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第十六章 遊戯に翻弄される魔塔主と弟子と騎士と聖女
378.遊戯開始
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レイヴンは俺の気持ちを察してるんだろうな。
今はその時じゃないってか? ここは弟子に免じて落ち着くしかねぇな。
「そんな目で見なくても、この場で魔法をぶっ放したりしねぇよ」
「一応は信用してますよ。でも、師匠がブチ切れると何をするか分かりませんから……」
隣でうんうんと頷いてやがるウルガーの頭上に軽く拳を落として憂さ晴らししてる間に、言いたいことだけいった黒猫は消えちまった。
全員で顔を見合わせ大扉を潜ると、そこは真っ赤な絨毯が敷かれたエントランスホールだった。
城内なんて、そんなもんだろうがな。
正面の奥にはステンドグラスが飾ってあるし、両脇には螺旋階段もある。
もっと気色悪い感じかと思ったが、意外と小綺麗で埃一つもねぇし立派なもんだ。
ディーは早速辺りを警戒してやがるが、ここに一人目がいるのは間違いないだろう。
俺らのことを待ち構えてるってのは本当だったのか、すぐに耳障りな甲高い笑い声が聞こえてきた。
「待ちくたびれちゃったよー! 僕、遊んでほしくて待ってたのにさ」
「一体どこからだ!」
「団長、たぶんあそこ。今更威嚇しても遅いですって。ここは愉しみとやらにのってやらないと」
相変わらずやる気満々のディーと比べて、ウルガーは状況を冷静に受け止めてるみてぇだな。
エントランスの奥の方で不自然に浮かぶ何かを指さしてやがる。
ディーみたいに騒いだところで、どうせ状況は変わらない。
腹は立つが、コッチは魔族たちに付き合ってやるしか選択肢がないからだ。
俺らの方へ声の主が近づいてくる。
赤と青の双頭のドラゴンに乗っかってる、天使みてぇな羽を生やした銀髪のガキだ。
服装も白を基調としたふわりとした布みたいなもんで、見た目だけなら天使に見えなくもない。
新緑のような緑の瞳はくりくりして可愛いもんだが、可愛い見た目と裏腹に自然と寒気がする。
彫刻みたいな完璧な可愛らしさは、異常さも持ち合わせてるってことだな。
「お前が一番手なのか?」
「おじさん、そんな怖い顔しないでよ。こんなに可愛い僕を見て何とも思わないの?」
ガキが愛らしく首をこてんと傾けるが、ディーは眉を吊り上げるだけだ。
話す相手がディーじゃなけりゃここまで反応することもないんだろうが、コイツわざと煽ってきてやがるな。
「団長、この調子で行くとすぐに力みすぎて疲れちゃいますよ。警戒はほどほどに。さっさと済ませましょう」
「そうね。ディーちゃん、気持ちは分かるけれどウルガーちゃんの言う通り。私だって、この姿を見ているだけで腹立たしいけれど今は早く終わらせることだけ考えましょう」
珍しく聖女サマがまともなことを言ってるな。
俺はレイヴンが無言の圧をかけてきてるから、大人しく待つだけだ。
どうせ、相手から指名をしてくるはずだからな。
「聞き分けの良い子は好きだよ。じゃあ、誰に遊んでもらおうかなー? 僕は戦いとか血なまぐさいことはあんまり好きじゃないんだよね」
クスクスと笑いながら、俺らを品定めするようにふわふわと飛び回る。
正直うぜぇしはたき落としてやりてぇが、ここは抑えて様子を見守ってやるか。
今はその時じゃないってか? ここは弟子に免じて落ち着くしかねぇな。
「そんな目で見なくても、この場で魔法をぶっ放したりしねぇよ」
「一応は信用してますよ。でも、師匠がブチ切れると何をするか分かりませんから……」
隣でうんうんと頷いてやがるウルガーの頭上に軽く拳を落として憂さ晴らししてる間に、言いたいことだけいった黒猫は消えちまった。
全員で顔を見合わせ大扉を潜ると、そこは真っ赤な絨毯が敷かれたエントランスホールだった。
城内なんて、そんなもんだろうがな。
正面の奥にはステンドグラスが飾ってあるし、両脇には螺旋階段もある。
もっと気色悪い感じかと思ったが、意外と小綺麗で埃一つもねぇし立派なもんだ。
ディーは早速辺りを警戒してやがるが、ここに一人目がいるのは間違いないだろう。
俺らのことを待ち構えてるってのは本当だったのか、すぐに耳障りな甲高い笑い声が聞こえてきた。
「待ちくたびれちゃったよー! 僕、遊んでほしくて待ってたのにさ」
「一体どこからだ!」
「団長、たぶんあそこ。今更威嚇しても遅いですって。ここは愉しみとやらにのってやらないと」
相変わらずやる気満々のディーと比べて、ウルガーは状況を冷静に受け止めてるみてぇだな。
エントランスの奥の方で不自然に浮かぶ何かを指さしてやがる。
ディーみたいに騒いだところで、どうせ状況は変わらない。
腹は立つが、コッチは魔族たちに付き合ってやるしか選択肢がないからだ。
俺らの方へ声の主が近づいてくる。
赤と青の双頭のドラゴンに乗っかってる、天使みてぇな羽を生やした銀髪のガキだ。
服装も白を基調としたふわりとした布みたいなもんで、見た目だけなら天使に見えなくもない。
新緑のような緑の瞳はくりくりして可愛いもんだが、可愛い見た目と裏腹に自然と寒気がする。
彫刻みたいな完璧な可愛らしさは、異常さも持ち合わせてるってことだな。
「お前が一番手なのか?」
「おじさん、そんな怖い顔しないでよ。こんなに可愛い僕を見て何とも思わないの?」
ガキが愛らしく首をこてんと傾けるが、ディーは眉を吊り上げるだけだ。
話す相手がディーじゃなけりゃここまで反応することもないんだろうが、コイツわざと煽ってきてやがるな。
「団長、この調子で行くとすぐに力みすぎて疲れちゃいますよ。警戒はほどほどに。さっさと済ませましょう」
「そうね。ディーちゃん、気持ちは分かるけれどウルガーちゃんの言う通り。私だって、この姿を見ているだけで腹立たしいけれど今は早く終わらせることだけ考えましょう」
珍しく聖女サマがまともなことを言ってるな。
俺はレイヴンが無言の圧をかけてきてるから、大人しく待つだけだ。
どうせ、相手から指名をしてくるはずだからな。
「聞き分けの良い子は好きだよ。じゃあ、誰に遊んでもらおうかなー? 僕は戦いとか血なまぐさいことはあんまり好きじゃないんだよね」
クスクスと笑いながら、俺らを品定めするようにふわふわと飛び回る。
正直うぜぇしはたき落としてやりてぇが、ここは抑えて様子を見守ってやるか。
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