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第五章 漸くモノにした魔塔主と少し素直になれた弟子
113.こういう時間も悪くない
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「甘やかすのも俺の勝手だろう? 妙なところで遠慮するんじゃねぇよ、ったく」
「何か、こういう時間を過ごした記憶が少なくて。前にもお話した通り、俺を拾ってくれた父と母は優しかったんですけど、本当の子どもじゃないって知ってたから……どう言えば正解なのか、分からなくて……」
困り顔のまま笑うレイヴンを優しく撫でると、今度は素直に甘えて目を瞑る。
まぁ……俺とは違う意味で苦労してるっつーか。
戸惑いながら生きてきたんだろうよ。
だから、甘え方を知らないし甘えてはいけないんだと無意識のうちに自分で待てをかけるところがある。
俺の前では比較的言いたいことは言うが、自分の内に祕めてることはめったに言わない。
人からの好意に対しても、頑なに鈍感だしな。
暫く撫でると満足したのか、レイヴンが恥ずかしそうに俺を見る。
「もう、大丈夫ですよ?」
か細い声で呟くのは、照れてるからか?
まぁ、なでなでするのも癖みたいなもんだからいつでもしてやれるし。
俺としちゃ触り心地も気に入ってるし、別に構わねぇんだけどな。
「正解とか別にねぇよ。ただ遠慮するなって言っただけだ。俺と一緒に食いたいと思うなら誘えばいいって言う話をしただけだ。だから、それが毎日だろうが何だろうが構わねぇ」
「……はい。じゃあ、また機会があったらお誘いします。俺も毎日きちんと料理できるほど色々作れる訳じゃないですから」
お互いに笑い合い、ゆっくりと席に座り直す。
なんかこういう他愛の無い家族みたいなことをしているようでしてきてないから、憧れてるのかもしれねぇな。
俺もそういう教育を受けてないし、お貴族様にはお決まりのことが多かったから、家族仲良しみたいなことはなかったな。
だから、レイヴンが欲しているモノは何なのか今頃になって分かってきた気がする。
今までは側において守ってやればいいと、それだけを考えてきたが。
構い方も少し考えてやらねぇと。
もっと平民のような、穏やかな幸せってヤツをな。
穏やかで和やかな時間っていうのは、レイヴンにとっても癒しなんだな。
俺はレイヴンを構えればなんだって構わねぇが、普通の家族にあるような幸せ、みたいなもんがレイヴンにとっては一番嬉しいことなのかもしれねぇな。
「ま、期待して待ってるか。俺としては、毎日レイちゃんを頂きたいんだけどなァ」
「またそっち方面に話をもっていく……でも、ありがとうございます。テオ」
また余計なことを考えないように軽口で流してやろうと思ったのに。
分かったような顔しやがって。
作り笑顔じゃなくて心から嬉しそうな顔されると、これくらいのことならいつでもやってやりたくなる。
俺としてはもっと刺激があるのが好みだが、まぁそれはそれ、これはこれだな。
「何か、こういう時間を過ごした記憶が少なくて。前にもお話した通り、俺を拾ってくれた父と母は優しかったんですけど、本当の子どもじゃないって知ってたから……どう言えば正解なのか、分からなくて……」
困り顔のまま笑うレイヴンを優しく撫でると、今度は素直に甘えて目を瞑る。
まぁ……俺とは違う意味で苦労してるっつーか。
戸惑いながら生きてきたんだろうよ。
だから、甘え方を知らないし甘えてはいけないんだと無意識のうちに自分で待てをかけるところがある。
俺の前では比較的言いたいことは言うが、自分の内に祕めてることはめったに言わない。
人からの好意に対しても、頑なに鈍感だしな。
暫く撫でると満足したのか、レイヴンが恥ずかしそうに俺を見る。
「もう、大丈夫ですよ?」
か細い声で呟くのは、照れてるからか?
まぁ、なでなでするのも癖みたいなもんだからいつでもしてやれるし。
俺としちゃ触り心地も気に入ってるし、別に構わねぇんだけどな。
「正解とか別にねぇよ。ただ遠慮するなって言っただけだ。俺と一緒に食いたいと思うなら誘えばいいって言う話をしただけだ。だから、それが毎日だろうが何だろうが構わねぇ」
「……はい。じゃあ、また機会があったらお誘いします。俺も毎日きちんと料理できるほど色々作れる訳じゃないですから」
お互いに笑い合い、ゆっくりと席に座り直す。
なんかこういう他愛の無い家族みたいなことをしているようでしてきてないから、憧れてるのかもしれねぇな。
俺もそういう教育を受けてないし、お貴族様にはお決まりのことが多かったから、家族仲良しみたいなことはなかったな。
だから、レイヴンが欲しているモノは何なのか今頃になって分かってきた気がする。
今までは側において守ってやればいいと、それだけを考えてきたが。
構い方も少し考えてやらねぇと。
もっと平民のような、穏やかな幸せってヤツをな。
穏やかで和やかな時間っていうのは、レイヴンにとっても癒しなんだな。
俺はレイヴンを構えればなんだって構わねぇが、普通の家族にあるような幸せ、みたいなもんがレイヴンにとっては一番嬉しいことなのかもしれねぇな。
「ま、期待して待ってるか。俺としては、毎日レイちゃんを頂きたいんだけどなァ」
「またそっち方面に話をもっていく……でも、ありがとうございます。テオ」
また余計なことを考えないように軽口で流してやろうと思ったのに。
分かったような顔しやがって。
作り笑顔じゃなくて心から嬉しそうな顔されると、これくらいのことならいつでもやってやりたくなる。
俺としてはもっと刺激があるのが好みだが、まぁそれはそれ、これはこれだな。
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