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自意識ライジング

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夏休み一日目。どうやら先生は仕事のようだ。先生に夏休みと言う概念はあるようでないのは、大変だなあっていつも思う。休みの日は早起きしない私だが、今日はあいにく部活。あいにくって言っても、三日間のうちの一日だから、ほぼバケーションを満喫できるもんだ。

「俺さ、昨日色々考えたんだよ」

渡辺先生が、納豆ご飯を食べながら言った。どうやら先生は納豆を混ぜてから醤油を入れるタイプらしい。

「何をですか?これからの世界の未来について?」

「テーマが重いな!…まあそうっちゃそうだけどさあ」

「やっぱり、俺がこの家に居候してることは学校の皆には内緒にしよう。校長先生には言ってるんだけどさ、他の皆にバレたら、千春がなんか言われるかもしれない」

真ん丸な渡辺先生の目と目が合う。私は目玉焼きを勢い良く飲み込んだ。

「なんかって…何を?」

「何って…俺たちが…そういう関係、とか、半同棲なんてキショいとか…」

「なんだあ、そういう…「先生って何食べてんの?とかさ、先生ってどんな感じ?とかさ、部屋着ってどんな感じなの?とかテレビ何見るの?とかさ」

まくしたてるように渡辺先生は続けるもんだから、勢い良く飲み込んだ目玉焼きが変なところに入ってむせかえってしまった。四等分したとはいえ、でかい目玉焼きは、私の気管を盛大に苦しめた

「ぐほっ、ごほっ、げ…なんでそんなに自意識が高いの先生…」

「先生のプライベートってどんな感じ?とかさ、先生も部屋の掃除とかトイレ掃除するの?とかさ、先生ってどんな動画見るの?とか、先生と話すの?とか、先生と、先生と、先生と…」

「落ち着いて、落ち着いて先生!自意識ライジングを止めて!」

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