ヤマネ姫の幸福論

ふくろう

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第三章 幸福論の四季

幸せの英国庭園

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 入場ゲートが開く。

 僕達は席につき、まだ来ない須藤達を待つことに。

 コートを脱いだ佑夏を一目見て............。

 どひゃー!!っと危うく声を出してしまいそうになる。

 なんちゅースタイルの良さじゃー!!!信じられん!!!

 初めて見る佑夏のフォーマルスーツ、タイトミニ姿。

 スカートからスラリと伸びた足(季節柄、生足ではないが)から目が離れん!!だってコレ、男なら仕方ないって!!!

 今まで、フレアータイプのロングスカートが多かったから、氣付かなんだ~!うかつじゃ~!!!

 欲情(してない!してない!してないってば!)を隠す為、懸命に真面目な話題で、僕は佑夏に話かける。

「この人さ、田舎暮らしなんだよ。ロンドンから160㎞離れた田園地帯にある、16世紀に建てられた古い大きい屋敷で暮らしてて。敷地が広くてさ~、森や牧場になってるんだ。」

「え~?そういうの、いいね~!何だか、動物もいっぱいいそう。」
 多分、経済学部の女子大生だったら、こんなにニコニコして、こういう話は聞いてくれないと思う。
 僕にとって、佑夏は最高の聞き手。

「うん、いっぱいいるよ。この人、自然と動物が好きなんだ。犬、ヤギ、羊、アヒル、それと馬。広い敷地で犬と散歩して、乗馬してる。」

「あ~!好きなことが、中原くんと同じなのね。」

「そうなんだよ!英国庭園になってる公園みたいな敷地は、無料で一般開放してて、普通の家族連れなんかが、遊びにくるんだ。子供の笑い声が好きなんだって。」

「素敵ね~!ますます、中原くんにピッタリなんだ。」

「そうなんだよ。だから、俺、あんまり音楽に興味無いんだけど、この人の曲は合うんだと思う。」

 須藤達はまだ来ない。
 しかし、すっかり佑夏と盛り上がってしまっている。

「スタジオの雰囲気が嫌いでね。」
 なんか、本人みたいに、僕はつい言ってしまう。

「レコーディングもこの屋敷でやるんだよ。動物達と子供達の遊んでる姿を見ながらするのが好きなんだ。
 それが、曲にも生きてくるね。録音が終われば、機材は撤去してしまう。」

 佑夏は、すっかり感激し、目が輝いている。
「どんな音楽なんだろ?中原くん、ありがと~!」

 やがて、須藤達も現れ、開演。

 僕達は最高の二時間を過ごす。

 最初のデートが二人きりでなく、ダブルデートだったのは大正解で、四人で連帯感満点で仲良く盛り上がった。

 間違いなく、生涯、忘れられない一夜。

 帰り道、元より社交性のある佑夏は、須藤の彼女と楽しそうに談笑してたな。

 翌日、バイト先のカフェで、須藤に聞かれる。
「昨日の子、誰だよ?めっちゃカワイイじゃね~か!?」

「動物ボランティアの人だよ。保護猫の世話、手伝ってくれる。」
 だけど、またこのアーティストのコンサートに行きたい。
 もちろん、佑夏と。

 彼女も「カッコよかった~!!!♡」と絶賛してたし。

 




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