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【26】貴族たちのいない夜会
しおりを挟む「ブリジット、今夜のパーティで入場のエスコートができないのだ。兄上から別の役割を与えられてしまった。それで、ダレスに君のエスコートを頼もうと思うのだが良いだろうか」
「まあ、国王陛下の御命令ならわたくしのエスコートよりも大切なお役目ですわ、もちろんクライブ様のおっしゃるとおりにいたします」
「手が離れればすぐに君のところへ行く。それから今夜のためにあのドレスに合わせて宝飾品のような靴を作らせたのだ。歩けない君のために誰よりもその足を美しく見せたくてね。車椅子だと足元が思ったよりも見えるだろう? そこにティアラに負けないほどの輝きをと思ってね」
この男にしては良いことをする。
ブリジットは意識して清らかな微笑を浮かべた。
「そのように素晴らしい靴を、わたくしとても楽しみにしていますわ」
「ああ、ではまた後ほど」
クライブはこうした嘘をつくときに、以前ほど胸が痛まなくなった。
慣れ、とは違う。
ブリジットへの憤り、そしてそれ以上に自分への怒りが罪悪感からの胸の痛みを薄めていた。
嘘をつく罪悪感に勝つほどの負の感情によって自分を許容できるのならば、ブリジットはどんな感情で『生涯歩けなくなった』という嘘を支えているのだろうとクライブは思案する。
そこまでブリジットから憎まれている理由が分からない。
少なくともオールブライト領へ来てからは、まるでオフシーズンを別荘で過ごす一国の王女のような生活を与えてきたはずだ。
ブリジットの嘘を支えている負の感情について考えることは、自分の頭の蓋を開けて覗いているようで、湧き上がる気持ち悪さにクライブはどうにか耐えた。
***
「遅れましたかな!? 馬車を停める場所に馭者が手間取りまして……申し訳ない」
「ホールデン伯爵ご夫妻、お待ちいたしておりました、どうぞこちらへ。
ちょうど開会となりますので、そのままご婦人をエスコートしてご入場ください。
上着などはこちらでお預かりいたします」
案内の者に促されて、ホールデン伯爵夫妻が機嫌よく入っていく。
そのすぐ後ろに、車椅子のブリジットが続いた。
ブリジットの足は宝石のような靴に収まっているが、その宝石はすべてガラスだった。
ガラスとはいえ加工が複雑でそれなりの値段にはなったが、歩けないという嘘の足に、ただのガラスがよく似合っている。
ブリジットの車椅子を押すダレスは、オールブライトの別邸でクライブ直々に今回の夜会の補佐役を命じられた。
ダレスは久しぶりの王都、そして王宮での夜会に参加とあって、クライブから特別目を掛けられているのだと感じていた。
クライブが、その兄である国王陛下と仕事の時間を過ごす必要があれば、自分はブリジットとの逢瀬の機会もあるのではないか──。
この絢爛な王宮でそんな機会があれば……ダレスは背徳感に身震いした。
「ホールデン伯爵夫妻ご入場です! 続いてブリジット・ホールデン伯爵令嬢のご入場です!」
宮廷楽団の奏でる音楽がひときわ大きくなった。
その中で、ホール入口の扉が誰にも聞こえない音で閉まる。
ブリジットは華やかな衣裳に身を包んだ人々が、見知った顔であることに笑顔を見せた。
王宮学園時代の同級生らが集まっていた。
ホールデン伯爵家より爵位が低い家の令嬢、かつてブリジットの真っ直ぐで美しいブロンドを素晴らしいわと言ってくれた侯爵令嬢、ブリジットが第二王子の婚約者であるため敬意を払ってくれた自分より爵位が上だった令息たち。
他の貴族の姿が見当たらないことにブリジットは微かな違和感を覚えたが、王宮で一番大きなホールの豪華さに目を向けているうち、その違和感は消えてしまった。
車椅子姿のブリジットに近づいてきたのは、学園時代は特に目立たなかった子爵家の令嬢だった。
癖の強い赤毛だったはずだが高い位置でタイトにまとめ、プラチナの繊細な装飾とカットの美しいダイヤの髪留めが素晴らしい。プラチナグレーにメレダイヤが散りばめられたドレスは、色を抑えているからこそ赤毛がとても映えていた。洗練された姿に、どこか高位貴族に嫁いだのだろうかとブリジットは苛立ちを覚える。
「ブリジット様、おいたわしいですわ。痛みはございませんの?」
「ええ、ありがとう。痛みは無いわ」
「……そうよね。あなたは昔から心を痛めたりしなかったものね」
「は!? 何ですって……?」
ブリジットの声を遮るように、ジェイラスの張りのある声が響いた。
「私の即位記念のパーティに参加してくれた皆よ! そして楽団の者たちよ、ここまで残ってもらい感謝する」
何かを察したのか、ブリジットの車椅子のハンドルからダレスがその手を離して後ずさると、慌てすぎて尻をついた。
近くにいた騎士がダレスの腕を取って立たせてくれたが、それが親切心からではないとダレスは知った。
ホールデン伯爵夫妻は辺りを見回して、夜会だというのに見知った貴族がどこにも居ないことにようやく気づいたが、若き国王の威圧感に身体が動かない。
ここからはブリジットとホールデン伯爵を断罪するための時間だ。
ジェイラス新国王の即位と王妃お披露目のパーティはとっくに終わっている。
国内の主だった貴族、国外の王族や貴族を招いての大規模な『アフタヌーンパーティ』だった。
その後パーティ会場となった大ホールには、ジェイラスの事前の声掛けで学園時代の同級生たちだけが残り、ブリジットとホールデン伯爵夫妻が入場するのを見守った。
ブリジットとホールデン伯爵の断罪を、大切な賓客を招いた即位記念の式典パーティの場でやるはずもなく、『夜会』と書かれた招待状はホールデン伯爵宛、そしてオールブライト領のクライブとブリジット宛の二通だけだった。
ブリジットは辺りを見回している。
王妃アシュリーが壇上のジェイラスの隣にいない時点で、『即位記念パーティ』としてはおかしいことに、ホールデン伯爵だけがやっと気づいた。
「さて、ブリジット・ホールデン伯爵令嬢、私はあなたの秘密を手にしている」
ホールデン伯爵邸の私室に隠した証拠を押さえられたというのだろうか。
でも、どうやって……。
ブリジットは、次にジェイラス陛下が何と言いだすのかと固唾を呑んだ。
「こういう物をまじまじと見たことがないのだが……なんともセンセーショナルな色をしているものだな」
ジェイラスは従者から渡されたものを、皆に見せるように両手で広げた。
女性たちがコルセットで締めつけるドレスの時に下着は身に着けないが、ワンピースの時に穿く丈の長い下着だ。
同級生の女性たちが「まあ……」と扇で口元を隠した。
男性たちは下卑た笑みを浮かべながら、友人の肩を叩いたりしている。
ブリジットは憤怒のあまり卒倒しそうだった。
あの赤いドロワーズは間違いなく自分の物だ。
既製品は生成り色ばかりのため、特別に赤い布で作らせたのだ。
後側の一部が縫い合わされてない一般的な形で、経血で汚れても最初から赤であればそれほど目立たないと思いわざわざ赤い布を選んだ。
赤いドロワーズを身に着けて情事の流れになった時、ダレスがとても悦んだことをブリジットはこんな場面で思い出した。
自分の下着を他人である男が手にしていることも、それをこんな場に持ち込んでいることもおかしいではないか。
それは羞恥ではなく憤怒だった。
まさか下着に手を付けるとは思わなかったから、ブリジットはそれに包むようにして隠したのだ。
ジェイラスは、押す者がいなくなった車椅子のブリジットの手前までゆっくりと歩いてきた。
「これに包み隠していた物は、すべて私のもとにある。そこには公金横領の証拠があったが、それが霞むくらいのとんでもない物まで出てきた。
王宮宝物庫から盗まれたシグネットリングだ」
「……王宮宝物庫の……シグネットリング……」
ホールデン伯爵がそう呟きながら膝から崩れ落ちる。
伯爵夫人がよろけたのを支える者はなく、両手を床に付いた。
この国の過去を改竄できる恐れのあるシグネットリングを、王宮宝物庫からブリジットが盗んだ──。
それはただの窃盗ではなく、この国では殺人罪と並ぶ重罪だと貴族なら誰もが知っている。
ジェイラスが下着を広げて見せた時の浮ついたざわめきが消え、人々が色の消えた顔を浮かべている。
その瞬間、いきなりブリジットが車椅子から立ち上がってジェイラスの手の赤い下着をひったくるように奪い、その下着でジェイラスの顔を張った。
騎士たちのジェイラスを守る行動は一瞬遅れた。
まさか押す者がいなくなった車椅子のブリジットが、立ち上がってジェイラスに向かうとは誰も予測していなかった。
だがすぐに騎士たちはブリジットを床に押さえつけた。
悲鳴と怒号が飛び交う中を切り裂くようにブリジットが叫ぶ。
「この悪魔! たかが宝物庫の指輪が何だって言うのよ! 自分の父親を殺したあんたの時代なんかすぐに終わるわ!」
あまりにも不敬極まりない言葉だった。
この瞬間に斬られても文句が言えないほどの強い言葉を、ブリジットはジェイラスの顏に叩きつけるように叫んだのだ。
「シグネットリングの何たるかを知らないのは、ここに居る者の中でおまえだけのようだ。
王宮宝物庫から過去の国王のシグネットリングを盗み、王の顔を張り、王に侮蔑の言葉をぶつけたおまえは一回の処刑ではその罪に到底足りない。
一族郎党、末端の子供に至るまでホールデン伯爵家に連なるものすべてを処す、と言いたいところだが、おまえと両親までとする。
あの情夫を道連れにしたければそうしろ。
おまえが馬鹿呼ばわりしていた弟のマーヴィンだが、さすがにシグネットリングの持ち出しや窃盗が重罪ということは知っていた。本当の馬鹿はいったい誰だろうな」
「俺は、シグネットリングなんて……俺はそんなの何も知らない、関わっていない!」
拘束されているダレスが『道連れ』と言われて叫んだ。『情夫』だと肯定したようなものだが、それどころではない顔色をしている。
それまでただ黙っていたクライブがダレスに近寄っていく。
「ダレスの罪は法に照らせば何も無いだろう。主人であった僕への裏切りと、僕の執務室のドアを足蹴にしたことくらいだからな。だがブリジットが好きなのだろう? どこまでも付いて行ってやりたいと言うなら止めはしない」
クライブはそう言うと、言ったあとのダレスの反応を見ることもなく背中を向けて戻って行った。
「……そんな……」
ドアを足蹴にしたところを、まさかクライブに見られていたというのか。
ダレスは自分のこれまでの順風満帆だった日々が、ここで終わったのを静かに知った。
器用だと言われ、器量にも恵まれた。
生まれた家が男爵家だったことが不満だったが、器用に泳いでいけばそれなりのところまで行けると思っていた。
クライブの隣にいる本邸付き執事のアーサーが、何かクライブに耳打ちしている。
ダレスは、アーサーが自分とブリジットのことをあのようにして知らせたのだと確信した。
アーサーは自分だけが本邸付きという貧乏くじを引いたことで、クライブに取り立てられていた自分を怨んでいたのだ。
ダレスを陥れるために、どこからか知ったブリジットのことをクライブの耳に入れた──。
軽く咳払いをしたジェイラスが、厳しい表情になった。
周囲の者たちは姿勢を正すが、ブリジットは騎士によって床に押さえつけられたままだ。
「ホールデン伯爵夫妻、並びにブリジット・ホールデン伯爵令嬢。
マーヴィン第二王子を唆し公金を横領した罪と、ホールデン伯爵の娘ブリジットが王宮宝物庫よりシグネットリングを盗み出した罪に関する係累同罪の法に基づき、ホールデン伯爵領を王家の直轄領とし、ホールデン伯爵、夫人、そしてブリジットに死罪を言い渡す。
なお、先ほども申したとおり、係累同罪の法は今回に限りホールデン伯爵家に連なる他の者たちへは適用しないとする」
ホールデン伯爵は項垂れて、その双眸はただの暗い穴のように何も映していなかった。
「陛下、少しよろしいでしょうか。ブリジットにどうしても尋ねたいことがあります」
「いいだろう」
ありがとうございますと言って、クライブはブリジットの近くまで進んだ。
「どれだけ考えても、僕がブリジットに能無しと罵られ、かつ憎まれるほどの理由が思い浮かばないのだ。オールブライト領のあの別邸で、僕は君を客人のように大事に扱いこそすれ、無碍にした覚えはない」
「……この国の第三王子としてぬくぬく育って私の嘘も見抜けず、たくさんの使用人に傅かれて何も考えないで生きている、あんたみたいな男が、反吐が出るほど嫌いなのよ! だいたいあの男の弟を好きになるわけないのに!」
ブリジットは憎々しげに叫んだ。
クライブはそれを聞いて、特に自分に原因があるわけでも、ブリジットが誰かに操られるなどして大それたことを考えていたわけでもなかったのだと、そっと安堵の息を吐く。
「生涯歩けないという大きな嘘で親まで騙し、執事に身体を開いてでも成したい野望があるのかと思ったが……何も無かったのだな。そんな君に騙されていた僕の罪も愚かさも、君が低俗なおかげでより深くなるのだから、良かったではないか」
「なっ……によ、馬鹿にしないで!! あんたみたいな苦労知らずの王子が、分かったようなことを言わないでよ!!
私だけが悪いんじゃないわ! 急に偉そうなことを言っているけど、あんただって私に夢中になって、王命で結婚した女を蔑ろにしていたじゃないの。
毎日仕事もしないでダラダラ過ごしていたのに偉そうに何なんなの!?
兄は親殺し、弟二人は穀潰しと能無し。私が悪いと言うならこの国の王族たちだって悪いじゃないの!
キャァァァァアア!!!」
ジェイラスは、騎士の剣を取り上げて、床に伏せさせられたまま怒鳴り続けるブリジットの脹脛に切りつけた。
「普通なら歩けなくなる恐れもあるが、元から歩けないなら関係なかったな。
そなたの大切な剣を汚してすまない、後で新たな剣を贈ろう」
ジェイラスは騎士に謝ると、アーサーが自分のチーフを抜いてジェイラスに手渡した。ジェイラスはそれで汚れを拭い、騎士に剣を返した。
「こっ……こんなことをして許されると思っているの……」
「後世の者たちが手に取る歴史書の国王ジェイラスの欄に、短慮で浅薄で暴力的であったと一行追加されるだけのことで、おまえの許しは必要ない。
ホールデン伯爵夫妻とその娘を連行しろ」
腰が立たない伯爵夫人は両脇を抱えられ、ホールデン伯爵も両側から腕を取られているもの、自分の足取りで大ホールを歩いていく。
ブリジットは脛から血を流しながら、裸足で引きずられるように連れて行かれた。
ホールの床には少しの血の汚れとガラスの靴が残された。
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