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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)
186.やり合う魔塔主と騎士団長
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「だ、団長! あのですね、今、アレです、アレ。鹿がね? 鹿が水浴びしてて、足滑らせてですね?」
「ウルガー! 今、レイヴンの声が聞こえなかったか!? おい、レイヴン大丈夫か!?」
ウルガーの怒涛の下手な言い訳じゃ時間稼ぎにもならねぇな。
慌てふためくレイヴンを拾い上げるのでコッチは手一杯だ。
「……あ」
「うぅ……」
呪文を紡ぐ時間も稼げないまま思い切り見つかっちまった。
泉の中からレイヴンを抱き上げた俺は泉の中で仁王立ちしてるし、何故か二人して裸の状態だ。
レイヴンは何も言えずに羞恥からか顔を埋めている。
ディーに色々見えないといいんだが。
流石にこの状況を誤魔化せるか自信はねぇが、いざとなったら隠しちまえばいいか。
ディーも立ち尽くして止まってたが、ゆっくりとコッチを見て声をかけてくる。
「テオ……お前、何で服を脱いで……いや、レイヴンも……?」
「あー。それはアレだ。アレ。折角だから、水浴びをだな」
「水浴び? 水浴びをしていただけか? それならどうしてそんなに時間がかかって……」
ゴリ押せるか?
ディーを無視して、レイヴンを抱えたまま泉から上がる。
何も言わずにレイヴンをそっと岩陰へと下ろす。
ここならそこまで裸も見えないだろ。
服もそこに置いてあるはずだ。
そのまま無言で背を向けて、置き去りにしてきた自分の服を泉の中の岩場から取ってこようと足を踏み出した時、ディーの視線が背中を追ってる気がして首だけで振り返ろうとする。
あ、そういやさっき、レイヴンが掴まって爪立ててたか?
俺が先に言い訳を言う前に指を差されてディーに先手を打たれる。
「テオ、お前。何で背中に爪の跡が……」
「うわぁぁぁぁ!! もう、無理、無理ーー!! すみません、すみません……俺、今すぐ立てないです……足に、力、入らないんですー!」
ディーに指摘され、羞恥に耐えられなくなったレイヴンが罪を告白するように泣きながらディーに必死に謝罪しはじめる。
バカ! そんな正直に言っちまったらこの後が面倒臭いってのに!
「お、おま……」
「……おい、テオドール。お前、レイヴンに何をしたんだ?」
咄嗟に距離を取って逃げようとした俺の肩を思い切り片手で掴むと、鬼の形相でディーが威圧してくる。
「何って……それは、何をだな……っつーか、このやり取り何度目なんだよ……」
「煩い! お前は、いつも自分勝手に振る舞ってレイヴンを困らせて……挙げ句の果てに、時も場所も考えずに盛って……お前は年中発情期か!」
「あーあー! だから、お前は俺の母親かって言ってんだよ! しょうがねぇだろ、レイヴンが俺のことを誘惑するんだからよー。ま、お前には見せてやらねぇけどな」
「そういうことを言ってるんじゃない! 年を考えろ! レイヴンはまだ若い。お前のような野獣がレイヴンを壊してしまったら、どうするんだ?お前と違って、線も細いし、触れたら折れてしまいそうなほどに繊細だというのに……」
あぁぁぁ…… クソ面倒だな!
ああでもねぇこうでもねぇって説教しやがって。
別に迷惑かけてる訳でもねぇし、俺とレイヴンのことに何でコイツが首を突っ込んでくるんだっての。
レイヴンは何か知らねぇけど大泣きしてるし、ディーはバカ力で俺を掴んだまま離さねぇし。
好きにさせろってんだよなぁ?
ギャーギャー煩ぇっての。
こういう堅物だから、うまいこと流してやり過ごそうとしてたってのに。
俺とディーが争っている間に、何やら考え込んでいたウルガーが、俺たちの間に入ってきた。
「ウルガー! 今、レイヴンの声が聞こえなかったか!? おい、レイヴン大丈夫か!?」
ウルガーの怒涛の下手な言い訳じゃ時間稼ぎにもならねぇな。
慌てふためくレイヴンを拾い上げるのでコッチは手一杯だ。
「……あ」
「うぅ……」
呪文を紡ぐ時間も稼げないまま思い切り見つかっちまった。
泉の中からレイヴンを抱き上げた俺は泉の中で仁王立ちしてるし、何故か二人して裸の状態だ。
レイヴンは何も言えずに羞恥からか顔を埋めている。
ディーに色々見えないといいんだが。
流石にこの状況を誤魔化せるか自信はねぇが、いざとなったら隠しちまえばいいか。
ディーも立ち尽くして止まってたが、ゆっくりとコッチを見て声をかけてくる。
「テオ……お前、何で服を脱いで……いや、レイヴンも……?」
「あー。それはアレだ。アレ。折角だから、水浴びをだな」
「水浴び? 水浴びをしていただけか? それならどうしてそんなに時間がかかって……」
ゴリ押せるか?
ディーを無視して、レイヴンを抱えたまま泉から上がる。
何も言わずにレイヴンをそっと岩陰へと下ろす。
ここならそこまで裸も見えないだろ。
服もそこに置いてあるはずだ。
そのまま無言で背を向けて、置き去りにしてきた自分の服を泉の中の岩場から取ってこようと足を踏み出した時、ディーの視線が背中を追ってる気がして首だけで振り返ろうとする。
あ、そういやさっき、レイヴンが掴まって爪立ててたか?
俺が先に言い訳を言う前に指を差されてディーに先手を打たれる。
「テオ、お前。何で背中に爪の跡が……」
「うわぁぁぁぁ!! もう、無理、無理ーー!! すみません、すみません……俺、今すぐ立てないです……足に、力、入らないんですー!」
ディーに指摘され、羞恥に耐えられなくなったレイヴンが罪を告白するように泣きながらディーに必死に謝罪しはじめる。
バカ! そんな正直に言っちまったらこの後が面倒臭いってのに!
「お、おま……」
「……おい、テオドール。お前、レイヴンに何をしたんだ?」
咄嗟に距離を取って逃げようとした俺の肩を思い切り片手で掴むと、鬼の形相でディーが威圧してくる。
「何って……それは、何をだな……っつーか、このやり取り何度目なんだよ……」
「煩い! お前は、いつも自分勝手に振る舞ってレイヴンを困らせて……挙げ句の果てに、時も場所も考えずに盛って……お前は年中発情期か!」
「あーあー! だから、お前は俺の母親かって言ってんだよ! しょうがねぇだろ、レイヴンが俺のことを誘惑するんだからよー。ま、お前には見せてやらねぇけどな」
「そういうことを言ってるんじゃない! 年を考えろ! レイヴンはまだ若い。お前のような野獣がレイヴンを壊してしまったら、どうするんだ?お前と違って、線も細いし、触れたら折れてしまいそうなほどに繊細だというのに……」
あぁぁぁ…… クソ面倒だな!
ああでもねぇこうでもねぇって説教しやがって。
別に迷惑かけてる訳でもねぇし、俺とレイヴンのことに何でコイツが首を突っ込んでくるんだっての。
レイヴンは何か知らねぇけど大泣きしてるし、ディーはバカ力で俺を掴んだまま離さねぇし。
好きにさせろってんだよなぁ?
ギャーギャー煩ぇっての。
こういう堅物だから、うまいこと流してやり過ごそうとしてたってのに。
俺とディーが争っている間に、何やら考え込んでいたウルガーが、俺たちの間に入ってきた。
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