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19.制服姿、見てみたいなあ
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あー、今日も良く頑張ったわ。マリオンが来てからと言うもの、自分でも驚くほど仕事を頑張る様になって、お陰で王宮内でもメイドの評価は上々らしい。目に見えて王宮内がキレイになったと言われたけど……以前だって少々サボっていたぐらいで、ちゃんと掃除や整頓はしてたんだけどな。キレイになったのはむしろ、マリオンが『今までできなかったこと』をやってくれる様になったからじゃないかしら? 先日は屋上からロープを垂らして上階の窓拭きをしていたらしいけど、もうそれぐらいじゃ驚かないからね!
そう言えば昨晩の夕食はとても美味しい鹿肉だった。正直私が食べたことがある鹿肉は匂いがきつくて硬いものばかり……あまり好きではなかったけれど、まさか寮の夕食であんなに美味しい鹿肉が出てくるとは思わなかったわ。他のメイドたちにも好評だったけど……私とローナはその出処が分かっていた。
「ねえマリオン、昨日寮の夕食で鹿肉を食べたんだけどさ」
「美味しかったですか? とても大きい雄鹿が狩れたので、皆様にもおすそ分けです」
やっぱり。姫様のお気に入りになったからもう狩りになんて行かないんじゃないかと思っていたけど、この子にはきっと狩人の血が流れているんだわ。夕食にはキノコや山菜も沢山入っていたから、あれもきっとマリオンからのおすそ分け。取り敢えず……ごちそうさまでした。
仕事を終えたメイド仲間たちとワイワイ世間話していると、マリオンがメイド長に何やら報告している。
「あの、明日はお休みを頂きますので」
「学園の研修だったわね、問題ありません。姫様の学友として、頑張っていらっしゃい」
「はい!」
そうか、もうちょっとしたら学園の卒業パーティーがあって、それが終わったら入学だもんね。
「入学もしてないのに研修があるの?」
「研修と言っても新入生が顔合わせをしたり、先輩方が学内を案内してくれたりするそうです」
「ふーん。もう制服はもらった?」
「はい。先日ミランダ様のお屋敷に招待頂きましたので、その時にパトリシア様と制服を着て伺いました」
「ミランダ様のお屋敷に行ったの!?」
ミランダ様の話になると、他のメイドたちもワラワラと私たちの周りに寄ってきてマリオンに質問攻め。マリオン、あなたちょっとミランダ様に気に入られてるんじゃないの!? 姫様が『お姉様』と言ってミランダ様と親しくされているからかも知れないけど……でも、ミランダ様の横にマリオンが並んでいると、実際お似合いかな。私だったら女同士であってもミランダ様となら結婚したいと思うけど、マリオンはどうなのかしら?
「あんたの制服姿、見てみたいなあ」
「そうですね、私も一度見てみたいわ」
「では明日の朝、パトリシア様の所に行く前にここでお披露目しますね。ちょっと恥ずかしいですけど……」
確かに、普段は皆メイド服姿を見慣れているから、私服姿を見られるとちょっと恥ずかしいよね。でも、マリオンの制服姿はきっと可愛いに違いないわ。
翌朝、まだ時間が早いのに控室に人が多い。皆そんなにマリオンの制服姿が見たかったの!? 皆がソワソワしながら待っていると、いつも通りの時間にマリオンが入ってきた。
「お、お待たせしました……」
照れながら入ってきたマリオンの制服姿。街でも学生を良く見かけるので制服自体は珍しくはないんだけどマリオンが着ていると初々しくて、まだ着慣れず体に馴染んでいない感じが逆にいい! 扉のところでモジモジしている彼女を一人のメイドが皆の輪の中に連れてきた。
「フフフ、良く似合ってますよ」
「本当ですか? 普段はゆったりした服しか着ないので、窮屈で……」
「あんた、胸はあんまりないんだから、窮屈ではないでしょう」
「それを言わないでください……」
胸を押さえながら更に照れるマリオンに対して笑いが起こるが、皆とても温かい目で彼女を見守っていた。こんな可愛い子を苛めていた自分が恥ずかしいけれど、マリオンは既に皆の妹的な存在。美人だし優しいし、学園に入ったらきっとモテモテに違いないんだから。皆も口々に応援の言葉を贈っている。
「頑張りなよ。ほら、あんまり姫様をお待たせしても悪いから、行っといで」
「はい! 行ってきます!」
笑顔で小走りに部屋を出ていったマリオン。か、可愛いなあ……ミランダ様は中性的な魅力で私たちをドキドキさせてくれるけれど、マリオンに対してはまた別の意味でドキドキする。なんだろうなあ、あの可愛さは。それは皆も同じ様で、控室の雰囲気自体がどこかほっこり温かいものになっていた。
そう言えば昨晩の夕食はとても美味しい鹿肉だった。正直私が食べたことがある鹿肉は匂いがきつくて硬いものばかり……あまり好きではなかったけれど、まさか寮の夕食であんなに美味しい鹿肉が出てくるとは思わなかったわ。他のメイドたちにも好評だったけど……私とローナはその出処が分かっていた。
「ねえマリオン、昨日寮の夕食で鹿肉を食べたんだけどさ」
「美味しかったですか? とても大きい雄鹿が狩れたので、皆様にもおすそ分けです」
やっぱり。姫様のお気に入りになったからもう狩りになんて行かないんじゃないかと思っていたけど、この子にはきっと狩人の血が流れているんだわ。夕食にはキノコや山菜も沢山入っていたから、あれもきっとマリオンからのおすそ分け。取り敢えず……ごちそうさまでした。
仕事を終えたメイド仲間たちとワイワイ世間話していると、マリオンがメイド長に何やら報告している。
「あの、明日はお休みを頂きますので」
「学園の研修だったわね、問題ありません。姫様の学友として、頑張っていらっしゃい」
「はい!」
そうか、もうちょっとしたら学園の卒業パーティーがあって、それが終わったら入学だもんね。
「入学もしてないのに研修があるの?」
「研修と言っても新入生が顔合わせをしたり、先輩方が学内を案内してくれたりするそうです」
「ふーん。もう制服はもらった?」
「はい。先日ミランダ様のお屋敷に招待頂きましたので、その時にパトリシア様と制服を着て伺いました」
「ミランダ様のお屋敷に行ったの!?」
ミランダ様の話になると、他のメイドたちもワラワラと私たちの周りに寄ってきてマリオンに質問攻め。マリオン、あなたちょっとミランダ様に気に入られてるんじゃないの!? 姫様が『お姉様』と言ってミランダ様と親しくされているからかも知れないけど……でも、ミランダ様の横にマリオンが並んでいると、実際お似合いかな。私だったら女同士であってもミランダ様となら結婚したいと思うけど、マリオンはどうなのかしら?
「あんたの制服姿、見てみたいなあ」
「そうですね、私も一度見てみたいわ」
「では明日の朝、パトリシア様の所に行く前にここでお披露目しますね。ちょっと恥ずかしいですけど……」
確かに、普段は皆メイド服姿を見慣れているから、私服姿を見られるとちょっと恥ずかしいよね。でも、マリオンの制服姿はきっと可愛いに違いないわ。
翌朝、まだ時間が早いのに控室に人が多い。皆そんなにマリオンの制服姿が見たかったの!? 皆がソワソワしながら待っていると、いつも通りの時間にマリオンが入ってきた。
「お、お待たせしました……」
照れながら入ってきたマリオンの制服姿。街でも学生を良く見かけるので制服自体は珍しくはないんだけどマリオンが着ていると初々しくて、まだ着慣れず体に馴染んでいない感じが逆にいい! 扉のところでモジモジしている彼女を一人のメイドが皆の輪の中に連れてきた。
「フフフ、良く似合ってますよ」
「本当ですか? 普段はゆったりした服しか着ないので、窮屈で……」
「あんた、胸はあんまりないんだから、窮屈ではないでしょう」
「それを言わないでください……」
胸を押さえながら更に照れるマリオンに対して笑いが起こるが、皆とても温かい目で彼女を見守っていた。こんな可愛い子を苛めていた自分が恥ずかしいけれど、マリオンは既に皆の妹的な存在。美人だし優しいし、学園に入ったらきっとモテモテに違いないんだから。皆も口々に応援の言葉を贈っている。
「頑張りなよ。ほら、あんまり姫様をお待たせしても悪いから、行っといで」
「はい! 行ってきます!」
笑顔で小走りに部屋を出ていったマリオン。か、可愛いなあ……ミランダ様は中性的な魅力で私たちをドキドキさせてくれるけれど、マリオンに対してはまた別の意味でドキドキする。なんだろうなあ、あの可愛さは。それは皆も同じ様で、控室の雰囲気自体がどこかほっこり温かいものになっていた。
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