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第五章 天の川を一緒に歩こ!
幸せの七夕飾り
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佑夏ちゃんが、俺と話すのが楽しいって?
これは、喜ぶなという方が無理だが、翠は僕のそんな氣持ちを知ってか知らずか
「県教大とか、国公立大のやつらは、頭が固いんだ。人間味が無くて、つまらないみたいだぞ。」
僕も思い当たることがある
「そう言えば、○○さん(一流国立大から、僕達の大学に移籍してきた教授。60代・女性)も、そんなこと言ってるみたいだな。」
「だろ?十流私大も、まだ棄てたもんじゃないんだな。」
翠が頷く。
この○○教授によれば、国立大の学生は、学力こそ高いものの、人間が小さいというか、面白みが無いのだという。
学力の劣る十流学院大の学生の方が、ずっと人間の幅が広いので、もう国立大には戻らないと言っている。
同じことを、佑夏も感じてくれているのか?
角を曲がり、若葉寮が見えて来ると、もう子供達が中庭に出て、僕達を待っているのが、目に入って来る。
「なかはら先生ー!かんの先生ー!おはよーございますー!!」
子供らが手を振り、口々に僕達の名前を呼んでいるな。
しかし。
中学時代の嫌な思い出から、「先生」と聞いただけで拒否反応が出るようになっていた僕が、子供から「先生」と呼ばれるようになるとは、思ってもみなかった、それも、まだ学生の内から。
僕と翠が門を開け、中に入ると、途端に子供達がゾロゾロ群がって来て.........。
構内の軒下には、笹の木が何本か立てられていて、子供達の作った七夕飾りがいくつも付いている。
色とりどりの短冊に、子供の書いた可愛らしい字で、願い事が書いてあるのが、見てとれた。
翠の口調が、僕と話す時とは一変
「みんな、おはよー!いいお天氣ね。今日はきっと、お星様が綺麗に見えるわよ。」
僕相手には、ぶっきらぼうな男言葉を使う彼女が、子供には優しいお嬢語りになる。
妙に板にハマッていて、どうもこっちが真の姿のようだ。
それにつけても、話し方といい、語り口といい、佑夏にそっくり!
流石は、小学校以来の親友である。
翠の前に、女の子の中で、一際目立つエリカちゃん(小4)が進み出て来る。
明るく素直で、卓球の練習も、真剣に一生懸命やる子である。
なんとなく、学校の成績も良さそうなエリカちゃん
「あのね、エリカね、ずっと、かんの先生に会いたかったの。
短冊の願い事に書いたのよ。」
翠は、まんざらでもなさそうに
「私も、ずっとエリカちゃんと、みんなに会いたいと思ってたわ。」
そして、翠は全員に向き直ると
「みんな、今日は山の川の側を歩くから、ケガしないように、無茶しないでね~!」
「は~い!」
と、元氣に返事をする子、興味なさそうに脇を見ている子、まるで聞いていなくて、ひたすら走り回っている子、子供は色々だ。
あ、バスの音が。
佑夏のお父上が運転する、大型バスが到着したのはこの時である。
バスが停車し、ドアが開くと同時に、僕の愛しい姫君が名を呼んでくれる。
「みんな~!中原く~ん!、翠ちゃ~ん!おはよ~!」
佑夏が、翠より先に僕の名を!う、嬉しい!
子供の安全を配慮する、指導的立場の彼女。
すぐにバスから、飛び出して来ないで、周囲を確認してから、ゆったり降りて来る姿が美しい。
この人は常に、立ち居振る舞いが優雅で華麗なのである。
これは、喜ぶなという方が無理だが、翠は僕のそんな氣持ちを知ってか知らずか
「県教大とか、国公立大のやつらは、頭が固いんだ。人間味が無くて、つまらないみたいだぞ。」
僕も思い当たることがある
「そう言えば、○○さん(一流国立大から、僕達の大学に移籍してきた教授。60代・女性)も、そんなこと言ってるみたいだな。」
「だろ?十流私大も、まだ棄てたもんじゃないんだな。」
翠が頷く。
この○○教授によれば、国立大の学生は、学力こそ高いものの、人間が小さいというか、面白みが無いのだという。
学力の劣る十流学院大の学生の方が、ずっと人間の幅が広いので、もう国立大には戻らないと言っている。
同じことを、佑夏も感じてくれているのか?
角を曲がり、若葉寮が見えて来ると、もう子供達が中庭に出て、僕達を待っているのが、目に入って来る。
「なかはら先生ー!かんの先生ー!おはよーございますー!!」
子供らが手を振り、口々に僕達の名前を呼んでいるな。
しかし。
中学時代の嫌な思い出から、「先生」と聞いただけで拒否反応が出るようになっていた僕が、子供から「先生」と呼ばれるようになるとは、思ってもみなかった、それも、まだ学生の内から。
僕と翠が門を開け、中に入ると、途端に子供達がゾロゾロ群がって来て.........。
構内の軒下には、笹の木が何本か立てられていて、子供達の作った七夕飾りがいくつも付いている。
色とりどりの短冊に、子供の書いた可愛らしい字で、願い事が書いてあるのが、見てとれた。
翠の口調が、僕と話す時とは一変
「みんな、おはよー!いいお天氣ね。今日はきっと、お星様が綺麗に見えるわよ。」
僕相手には、ぶっきらぼうな男言葉を使う彼女が、子供には優しいお嬢語りになる。
妙に板にハマッていて、どうもこっちが真の姿のようだ。
それにつけても、話し方といい、語り口といい、佑夏にそっくり!
流石は、小学校以来の親友である。
翠の前に、女の子の中で、一際目立つエリカちゃん(小4)が進み出て来る。
明るく素直で、卓球の練習も、真剣に一生懸命やる子である。
なんとなく、学校の成績も良さそうなエリカちゃん
「あのね、エリカね、ずっと、かんの先生に会いたかったの。
短冊の願い事に書いたのよ。」
翠は、まんざらでもなさそうに
「私も、ずっとエリカちゃんと、みんなに会いたいと思ってたわ。」
そして、翠は全員に向き直ると
「みんな、今日は山の川の側を歩くから、ケガしないように、無茶しないでね~!」
「は~い!」
と、元氣に返事をする子、興味なさそうに脇を見ている子、まるで聞いていなくて、ひたすら走り回っている子、子供は色々だ。
あ、バスの音が。
佑夏のお父上が運転する、大型バスが到着したのはこの時である。
バスが停車し、ドアが開くと同時に、僕の愛しい姫君が名を呼んでくれる。
「みんな~!中原く~ん!、翠ちゃ~ん!おはよ~!」
佑夏が、翠より先に僕の名を!う、嬉しい!
子供の安全を配慮する、指導的立場の彼女。
すぐにバスから、飛び出して来ないで、周囲を確認してから、ゆったり降りて来る姿が美しい。
この人は常に、立ち居振る舞いが優雅で華麗なのである。
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