上 下
1 / 32

【1】お妃教育の最中の婚約破棄(アリシア視点)

しおりを挟む


お妃教育の日は、午後に食事休憩も兼ねたお茶会のレッスンがある。
主催として客を招いたときのふるまい、客として招かれたときの会話のマナーやテーブル作法などを学んでいる。
では実際にお茶を淹れてみましょうと先生が立ち上がった。
ようやくお菓子が食べられる!
私はこの時間だけを毎日楽しみにしていた。

今日も朝から休みなくお妃教育を受けていた。
先生方は科目によって一人ずついらっしゃるので疲れているのは私だけ。
お妃教育のこのカリキュラムで出されるお菓子は、レッスン用であっても王宮の製菓部門で作られている立派なお菓子だ。
果物もたくさんある。
美しい飾り切りを施されている果物をどう優雅に食べるかもレッスンの一つなのだ。
とてもいいバターの香りのお菓子を前に、先生がお茶を淹れてくださるのを待っていた時だった。

「邪魔をするよ」

「アルフレッド殿下……」

婚約者のアルフレッド殿下が突然やってきて、私の向かいの椅子に横座りした。
この時間は学園に行っているはずなのにどうしたというの……。
アルフレッド殿下は学園の制服姿で、ジャケットを着ているには少々暑いからか、タイを緩めてシャツの一番上のボタンを開けていた。

殿下は本当に綺麗だ。
男性に綺麗というのはおかしいのかもしれないけれど、綺麗としか言いようがない。
指どおりのよさそうな金色の髪に深い青色の瞳。
目や口元といったそれぞれのパーツが美しいだけではなく、その配置のすべてが奇跡のようだった。
整いすぎて恐ろしいと感じてしまうくらいの神様の傑作が目の前にあって、思わず手を合わせそうになる。
端正な顔立ちでやや制服を着崩しているというところが、もう……言葉にならない。

マナーの先生は突然の殿下の登場にも特に驚く様子も見せずに、優雅にお茶を淹れて殿下に差し出す。

「どうぞお召し上がりください。わたくしはこれで失礼いたしますのでごゆっくりお過ごしください」

そう言って下がってしまった。
急に殿下と二人きりにされて私はどうしたらいいのか分からず、ティーカップを持ったまま、その美しい顔に釘づけになる。

「アリシア、とりあえずそれは飲んだらどうだ?」

取ってつけたような笑顔でそう言うと、殿下は自身のお茶を煽るように一気に飲み干した。
はしたないと叱られそうなくらいにその顔を見つめてしまう。
めったになかった至近距離で殿下に接する機会が向こうからやってきたのだから、少しくらいは許してほしい。
お茶の席のマナーレッスン中に、婚約者が突然乱入してきたときの対処法があったか思い出せないくらいに舞い上がった。

とりあえず飲んだらどうだとのことなので、お茶をひと口飲んで気持ちを落ち着ける。
でもお茶の味も温度さえも分からない。
顔を上げると、アルフレッド殿下がじっと私を『見定めている』。
婚約者からの視線を『見つめる』ではなく『見定めている』と言うしかないほどの冷たい顔に、ふわふわと舞い上がっていた私はどすんと地上に落ちた。

「アリシア・ノックスビル公爵令嬢。君との婚約を破棄させてもらいたい。細かいことは追って君の家に伝える」


婚約を破棄……?
そうとしか聞こえなかったから、たぶんそう言われたのだろう。
どれくらいの間、自分が黙って固まっていたのか分からない。

「何か言いたいことはないのか」

「……殿下が、そうお決めになったのでしたら、私が何か言うことに、何の意味もございませんので……」

「ずいぶんあっさりしたものだな。まあここで泣いて縋られるよりはよいか。お茶はゆっくり飲んでいってくれ。帰る際にこの菓子は全部持ち帰るといい」

アルフレッド殿下は言い終わらないうちに席を立って、早足に行った。
まるで明日も普通に会うかのような軽い去り方に、ぽかんとその後ろ姿を見送ることしかできなかった。



 婚約破棄──。



つい最近のこと、このヴェルーデ王国の隣のフォートナム王国の王太子殿下が婚約破棄をして、その話はこちらの国でも話題にのぼった。
どこまで真実かは分からないが、パーティ会場外の暗がりで婚約者である令嬢の身体を男がまさぐっているところに、王太子殿下と護衛騎士が偶然通り掛かるというできごとがあったという。
男は婚約者令嬢に誘われたと言い張ったとかで、王太子殿下はふしだらな女と結婚することはできないと、婚約者令嬢の弁明を一切聞かずに婚約破棄を宣言した。

うわさでは、王太子殿下の手の者が婚約者令嬢に一服盛り、気分を悪くした婚約者令嬢が休んでいるところにこれまた王太子の命を受けたものが手を出したと、そう囁かれている。
そして王太子殿下は婚約者を叩き出した椅子に、平民あがりの男爵令嬢を座らせたから、うわさは国境を超えて一人歩きしていた。

この話はそうしたうわさ話が耳に入ってくる環境にあまり居ない私の耳にも届いたくらいで、お父様の執務室に呼び出されて注意せよと言われたのだ。

アルフレッド殿下と私の婚約は王室側が望んだものとはいえ、公爵家である我がノックスビル家にとっても願ってもない縁だった。
隣国のうわさのようなことに遭わないよう、父からはたとえ友人であっても幼馴染であっても男と気安く口を聞くなと言われ、パーティ会場では何も口にするなと言われ、話の最後にはお妃教育で王宮に出向く以外は外出するなとなった。

お父様に言われなくても、もともとそんなに出歩くことはない。
お妃教育のために学園を退学し、友人たちとの交流もそれから途絶えている。
多忙な私を気遣ってくれているのか遠巻きにされているのか、声がかかることはない。
退学したのは、婚約が決まった時点で結婚まで一年半しかなく、のんびり学園生活を送る余裕はないと王室側に判断されたためだ。
ヴェルーデ王国の歴史や諸国との交易の流れ、特に南方諸国の言語を、通訳を介さずとも政治や貿易の話ができるくらいに習得するというのが私に重くのしかかっていた。
遊ぶ暇など言われなくても最初からなかった。

お妃教育と家との往復だけの毎日で、眠る直前まで本を手放す時間もないほど頑張ってきたけれど、たった今、理由さえ告げられずに婚約破棄を突き付けられた。

お父様はお怒りになるでしょうね……。
婚約破棄だなんてノックスビル公爵家を揺るがす大騒動だもの……。
そう思うと気が重い。
重いなんてものではなく、まるで頭の上に城がひとつ乗っているようだわ。
このまま紙一枚の厚さくらいまでペラペラになりそう。

殿下がお茶を飲んでこのお菓子も持って帰ってよいと言ったことを思い出して、ペラペラになる前にまずは持ち帰りにくい果物を食べることにする。

「美味しいわ……こんなときでも、王宮で出される果物は瑞々しくて美味しいのね」

つい独り言を声に出して、テーブルにあった果物各種をあれもこれも全部平らげる。
手で持ってかぶりつき、こぼれそうな果汁は舐めとった。
マナーの先生が見たらひっくり返るだろう。

繊細な模様のティーポットの蓋をあけ、そこに果物を入れる。
果物の香りが移ったお茶をゴブゴブと注いで、冷めているのをいいことにどんどん飲む。
最後はポットにフォークを突っ込んでふやけた果物を全部食べた。
クッキーとチョコレートは二つ同時に口の中にいれると、上品な甘さがたちまち頭の天辺に届く。
どれもみんな本当に美味しい……。
二つ同時に口に入れるなんていう乱暴なことをせずに、穏やかにゆっくり食べればたぶんもっと味わえるはずね。
本当に家に持ち帰ってひとりでゆっくり全部いただくわ。
膝に置いていたナプキンを広げてお菓子を包み始めたところで、ナプキンにぽたぽたと涙が落ちる。

突然の婚約破棄が悲しいのではなくて、悔しかった。
学園には友人もたくさんいて、楽しい毎日があった。
それを全部捨てるように諦めて、王室が要求したお妃教育を、時には身体を壊して伏せるくらいに頑張ってきたのに……。
それが何一つ報われることがないまま、一方的に婚約破棄と言われてしまった。
殿下本人からそう言われては黙って受け入れるしかないことが悔しかった。
私の気持ちというものは、アルフレッド殿下にとってこの世に存在していないものだ。

うっかり殿下のことをお慕いしてしまった私が悪い。
ただの政治的な婚約として、もっともっと割り切っておくべきだった。
子供の頃にパーティでお会いして以来、アルフレッド殿下は私の王子様だった。

あんなに光り輝く人の隣にいたら日に焼けてしまわないかと、子供の私はお父様に尋ねたらしい。
婚約が決まったときにはその話をいろいろな人に言って回るくらい、お父様はこの婚約を喜んでくれていたのに。

涙が次から次と溢れて、こみ上げる嗚咽も止まらない。
お父様、ごめんなさい。



どれくらいそうして泣いていただろうか。
もうここに来ることもないのだと思うと、淋しさのようなものを感じた。
帰ろう……。

もう眠る前に貴族名鑑のような重い本を読まなくていい。
苦手な異国のダンスの練習で足に豆を作ることもない。
そうやって、殿下の婚約者ではなくなって軽くなったことだけを数えよう。

気を取り直してサンドイッチもクッキーもスコーンもチョコレートもみんな一緒にして包んだ。

「だいたいこの菓子は全部持ち帰るといいって何なの? このお菓子が婚約破棄の慰謝料だとでもいうの? 
美味しいから全部いただいていくけれども!」

お菓子を包みながら、悔しさや悲しさを怒りに変えないように言葉にして吐き出した。
そのとき、ふっと息を漏らすような笑い声が聞こえた。

「ごめん……笑うつもりはなかったのだけど、つい……」

「……リカルド殿下……いつからそちらに……」

「マナー講師が下がったところあたりかな」

ほぼ最初からいらっしゃった……。
ということは、先ほどの婚約破棄の言葉も聞いていらしたということ……?

リカルド殿下はアルフレッド殿下の一つ下の弟君で、同じ年の私が学園に通っていたときは隣のクラスだった。
直接話したことはほとんどなかったけれど、アルフレッド殿下に似た面差しのリカルド殿下をよく図書室で見かけた。
いつも友人に囲まれているアルフレッド殿下と違って、リカルド殿下は図書室でみかける時は一人だった。
まさかこんな誰とも会いたくない場面で会うなんて。

「……見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありませんでした。失礼いたします」

「ノックスビル公爵令嬢、見苦しかったのは兄であってあなたではなかった」

リカルド殿下の言葉に応えず頭だけをしっかりと下げ、私は包んだお菓子を掴んで逃げるように王宮を後にした。
馬車の中で、頭の中のノートに『婚約破棄の理由は?』と書き込んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!

水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。 シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。 緊張しながら迎えた謁見の日。 シエルから言われた。 「俺がお前を愛することはない」 ああ、そうですか。 結構です。 白い結婚大歓迎! 私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。 私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。

今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます

神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。 【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。  だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。 「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」  マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。 (そう。そんなに彼女が良かったの)  長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。  何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。 (私は都合のいい道具なの?)  絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。  侍女達が話していたのはここだろうか?  店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。  コッペリアが正直に全て話すと、 「今のあんたにぴったりの物がある」  渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。 「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」  そこで老婆は言葉を切った。 「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」  コッペリアは深く頷いた。  薬を飲んだコッペリアは眠りについた。  そして――。  アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。 「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」 ※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)  (2023.2.3)  ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000 ※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)

後悔はなんだった?

木嶋うめ香
恋愛
目が覚めたら私は、妙な懐かしさを感じる部屋にいた。 「お嬢様、目を覚まされたのですねっ!」 怠い体を起こそうとしたのに力が上手く入らない。 何とか顔を動かそうとした瞬間、大きな声が部屋に響いた。 お嬢様? 私がそう呼ばれていたのは、遥か昔の筈。 結婚前、スフィール侯爵令嬢と呼ばれていた頃だ。 私はスフィール侯爵の長女として生まれ、亡くなった兄の代わりに婿をとりスフィール侯爵夫人となった。 その筈なのにどうしてあなたは私をお嬢様と呼ぶの? 疑問に感じながら、声の主を見ればそれは記憶よりもだいぶ若い侍女だった。 主人公三歳から始まりますので、恋愛話になるまで少し時間があります。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。

ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。 即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。 そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。 国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。 ⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎ ※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!

処理中です...