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なんだお前ら兄妹みてえだな!
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「なんだ騒がいしいな…って、千春!?」
「あ、じいちゃん!」
玄関の扉がかちゃりと開いて、ちょっと古臭い服を着て首にタオルをかけたじいちゃんがトマトを持ちながらやってきた。
「おう久しぶり!トマトあるぞ!食うか?先生も!」
「食べる!」
「食べます!」
勢い良く私と先生は飛び上がった。
するとじいちゃんは目を丸くしてから盛大に口を開けて笑った。
「わははは!なんだお前ら兄妹みてえだな!」
笑いながらじいちゃんは水道の水でトマトを洗うと、私と先生に目掛けてトマトを投げた。
私と先生は上手くキャッチをし、目を合わせた。
「「兄妹…」」
+
しばらくするとばあちゃんが重そうな荷物を抱えて帰ってきた。
「あらま、あんたらいつの間に仲良くなったの」
渡辺先生が寝っ転がって、ぴんと伸びた足に私は座っていた。2人して本を読みながら。
「ばあちゃん!なんで先生いるって教えてくれなかったの!教えてくれたら部活帰りでも行ったのに!」
「だってあんた忙しそうだからさ~、何、今日久しぶりに休みなのかい?」
「うん!やっと運動会の看板作成も、練習も終わったからね!もう暇人!」
「そうかいそうかい」
ばあちゃんはそう言いながら、荷物を置き、しまい始めた。私も本に目を戻すと、いきなり渡辺先生が言葉を発した。
「そう言えば、千春は美術部だっけ?」
雑誌を眺めながら渡辺先生は訊ねてきた。
とりあえず先生の方に顔を向け、私は答えた
「そうですよー、まだまだへっぽこですが」
すると渡辺先生はいきなり起き上がり、私は床に落とされた。「どべっ」なんて漫画のような声を出し、床に倒れる。
「じゃあさ、俺描いてよ」
期待を込めたかのように渡辺先生は私を見つめた。キラキラと光る目にはマヌケ顔の私が写ってる。
「はえ、先生を」
マヌケ顔のまま、そう聞くと「うん、先生を」と眩しい笑顔が返ってきた。
私は、自分の鞄からスケッチブックを出すと、なんとなく先生をちらほら見ながら、先生を描いていく。実際、家で数十回勝手に描いているもんだから描き方は覚えてる。それをベースに先生に似せていく。
「よし、どうだろ、こんな感じですかね!」
「うお!凄い!似てる!」
先生に褒められてちょっと嬉しくなる。
照れ隠しのように鼻の下を擦ると、先生はまじまじと見つめたあと、
「これ貰っちゃ駄目かな!?あした先生方に自慢したい」
「えええ!こんなので良いならば良いですけど…」
私は紙をスケッチブック破り、先生に渡した。
すると先生は明るく笑って、その絵を多分仕事用のファイルにしまった。
「へへへ、ありがとう!」
「あ、じいちゃん!」
玄関の扉がかちゃりと開いて、ちょっと古臭い服を着て首にタオルをかけたじいちゃんがトマトを持ちながらやってきた。
「おう久しぶり!トマトあるぞ!食うか?先生も!」
「食べる!」
「食べます!」
勢い良く私と先生は飛び上がった。
するとじいちゃんは目を丸くしてから盛大に口を開けて笑った。
「わははは!なんだお前ら兄妹みてえだな!」
笑いながらじいちゃんは水道の水でトマトを洗うと、私と先生に目掛けてトマトを投げた。
私と先生は上手くキャッチをし、目を合わせた。
「「兄妹…」」
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しばらくするとばあちゃんが重そうな荷物を抱えて帰ってきた。
「あらま、あんたらいつの間に仲良くなったの」
渡辺先生が寝っ転がって、ぴんと伸びた足に私は座っていた。2人して本を読みながら。
「ばあちゃん!なんで先生いるって教えてくれなかったの!教えてくれたら部活帰りでも行ったのに!」
「だってあんた忙しそうだからさ~、何、今日久しぶりに休みなのかい?」
「うん!やっと運動会の看板作成も、練習も終わったからね!もう暇人!」
「そうかいそうかい」
ばあちゃんはそう言いながら、荷物を置き、しまい始めた。私も本に目を戻すと、いきなり渡辺先生が言葉を発した。
「そう言えば、千春は美術部だっけ?」
雑誌を眺めながら渡辺先生は訊ねてきた。
とりあえず先生の方に顔を向け、私は答えた
「そうですよー、まだまだへっぽこですが」
すると渡辺先生はいきなり起き上がり、私は床に落とされた。「どべっ」なんて漫画のような声を出し、床に倒れる。
「じゃあさ、俺描いてよ」
期待を込めたかのように渡辺先生は私を見つめた。キラキラと光る目にはマヌケ顔の私が写ってる。
「はえ、先生を」
マヌケ顔のまま、そう聞くと「うん、先生を」と眩しい笑顔が返ってきた。
私は、自分の鞄からスケッチブックを出すと、なんとなく先生をちらほら見ながら、先生を描いていく。実際、家で数十回勝手に描いているもんだから描き方は覚えてる。それをベースに先生に似せていく。
「よし、どうだろ、こんな感じですかね!」
「うお!凄い!似てる!」
先生に褒められてちょっと嬉しくなる。
照れ隠しのように鼻の下を擦ると、先生はまじまじと見つめたあと、
「これ貰っちゃ駄目かな!?あした先生方に自慢したい」
「えええ!こんなので良いならば良いですけど…」
私は紙をスケッチブック破り、先生に渡した。
すると先生は明るく笑って、その絵を多分仕事用のファイルにしまった。
「へへへ、ありがとう!」
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