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第七章 嵐の夜に
幸せのラウンジ
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こんな、取り留めの無いことを考えている内に、すぐ時間が経ち、外で、昼間、聞いたSUV車のエンジン音が、再び聞こえてくる。
ヤマネ写真家、東山大悟氏が再び到着したんだな。
下の階からも、他のメンバーが部屋を出る音がする。
「さぁ~、そろそろ行くか。」
一人で呟き、僕も立ち上がる。
東山さんには、どうしても、聞いてみたいこともあるし、楽しみだよ。
アラスカ在住だった日本人自然カメラマン、月野和夫氏。
ロシア滞在中に、羆の事故で命を落とした。
同じ、野生動物を撮るカメラマンとして、月野氏の死を、東山さんは、どう思うだろう?興味がある。
階段を降り、指定されたラウンジに入ってみる。
天井が低くく、一同に会する者達が、一体感を感じる構造だ。
やはり、楓の椅子、テーブルに天井からランプが吊り下がり、テーブルの中央の燭台に建てられた蝋燭には、火が灯っていて、三枚の皿の上には、地元産と見られるお菓子が盛り付けてある。
冷える霧ヶ峰の夜、薪ストーブがパチパチと音を立てている。
やはり、「焚き物」は普通の暖房器具より、遥かに暖かい。
杉の薪のような、嫌な臭いがしない。よく乾燥した楢の薪を使っているようだ。
まだ、座談会の開始予定時間、10分前。
東山氏は、既に席に着いている。
「こんばんは、よろしくお願います。」
僕は、合氣道の「立ち礼」をする。
「はい、よろしくお願いします。」
カメラマンの先生が、穏やかに返事をしてくれる。
ディーンフジオカ添乗員が、その隣に座っていて、既に準備万端。
他に、もう着席しているのは、水野さん、小林さん、山田さん、まで......ああ、もう、居たんですか。
?佑夏が、いない.........?
常に、時間に余裕を持って行動する彼女が、予定の10分前に姿を見せないのは珍しい。
理夢ちゃんの勉強が長引いてるのか?ルミ子さんと理夢ちゃんも、まだだ。
果たして、その通りであった。
僕の、すぐ後に入って来た、ルミ子さんが捲し立てる
「えろう、すんまへん。うちのアホ娘、まだや言いまして。」
佑夏が、理夢ちゃんに、今だけ家庭教師してることを、東山さんに、ディーンフジオカ添乗員が、説明する。
やはり、自然の中で暮らしていて、ストレスが無いからか、東山氏はまるで余裕で
「ハハハ、それは良かったですね。私は構いませんよ。好きなだけ教えてもらっては、いかがですか?」
「ほんまですか?理夢、もう時間や、白沢先生に迷惑や言うても、先に始めてくれ言うて、聞かへんのです。せやったら、そう娘に言うて来ますわ。」
ルミ子さんは、いったん出て行くと、すぐまた戻って来て、
「中原さん、恋人さんをお借りしてすんまへん。白沢先生も、笑うて、ええですよ、言うてくれましたわ。ほんまにお優しい方ですなぁ。自分かて、東山先生のお話、聞きたいのに。」
佑夏を恋人と呼んでくれるので、僕もニヤケてしまい。
「い、いえ。白沢さんは、そういう人ですから。喜んでると思いますよ。」
そう。
こんな時、姫は絶対に自分を優先しない。
あの、髪の白い貝殻と、三個のシーグラスが、それを知っている。
ヤマネ写真家、東山大悟氏が再び到着したんだな。
下の階からも、他のメンバーが部屋を出る音がする。
「さぁ~、そろそろ行くか。」
一人で呟き、僕も立ち上がる。
東山さんには、どうしても、聞いてみたいこともあるし、楽しみだよ。
アラスカ在住だった日本人自然カメラマン、月野和夫氏。
ロシア滞在中に、羆の事故で命を落とした。
同じ、野生動物を撮るカメラマンとして、月野氏の死を、東山さんは、どう思うだろう?興味がある。
階段を降り、指定されたラウンジに入ってみる。
天井が低くく、一同に会する者達が、一体感を感じる構造だ。
やはり、楓の椅子、テーブルに天井からランプが吊り下がり、テーブルの中央の燭台に建てられた蝋燭には、火が灯っていて、三枚の皿の上には、地元産と見られるお菓子が盛り付けてある。
冷える霧ヶ峰の夜、薪ストーブがパチパチと音を立てている。
やはり、「焚き物」は普通の暖房器具より、遥かに暖かい。
杉の薪のような、嫌な臭いがしない。よく乾燥した楢の薪を使っているようだ。
まだ、座談会の開始予定時間、10分前。
東山氏は、既に席に着いている。
「こんばんは、よろしくお願います。」
僕は、合氣道の「立ち礼」をする。
「はい、よろしくお願いします。」
カメラマンの先生が、穏やかに返事をしてくれる。
ディーンフジオカ添乗員が、その隣に座っていて、既に準備万端。
他に、もう着席しているのは、水野さん、小林さん、山田さん、まで......ああ、もう、居たんですか。
?佑夏が、いない.........?
常に、時間に余裕を持って行動する彼女が、予定の10分前に姿を見せないのは珍しい。
理夢ちゃんの勉強が長引いてるのか?ルミ子さんと理夢ちゃんも、まだだ。
果たして、その通りであった。
僕の、すぐ後に入って来た、ルミ子さんが捲し立てる
「えろう、すんまへん。うちのアホ娘、まだや言いまして。」
佑夏が、理夢ちゃんに、今だけ家庭教師してることを、東山さんに、ディーンフジオカ添乗員が、説明する。
やはり、自然の中で暮らしていて、ストレスが無いからか、東山氏はまるで余裕で
「ハハハ、それは良かったですね。私は構いませんよ。好きなだけ教えてもらっては、いかがですか?」
「ほんまですか?理夢、もう時間や、白沢先生に迷惑や言うても、先に始めてくれ言うて、聞かへんのです。せやったら、そう娘に言うて来ますわ。」
ルミ子さんは、いったん出て行くと、すぐまた戻って来て、
「中原さん、恋人さんをお借りしてすんまへん。白沢先生も、笑うて、ええですよ、言うてくれましたわ。ほんまにお優しい方ですなぁ。自分かて、東山先生のお話、聞きたいのに。」
佑夏を恋人と呼んでくれるので、僕もニヤケてしまい。
「い、いえ。白沢さんは、そういう人ですから。喜んでると思いますよ。」
そう。
こんな時、姫は絶対に自分を優先しない。
あの、髪の白い貝殻と、三個のシーグラスが、それを知っている。
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