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12)ローレンス公爵に告げる
しおりを挟む「それで、君たちは無事に元に戻ったというわけなのだな」
「はい。学園の図書室にて毎日調べ物をして、ひとつの事件に行き当たりました」
フィンリーは二人の入れ替わりが戻ったときのことを説明した。
ローレンス公はときおり質問を挟みながら、だいたいの話を把握してもらえたようだ。
エレノアは黙って聞いていた。
「ローレンス公爵家で大変お世話になり感謝しております。入れ替わりから無事に戻ることができましたので、これにて家に戻ります。
つきましては、ローレンス公と少し込み入ったお話をしたく思うのですが」
「分かった。エレノアも下がっていいのだな」
「そのようにお願いできれば」
ローレンス公が人払いをして、エレノアも部屋から出て行った。
「さて、君の話を聞こうではないか。お茶を持ってこさせたほうがいいかな?
それとも話の後のほうがいいだろうか」
「このまますぐに話したく思います」
覚悟を決めて話し始める。
「実は、あの日大階段から一緒に落ちてしまう直前に、僕は浅はかな思いからエレノア嬢に婚約を白紙にしてほしいと伝えてしまっておりました。
その理由は、自分の浅薄さと未熟さからくるものがすべてで、エレノア嬢だけではなく自分のことも互いの家のことも何も考えておりませんでした。
入れ替わりがあったことで、初めてさまざまなことを考えることができたのです。
また、エレノア嬢への自分の気持ちがこんなに大きいものだったと知るに至りました。
入れ替わりが戻り、婚約を白紙にと言ってしまったことを思い出したエレノア嬢に、すべてを話して謝りました。
どうか婚約者としてゼロからやり直させてほしいと、そう伝えました。
エレノア嬢はそれを受け入れてくれましたが、ローレンス公にも事実を伝え改めて謝罪をしたうえで、
もう一度私をエレノア嬢の婚約者として認めていただくことができましたら……。
ローレンス公爵家の大切なエレノア嬢を傷つけてしまい、申し訳ありませんでした」
僕は深々と頭を下げた。
婚約を白紙にと言ってしまったことを、ローレンス公に隠したままでいることはあまりにも不誠実で許されることではない。
ゼロから始めるということは、何もかも白日にさらした上でそこから失った信頼を取り戻していくことなのだと、今の僕にはそれが分かっている。
エレノアが許してくれてもローレンス公も同じとは思えない。
娘を傷つけた者としてだけではなく、最善の判断を自分自身に客観的に下せない者だとされたら終わりなのだ。
「うん、うんうん。それもね、知っていたのだよ」
ローレンス公の笑顔に言葉を失った。
そんな僕に構わず、ローレンス公は話を続ける。
階段から落ちて倒れていた二人を馬車に乗せた当家の従者から、君とエレノアそれぞれがうわ言で『婚約を白紙に』と言っていたと、私に報告があった。
従者は意味が分からないまま拾った言葉をそのまま私に伝えた。
私はそれを聞いてからずっと考えていたんだ。
『婚約を白紙に』とエレノアが君に言うはずはない。
エレノアは婚約者の君にいつか嫁ぐ日を心待ちにしていることを、父親の私に隠せないでいた。
では、もしも君が婚約を白紙にしたいとエレノアに告げたとして。
その時に入れ替わりが起これば、君はもっと別の行動を取るだろうと考えた。
姿は誰から見てもエレノアなのだから、君の思う通りにエレノアとしてふるまうことはできたはずだ。
婚約を白紙にしたいと、エレノアとして私に進言してもいい。
そうしたずるいことはいくらでも思いつく。
でも君は、いつもエレノアの為に動いていた。
エレノア付きの侍女からも話を聞いたのだ。
頭を打ってからのエレノアに何か変わった様子はなかったかと。
そうしたら、変わった様子と言えるか分からないが、湯浴みや着替えの時に途中で落ちないようにきつく布で目を覆ってほしいと言われたと侍女が言った。
二人の入れ替わりも知らない侍女には分からないだろうが、男である私にはその理由が分かる。
君は黙っていれば済むところでも、エレノアのために誠意を尽くしていた。
そこまでエレノアに誠実であろうとしている君と、君が婚約を白紙にしたいということが私の中でうまく結びつかなかった。
それで私はエレノアにもライリーにも何も言わず、とにかく君たちの入れ替わりが戻るのを待っていたのだよ。
驚きすぎて、身体がよろけそうになる。
あの日、倒れて運ばれた馬車の中で、自分もエレノアも『婚約を白紙に』とうわ言で言っていたとは……。
ローレンス公はそれを知りながら、僕の言動を見守っていらしたというのか。
いや、見守っていたのではなく見張っていたのだ。
だとしても、ローレンス公は僕に自分の言葉で説明する機会を与えてくれた。
「入れ替わりだけではなく、婚約を白紙にと言ってしまったことまでご存じだったとは、まったく思いもよりませんでした……」
「エレノアが君のことを幼い頃から今も変わらず慕っていることは知っている。
また、君がエレノアに花を贈り将来を誓ったことも、その昔にグレイスから聞いた。
いつだって君はこの家にくれば、息子のアイザックではなくエレノアと過ごしていた。
ライリーと奥方と私は、よくある家同士が決めた味気ない婚約にならなかったことに安堵していたんだ。
ただ最近の二人のことが心配だったが、もうその心配は要らないということでいいのだな?
今も君がエレノアをゆくゆくは妻にしたいと心から思っている、私はそう思っていいのかな?」
ローレンス公のすべてに頭が上がらない。それはこれからもずっと続く。
でもその立場に置いてもらえることはなんとありがたいことなのだろう。
「本音を申し上げれば、ゆくゆく……ではなく今すぐにでも結婚して共に暮らしたいと思っています。ただまだ学園生活が残っていますので、そこは『ゆくゆくは』とするしかないと理解しています」
「なんと今すぐか! これはまた堂々と娘をかっ攫いたいと言われたものだな!
こういう時、娘の父親はどうしたらいいのだ? 一発殴らせろと言えばいいのか?」
「あいにく、娘の父親の経験がないものでお答えが難しいのですが、一発殴るのはできればこの手足の怪我が治ってからにしていただけるとありがたいです」
「よし分かった、大事にして早く治すように」
ローレンス公は愉快そうに笑った。
婚約を白紙にという件について知っていたのに、カートフォード家には何も言わないでいてくれたと聞いて、ありがたく思った。
ローレンス公のことだから、すべてがエレノアの為だけではなく家と家の政治的な思惑もあるのだろう。
ノーリス王国の双翼と言われているローレンス公爵家とカートフォード公爵家であるが、特にローレンス公は自身にも他者にも厳しいと人々の口の端に上っている。
誰よりも厳しくあると言われているローレンス公が、僕の失敗をこのような形で許してくれた。
ただ、おそらく僕に次はない。
次にエレノアを悲しませるようなことをすれば、たとえ仲のいい従兄弟の息子であろうが最愛の娘の婚約者であろうが容赦なく僕を潰すだろう。
エレノアを幸せにすることで、この恩を生涯にわたって返していくと僕はそっと誓った。
「ついでにもう一つ、君についてずっと不思議に思っていたことを訊いてみたいのだが。
君はある年を境に、我が家に全然やってこなくなったな。
ただ、グレイスの墓に毎年、命日の翌日に君が花を手向けにきてくれていることは庭師でもありローレンス家の墓地の管理人でもある者から報告が入っていた。
どうしてせっかく当家の敷地まで来ているのに、そのまま帰ってしまっていたのか」
僕は思いもかけないことを尋ねられて驚いた。
そうか、墓地の管理人から報告が。
言われてみればそれは当然のことだった。
敷地内のできごとは、すべて当主に話がいって当たり前のことだ。
「公爵夫人には、子どもの頃とてもよくしていただきました。
庭で派手に転んで服を汚してしまったときは、こっそりとアイザック様の服を貸してくださり手早く洗ってくださいました。
エレノア嬢に持っていこうとした母の手作りのクッキーを、庭の小径に全部落としてしまったときはひざを折って拾ってくださり、私の母に謝ってあげると言っていただきました。
そんなによくしていただいたのに、私は公爵夫人の葬儀のとき、涙が枯れ果て憔悴しきったエレノア嬢を見て驚いて声を掛けることもなく庭の片隅に隠れてしまいました。
大事な人を亡くしてしまうことの恐ろしさを初めて知った私は、公爵夫人と最後のお別れもしないまま、
葬儀が終わって私を探しにきた父に連れられてそのまま帰ってしまったのです……。
せめて御命日くらいはお詫びに手を合わせに行こうと思いましたが、御命日の当日はローレンス公とエレノア嬢の特別で大切な日であろうと、そのお邪魔をしないように翌日にいくことにしていました。
翌日であれば手向けられた花が少し増えていても誰にも気づかれないのではないかと。
ローレンス家にご挨拶に行かなかったのは、可愛がってくださった公爵夫人の葬儀の時に花の一本を手向けることも手を合わせることもできずに逃げ帰った自分が、今さら来ていることがなんとも綺麗ごとのようで恥ずかしかったからでした。
エレノア嬢の前に出ていく勇気もありませんでした。
すべては自分が大人になりきれていないせいでした」
ローレンス公は黙って聞いてくれたあと、ゆっくり口を開いた。
「君とエレノアの間に少し距離ができていることを感じてはいたが、どうでもいいと思っている相手の母親の命日に、わざわざ毎年花を手向けることなどしないだろう。
そう思い、君たちのことはしばらく見守っていくしかないと思っていたのだ。
それが正しかったとなってよかった。きっとグレイスも喜んでくれるだろう。
さてフィンリー殿、そろそろお茶を持ってこさせよう、飲んでいくだろう?」
「大変申し訳ございません……お茶は、できればエレノア嬢といただきたいです」
「一発殴るのは、やっぱり今にするということでいいのかな?」
「ローレンス公爵、お話を聞いてくださり、またあらゆるご厚情に心から感謝いたします。
荷物を引き上げる際にまたご挨拶に伺います」
「では、一発はそのときにしよう」
「はい、覚悟を決めてまいります。それでは失礼いたします」
僕はもう一度深々と頭を下げた。
ローレンス公の部屋を出るとなんだか猛烈にエレノアに会いたくなった。
杖をついていることさえもどかしく、もっと早く歩けないものかと気が逸る。
エレノアに会いたい。
ローレンス公の執務室に、臆病で弱いくせに体裁ばかりを整えていた自分を置いてきたような気がした。
そんなものを置いていかれてローレンス公も迷惑だろうが、きっと今頃部屋の外に蹴りだされている。
ローレンス公が父に黙っていてくれた婚約白紙の件も、家に帰れば自分の言葉で父に話す。
そこまでを見越してのローレンス公のお許しなのだ。
そうして『少年の日々』にきっちり自分で決着をつけたとき、初めてローレンス公はエレノアの婚約者として自分のことを認めてくれる。
エレノアの部屋の扉を開けると、飛び込んだ僕にエレノアが驚いた顔を向けた。
「エレノア、会いたかった」
「え? 先ほどまで普通に会っておりましたが……」
僕はエレノアを抱きしめた。
ここにいるエレノアだけではなく、幼い日に笑いあったエレノアも、母親を亡くし涙枯れ果てていたエレノアも、学園で僕と目を合わせなかったエレノアも、菓子が好きなエレノアも、クッションに顔を埋めていたエレノアも、時間も場所も超えてすべてのエレノアを抱きしめたい。
「フィンリーさま……少し苦しいです……」
「ご、ごめん」
フィンリーは腕を緩め、天を仰ぐように上を向く。
上を向いていないとうっかり涙が落ちそうだった。
不思議と怪我の痛みをあまり感じない。
今ならローレンス公に一発殴られても大丈夫そうだが、少し心を落ち着けるように部屋の中に目を向ける。
柔らかい緑色の調度品や装飾品が多いこの部屋は、今ではすっかり落ち着くようになっていた。
「エレノアは緑色が好きなのだな。この部屋で過ごしていて思ったが、緑色のものが多くて落ち着くよ。
柔らかくていい雰囲気の部屋だ」
「あ、あの、そうですね、緑色……好きです……」
「そうなのだな、何か君に贈るときは緑色にしたい」
エレノアがじっと僕の目をみつめている。
そのフォーン色の瞳に僕が映っている。
「あっ……え?……ええと、違っていたら馬鹿みたいだが、もしかして緑色は僕の目の色……だったりするのだろうか……」
「……はい、あの……大丈夫です、フィンリーさまは馬鹿ではありません……」
「ああ……参ったな……君は本当に……」
自分をまっすぐ見つめているエレノアのくちびるに、おそるおそる自分のそれを重ねた。
目を伏せたエレノアのまつ毛の先が小さく震えている。
それを見る僕も怖くて震える。
手の中にある幸せが怖い。
こんな幸せを、自ら手放そうとしていたことが怖い。
あの時、大階段から二人して落ちなかったら、この幸せを階段から落としていたのかと思うと怖くていられない。
自分がもっと貪欲になってしまう前に、エレノアからそっと離れた。
まるでひとつで生まれたのに無理に引き剝がされたような思いがした。
そして、ローレンス公に殴られるのは一発では済まないかもしれないと思った。
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