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それにしても、2人の戦闘能力はずぬけていた。
ヤクザの銃所持の優位がまるで存在しないかのように、次々と、当たるを幸い薙ぎ払っていく。
ヤクザの側は狙い撃とうにも、影すら捉えられない。
スピード、技のキレ、パワー、そんな言葉では説明できない。
なにもかもが違う!圧倒的に!!
「ウワチャアオオオオ!!!」
ただ、さくらさんの相棒の声が一々うるさい。
奇声と言うより…怪鳥音?
身長等は高志に近いが、筋肉の密度がまるで違う。
で、なぜか上半身裸。
しかし攻撃とフットワークはさくらと同等で、的確に敵を排除していく。
あれは…まるで…
いや、ま、まさかな。
先刻のヤクザの指揮役は、脂汗を流していた。
「クッ、なんだ!なんなんだあのバケモンども…!おい!」
「ウス!!」
「おーおー新手沸いてきやがった。俺もちった働くかー。」
ゴキゴキと指を鳴らしながら、身長180センチくらいの若い男性が進み出る。
この人も、さくらさんと同じ…。
高志も、戦わねばと立ち上がる。
「バカヤロー!ヘタレはすっこんでろっ!」
一瞬カチンと来たが、確かにあれを見せられては…。
「オメーになんかあったら意味ねえんだ。
ちゃんと連れて帰ってこいってお達しだ。
あー心配せんでも。連れのJKと原って母子は、ちゃんと仲間がガードしてる。」
「…。」
そう言い、瞬時に男性は高志の目の前から消えた。
「オルァ!俺も混ぜろー!ケンカ十段芦屋英雄様のお通りだぃ!」
さくら達と同等か、それ以上の速度と破壊力で、武装ヤクザ達をぶちのめしていく。
…自惚れてた…
勘違いしてた…。
高志は震えていた。純粋な恥ずかしさに。
東郷先生は、あの一週間に凝縮して、伝えられるだけのものを俺に叩き込んでくれた。
確かにそれで俺は半端無く大きく変わることが出来た。
男としても自信がついた。
それどころか、救世主とネット空間でもてはやされ…実際その後も自分なりに研鑽し進化したにせよ…どこかで…。
聞かなくても分かる。
あの人達は徹底的に、他ならぬ東郷先生の教えを受けている。俺より遥かに濃密で長い時間。
迫真空手の体現者達…。
気がついたら、肩に手を当てられていた。
さくらであった。
「行こう高志くん。私たちの家に。
絶対ではないけど、遥かに安全なとこよ。」
高志はこくりと頷く。
響き渡るサイレンの音。
「ポリが来るとまたややこしくなる、急ぐぞ!」
「着きましたよんお客さん。」
芦屋の声に、車の外を見やる高志。
「え?『みどりの空手道場』…?」
「あ!?何だよ立派な道場だろうが。」
「あっはい、それは、そうなんですが。」
いくら、小綺麗な5階建てのビルとは言っても…。
とは言え、来たからには入るしかない。
高志は芦屋やさくらを後にして、ビルへと大股で歩いていく。
「おい、牧野、あんなんで大丈夫か?
イヤ、確かに、『やる』奴だとはわかるけどよ」
「見た目はね…、でも彼に関して、先生は確かに仰った『竜の器』だと。」
「マジかよ、あの爺様が、相当な惚れ込み様だな。
…そう言われた奴は、もう1人いたんだけどな」
「うん。私も、話は聞いてる…」
惚れ込み様と言えば、お前さんも大概だよなという言葉を、芦屋は喉でせきとめた。
一方高志は、「みどりの空手道場」の自動扉を通過。
受付の女性に怪訝な表情を向けられ、戸惑った時。
「ようこそ。私たちの家に。
とは言え、君の動向を掴むのは、私達でも苦労したよ。
結果危ないところだった。」
190センチを少し超えるくらいの、堂々たる体躯の黒人男性。
そして黒衣に十字架。…神父さん?
でもって呆れる程流暢な日本語。
「ウィリー・アダムスだ。ここの空手道場の師範をしている。」
「あっ、はい。神崎高志です。この度は…。」
「気にすることはない。
先生の意をうけてのことだ。」
差し出された分厚い手を、高志は握った。
握手。
…!!!
一瞬声をあげそうになった。
強い。明らかにナチュラルなシェイクハンドでこれは…。
この人もまた…。
そう思いを巡らしつつ、手前の道場を覗く。
広々とした空間で、屈強な男達が基本技の鍛錬。
時折動画で目にする、典型的なフルコンタクト空手道場の光景。
強い。かなりのレベルなんだろう。
でも…これは…『違う』
「高志と呼んでいいかね?」
ウィリーの問いかけに、高志は頷く。
「今の君が抱いているであろう疑問に、一つの答えを見せよう。ついてきたまえ。」
「は、はぁ…」
道場とは逆の通路を歩き、一番奥の部屋の分厚い扉を、指紋と網膜認証でウィリーは開ける。
階段…?
地下…の空間?
ヤクザの銃所持の優位がまるで存在しないかのように、次々と、当たるを幸い薙ぎ払っていく。
ヤクザの側は狙い撃とうにも、影すら捉えられない。
スピード、技のキレ、パワー、そんな言葉では説明できない。
なにもかもが違う!圧倒的に!!
「ウワチャアオオオオ!!!」
ただ、さくらさんの相棒の声が一々うるさい。
奇声と言うより…怪鳥音?
身長等は高志に近いが、筋肉の密度がまるで違う。
で、なぜか上半身裸。
しかし攻撃とフットワークはさくらと同等で、的確に敵を排除していく。
あれは…まるで…
いや、ま、まさかな。
先刻のヤクザの指揮役は、脂汗を流していた。
「クッ、なんだ!なんなんだあのバケモンども…!おい!」
「ウス!!」
「おーおー新手沸いてきやがった。俺もちった働くかー。」
ゴキゴキと指を鳴らしながら、身長180センチくらいの若い男性が進み出る。
この人も、さくらさんと同じ…。
高志も、戦わねばと立ち上がる。
「バカヤロー!ヘタレはすっこんでろっ!」
一瞬カチンと来たが、確かにあれを見せられては…。
「オメーになんかあったら意味ねえんだ。
ちゃんと連れて帰ってこいってお達しだ。
あー心配せんでも。連れのJKと原って母子は、ちゃんと仲間がガードしてる。」
「…。」
そう言い、瞬時に男性は高志の目の前から消えた。
「オルァ!俺も混ぜろー!ケンカ十段芦屋英雄様のお通りだぃ!」
さくら達と同等か、それ以上の速度と破壊力で、武装ヤクザ達をぶちのめしていく。
…自惚れてた…
勘違いしてた…。
高志は震えていた。純粋な恥ずかしさに。
東郷先生は、あの一週間に凝縮して、伝えられるだけのものを俺に叩き込んでくれた。
確かにそれで俺は半端無く大きく変わることが出来た。
男としても自信がついた。
それどころか、救世主とネット空間でもてはやされ…実際その後も自分なりに研鑽し進化したにせよ…どこかで…。
聞かなくても分かる。
あの人達は徹底的に、他ならぬ東郷先生の教えを受けている。俺より遥かに濃密で長い時間。
迫真空手の体現者達…。
気がついたら、肩に手を当てられていた。
さくらであった。
「行こう高志くん。私たちの家に。
絶対ではないけど、遥かに安全なとこよ。」
高志はこくりと頷く。
響き渡るサイレンの音。
「ポリが来るとまたややこしくなる、急ぐぞ!」
「着きましたよんお客さん。」
芦屋の声に、車の外を見やる高志。
「え?『みどりの空手道場』…?」
「あ!?何だよ立派な道場だろうが。」
「あっはい、それは、そうなんですが。」
いくら、小綺麗な5階建てのビルとは言っても…。
とは言え、来たからには入るしかない。
高志は芦屋やさくらを後にして、ビルへと大股で歩いていく。
「おい、牧野、あんなんで大丈夫か?
イヤ、確かに、『やる』奴だとはわかるけどよ」
「見た目はね…、でも彼に関して、先生は確かに仰った『竜の器』だと。」
「マジかよ、あの爺様が、相当な惚れ込み様だな。
…そう言われた奴は、もう1人いたんだけどな」
「うん。私も、話は聞いてる…」
惚れ込み様と言えば、お前さんも大概だよなという言葉を、芦屋は喉でせきとめた。
一方高志は、「みどりの空手道場」の自動扉を通過。
受付の女性に怪訝な表情を向けられ、戸惑った時。
「ようこそ。私たちの家に。
とは言え、君の動向を掴むのは、私達でも苦労したよ。
結果危ないところだった。」
190センチを少し超えるくらいの、堂々たる体躯の黒人男性。
そして黒衣に十字架。…神父さん?
でもって呆れる程流暢な日本語。
「ウィリー・アダムスだ。ここの空手道場の師範をしている。」
「あっ、はい。神崎高志です。この度は…。」
「気にすることはない。
先生の意をうけてのことだ。」
差し出された分厚い手を、高志は握った。
握手。
…!!!
一瞬声をあげそうになった。
強い。明らかにナチュラルなシェイクハンドでこれは…。
この人もまた…。
そう思いを巡らしつつ、手前の道場を覗く。
広々とした空間で、屈強な男達が基本技の鍛錬。
時折動画で目にする、典型的なフルコンタクト空手道場の光景。
強い。かなりのレベルなんだろう。
でも…これは…『違う』
「高志と呼んでいいかね?」
ウィリーの問いかけに、高志は頷く。
「今の君が抱いているであろう疑問に、一つの答えを見せよう。ついてきたまえ。」
「は、はぁ…」
道場とは逆の通路を歩き、一番奥の部屋の分厚い扉を、指紋と網膜認証でウィリーは開ける。
階段…?
地下…の空間?
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