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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
141.手のかかる大人
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自室のテラスに降り立つと、レイヴンは袋の中の薬瓶が割れていないことを確かめて息を吐いた。
「まぁ……ここまで来ると、この流れも分かってました。買ったものは諦めて師匠の部屋の隅にでも置いておいて……明日運びます」
「もう少し演技を続けてくれるんだろ? 何を話してくれるんだろうなァ?」
「……もっと自然に接してくれたら俺も笑顔になれると思うんですけどね。この感じは厄介だから諦めます。お腹もいっぱいだし、ゆっくりしましょうか」
袋を部屋の片隅に置き、俺にソファーへと座るように指示を出すとレイヴンも後から隣へ腰掛ける。
俺へと寄りかかると体重を預けてきた。
「どうしよう……ぼんやりすると寝そうだし。もう、演技思いつかないです」
「夜はこれからだってのに?」
「逆にああいうことをしないでくっついてればいいんじゃないですか? 俺はその方が嬉しい、ですよ?」
チラと俺を見上げた顔は、演技ではなく本音を言ったらしく顔がほんのりと色づいていた。
あぁ、くっついたりするのがお好みだったよな。
そういうところは愛情に飢えている感じがして、素直で可愛いよな。
イイコイイコと、頭を撫でてやる。
「俺の望むレイを見せてくれるなら、今夜はできるだけ我慢してやるよ」
「できるだけってところがまた……本当に欲望の塊すぎません?」
最初はジッと俺の様子を伺っていたが、そのうちに表情が和らいでいく。
「仕方ない師匠ですね?」
と、言う顔は自然な笑顔で。
いつもの叱る感じのレイヴンとは違って素に近い感じだ。
俺も自然と口元が緩むのが分かる。
年下のレイヴンに転がされるのも、それはそれで悪くねぇな。
「そうそう、いつもそうやって笑ってればいいんだよ」
「だから、笑わせないようにしてるのはテオだから。俺が嬉しいって思う方向に進んでください」
「んなこと言ってもなぁ。俺の素は自由人だからなァ」
「自由人で済めばいいですけどね。ホント、迷惑かけすぎなんですから」
レイヴンが戯れにテオドールの頬を突く。
いつもなら逆にちょっかいをかけるところだが、もう少しレイヴンの出方を待ってやらないとな。
我慢してされるがままになる。
「反撃してこないのは珍しい。そんなに俺の素が見たいんですか? 見せてると思うけど……まだ足りません?」
「まだまだ、だな。レイはもっと甘えたがりのはずだ」
「また妙なことを……こういうのどちらかと言えば好きですけど、もっと好きにしていいってこと?」
「そうだな。俺が好き勝手する分、お前も同じ様にできる権利があるだろ? それこそ、俺にこんなことをできるのもレイだけだ」
俺の頬を軽くつまみながら、レイヴンは思案してるみてぇだが何も思い浮かばないらしく、他にちょっかいもかけてこない。
それでも俺の無造作な髪の毛を見ているうちに、何か思いついたらしくパッと手を離す。
「じゃあ……テオの髪の毛、櫛で梳いてもいいですか? いっつも適当だったから気になってたんです」
「髪の毛? 好きにしていいけどよ。それで楽しいか?」
「髪の毛編んで見たかったんですよ。そういうのやったことないから」
レイヴンは辺りを見回し、転がっていた櫛を見つけると早速革紐を解いていく。
適当に一つにまとめられた髪が自然と広がると優しく櫛を通し始めた。
「まぁ……ここまで来ると、この流れも分かってました。買ったものは諦めて師匠の部屋の隅にでも置いておいて……明日運びます」
「もう少し演技を続けてくれるんだろ? 何を話してくれるんだろうなァ?」
「……もっと自然に接してくれたら俺も笑顔になれると思うんですけどね。この感じは厄介だから諦めます。お腹もいっぱいだし、ゆっくりしましょうか」
袋を部屋の片隅に置き、俺にソファーへと座るように指示を出すとレイヴンも後から隣へ腰掛ける。
俺へと寄りかかると体重を預けてきた。
「どうしよう……ぼんやりすると寝そうだし。もう、演技思いつかないです」
「夜はこれからだってのに?」
「逆にああいうことをしないでくっついてればいいんじゃないですか? 俺はその方が嬉しい、ですよ?」
チラと俺を見上げた顔は、演技ではなく本音を言ったらしく顔がほんのりと色づいていた。
あぁ、くっついたりするのがお好みだったよな。
そういうところは愛情に飢えている感じがして、素直で可愛いよな。
イイコイイコと、頭を撫でてやる。
「俺の望むレイを見せてくれるなら、今夜はできるだけ我慢してやるよ」
「できるだけってところがまた……本当に欲望の塊すぎません?」
最初はジッと俺の様子を伺っていたが、そのうちに表情が和らいでいく。
「仕方ない師匠ですね?」
と、言う顔は自然な笑顔で。
いつもの叱る感じのレイヴンとは違って素に近い感じだ。
俺も自然と口元が緩むのが分かる。
年下のレイヴンに転がされるのも、それはそれで悪くねぇな。
「そうそう、いつもそうやって笑ってればいいんだよ」
「だから、笑わせないようにしてるのはテオだから。俺が嬉しいって思う方向に進んでください」
「んなこと言ってもなぁ。俺の素は自由人だからなァ」
「自由人で済めばいいですけどね。ホント、迷惑かけすぎなんですから」
レイヴンが戯れにテオドールの頬を突く。
いつもなら逆にちょっかいをかけるところだが、もう少しレイヴンの出方を待ってやらないとな。
我慢してされるがままになる。
「反撃してこないのは珍しい。そんなに俺の素が見たいんですか? 見せてると思うけど……まだ足りません?」
「まだまだ、だな。レイはもっと甘えたがりのはずだ」
「また妙なことを……こういうのどちらかと言えば好きですけど、もっと好きにしていいってこと?」
「そうだな。俺が好き勝手する分、お前も同じ様にできる権利があるだろ? それこそ、俺にこんなことをできるのもレイだけだ」
俺の頬を軽くつまみながら、レイヴンは思案してるみてぇだが何も思い浮かばないらしく、他にちょっかいもかけてこない。
それでも俺の無造作な髪の毛を見ているうちに、何か思いついたらしくパッと手を離す。
「じゃあ……テオの髪の毛、櫛で梳いてもいいですか? いっつも適当だったから気になってたんです」
「髪の毛? 好きにしていいけどよ。それで楽しいか?」
「髪の毛編んで見たかったんですよ。そういうのやったことないから」
レイヴンは辺りを見回し、転がっていた櫛を見つけると早速革紐を解いていく。
適当に一つにまとめられた髪が自然と広がると優しく櫛を通し始めた。
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