手に持っている折りたたまれた紙を開いて、中を見てみた。


「……は?」







    
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