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第一章 チュートリアル
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今日もいつものように、自分の部屋にこもってベッドに寄りかかりながらゲームをしている。
俺、桧山晴にとってゲームは趣味でもあり、自分を唯一開放できる場所だ。
だから、面白いゲームのためなら喜んで課金もするしどんな難解なゲームでも攻略するのが数少ない楽しみの一つだ。
「お兄ちゃんいるんでしょ? 入るよ」
返事なんてしなくても、妹の哩夢は勝手にドアを開けて俺の部屋へ入ってくる。
コイツが家で何をしようとも、両親は妹を可愛がっているから文句は全て俺に来る。
だったら、何を言っても無駄だ。
俺は父親似で黒髪ショートのどこにでもいそうな平凡な見た目だが、妹は母親似でツヤツヤした長い黒髪とくっきり二重が特徴的なゴスロリ女子だ。
今日も黒ベースのワンピースに白いレースがそこら中にヒラヒラ付いたゴスロリ服を着ている。
見た目と愛らしさも相まって、妹は友人も多く男女問わず好かれていた。
ゴスロリ女子が好きな男なんてレアかと思っていたが、今はそうでもないらしい。
家族も俺のことなんて眼中にないし、可愛い妹の虜だ。
「ねー。いつものアレお願いしてもいい? このゲーム難しくって攻略調べても無理! でも、推しのイベントを早く見たいの! いいでしょ?」
「……で、いくらくれるの?」
妹は、いつも俺にゲームの攻略を頼んできた。
俺に可愛らしく頼んだところで何の効果もないっていうのに、いつも愛らしい仕草を自然としてくる辺りあざとかわいいとかいうヤツなんだろう。
ただでやるのは癪だし、俺はいつも攻略してやる代わりにほんの少しのお金をもらっていたのだ。
俺の両親は高校生の哩夢に未だにおこづかいをやってるんだし、俺が多少おこぼれをもらったところで問題ない。
「ホント、いつも妹にたかるなんてサイテー。でも、お兄ちゃんに頼むのが一番早いから仕方なくだからね。このゲームは乙女ゲーなのに超難易度なのがめんどいし」
俺が手を伸ばすと、渋々ウサミミのバッグから黒の財布を取り出して嫌そうに千円を俺の手に押し付けてきた。
そして、抱えていた黒いケースに入ったゲーム機を俺の部屋のガラステーブルの上へ置く。
「今度のイベントまでにクリアしてよ。じゃあ、よろしくね」
妹はそれだけ言い残して、俺の部屋から出て行った。
イベントは……たぶん同人誌のイベントだろう。
妹は腐女子で、親に隠れて同人活動もしている。
そのイベントがいつかなんて知ったこっちゃないが、大体一週間くらいの余裕はあるだろう。
「仕方ない。微々たるお金だろうが俺のゲームの軍資金だ。さっさと妹のゲームをクリアしてやる」
慣れ親しんでいるゲームを終わらせ、仕方なく妹のゲーム機を手に取り起動させる。
すると、何人ものイケメンが現れるムービーが流れてきた。
しばらくぼんやり見ているとやっとオープニング画面に切り替わる。
「このゲーム……例の変わりモノとか言われてるゲームか」
精霊と恋するファンタジー、ラブスピリット。通称ラブスピだったか。
デフォルトの主人公は見た目が女の子だが、キャラメイキングで男の子の見た目にもできるという話題沸騰なゲームだ。
ボイスも豪華な人気声優が勢ぞろいしている。
しかも恋愛ゲームというジャンルのためか、隠れ腐女子も気楽に買えるのが好まれてるらしい。
主人公の見た目だけでなく、一人称もボクのボクっ子だからBLゲームとしてプレイするにも違和感がないとか。
ゲームイラストは、妹の好きそうなキラキライケメンが勢ぞろいしている。
「別に女主人公でやればいいのに。エロゲーじゃない全年齢だろコレ」
BL好きの腐女子の気持ちはよく分からないしツッコミどころは多い。
が、俺の個人的なゲームの評価としては隠しイベントも豊富でムービーの出来もいい。
一つのゲームとしてみれば、よくできてると思う。
問題はゲーム内容がヘビーユーザー向けだということだけだ。
俺、桧山晴にとってゲームは趣味でもあり、自分を唯一開放できる場所だ。
だから、面白いゲームのためなら喜んで課金もするしどんな難解なゲームでも攻略するのが数少ない楽しみの一つだ。
「お兄ちゃんいるんでしょ? 入るよ」
返事なんてしなくても、妹の哩夢は勝手にドアを開けて俺の部屋へ入ってくる。
コイツが家で何をしようとも、両親は妹を可愛がっているから文句は全て俺に来る。
だったら、何を言っても無駄だ。
俺は父親似で黒髪ショートのどこにでもいそうな平凡な見た目だが、妹は母親似でツヤツヤした長い黒髪とくっきり二重が特徴的なゴスロリ女子だ。
今日も黒ベースのワンピースに白いレースがそこら中にヒラヒラ付いたゴスロリ服を着ている。
見た目と愛らしさも相まって、妹は友人も多く男女問わず好かれていた。
ゴスロリ女子が好きな男なんてレアかと思っていたが、今はそうでもないらしい。
家族も俺のことなんて眼中にないし、可愛い妹の虜だ。
「ねー。いつものアレお願いしてもいい? このゲーム難しくって攻略調べても無理! でも、推しのイベントを早く見たいの! いいでしょ?」
「……で、いくらくれるの?」
妹は、いつも俺にゲームの攻略を頼んできた。
俺に可愛らしく頼んだところで何の効果もないっていうのに、いつも愛らしい仕草を自然としてくる辺りあざとかわいいとかいうヤツなんだろう。
ただでやるのは癪だし、俺はいつも攻略してやる代わりにほんの少しのお金をもらっていたのだ。
俺の両親は高校生の哩夢に未だにおこづかいをやってるんだし、俺が多少おこぼれをもらったところで問題ない。
「ホント、いつも妹にたかるなんてサイテー。でも、お兄ちゃんに頼むのが一番早いから仕方なくだからね。このゲームは乙女ゲーなのに超難易度なのがめんどいし」
俺が手を伸ばすと、渋々ウサミミのバッグから黒の財布を取り出して嫌そうに千円を俺の手に押し付けてきた。
そして、抱えていた黒いケースに入ったゲーム機を俺の部屋のガラステーブルの上へ置く。
「今度のイベントまでにクリアしてよ。じゃあ、よろしくね」
妹はそれだけ言い残して、俺の部屋から出て行った。
イベントは……たぶん同人誌のイベントだろう。
妹は腐女子で、親に隠れて同人活動もしている。
そのイベントがいつかなんて知ったこっちゃないが、大体一週間くらいの余裕はあるだろう。
「仕方ない。微々たるお金だろうが俺のゲームの軍資金だ。さっさと妹のゲームをクリアしてやる」
慣れ親しんでいるゲームを終わらせ、仕方なく妹のゲーム機を手に取り起動させる。
すると、何人ものイケメンが現れるムービーが流れてきた。
しばらくぼんやり見ているとやっとオープニング画面に切り替わる。
「このゲーム……例の変わりモノとか言われてるゲームか」
精霊と恋するファンタジー、ラブスピリット。通称ラブスピだったか。
デフォルトの主人公は見た目が女の子だが、キャラメイキングで男の子の見た目にもできるという話題沸騰なゲームだ。
ボイスも豪華な人気声優が勢ぞろいしている。
しかも恋愛ゲームというジャンルのためか、隠れ腐女子も気楽に買えるのが好まれてるらしい。
主人公の見た目だけでなく、一人称もボクのボクっ子だからBLゲームとしてプレイするにも違和感がないとか。
ゲームイラストは、妹の好きそうなキラキライケメンが勢ぞろいしている。
「別に女主人公でやればいいのに。エロゲーじゃない全年齢だろコレ」
BL好きの腐女子の気持ちはよく分からないしツッコミどころは多い。
が、俺の個人的なゲームの評価としては隠しイベントも豊富でムービーの出来もいい。
一つのゲームとしてみれば、よくできてると思う。
問題はゲーム内容がヘビーユーザー向けだということだけだ。
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