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第十章 たまには真面目な魔塔主といつも真面目な弟子
256.師匠と弟子で調べ物
しおりを挟むゆったりとした休日を過ごした後、魔塔での予定を適当に済ませる。
全て終えると、予定していた通り俺とレイヴンで王宮の図書館へと向かうことにした。
面倒臭ぇし、許可は取らずにそのまま図書館へと足を運ぶ。
レイヴンは最後まで使用許可をと粘ったが、俺の勢いに負けて文句を言いながらついてきている。
「誰でも入れる訳じゃないのは分かってますよね?」
「王宮に入れるヤツなら問題はねぇだろ。大丈夫だって。考えすぎだ」
「すぐそんなことばかり言って。だからテオに妙な通り名が……」
「細かいことは気にするなって。ほら、行くぞ」
重たい白の大扉を開くと、高い本棚がいくつも並ぶ空間が現れる。
独特の閉鎖空間だが居心地が悪い訳ではなく、掃除もされているので埃っぽいということもない。
結構な数の図書が並んでおり、中には読書用の場所も確保されているのでここでじっくりと読むことも可能だ。
こう見えても本を読むことは嫌いじゃねぇし、たまに気分転換に来ることはある。
二人で図書館の中をゆっくりと進み、まずは目当ての本があるのかを流し見ていく。
「テオはどんな本を探しに来たんですか?」
「まぁ、色々とな。ただ、ヤツらのヒントになるような本があれば儲けもんだがな」
「確かに。あの召喚陣も気になりましたし、一体何処から知識を得ているのか……」
「まぁ、文献なんて探せばいくらでもあるだろうしな。頭の切れるヤツなら自分で何とかする可能性もあるが、何にせよ厄介だな」
魔法に関係する本が並ぶ本棚の前で、手分けして何かないかと探してみる。
いくつか気になるものを手に取ってパラパラとめくって読んでいく。
レイヴンも近くで気になった本に手を伸ばしているみたいだ。
ギリギリ届かない位置みてぇだな。
背伸びをして右手を伸ばす仕草が可愛いもんだ。
指先も必死に伸ばし、つま先立ちまでしてみてもまだ届かない。
「あと少しなのに……っ!?」
レイヴンは結局バランスを崩してしまい、持っていた本と一緒に自分も倒れそうになる。
予想はしてたし、途中からレイヴンを眺めて楽しんでいたから自然に腕が伸びた。
背中をしっかり抱きとめる。
レイヴンは俺がいつの間にか背後にいたと思ったらしい。
驚いてちょこんと腕の中に収まっている。
何冊か落ちていた本も、ついでに手のひらの上でうまいこと重ねて、バランスを取った。
「大丈夫か? 届かないなら届かないって言えば取るのによ」
「取れると思ったんですけどね。別にワザとプルプルしていた訳じゃないです。でも……ありがとうございます」
「まあ、背伸びしてるの見るのは楽しかったけどよ。可愛いし」
「そういうのが悪趣味なんですよ。仕方ないじゃないですか、背が低いから」
レイヴンは不満げな表情を隠さない。
笑いながら、顎で行き先を指し示す。
レイヴンも納得して頷くと、改めて手渡された本を持ってテーブルの上へとドサリと落とす。
「まずは読んで見ましょうか……って、またソファーで読むんですか? 椅子と机があった方が良くないですか?」
「お互い覗き込める位置の方がいいだろ。同じような物を探そうとしてるのに離れてたら呼ぶのが手間じゃねぇか」
俺が尤もらしく意見を述べると、レイヴンも一理あるかと一応は納得して、読む分の一冊だけを手に取りソファーに腰掛けた。
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