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第六章 我が道を行く魔塔主と献身的に支える弟子(と騎士二人)
173.協力攻撃
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自分だけかけられたことに気づいたレイヴンが俺を真面目な顔で見上げてくる。
「ダメですよ?」
俺にも保護魔法をかけて、安心したように頷いた。
優しいよなぁ、レイヴンは。
こういう気遣いは嬉しいもんだ。
なくても平気だろうが、俺のことを考えてくれてるのが素直に伝わってくる。
「それを言うなら団長にもいらなかったんじゃ……大地割れますよ?」
「くだらないことを言ってないで、始めるぞ。寝床を壊されても、周辺に被害が出てもまずいからな。先に我々で前にでるぞ」
「了解。テオドール様とレイヴンは?」
ウルガーが剣を引き抜いて目線だけ向けてくる。
答えるように俺とレイヴンも目配せして合図し合う。
「師弟愛ってヤツを見せつけてやらねぇとな?」
「何か違う気が……でも連携は任せてください」
改めて全員で頷き、まず先に騎士の二人が結界の外へと躍り出る。
獲物をまだかまだかと待ち構えていた何匹ものブラックウルフが獲物に気付き二人に向けて跳躍し、食い荒らそうと牙を向ける。
「その程度で我が剣を止められると思うな!」
吠えたディーがまずは横一線に薙ぎ払う。
騎士剣にしては大型であるディーの剣は専用の両手剣でかなりの重量があるが、軽く片手で振り回す。
この辺が獅子の如くって恐れられてるところ、らしいな。
まあ、この状態のアイツと対峙したくはねぇわな。
風圧と切っ先に当てられたブラックウルフ数体が巻き込まれ、血飛沫をあげて辺りの木まで吹き飛ばされた。
メリ、と嫌な音がし、何匹かは木にめり込む。
あいっかわらずの馬鹿力だな。
一振りで力任せでも数匹もっていくからな。
しかも一撃で終わらせちまう。
「相変わらず化け物じみてますね、団長は!」
続いて、ウルガーが一体のブラックウルフの牙を剣で受け止めると、続けざまに襲いかかってくるウルフの群れに向けて思い切り蹴り飛ばして吹っ飛ばす。
逆側から飛びかかってきたブラックウルフも、身体を反転させて受け流し同じく別の群れへと放り投げ、すぐさま、剣を構え直す。
逆にウルガーは流すような剣さばきで、ふざけてるように見えるが視野が広い。
よくよく見れば器用な剣さばきで周りを見ながら適切な身体の動きで力を最小限に抑えながら効率良く戦ってるな。
同じアレーシュ王国剣術の型ではあるだろうが、力特化型と技術特化型みたいなもんか。
「衝撃の波!」
「――雷電」
後方から躍り出たレイヴンの放った魔法で、後方のウルフの群れが空に弾けた見えない波で吹き飛ばされていき、俺が軽く放った雷が落雷となって、皆が放ったブラックウルフを着実に焦がしていく。
俺とレイヴンは大体打ち合わせナシでも互いの一言めの呪文で分かるからな。
俺が先に唱えた時はレイヴンが重ねて合わせてくるし、レイヴンが先に唱えた時は、俺がトドメを刺すような魔法にする。
「グギャァァァ!!!」
そこかしこで断末魔が響き渡る中、ウルガーが軽やかに駆け回り確実にまだ息のあるブラックウルフにとどめを刺していく。
「団長も一振りで終わらせてるし。俺なんて丁寧に突き刺していくの大変なんですけど!」
「軽口を叩いている場合か! オーガが動き始めたぞ、気をつけろ!」
「ワンコは大したことねぇが、アッチはまだ攻撃が読めねぇんだよなぁー」
ヒラと手を振って余裕を知らせてやったが、地を踏み鳴らしてじわりじわりと近づいてくる不気味なオーガはどうくるかが分からねぇからな。
普段よりは少し真剣にやらねぇとな。
一旦、様子を伺う。
「ダメですよ?」
俺にも保護魔法をかけて、安心したように頷いた。
優しいよなぁ、レイヴンは。
こういう気遣いは嬉しいもんだ。
なくても平気だろうが、俺のことを考えてくれてるのが素直に伝わってくる。
「それを言うなら団長にもいらなかったんじゃ……大地割れますよ?」
「くだらないことを言ってないで、始めるぞ。寝床を壊されても、周辺に被害が出てもまずいからな。先に我々で前にでるぞ」
「了解。テオドール様とレイヴンは?」
ウルガーが剣を引き抜いて目線だけ向けてくる。
答えるように俺とレイヴンも目配せして合図し合う。
「師弟愛ってヤツを見せつけてやらねぇとな?」
「何か違う気が……でも連携は任せてください」
改めて全員で頷き、まず先に騎士の二人が結界の外へと躍り出る。
獲物をまだかまだかと待ち構えていた何匹ものブラックウルフが獲物に気付き二人に向けて跳躍し、食い荒らそうと牙を向ける。
「その程度で我が剣を止められると思うな!」
吠えたディーがまずは横一線に薙ぎ払う。
騎士剣にしては大型であるディーの剣は専用の両手剣でかなりの重量があるが、軽く片手で振り回す。
この辺が獅子の如くって恐れられてるところ、らしいな。
まあ、この状態のアイツと対峙したくはねぇわな。
風圧と切っ先に当てられたブラックウルフ数体が巻き込まれ、血飛沫をあげて辺りの木まで吹き飛ばされた。
メリ、と嫌な音がし、何匹かは木にめり込む。
あいっかわらずの馬鹿力だな。
一振りで力任せでも数匹もっていくからな。
しかも一撃で終わらせちまう。
「相変わらず化け物じみてますね、団長は!」
続いて、ウルガーが一体のブラックウルフの牙を剣で受け止めると、続けざまに襲いかかってくるウルフの群れに向けて思い切り蹴り飛ばして吹っ飛ばす。
逆側から飛びかかってきたブラックウルフも、身体を反転させて受け流し同じく別の群れへと放り投げ、すぐさま、剣を構え直す。
逆にウルガーは流すような剣さばきで、ふざけてるように見えるが視野が広い。
よくよく見れば器用な剣さばきで周りを見ながら適切な身体の動きで力を最小限に抑えながら効率良く戦ってるな。
同じアレーシュ王国剣術の型ではあるだろうが、力特化型と技術特化型みたいなもんか。
「衝撃の波!」
「――雷電」
後方から躍り出たレイヴンの放った魔法で、後方のウルフの群れが空に弾けた見えない波で吹き飛ばされていき、俺が軽く放った雷が落雷となって、皆が放ったブラックウルフを着実に焦がしていく。
俺とレイヴンは大体打ち合わせナシでも互いの一言めの呪文で分かるからな。
俺が先に唱えた時はレイヴンが重ねて合わせてくるし、レイヴンが先に唱えた時は、俺がトドメを刺すような魔法にする。
「グギャァァァ!!!」
そこかしこで断末魔が響き渡る中、ウルガーが軽やかに駆け回り確実にまだ息のあるブラックウルフにとどめを刺していく。
「団長も一振りで終わらせてるし。俺なんて丁寧に突き刺していくの大変なんですけど!」
「軽口を叩いている場合か! オーガが動き始めたぞ、気をつけろ!」
「ワンコは大したことねぇが、アッチはまだ攻撃が読めねぇんだよなぁー」
ヒラと手を振って余裕を知らせてやったが、地を踏み鳴らしてじわりじわりと近づいてくる不気味なオーガはどうくるかが分からねぇからな。
普段よりは少し真剣にやらねぇとな。
一旦、様子を伺う。
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