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第五章 突発イベントフラグ乱立中
32.これ以上、悲しませないように
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リバイアリスの悲しそうな表情は、グラウディの過去が本人にとって重いものであると示していた。
ゲーム内でも掘り下げられるんだろうけど、直接聞くと余計に重くのしかかってくる気がする。
「ラウディは本来誰よりも優しい子なのです。だから、その子と一緒にいる時はいつも楽しそうでした。その子がラウディの前から姿を消すまでは」
「姿を消した……?」
「ええ。ラウディはその子となら人間界で暮らしてもいいと思っていたほどだったのに、その子はそうではなかったのです。ラウディは思いもよらない形で気持ちを裏切られてしまいました」
「そんなことが……」
ざっと聞くだけでもあまりいい話ではないことが分かる。
あの七色の木が関係あるとしたら、ずっと側にいる約束でも交わしていたのだろうか?
グラウディが人間界へ行くと言っていたということは、強い絆で結ばれていると信じていたのだろう。
思いもよらないことが何かは分からないが、グラウディが深く傷ついた原因なんだろうな。
「すみません、全て伝えないと言ったのに思っていたよりも詳しく伝えてしまいました。あなたの負担にならなければよいのですが……」
「いえ、大丈夫です。俺はグラウディ様に意図を持って近づいたりしません。今日もモグが困っていたので力になりたいと思ったのと、助けていただいたお礼をさせていただいただけです」
俺がきっぱりと伝えると、リバイアリスは苦笑いをする。何か変なことを言ったのだろうか?
「ふふ……今のハルは本当に……いえ、なんでもありません」
「はあ……」
「引き留めてしまってすみませんでした。では、私はこれで失礼します」
「はいお気をつけて」
リバイアリスは微笑を残して去っていった。
俺はいつの間にグラウディのトラウマを聞けるフラグを立てていたのだろうか?
そんなつもりじゃないのに、気づけば巻き込まれている気がする。
「これが乙女ゲームの強制力なのか? だとしたら、勘弁してほしい……」
俺が目指すのはあくまでノーマルエンド。だから、グラウディのことを深く知る必要はないんだけど……モグに関わっていたから自然とフラグが立ったのか?
だとしたらある程度は許容するしかないのかもしれない。
リバイアリスの話を聞いてから色々と思うことはあったけど、一度家へ戻ることにした。
+++
本当はもう少し金貨を稼げれば良かったが、仕方ない。
ゲームでも好感度上げをしない場合は下級精霊のお手伝いと育成の往復しかすることがなくなってくるから、明日も違う場所へ行ってみるしかないだろう。
「それにしても、グラウディは何故裏切られてしまったんだろう? そのエピソードを見る前に寝落ちしたから分かんないんだよな」
妹にグラウディの攻略を頼まれていたから調べてはいたけど、発売されたばかりのゲームだったせいもあってまだ情報がそこまで出揃っていなかったんだよな。
だからこそ、攻略勢を待ちながら総当たりのつもりで何度かやってみてはいたもののグラウディの好感度を上げること自体が難しくてうまくいかなかった。
「今は好感度を上げる必要もないんだけど……同じ精霊使いの卵っていうのが嫌な感じだよな。俺だったら二度と心を許そうと思わない」
寛ぎ着に袖を通しながら、思わずため息が出た。
ゲームをしている最中はグラウディがただ面倒なヤツとしか思えなかったのに、実際に会って話を聞いてしまうとどう考えても悪いのはグラウディではなくその裏切ったという精霊使いの卵だ。
「……今度会う時に、一応伝えておくか」
俺が思うことを伝えておくべきだと思った。
グラウディはきっと相手の気持ちに敏感になっているはず。だからこそ、俺からきちんと伝えておくべきだろう。
これ以上傷つけることなく、やんわりと。そして、モグを泣かせないように。
「モグを悲しませたくないからな」
グラウディよりもモグに肩入れしてしまっている自分がいて、自然と笑ってしまった。
ゲーム内でも掘り下げられるんだろうけど、直接聞くと余計に重くのしかかってくる気がする。
「ラウディは本来誰よりも優しい子なのです。だから、その子と一緒にいる時はいつも楽しそうでした。その子がラウディの前から姿を消すまでは」
「姿を消した……?」
「ええ。ラウディはその子となら人間界で暮らしてもいいと思っていたほどだったのに、その子はそうではなかったのです。ラウディは思いもよらない形で気持ちを裏切られてしまいました」
「そんなことが……」
ざっと聞くだけでもあまりいい話ではないことが分かる。
あの七色の木が関係あるとしたら、ずっと側にいる約束でも交わしていたのだろうか?
グラウディが人間界へ行くと言っていたということは、強い絆で結ばれていると信じていたのだろう。
思いもよらないことが何かは分からないが、グラウディが深く傷ついた原因なんだろうな。
「すみません、全て伝えないと言ったのに思っていたよりも詳しく伝えてしまいました。あなたの負担にならなければよいのですが……」
「いえ、大丈夫です。俺はグラウディ様に意図を持って近づいたりしません。今日もモグが困っていたので力になりたいと思ったのと、助けていただいたお礼をさせていただいただけです」
俺がきっぱりと伝えると、リバイアリスは苦笑いをする。何か変なことを言ったのだろうか?
「ふふ……今のハルは本当に……いえ、なんでもありません」
「はあ……」
「引き留めてしまってすみませんでした。では、私はこれで失礼します」
「はいお気をつけて」
リバイアリスは微笑を残して去っていった。
俺はいつの間にグラウディのトラウマを聞けるフラグを立てていたのだろうか?
そんなつもりじゃないのに、気づけば巻き込まれている気がする。
「これが乙女ゲームの強制力なのか? だとしたら、勘弁してほしい……」
俺が目指すのはあくまでノーマルエンド。だから、グラウディのことを深く知る必要はないんだけど……モグに関わっていたから自然とフラグが立ったのか?
だとしたらある程度は許容するしかないのかもしれない。
リバイアリスの話を聞いてから色々と思うことはあったけど、一度家へ戻ることにした。
+++
本当はもう少し金貨を稼げれば良かったが、仕方ない。
ゲームでも好感度上げをしない場合は下級精霊のお手伝いと育成の往復しかすることがなくなってくるから、明日も違う場所へ行ってみるしかないだろう。
「それにしても、グラウディは何故裏切られてしまったんだろう? そのエピソードを見る前に寝落ちしたから分かんないんだよな」
妹にグラウディの攻略を頼まれていたから調べてはいたけど、発売されたばかりのゲームだったせいもあってまだ情報がそこまで出揃っていなかったんだよな。
だからこそ、攻略勢を待ちながら総当たりのつもりで何度かやってみてはいたもののグラウディの好感度を上げること自体が難しくてうまくいかなかった。
「今は好感度を上げる必要もないんだけど……同じ精霊使いの卵っていうのが嫌な感じだよな。俺だったら二度と心を許そうと思わない」
寛ぎ着に袖を通しながら、思わずため息が出た。
ゲームをしている最中はグラウディがただ面倒なヤツとしか思えなかったのに、実際に会って話を聞いてしまうとどう考えても悪いのはグラウディではなくその裏切ったという精霊使いの卵だ。
「……今度会う時に、一応伝えておくか」
俺が思うことを伝えておくべきだと思った。
グラウディはきっと相手の気持ちに敏感になっているはず。だからこそ、俺からきちんと伝えておくべきだろう。
これ以上傷つけることなく、やんわりと。そして、モグを泣かせないように。
「モグを悲しませたくないからな」
グラウディよりもモグに肩入れしてしまっている自分がいて、自然と笑ってしまった。
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