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第三章 幸福論の四季
一緒に遊ぼ!
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五月晴れの卓球ボランティア当日。
児童養護施設「若葉寮」に、三人の女子大生より先に、僕と須藤は着いており、職員に挨拶した後、会場作りを始めてしまっている。
すぐに、卓球台を乗せたトラックで、佑夏、翠、斎藤ミユちゃんが到着。
積み込みは、佑夏のお父さんら、地元の男性が手伝ってくれたようだ。
運転手は僕の姫、車体には「白沢養魚場」の名前が入っている。
ニジマスの養殖をしている彼女の実家、そのトラックか。
姫は、一年の時に既に運転免許を取ったが、家の手伝いをすることを考えて、マニュアルの中型免許にしたのである。
ただでさえ、こういう女性は珍しい。
まして、トラックを運転する女子教育大生など、果たして全国に何人いるか?
なんというか、色んな面で、実用性のある人だ。
卓球台は二台、子供達はすぐに楽しげな歓声を上げ始める。
佑夏の指導は面白くて、やめられなくなってしまうのは、僕も体験済みだ。
順番待ちの子を、僕と須藤が遊ばせてあげる。
意外だ!
女子大生が目当てとばかり思っていた須藤が、子供の世話が上手い。
たちまち、彼はこの若葉寮の入所児童の心を掴み、人気者となってしまっているじゃないか。
やはり、彼女持ちは違うのか?人間、どんな特技を持っているのか分からないものだな。
これは、負けられない!
俄然、僕もハートに火が付き、即席で合氣道の指導を始めてしまう。
子供にも理解できるように、易しい言葉で技の解説をしながら、ケガの無いよう、丁寧に教えなくてはならない。
やってみると、自分でも驚くような発見があり、氣がつくと熱中してしまっている。
「指導こそ本当の稽古」という館長の言葉は嘘ではなかったんだ。
昼食は施設で用意してくれて、ランチタイムは子供達と一緒。
たわいもない話ばかりだが、五人の大学生と施設児童は色んなことをしゃべくりまくり、とても楽しい時間を過ごす。
女の子達が、とっかえひっかえ、佑夏の髪の白い貝殻を触りに来て、「これキレイ~!これキレイ~!」と連発していたのはカワイイ。
姫も「ありがとー!」と、アランな微笑みで返していたっけ。
でも、楽しいことほど、時間が経つのは早いもので、卓球の一日も終わり、男二人が中心になってトラックに卓球台を積み込む。
すると、佑夏と翠が見事なロープワークで連携し、縛り上げてしまう、もうビクとも動かない。
姫は家の手伝いで、翠の実家も専業農家ではないが、田畑はあるから、それで覚えたのだろう。
何でもできるこの二人。
ふと、一緒に馬の仕事をしてくれることになったら、頼りになりそうだ、などと、計算づくな考えが頭を掠めていく。
もう、三人組の女子大生が、このトラックで帰る時間。子供達は名残惜しそう。
彼女達の地元は同じ。今夜はそれぞれの実家に泊まるんだろう。
佑夏と翠の真ん中の座席にいた斎藤ミユちゃん、あらためて白沢先輩に惚れ直したようで、姫に抱き着かんばかりに密着していたのを、思い出す。ハハハ!
児童養護施設「若葉寮」に、三人の女子大生より先に、僕と須藤は着いており、職員に挨拶した後、会場作りを始めてしまっている。
すぐに、卓球台を乗せたトラックで、佑夏、翠、斎藤ミユちゃんが到着。
積み込みは、佑夏のお父さんら、地元の男性が手伝ってくれたようだ。
運転手は僕の姫、車体には「白沢養魚場」の名前が入っている。
ニジマスの養殖をしている彼女の実家、そのトラックか。
姫は、一年の時に既に運転免許を取ったが、家の手伝いをすることを考えて、マニュアルの中型免許にしたのである。
ただでさえ、こういう女性は珍しい。
まして、トラックを運転する女子教育大生など、果たして全国に何人いるか?
なんというか、色んな面で、実用性のある人だ。
卓球台は二台、子供達はすぐに楽しげな歓声を上げ始める。
佑夏の指導は面白くて、やめられなくなってしまうのは、僕も体験済みだ。
順番待ちの子を、僕と須藤が遊ばせてあげる。
意外だ!
女子大生が目当てとばかり思っていた須藤が、子供の世話が上手い。
たちまち、彼はこの若葉寮の入所児童の心を掴み、人気者となってしまっているじゃないか。
やはり、彼女持ちは違うのか?人間、どんな特技を持っているのか分からないものだな。
これは、負けられない!
俄然、僕もハートに火が付き、即席で合氣道の指導を始めてしまう。
子供にも理解できるように、易しい言葉で技の解説をしながら、ケガの無いよう、丁寧に教えなくてはならない。
やってみると、自分でも驚くような発見があり、氣がつくと熱中してしまっている。
「指導こそ本当の稽古」という館長の言葉は嘘ではなかったんだ。
昼食は施設で用意してくれて、ランチタイムは子供達と一緒。
たわいもない話ばかりだが、五人の大学生と施設児童は色んなことをしゃべくりまくり、とても楽しい時間を過ごす。
女の子達が、とっかえひっかえ、佑夏の髪の白い貝殻を触りに来て、「これキレイ~!これキレイ~!」と連発していたのはカワイイ。
姫も「ありがとー!」と、アランな微笑みで返していたっけ。
でも、楽しいことほど、時間が経つのは早いもので、卓球の一日も終わり、男二人が中心になってトラックに卓球台を積み込む。
すると、佑夏と翠が見事なロープワークで連携し、縛り上げてしまう、もうビクとも動かない。
姫は家の手伝いで、翠の実家も専業農家ではないが、田畑はあるから、それで覚えたのだろう。
何でもできるこの二人。
ふと、一緒に馬の仕事をしてくれることになったら、頼りになりそうだ、などと、計算づくな考えが頭を掠めていく。
もう、三人組の女子大生が、このトラックで帰る時間。子供達は名残惜しそう。
彼女達の地元は同じ。今夜はそれぞれの実家に泊まるんだろう。
佑夏と翠の真ん中の座席にいた斎藤ミユちゃん、あらためて白沢先輩に惚れ直したようで、姫に抱き着かんばかりに密着していたのを、思い出す。ハハハ!
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