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第五章 突発イベントフラグ乱立中
38.見つかる前に
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案内された家の脇にはまだ割られていない木が積んであり、側には斧が立てかけられていた。
思っていたよりも木の数が多いので、少し時間がかかりそうだ。
「どうだ、頼めるか?」
「うん。やったことないから下手くそかもしれないけど、やるだけやってみる」
「あたしは……何かお手伝いできそうなことはありますか?」
「バードは周囲を良く見ていてくれ。オレも主が近づくと分かるが、目で見るのはバードの方が早い。ハルと主は相性が悪い。だから、引き合わせたくない」
ウルフは今日も俺のことを気遣ってくれているみたいだ。さすが、男気溢れる下級精霊。
バードはどちらかというとおっとりとした優しい性格みたいだな。
ウルフと仲がいいみたいだけど、風と炎の精霊同士も実は仲がいいのかもしれないな。
俺は持っていたカゴを側へ置いてから、斧をおそるおそる手に取ってみた。
俺にとってはかなり重いけど、なんとかやってみるしかない。
両手で柄を握り、慎重に頭の上へ持ち上げてからウルフが置いてくれた木をめがけて斧を振り下ろす。
スコンッという軽快な音がして、木が真っ二つに割れる。
「お、いいぞハル。初めてにしてはやるな」
「良かったですね、ハルさん。この調子でお願いします」
「了解。じゃあ、ウルフ。補助をよろしく」
「任せろ!」
俺とウルフは二人でテンポよく置いては割ってを繰り返す。
何度も斧を振り上げていると、じわりと汗がにじんでくる。
「ハルさん、汗が」
「あ……バード。ありがとう」
バードがどこからか取り出した可愛い空色のハンカチで俺の額を拭いてくれる。
これはかなりの重労働だな。このペースだと少し時間がかかりそうだ。
+++
だいぶ薪を作ったところで、バードが急にくるりと旋回する。
ウルフもガウっと小さく吠えた。
「ハル、どうやら主が近づいてきているみたいだ。やはり、カティも一緒だ。追い出すようですまないが、あちらの道なら主に見つからずにここから離れられる。手伝ってくれて本当に助かった。ありがとな」
「ハルさん、お礼はあたしが責任をもってハルさんのお家へお届けします。さあ、巻き込まれないうちにお早く!」
「ありがとう」
ウルフとバードに礼を言ってカゴを拾い上げると、ヴォルカングに見つからないように裏道へ逃れた。
バードがお礼と言ったのは金貨のことだろう。俺は育成のために金貨が必要だからいくらあっても困らない。
「しかし、さすがに疲れた……。どこかで休憩しよう」
炎の精霊のテリトリーに来たのが初めてだったから、あまりいい休憩場所が見つからない。
しかも歩くのは初めての抜け道だ。
一体どこに出るのか分からないまま歩いていくと、急に視界が開けて満面の花が咲き誇る花畑が見えてきた。
もしかして、この前歌って恥ずかしくなったあの花畑か?
「繋がってたのか……」
この前とは全く別のルートで来たらしい。でも、間違いなくあの花畑だ。
ちょうどいいし、花畑の近くにある木の下で休ませてもらおう。
ちょうど日陰になっていて、涼しそうだ。
俺は木の下に行くと、カゴを下ろして木の幹へ寄りかかる。
着ているブレザーの上着も脱いでカゴへかけた。
目を瞑ると、心地よい風が吹き抜けていく。
まぶたを閉じただけでさっき薪割りもしていたせいか、急な疲労感と眠気に誘われてくる。
「さすがに少し休むか。天気がいい日の木陰は特に眠くなるし」
この世界に来てから何度外で昼寝したか分からないけど、今日も疲労感に任せて昼寝することにした。
+++
どれくらい眠っていたのだろう?
頬を撫でる風はとても心地よいし、頭を梳いてくれる指先も……って。
あれ、指先……?
「ん……誰……?」
薄っすらと目を開けると、新緑の優しい香りが鼻をくすぐる。
香りを感じていると、美しい瞳が俺のことを覗き込んでいるのに気づく。
その瞳は暗緑色の瞳で、見るものを惹き付ける美しさがあった。
優しい指先は、今も俺のことを撫で続けている。
瞳がまたとろんとしてきて、また眠くなってしまいそうだ。
「……ハル」
声が、聞こえた気がした。
俺の側に誰かいるのか? 暗緑色の瞳って……なんですぐに思いついたんだろう。
とてもキレイで、吸い込まれそうだ。
思っていたよりも木の数が多いので、少し時間がかかりそうだ。
「どうだ、頼めるか?」
「うん。やったことないから下手くそかもしれないけど、やるだけやってみる」
「あたしは……何かお手伝いできそうなことはありますか?」
「バードは周囲を良く見ていてくれ。オレも主が近づくと分かるが、目で見るのはバードの方が早い。ハルと主は相性が悪い。だから、引き合わせたくない」
ウルフは今日も俺のことを気遣ってくれているみたいだ。さすが、男気溢れる下級精霊。
バードはどちらかというとおっとりとした優しい性格みたいだな。
ウルフと仲がいいみたいだけど、風と炎の精霊同士も実は仲がいいのかもしれないな。
俺は持っていたカゴを側へ置いてから、斧をおそるおそる手に取ってみた。
俺にとってはかなり重いけど、なんとかやってみるしかない。
両手で柄を握り、慎重に頭の上へ持ち上げてからウルフが置いてくれた木をめがけて斧を振り下ろす。
スコンッという軽快な音がして、木が真っ二つに割れる。
「お、いいぞハル。初めてにしてはやるな」
「良かったですね、ハルさん。この調子でお願いします」
「了解。じゃあ、ウルフ。補助をよろしく」
「任せろ!」
俺とウルフは二人でテンポよく置いては割ってを繰り返す。
何度も斧を振り上げていると、じわりと汗がにじんでくる。
「ハルさん、汗が」
「あ……バード。ありがとう」
バードがどこからか取り出した可愛い空色のハンカチで俺の額を拭いてくれる。
これはかなりの重労働だな。このペースだと少し時間がかかりそうだ。
+++
だいぶ薪を作ったところで、バードが急にくるりと旋回する。
ウルフもガウっと小さく吠えた。
「ハル、どうやら主が近づいてきているみたいだ。やはり、カティも一緒だ。追い出すようですまないが、あちらの道なら主に見つからずにここから離れられる。手伝ってくれて本当に助かった。ありがとな」
「ハルさん、お礼はあたしが責任をもってハルさんのお家へお届けします。さあ、巻き込まれないうちにお早く!」
「ありがとう」
ウルフとバードに礼を言ってカゴを拾い上げると、ヴォルカングに見つからないように裏道へ逃れた。
バードがお礼と言ったのは金貨のことだろう。俺は育成のために金貨が必要だからいくらあっても困らない。
「しかし、さすがに疲れた……。どこかで休憩しよう」
炎の精霊のテリトリーに来たのが初めてだったから、あまりいい休憩場所が見つからない。
しかも歩くのは初めての抜け道だ。
一体どこに出るのか分からないまま歩いていくと、急に視界が開けて満面の花が咲き誇る花畑が見えてきた。
もしかして、この前歌って恥ずかしくなったあの花畑か?
「繋がってたのか……」
この前とは全く別のルートで来たらしい。でも、間違いなくあの花畑だ。
ちょうどいいし、花畑の近くにある木の下で休ませてもらおう。
ちょうど日陰になっていて、涼しそうだ。
俺は木の下に行くと、カゴを下ろして木の幹へ寄りかかる。
着ているブレザーの上着も脱いでカゴへかけた。
目を瞑ると、心地よい風が吹き抜けていく。
まぶたを閉じただけでさっき薪割りもしていたせいか、急な疲労感と眠気に誘われてくる。
「さすがに少し休むか。天気がいい日の木陰は特に眠くなるし」
この世界に来てから何度外で昼寝したか分からないけど、今日も疲労感に任せて昼寝することにした。
+++
どれくらい眠っていたのだろう?
頬を撫でる風はとても心地よいし、頭を梳いてくれる指先も……って。
あれ、指先……?
「ん……誰……?」
薄っすらと目を開けると、新緑の優しい香りが鼻をくすぐる。
香りを感じていると、美しい瞳が俺のことを覗き込んでいるのに気づく。
その瞳は暗緑色の瞳で、見るものを惹き付ける美しさがあった。
優しい指先は、今も俺のことを撫で続けている。
瞳がまたとろんとしてきて、また眠くなってしまいそうだ。
「……ハル」
声が、聞こえた気がした。
俺の側に誰かいるのか? 暗緑色の瞳って……なんですぐに思いついたんだろう。
とてもキレイで、吸い込まれそうだ。
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