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第五章 天の川を一緒に歩こ!
幸せを乗せたバス
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「礼儀は人を調和に導いて、不作法は対立と不幸に導くの。これってホントよね。」
佑夏の言葉に同意するように、彼女の膝の上のぽん太が”ふにゃ~ん!”と声を上げる。
まあ、この猫はただの猫ではないが。
(ぽん太、なにカワイイ声だしてんだ?似合わないって。)
(オレは、この娘にゃ、頭が上がんねえんだよ。)
佑夏は、ぽん太の頭を優しく撫でながら
「でもね~、よく、すごく大きな声で、叫ぶような挨拶させる人もいるでしょ?
あれも、良くないのよ。」
「そうなの?」
空手や剣道は、何かと絶叫するが、合氣道は叫ぶということは無い。
「うん。
あれは、礼儀正しさに見せかけた不作法なの。
不自然な礼儀には、卑屈や恨みみたいな、本当は不作法な態度が入ってるから。」
佑夏らしいな。
この子の所作は、いつも自然でわざとらしくないのである。
「ああ、そうだね。大声は、本当は心がこもってないって、合氣道教室の館長も、よく言うよ。」
僕も子供クラスの子達に大声は要求していない。
そして、思い当たったことを、僕は口にする
「前にさ、バイトの面接に行ったら、直立不動で大声で挨拶させられた所があってさ、試用期間は給料無しって言うから、すぐ断ったよ。」
「アハハ!やっぱり、変なことすると、変になっちゃうんだね。」
そう言って、笑う佑夏に、彼女の膝の上のぽん太は.........。
ゴロゴロ喉を鳴らしながら、左右の前足を交互に動かして、佑夏の足を撫で回している。
俗に言う「猫のふみふみ」である。
「あら~!ぽん太、甘えん坊さんね~!可愛いな~♡」
佑夏は笑って、さらにぽん太の頭を優しく撫でているが。
(おい、ぽん太。あんまり佑夏ちゃんに触るなよ!)
僕は氣が氣ではない。
心地良さそうに目を閉じ、ご満悦のぽん太
(ニャハハ!オレは猫だぜ。役得ってヤツだ。はぁ~極楽だぁ~。)
このデブ猫に一声、「ワン!」とレオナが、威嚇の声を浴びせてくれたのは嬉しかった。
もっとも、ぽん太はまるで、どこ吹く風ではあったんだけど。
つい、一週間前に、そんな会話があったばかりの今。
バスの入り口に、運転手を務める佑夏のお父さんが立ち、子供達を迎え入れている。
彼らに、「運転手さんにご挨拶してね。」と、佑夏は告げ、若葉寮の児童生徒は、一人ずつ
「お願いします。」、「お願いします。」と挨拶しながら、バスに乗り込んで行く。
もちろん、不自然な大声の挨拶など、させてはいない。
佑夏のお父上も、にこやかに、全員に頷いていく。
かくて......。
車内は和むこと、この上なく、佑夏得意のエンターテイメント性は、歌にゲームに大いに発揮される。
改めて、彼女の天賦の才には、驚かされてしまう。
ただ場を盛り上げる才に長けているだけでなく、調和の為の礼儀のことまで考えているのは凄い。
ここでも、佑夏にベッタリの斎藤ミユちゃんには悪いが、やはり惚れ直してしまう。
子供達の前では、こんなにも明るく振る舞う彼女が、心無い男に傷つけられ、人知れず涙を流していたとは。
翠に聞くまで、僕はまるで知らなかった。
佑夏の言葉に同意するように、彼女の膝の上のぽん太が”ふにゃ~ん!”と声を上げる。
まあ、この猫はただの猫ではないが。
(ぽん太、なにカワイイ声だしてんだ?似合わないって。)
(オレは、この娘にゃ、頭が上がんねえんだよ。)
佑夏は、ぽん太の頭を優しく撫でながら
「でもね~、よく、すごく大きな声で、叫ぶような挨拶させる人もいるでしょ?
あれも、良くないのよ。」
「そうなの?」
空手や剣道は、何かと絶叫するが、合氣道は叫ぶということは無い。
「うん。
あれは、礼儀正しさに見せかけた不作法なの。
不自然な礼儀には、卑屈や恨みみたいな、本当は不作法な態度が入ってるから。」
佑夏らしいな。
この子の所作は、いつも自然でわざとらしくないのである。
「ああ、そうだね。大声は、本当は心がこもってないって、合氣道教室の館長も、よく言うよ。」
僕も子供クラスの子達に大声は要求していない。
そして、思い当たったことを、僕は口にする
「前にさ、バイトの面接に行ったら、直立不動で大声で挨拶させられた所があってさ、試用期間は給料無しって言うから、すぐ断ったよ。」
「アハハ!やっぱり、変なことすると、変になっちゃうんだね。」
そう言って、笑う佑夏に、彼女の膝の上のぽん太は.........。
ゴロゴロ喉を鳴らしながら、左右の前足を交互に動かして、佑夏の足を撫で回している。
俗に言う「猫のふみふみ」である。
「あら~!ぽん太、甘えん坊さんね~!可愛いな~♡」
佑夏は笑って、さらにぽん太の頭を優しく撫でているが。
(おい、ぽん太。あんまり佑夏ちゃんに触るなよ!)
僕は氣が氣ではない。
心地良さそうに目を閉じ、ご満悦のぽん太
(ニャハハ!オレは猫だぜ。役得ってヤツだ。はぁ~極楽だぁ~。)
このデブ猫に一声、「ワン!」とレオナが、威嚇の声を浴びせてくれたのは嬉しかった。
もっとも、ぽん太はまるで、どこ吹く風ではあったんだけど。
つい、一週間前に、そんな会話があったばかりの今。
バスの入り口に、運転手を務める佑夏のお父さんが立ち、子供達を迎え入れている。
彼らに、「運転手さんにご挨拶してね。」と、佑夏は告げ、若葉寮の児童生徒は、一人ずつ
「お願いします。」、「お願いします。」と挨拶しながら、バスに乗り込んで行く。
もちろん、不自然な大声の挨拶など、させてはいない。
佑夏のお父上も、にこやかに、全員に頷いていく。
かくて......。
車内は和むこと、この上なく、佑夏得意のエンターテイメント性は、歌にゲームに大いに発揮される。
改めて、彼女の天賦の才には、驚かされてしまう。
ただ場を盛り上げる才に長けているだけでなく、調和の為の礼儀のことまで考えているのは凄い。
ここでも、佑夏にベッタリの斎藤ミユちゃんには悪いが、やはり惚れ直してしまう。
子供達の前では、こんなにも明るく振る舞う彼女が、心無い男に傷つけられ、人知れず涙を流していたとは。
翠に聞くまで、僕はまるで知らなかった。
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